「ポジティブシンキングでは変われない・・」
「プラス思考しても何となく不安になる・・」
「ポジティブが本当にいいのかと疑問がある・・」
など、前向きに考えればうまくいくと思って、あらゆる悩みをポジティブに変えようとしていませんか?
ポジティブシンキングでうまくいかない人といかない人がいますが、うまくいかない人というのは、ニセモノの考え方をしているからです。
そこで、多くの社会人の悩みを直接セッションで解決してきた佐藤由美子氏のメソッドから、ポジティブシンキングがうまくいかない最大の原因(フォレスト出版取材より)をご紹介します。
目次
1 ポジティブシンキングとは
2 ポジティブシンキングがうまくいかない最大の原因
2-1 偽物のポジティブシンキングとは
3 偽物のポジティブシンキングを直す方法
3-1 違和感に気づくこと
3-2 違和感の見方
3-3 その時の感情を考えてみる
4 未来を前進する力に転換する言葉
4-1 今の仕事がうまくいっていない場合
4-2 失敗は責めることではない
4-3 自分を応援してくれる安心感を持つこと
1 ポジティブシンキングとは
ポジティブシンキングとは何なのでしょうか?
簡単に言うと、積極的または楽観的な思考をすることと言われます。
特に、よくあるポジティブの方法をやっている人の中には、仕事で失敗したときや恋愛で悩んでいるときでも、
「きっと、うまくいく」
「これは何かのサインだ」
などと、現実の問題にフタをして、ある意味、無理やり未来に向かってポジティブな考え方に変える傾向があります。
または、ポジティブシンキングを意識しすぎて、プラスの言葉しか使わない、肯定語以外はすべて禁止という人もいるほどです。
目標や自己実現に向けて頑張っていても、まったく人生がうまくいかないがたくさんいます。よく、ポジティブなアファメーションを唱えましょうというのも、結局はポジティブシンキングと同じようにうまくいかない人が多いでしょう。
2 ポジティブシンキングがうまくいかない最大の原因
では、なぜ、ポジティブシンキングをしても、うまくいかないのでしょうか?
それは、本物のポジティブシンキングと偽物ポジティブシンキングがあるからです。実は、多くの人は偽物のポジティブシンキングに囚われています。敢えてうまくいかない方を選んでいるわけです。
2-1 偽物のポジティブシンキングとは
偽物のポジティブシンキングとは何のことでしょうか。
それは、直面した問題や出来事に対して、表面だけを見て、プラスの考え方をしようとしていることです。
例えば、ちょっと嫌なこと、苦手なこと、何か悩むことがあった時に、
「いや、これでいい」
「これは良いことが起きる前兆なんだ」
あるいは、イソップ物語の「すっぱいブドウ」の話のように、キツネが木に実った美味しそうなブドウを食べようとしたけど、何度跳んでも届かなくて、「どうせ、このブドウは酸っぱくてまずいに決まっている」というふうに、「これは自分には必要ないんだ」と決めつけていたりします。
2-2 都合よく解釈するとチャンスを逃してしまう
このように自分の無力感やネガティブさなど、本当は一番気づくべき学びというものに目を背けてしまって、都合よく解釈していることが偽物のポジティブシンキングなのです。
本当はその瞬間に変わるチャンスやお宝があったとしても、それは見ないようにして、表面だけで良かったことにしています。
「きっと、これから良いことがある」など未来に向けた思考によって、成果やチャンスを逃してしまっているという方が多いのです。
3 偽物のポジティブシンキングを直す方法
それでは、どうやって、偽物のポジティブシンキングや間違った捉え方を直していけばいいのでしょうか?
3-1 違和感に気づくこと
まずは、ポジティブな言葉や考えをした時に本当の気持ちとの違和感に気づくことです。
例えば、よくありがちなのは、ポジティブな言葉を発しているときです。
「職場での人間関係がうまくいっていない…」
「会社での営業成績が悪い…」
そんな時に単なるポジティブな言葉やアファメーションで
「1カ月後に、もう人間関係も円満になっています」
「もう、営業成績がナンバーワンになっている」
「絶対、自分はうまくいく!」
と、唱えてみても、ほとんどの人は違和感を感じているはずです。なぜなら、今までうまくいかなかった自分がうまくいくわけがないという不安が自然に出るからです。
不安というのは、結局は潜在意識の感覚ですので、違和感のある言葉を唱えれば唱えるほど、不安が湧いてきます。つまり、潜在意識と唱えた言葉自体に葛藤が起きていて、
「叶えたいけど、どうせ無理だよね。今までだってうまくいかなかったし…」
と、自分を否定する思いがあなたの潜在意識の中で強化されていきます。むしろ、表面上のポジティブな言葉よりも潜在意識化にある本音の部分が入ってしまうのです。
その結果、その都度の状況によって、失敗が怖かったり、行動ができなくなるなど逆効果になってしまいます。だからこそ、表面上の現象を見るのではなく、その時に心で感じている違和感や不安を見ることが大切です。
3-2 違和感の見方
違和感の見方として、ポジティブな言葉や考え方をした時や無理やりポジティブシンキングをしようとした時がわかりやすいです。
「あれ?」といった何かモヤモヤした感じがするとか、空元気になっていないかなどを感情が追いついてこない感覚を感じてみることから始めます。
3-3 その時の感情を考えてみる
仮に、なりたい自分を描いた時に、「あれ?」と違和感を感じたら、そのままにしないことです。なりたい自分を描いた後の違和感から出る感情をちょっと考えてみることです。
この違和感を見ない人、感情の本質を考えてみない人が非常に多いです。
自分の感情と向き合うことは不安や怖れもありますが、それも含めて、意識して認めてあげることです。
その怖れと向き合って対峙する感覚こそが、本来のポジティブシンキングができて、人生の流れを良くすることができるようになります。
4 未来を前進する力に転換する言葉
本当のポジティブシンキングができるようになるには、言葉や思考が重要になります。
そこでどんな言葉を自分に伝えると良いのかをポジティブシンキングの枠を超えて、そのコツや例をお伝えします。
4-1 今の仕事がうまくいっていない場合
まず、自分にどんな内容を伝えるのかが重要です。特に不安や後悔していることがあれば、なおさらです。
たとえば、今、あなたの仕事がうまくいっていないのは、3年前に、ある人と仕事
をするという選択をしたことが理由だ、と思っているとします。
この場合、あの頃の自分に向かって
と事実を認めます。そして、感情を認めて、共感します。
このような場合、「本当はどうすればよかったのか」もわかっている場合もあるかと思います。その時は、
というように伝えます。そして、これまでの道のりを伝えます。
など、学びも自分に教えます。
このような事例では、後悔の気持ちがあると思いますので、上記のような言葉を最後に必ず付け加えることです。
そのうえで、それでいいんだよと承認することです。そして、今、こうやって、自分を認め、前に進もうと思う決意を、未来に放ちます。もちろん、今この瞬間、「それでいいんだよ」と思えない場合は、言わなくていいです。
まずは「認める」ことで絶大な効果をもたらします。コツは、本気でその時の悔しさを言語化して認めることです。何となく「悔しかったな」とぼんやりと描くのはあまり効果がありません。
4-2 失敗は責めることではない
失敗は責めるのではありません。失敗は受け止めて、認めることです。認めることで、自己防衛をしなくなります。
多くの場合、責めるので、防衛本能が働き、かえって問題の本質を見ないようにしてしまいます。
その結果、なぜか同じ失敗を繰り返す、という悪循環に陥るのです。よって、ネガティブな出来事も認めきると、未来に進む力に転換されます。
4-3 自分を応援してくれる安心感を持つこと
潜在意識は、過去・現在・未来の区別がつかないと言われています。
区別がつかないからこそ、認めて、共感して、新しい選択を加えることで今の自分が未来の自分から応援されている感覚が得られるようになります。
どんな時も、自分を応援し続けてくれる安心感があると、失敗しても、必ず成長していける、なりたい自分につなげていける感覚が育ってきますので、本音の心でもうまくいく未来を信じていけるようになります。
【プロフィール】佐藤由美子
行動変革コンサルタント。個別コンサルティングで直接クライエントを支援し、成功報告が数多く届く、確実に変化と結果を出す専門家として、多くのクライエントから絶大な信頼を得ている。著書に『うまくいきそうでいかない理由』(フォレスト出版)などがある。