安心して定年後の生活を送る準備-50歳からはじめたい12の事柄

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定年後の生活は安心して送りたいと思いますね?

そして、そのために準備できることがあったらやっておきたいですよね?

定年後の生活における3大ポイントは、「お金」「健康」「生きがい」だといわれます。
しかし、これらはどれもすぐに得られるものではないので、いざ定年が間近になってから考えたのでは間に合いません。

現在、定年を65歳まで延長する動きが広がりつつありますが、まだ80%の企業は60歳が定年です。

60歳で定年後の生活を送る体制を整えておかなければいけないのですから、十分な期間を考慮すれば10年前である50歳が準備開始に適した年齢といえるのです。

ここでは、安定した定年後の生活を送るために、50歳からはじめたい事柄をピックアップしました。

目次

1. 老後資金を考える
① 老後資金ゼロの人の再生計画
② 自分の退職金を知る
③ 年金を増やす方法

2. 60歳からの仕事を考える
④ 70歳まで働ける仕事を50代で探す
⑤ プラス1のスキルを身につける
⑥ リスクを冒さず転職する方法

3. 親の介護を考える
⑦ 介護の自己負担額を知っておく
⑧ 親が元気なうちに確認しておくこと

4. 健康について見直す
⑨ 子どもが成人したら生命保険は不要
⑩ 体の悪いところは在職中に見つける

5. 定年後の生活を組み立てる
⑪ 老後の住居を考える
⑫ 葬儀と墓支度を考える

まとめ

1. 老後資金を考える

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定年後に夫婦ふたりの家庭で必要になる生活費は、月額約24万円といわれています。

世帯主が60歳から85歳まで25年間生きるとすれば、24万円×12カ月×25年で、7200万円必要になります。
しかし、これは無収入の場合の話です。

一般的なサラリーマン家庭が受給する老齢年金の平均額は月額約18万円ですから、65歳から85歳まで20年間の受給額、18万円×12カ月×20年の4320万円を差し引くと、2880万円になります。

さらに、60歳から70歳まで10年間働いて、月額平均15万円の収入があったとすると、15万円×12カ月×10年の1800万円が引かれて、必要な額は1080万円ということになります。

夫婦ともに国民年金の給付だけになると、満額でも月額13万円程度ですから、13万円×12カ月×20年の3120万円を差し引いて、4080万円必要ということになります。
70歳まで働いたとして1800万円を引いても、2280万円が必要ということです。

これは、平成29年現在の概算ですから、10年後の状況が同じということはありませんし、支出や収入には個人差があります。
しかし、自分の状況に合わせて足し引きする基本額の目安にすることはできます。

まず、自分の10年後以降の生活をできるだけリアルに想定して、定年後の生活における収支を考えてみましょう。
住宅ローンなどの借金は、定年前に返済するか、退職金で清算するものとします。

① 老後資金ゼロの人の再生計画

50歳で貯蓄ゼロという人の原因は、主に「贅沢」「教育費」「共働きで別会計」の3つがあります。
それぞれの再生策を考えると次のようになります。

(1)趣味やちょっとした贅沢などにお金をかけて、貯蓄まで手が回らないという人

・家計を書き出して現状に危機感をもつ
・「年間100万円」など、年間の貯蓄額を決めて死守する
・1年間達成したら、5年後に500万円、10年後に1000万円と積算して実行する

(2)子どもの教育費にお金をかけすぎという人

・「かかるお金」と「かけるお金」を整理して出費を抑える
・子どもにも教育費を理解させて優先順位を親子で決める
・収入を増やすために妻も働く

(3)夫婦共働きで相手が貯めていると信じている人

・お互いの収入は内緒でもいいので、年間貯蓄額を夫婦で決める
・約束通り貯められているか、年に1回は話し合う
・お互いのボーナスからも貯蓄するルールをつくる

どのケースでも、「目標を立てる」「優先順位を決める」「夫婦で合意する」という3つの再生策が重要なポイントになります。

② 自分の退職金を知る

定年後の生活を考えるときに、退職金をあてにしている人は多いものです。
住宅ローンの残額を完済する、自宅をリフォームする、子どもの結婚資金にあてるといった計画を立てている人もいるでしょう。

でも、ちょっとまってください。
自分の会社の退職金制度をよく理解していますか?
退職金は労働基準法で定める就業規則に規定することが義務付けられているわけではありません。

もともと退職金を支給しない会社もありますし、規定が変更される場合もあります。
必ず就業規則の退職金規定を調べて、金額と受け取り方を確認しておきましょう。

退職金の受け取り方は大別して、「一括して受け取る」「年金として受け取る」「一時金と年金の併用」という3つの方法があります。

 

③ 年金を増やす方法

夫婦の年金受給の時期と金額を調べておくことは必須ですが、その結果受給額が少なくて不安を抱く人は、50歳からでも年金の受給額を増やすことが可能です。

もっとも増加幅が大きいのは、基礎老齢年金、老齢厚生年金ともに「繰り下げ受給」で、最大42%も増額された年金を生涯もらうことができます。

60歳以降も勤務先の再雇用制度を利用して、厚生年金に加入しながら働き続けることによって、年金額を増やすこともできます。
40年間の納付期間に足りない人は、任意加入して満額を目指すことも可能です。

そのほか、任意で加入する保険商品の「個人年金保険」や、「確定拠出年金」などの運用で受給額を増やす方法もあります。

 

2. 60歳からの仕事を考える

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2013年4月に高年齢者雇用安定法が改正され、60歳の定年退職後も希望者は全員65歳まで再雇用されるようになりました。

日本国内のすべての企業は、社員が65歳まで働けるように、

・65歳までの定年延長
・希望者全員の再雇用
・定年の廃止

のいずれかを選択するよう義務付けられたのです。

60歳で定年した後の選択肢は4つに大別されます。

・再雇用
・転職
・独立開業
・完全リタイア

現実には、60歳でリタイアするという人はほとんどいないでしょう。

60歳以降も働くことを望むのであれば、再雇用がもっとも安定して収入を得られる方法ですが、転職や開業を目指すのであれば、50代の早いうちから入念な準備が必要になります。

④ 70歳まで働ける仕事を50代で探す

内閣府の調査によると、65歳までに退職したいという人は3割にも及ばず、7割以上の人が「70歳以降まで働きたい」「働けるうちはいつまででも働きたい」と考えています。

しかし、65歳までは再雇用で働いたとしても、70歳まで同じ仕事を続けるのは難しくなる人が多いでしょう。

65歳を超えてからも仕事を続けたいと思っている人は、そのときになって考えたのでは遅いので、50代から探しておくべきです。

そのためには、スキルを磨く、独自のノウハウや人脈を築いておく、といったことが大きな武器になります。

近年は、60歳で再雇用を選択せずに、「シニア起業」をして長く働ける仕事を作り出そうと考える人が増えています。
もし75歳まで働ければ、老後資金の不安は減りますし、生きる張り合いにもなります。

経験と人脈を活かした独立開業を、選択肢のひとつとして考えてみるのもいいでしょう。
なお、シニア起業は初期投資が不要で、ローリスクな仕事を選ぶのが原則です。

⑤ プラス1のスキルを身につける

60歳以降も働き続けることを考えるのであれば、自分が培ったスキルを活かして少しでも高収入を目指したいと思うでしょう。

ここで人と差をつけるためには、自分が培ってきたスキルに加えて、もうひとつ異なるスキルを身につけることが有効です
「ダブルメジャー」などと呼ばれる方法です。

自分がこれまで歩んできた分野とは違うことを、50代で身につけるのです。
技術畑で仕事をしてきた人であれば、経営や事業開発などの分野を学んだり、経験したりする機会を積極的に作っていきます。

新企画や新規プロジェクトがあったら、責任者に手をあげてみるのもいいでしょう。
サブスキルの経験値を上げる絶好の機会になります。
畑違いの部署へ異動になったら、腹を立てるよりもプラス1のスキルを身につけるチャンスだと考えましょう。

そして60歳になったときには、「経営観念をもつ技術者」や「事業開発もできる技術者」となっていれば、とても付加価値が高まります。

⑥ リスクを冒さず転職する方法

中高年の転職は、厳しい現実を覚悟しておかなければいけません。

自分の希望通りの転職先はなかなかありませんから、転職を考える人は、どこまで妥協できるか自分の許容範囲を決めておく必要があります。

50代で重要なことは、自分のキャリアとスキルを客観的に見直すことです。
よく検討しながら、履歴書と職務経歴書を書いてみましょう。

無収入の期間をつくらないためには、今の会社で仕事しながら転職の準備をしてリスクを回避することです。
定年前に退職して失業状態で再就職活動をするのは、あまりにもリスキーです。

スキルアップや準備が整って万全の体制になってから、定年前に会社を辞めて転職、独立をすべきです。

定年で会社から辞めさせられるより、自分の意志でやめて新しい道に進んだ方が、周囲に前向きな印象を与えて支援も受けやすいからです。

 

3. 親の介護を考える

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50代で多くの人が経験する難問が親の介護です。
気になってはいても、親が元気なうちは、なかなか想像ができなくて考えられません。
考えたくないというのが本音かもしれません。

しかし多くの場合、親を介護する生活は、ある日突然やっていきます。

なんの準備もないままに突入すると、悲惨な状況を招くこともあります。
親を介護するために退職する「介護離職者」の数は、なんと年間10万人。

うちの親は大丈夫という根拠のない楽観は捨てて、親の行動、食事、服装などに変化がないか気を配るようにしましょう。
75歳を超えると、要介護の認定を受ける人の数が急増します。

親には親の年金があるはずですから、介護費用の全額を子どもが負担するケースは少ないでしょうが、消費する労力は計り知れないものがあります。

⑦ 介護の自己負担額を知っておく

要介護度は、軽いほうから要支援1~3、要介護1~5という8区分があります。

要介護度が重度になるほど介護費用の負担が増えますが、生命保険文化センターの調査では、毎月の介護に要する費用の平均額は7.9万円となっています。

介護の平均期間は59.1カ月ですから、高齢者ひとりあたりに必要となる介護費用は約467万円となります。

この金額は、公的介護保険サービスの自己負担分で計算されています。
おむつ代や介護タクシー、配食サービスといった公的介護サービスに含まれないものを利用すれば、その分は実費として加算されることになります。(補助を受けられる自治体もあります)

自宅で介護できない場合には、住居費がかかります。
介護保険の施設サービスは、主に「特別養護老人ホーム(特養)」と「老人保健施設(老健)」の2つです。

特養の場合は毎月10~12万円程度、リハビリを行う老健では13~15万円程度が自己負担の目安になります。
有料老人ホームは、多くの場合500万円程度の入居一時金がかかり、毎月の費用も特養より高くなります。

⑧ 親が元気なうちに確認しておくこと

親が元気なうちに以下の20項目を確認して書面にしておきましょう。

●お金について

・通帳やキャッシュカードの保管場所
・保険や株式などの資産状況や証券の保管場所
・医療費や介護サービスの支払い口座
・年金やその他の収入、毎月の支出内容
・任意後見契約(自分が判断不能になった場合の後見人の指名契約)の有無

●病気・食べ物・趣味

・食べ物の好み
・アレルギーの有無
・現在の趣味
・病歴、ケガの履歴
・服用している薬、薬手帳の保管場所
・主治医と緊急時の搬送先
・入院にかんする希望
・手術や投薬にかんする注意事項
・余命告知や延命治療、臓器提供にかんする希望

●介護について

・どのような介護を望むか
・健康保険の種類と保険証の保管場所
・介護保険の保険証の保管場所
・居住地域の支援センターなどの連絡先や担当者名

●人づきあい

・近所の知人友人やお隣さんの連絡先
・長期入院や危篤状態になったときに連絡してほしい人

 

4. 健康について見直す

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50代は体の老化が顕著になってきます。

高血圧、心筋梗塞、動脈硬化、糖尿病、白内障、緑内障など、老化にともなう病気については、情報収集をして知識を身につけておきましょう。

生活習慣を見直して日頃から健康維持に努め、少しでも老化を予防する努力をすると60歳を過ぎてから差が出ます。

⑨ 子どもが成人したら生命保険は不要

親が50代で子どもが成人するという家庭は多いでしょう。

自分に何かあったときの備えとして、子どもにお金を残すための生命保険は、子どもが成人したら不要です。

老後に必要な備えは、若い頃に必要な万が一の備えとは違います。
子どもが成人したら加入している保険の内容を確認して、定年後の出費を減らしておきましょう。

生命保険はベースとなる「主契約」とオプションの「特約」から成り立っています。
あなたの契約には、がん治療や入院給付金などの医療特約がついているかもしれません。

規制緩和された現在は、生命保険の特約型ではなくて独立タイプの医療保険がたくさんあるので、そちらを検討してみるといいでしょう。

⑩ 体の悪いところは在職中に見つける

定年後の生活を楽しむためにつくったお金が、医療費に消えてしまうのは悲しいものです。
しかし、多額の医療費に苦しむ高齢者や、その家族が多いという現実があります。

病気は早く発見して早く治療しておけば、定年後の出費が少なくてすみます。

在職中は健康診断がありますが、定期健診だけでは重い病気が隠れていても発見できないことが多いものです。

定期健診にはオプションでいろいろな検査が設定されているケースが多いので、50歳を超えたら自己負担をしてでも可能な検査は受けるべきです。

人間ドックは高価ですが、健康保険組合によっては割安になる場合や、割引をしてもらえる生命保険やカード会社などもあるので、加入している保険を確認して費用を抑えながら受けましょう。

 

5. 定年後の生活を組み立てる

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定年後の生活は、必要経費を抑えることになります。
ムダな出費をできるだけ抑えて、人生を楽しむべきです。

限られたお金を、どううまく使って「生ききるか」が問われるのです。
「衣・食・住」は生活に欠かせない要素ですから、出費の半分以上を占めることになるでしょう。

「衣」や「食」、生活必需品は節約すべきではありますが、常に節約ばかりでは味気ない生活になっていまします。
ときにはちょっと贅沢をしたり、気を緩めたりしながら、臨機応変に楽しめばいいのです。

ところが「住」は人生において大きな問題ですから、計画性が必要になります。
さらに、生ききった後の問題である葬儀や墓についても考えておかなければ、安心して定年後の生活を送ることはできないでしょう。

⑪ 老後の住居を考える

働きながら子どもを育てている間は、通勤や通学のしやすさ、子育ての環境、生活の便利さなどが住居の場所を選ぶ基準になります。

しかし、子どもが家を出ていき、夫婦ふたりで定年後の生活を送る住居に求める基準は変わってきます。
子育て環境や通学を考える必要はありませんし、仕事を続けるとしても通勤場所は変わることになるでしょう。

高齢の夫婦ふたりだけになったら、もう広い家は不便なだけになります。
住み替え計画は数年の余裕をもって、50代のうちに、ほどよい間取りで自分たちが望む環境にある住居を検討しましょう。

海外移住や田舎暮らしが話題になっていますが、簡単に考えるべきではありません。
夫の希望があっても、夫婦で時間をかけてよく検討すべきです。
一般的に女性は住み慣れた土地で、人間関係を大事にしたいと考えるものです。

⑫ 葬儀と墓支度を考える

自分の葬儀にかんする希望は、50代になったら書き残しておくべきですが、毎年確認をして考え方や状況が変わったら書き直しましょう。

できるだけ、家族にも周囲の人にも負担をかけない最期を望む人が多くなっています。

お墓の問題は、定年後の生活に大きくかかわってくる可能性があるので、50代のうちに情報を収集して方向性を決めておいたほうが安心です。

お墓の考え方はだいたい次の4つに分かれます。

・親の墓や先祖代々の墓に入る
・自分で墓を建てる
・永代供養墓に申し込む
・散骨や樹木葬

墓を建てる場合には200万円以上かかるケースも多く、一番安価なのは5~10万円の散骨です。
なお、墓がなくて自宅で遺骨を保管しても問題ありません。

妻が、「夫側の墓に入りたくない」と言ったり、子どもが「遠い墓は行けない」と言ったり、お墓選びには問題が浮上するケースが多いので、早めに方向性だけでも決めておいたほうがいいのです。

 

まとめ

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「戦国の風雲児」と呼ばれた織田信長は、人生最大の危機といわれた桶狭間の戦いに臨む際、『敦盛』を舞って「人間五十年……」と謡ったといわれます。

当時は50年生きれば本望という時代だったのです。

しかし、現代の50歳は、社会的責任が重くなる、体は老化が目立ってくる、子どもの結婚がある、さらには親の介護問題が出てくるという、人生におけるもっとも忙しい時期に突入する年齢です。

同時に老後の準備を始める適齢期でもあります。
50歳からの10年間は、確実にくる定年後の生活を安心してすごすための準備期間と考えて、有意義な時間を送りましょう。

実際に、老後にはいくら必要なのかについては、こちらの記事も参考にしてみてください。

下流老人にならないために必要な老後の資金とは?

【参考資料】
・『50歳から始める「安心老後」準備大全』 日経BPマーケティング 2016年
・『50歳からはじめる定年前の整理術』 日本経済新聞出版社 2015年

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