「書類にハンコをもらうためだけにオフィスに出社するのは正直面倒」
「テレワークが導入されても社内の申請・承認ルールが変わらない」
このように、社内のワークフロー(申請・承認プロセス)に不満を感じている。あるいは現場から不満の声が上がっているといったお悩みをお持ちではありませんか?
しかし、そうした悩みを持ちながらも、
- そもそもワークフローをどうやって変えたらいいかわからない
- 自社のルールが複雑過ぎて今さら変えようがない
と諦めかけている方も多いはずです。
そこで便利なツールが「ワークフローシステム」です。
本記事では、仕事をかしこく・たのしくするビジネスメディアを運営する「Smarf」が、ワークフローシステムの機能、メリット・デメリット、そして導入時のポイントを解説します。
- 自社の生産性を向上させたいと考える中小企業の経営者様
- IT活用で業務を減らしたいと考える労務・総務ご担当者様
などはぜひ最後までご覧ください。
各ワークフローシステムの機能・費用比較を知りたい方は「ワークフローシステム比較10選!各ツールの特徴・価格まで解説」の記事も併せてご覧ください。
ワークフローシステムとは?メリット・デメリットを解説
ワークフローシステムとは、
- 稟議書・報告書
- 経費・交通費精算
- 有給・休暇申請
など、組織内のさまざまな申請を電子化し、効率的に決裁・承認するためのシステムのことです。
従来は、紙書類に決裁者の印鑑が必要であったため、
- 承認者が複数名になるほど、回覧・承認に日数が掛かる
- 承認印をもらうために他に用事がなくてもオフィスに出社する必要がある
といったような状況が各社で起きていました。
しかし、2019年に施行された「働き方改革推進法」や、テレワーク推進にあたり政府主導「脱ハンコ宣言」などにより、従来の慣行に対する見直しが各企業に求められています。
参考:「署名、押印、対面」を原則とした制度・慣行・意識の抜本的見直しに向けた共同宣言(内閣府)
このような中で注目を集めているのが「ワークフローシステム」です。
本項ではワークフローシステムについて、機能・メリット・注意点を解説します。
ワークフローシステムの主な機能を紹介
ここではワークフローシステムの主な機能を紹介します。紹介するのはあくまで機能の一部です。
各サービスによって機能数や種類は異なりますので、詳細は各サービスの公式ページをご覧ください。
機能 | 内容 |
---|---|
承認経路の作成・分岐 | 会社独自の申請フォームの作成が可能 |
マルチデバイス | スマホでも申請・承認が可能 |
多言語対応 | ワンクリックで英語に切り替えが可能 |
紙書類の電子化 | 紙の申請書や、既存帳票を読み込むことにより自動で電子書類化 |
他サービス連携 | 通知をメールやチャットに配信 |
ワークフローシステムのメリット3つ
ワークフローを活用することで社内の決裁スピードが格段に向上します。テレワークや出張中でも、いつでも申請状況を確認し承認することが可能です。
ここではワークフローシステムで得られるメリットを3つ紹介します。
承認・決裁のスピードアップが可能
ワークフローシステムを活用すれば、紙の申請書のようにわざわざ印鑑をもらいに日程を合わせたり、オフィスに出向く必要はありません。
インターネット環境があればいつでもどこでも申請が可能です。また、承認者はスマホからでも申請書の確認・承認ができるので、外出中や出張中でも稟議を待つことはありません。
紙申請書の保管の手間やコストを削減可能
申請書は保管が義務付けられているため、紙申請書の場合は保管場所の確保が必要です。また印刷するためのインク代や紙代も掛かります。
ワークフローシステムであれば、様々な申請書をシステム上で作成し、過去の申請書もすべてサーバー内に保管されます。
そのため、保管場所や印刷に掛かるコスト削減が可能です。
過去の申請書の検索も容易に可能
紙の申請書の場合はなにか問題が発生した時に、保管されているキャビネットの中から書類を探し出す必要があります。
ワークフローシステムでは「いつ・だれが承認をしたか」がデータとしてすべて記録されます。
その上、申請日・申請者・申請内容などの条件検索により、目的の申請書をかんたんに探し出すことが可能です。
もちろん、紙の印刷やデータとして出力もできるため、監査への対応もスムーズです。
ワークフローシステムのデメリット
社内決裁・承認に役立つワークフローシステムですが、注意すべき点もあります。
続いては、ワークフローシステムの注意点(デメリット)を3つ解説します。
自社のワークフローが複雑な場合、設定が難航する可能性がある
会社によっては、承認フローが複雑(あるいは整備されていない)であるため、初期設定でつまずく可能性があります。
また一部の担当者に設定や操作を任せきりになってしまうと業務が属人化します。
業務が属人化すると担当者が部署異動や退職をしてしまった場合にシステム操作方法が誰もわからず、結果として「使えないシステム」になってしまいかねません。
そのため、
- 申請内容ごとにだれが・いつ承認するか社内の承認フローを見直す
- 操作方法は複数名の担当者が使えるようにして属人化を防ぐ
といった対策が必要です。
社内で浸透しない可能性がある
ワークフローシステムの操作方法がわかりにくく、直感的に操作ができないと逆に業務上に支障をきたす可能性があります。
例えば、
- 従業員からの質問が殺到する
- 「前の方が良かった」と不満が噴出する
といったことが起こるかもしれません。
その結果、
- システム導入前の紙申請とシステムでの申請が混在する
- 「使われないシステム」として月額費用だけが発生し続ける
といった事態になる可能性もあります。
申請は日々業務で発生し続けます。そのため、トライアル期間を設けた後は一気に切り替えるといった強制策も必要です。
情報漏えいのリスクが発生する
ワークフローシステムでは、他社との取引状況や自社の機密情報を操作するため、情報の取り扱いには十分な注意が必要です。
特にクラウド型ワークフローシステムの場合は、セキュリティの脆弱性を狙ったサイバー攻撃のリスクもあるため、WAFなどのセキュリティ対策が必要です。
WAFについて詳しく知りたい方は「WAFとは?セキュリティ対策上のメリットを具体事例から解説!」の記事もご覧ください。
ワークフローシステム導入時のポイント
ワークフローシステムには数多くのサービスがあります。各社システムで機能や特徴に違いがあるため、「どのワークフローシステムが自社に最適かわからない」と感じる方も多いはずです。
そこで本項では、ワークフローシステム導入時のポイントを解説します。
クラウド版かオンプレミス版のどちらにするか検討する
ワークフローシステムには、
- オンプレミス版
- クラウド版
の2種類があります。
ワークフローシステムのメリットを最大限受けるのであれば、クラウド版がおすすめです。両者の違いを表にしました。
導入形態 | クラウド版 | オンプレミス版 |
---|---|---|
特徴 | インターネット上にあるクラウドサーバーにアクセスする | 自社のサーバー上にワークフローシステムを構築する |
メリット | ・インターネット環境があればPC、スマホからいつでもどこでも申請・承認可能・システムの保守・運用を行う必要がない | ・自社サーバー内に構築するため、高いセキュリティを担保できる・自社仕様にカスタマイズが可能 |
デメリット | ・導入費用が高額、運用開始まで時間が掛かる・外部からのサイバー攻撃や不正アクセスを受ける可能性がある | ・システムの保守運用・障害対応などのメンテナンスは自分たちで行う・社内からしか申請できない |
現在の決裁フローをワークフローで実現できるか確認する
「自社の承認・決裁プロセスが複雑すぎてシステム化できなかった」という話をよく耳にします。
複雑であればあるほど、ワークフローシステム導入時の初期設定に時間がかかりますし、いざ運用開始すると思うようにいかない場合があります。
場合によっては自社の決裁フローを見直す必要もあるため、注意が必要です。
ランニングコストと機能を比較する
ワークフローシステムの多くは、ユーザーが増えるごとの従量課金制です。料金の相場は月額費300円〜500円(1ユーザーあたり)となっています。
少額に思えるかもしれませんが、数百名規模になるとそれなりにランニングコストが発生します。
始めは特定の部署や特定のメンバーに限定するなどして、徐々に利用範囲を広げることもおすすめです。
また各サービスのプランによって使える機能が異なります。
「ある機能を使うためには上位プランに申し込む必要があるためランニングコストが増えてしまった。」ということも起こりえますので、比較表を作成するなどして自社に合うシステムを検討しましょう。
申請者・承認者が使いやすいか確認する
ワークフローによる申請・承認は日々発生する業務です。そのため、ITツールの操作が苦手な方でも直感的に操作できるかどうかが重要なポイントです。
システム運用者目線で選ぶのではなく、実際に利用する申請者・承認者の目線で検討するとよいでしょう。
そのため、ある程度候補が絞られたタイミングで、各サービスのトライアルを実施し、実際の使用感を試してもらうようにしましょう。
まとめ|ワークフローシステムを導入すれば社内決裁のスピードアップが可能
この記事では、日々の業務で発生する承認・決裁プロセスを効率化する「ワークフローシステム」について、メリット・デメリット・導入時のポイントを含めて解説してきました。
ワークフローシステムを活用することで、
- 申請書の承認・決裁がいつでもどこでもできる
- 紙申請書の保管場所の確保や印刷に掛かるコストを削減
- クラウド版はシステム構築の手間や保守・点検が不要
といったメリットがあります。
テレワーク推進・働き方改革により、オフィス以外で働く機会も増えています。
「テレワークに対応できるのは一部の大手企業だけ」という声もありますが、今やクラウドサービスが進化し、低価格でビジネスを効率化するシステム導入が可能です。
過去の慣習にとらわれ過ぎてしまうと、
- 非効率なやり方を続けることでビジネスチャンスを逃してしまう
- 新しいことに挑戦しないことで優秀な人材確保ができない
- 業務が属人化し組織変化に対応できない
といったリスクが起きてしまいます。
過去を大切にしなければならない部分と、時代に合わせて柔軟に変えて行く部分をしっかりと見極めることが大切です。
ぜひ、今回紹介した内容を参考にしていただき、自社に最適なシステムを見つけてみてください。各社サービスでは無料トライアルを実施しているため、まずはそちらから試して頂くことをおすすめします。
各ワークフローシステムの機能・費用比較を知りたい方は「ワークフローシステム比較10選!各ツールの特徴・価格まで解説」の記事も併せてご覧ください。