見込み顧客の開拓や自社製品の認知度向上に役立つ展示会。
新型コロナウイルス感染拡大により、展示会をはじめとしたイベントの中止が余儀なくされました。
「自社製品をPRする場がなくなってしまった」と、お困りの方も多いはずです。
そのような状況の中、オンライン展示会が注目されています。
オンライン展示会は、三密(密集・密接・密閉)を避け、場所にとらわれずに展示会を開催できる新しい手法。
しかしながら、
- オンライン展示会は実際に人は集まるの?
- オンライン展示会の開催は難しくないの?
と疑問に感じる方もいます。
そこで本稿では、仕事をかしこく・たのしくするビジネスメディアを運営する「Smarf」が、オンライン展示会について紹介します。
具体的には、
- オンライン展示会開催事例
- オンライン展示会のメリット・デメリット
- オンライン展示会開催方法
といった順番で解説していきます。
新型コロナウイルスも終息が見えない中、オンライン展示会のニーズはさらに高まると予測されています。
新たなビジネスチャンスをつかみたい中小企業経営者様・営業担当者様はぜひご覧ください。
オンライン展示会についてさらに詳しく知りたい方は「オンライン展示会とは?費用対効果や各プラットフォームを紹介」の記事もご覧ください。
オンライン(バーチャル)展示会とは
オンライン展示会はバーチャル展示会ともいわれ、オンライン上で開催される展示会のことです。
オンライン展示会の出展側は、出品したい製品情報や動画を貼り付けてブースを作成。さらに、ウェビナーを使った商品説明を行うことが可能です。
対して、オンライン展示会の見学者側は、実際に会場を移動しているかのように複数ブースの説明を聞くことが可能です。
インターネット環境さえあれば、世界中どこからでも参加できるオンライン展示会。
企業側にとっては、コスト削減も期待できます。
例えば、
- 移動時間・交通費
- 人件費
など今まで展示会出展時に発生した費用は一切必要ありません。
2020年以降、今まで会場で行われていた大規模展示会がオンラインに移行するケースが増えています。
GRAND VIEW RESERACH社のレポートによると、世界で拡大を見せるオンラインイベントの市場規模は2020年で10兆円を見込まれています。
今後さらに市場が成長し、2027年には40兆円になると予測されています。すでに、プラットフォーム企業の巨額調達が世界で相次いでいます。
参照:Global Virtual Events Market Size | Industry Report, 2020-2027
国内でも新型コロナウイルスの終息の目処が立たないため、ビジネスモデルの変革(=DX化)が求められています。
アビームコンサルティングの調査によると、DX化が最も重要なテーマはなにか?と質問したところ、「顧客接点のデジタル化」と回答する企業が40%にのぼりました。
オンライン展示会は、正に顧客接点のデジタル化に直結する取り組みといえるでしょう。
参照:日本企業にとっての DX の本質(アビームコンサルティング)
オンライン(バーチャル)展示会の事例
オンライン展示会とはどのようなものかイメージが湧きにくい方もいるはずです。
過去に開催された事例をいくつか紹介します。
ITトレンド EXPO 2021 Spring
ITトレンド EXPO 2021 Springは、1500製品以上の掲載件数を誇る「ITトレンド」が開催したオンライン展示会です。
- 9つの展示ブースで、100以上の製品を展示。各製品を動画で解説
- 著名人による基調講演やセッションプログラムをライブ配信
- すべてのコンテンツを無料配信。来場者にはAmazonギフト券をプレゼント
- リアルな展示会のような名刺交換ができる機能
3日間に渡るオンライン展示会では、登録者数16,000名、セッション申込数40,000件となりました。
また来場者アンケートによると、満足度が89.6%という結果となっており、反響の高さを伺えます。
■来場者の声
・会場に出向かなくても参加できるのはとてもありがたい
・選べる働き方(在宅勤務制)に向け、環境を検討するきっかけになった
・特別講演の内容がとてもよかった。特に伊沢さんのMAのセッション、中田さんの話は非常に参考になり心に残った
・画面構成等、作りが分かりやすく非常に良かった。
引用元:ITトレンドEXPO2021開催報告(株式会社Innovation & Co.)
■出展企業の声
従来の展示会は装飾や人員配置などに時間・コストがとてもかかっていたが、ITトレンドEXPOはリソースがかからないため準備が楽になった
リアルタイムでリードを提供してもらえるので、すぐにアプローチができてありがたい
オフラインの展示会出展を予定していたが、今後もITトレンドEXPOに切り替える予定
特別ゲストが豪華で驚いた
引用元:ITトレンドEXPO2021開催報告(株式会社Innovation & Co.)
開催日時 | 2021年3月10日(水)~12日(金) |
登録者数 | 16,000名(前回:12,000名) |
セッション申込数 | 40,000件(前回:17,000件) |
出展費用 | ・初期費用(初回掲載時のみ) ・資料請求(見込み顧客情報入手)の1件毎の成果報酬課金 |
出典:ITトレンドEXPO2021開催報告(株式会社Innovation & Co.)
IT&MARKETING EXPO 2021
IT&MARKETING EXPO 2021は、IT企業300社が出展した大規模オンライン展示会です。
特長としては、
- 各業界のトップランナーによる50以上の講演企画
- チャット&ビデオ通話で、実際の展示会同様に質問可能
- 来場時のアンケートにより、自社におすすめの企業ブースを自動表示
といったように、来場者数の最大化と出展企業のマッチングを効率化する展示会として、非常に高い成果をもたらしました。
開催日時 | 2021年1月27日〜1月29日(3日間) |
来場申込数 | 6,179名 |
出展者社数 | 300社 |
平均リード獲得数 | 101.6 |
出典:株式会社ストラーツ、オンライン展示会の潮流と今後の展示会の在り方に関するレポートを発表
日経メッセOnline
日経メッセOnlineは、日経新聞社が主催のオンライン展示会です。
「日経メッセ 街づくり・店づくり総合展」は1972年の初開催から49年の歴史を持つ国内最大規模の展示会です。
毎年3月に開催されていますが、2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で全展示会が中止となりました。
2021年はオフラインと並行して、初のオンライン展示会を同時開催しました。
4日間合計で5万人以上と、実際の展示会来場者と同等程度の来場者数をもたらしました。
→日経メッセOnline来場者レポートはこちら
→日経メッセ公式サイトはこちら
オンライン展示会のメリット
すでに多くの企業が参加しているオンライン展示会。
実際に出展された企業や来場者の声を聞くと、実際の展示会以上のメリットがあることがわかります。
こちらでは具体的なメリットを解説します。
出展に掛かるコストが安い
オンライン展示会の大きなメリットはブース出展コストの安さです。
通常の展示会の場合はブース代だけで100万円を越える場合もあります。
それに加えて、
- 装飾品の準備
- 出張費(交通費・宿泊費)
- 人件費
- パンフレットの印刷費
などが必要になります。
一方、オンライン展示会の場合は、低価格で参加できるものがほとんどです。
中には出展料が無料のものもあります。
掛かる費用は、
- 資料DL時の成功報酬費用
- コンテンツ作成費(動画・スライド資料など)
などです。
コンテンツもすでに作成済みのものを使えば追加費用は掛かりません。
もし新たに作り直す場合でも、数万円もかければ十分なクオリティに仕上がるでしょう。
開催場所の制約がなく、全国どこからでも参加できる
オンライン展示会は、インターネット環境があれば全国どこからでも参加可能です。
見学者は自宅や移動中にいつでも好きなタイミングで展示会に参加できます。
そのため、通常の展示会に比べてより多くの集客が見込めます。
実際に「日経メッセ」では2021年3月に来場型とオンライン型を同時開催。
共に5万人を越える来場者数を記録し、改めて集客力の高さを印象付けました。
効率的にリード(顧客)獲得ができる
企業にとって展示会に出展する目的は、見込み客の獲得です。
オンライン展示会は、エントリー時に企業名・担当者名・連絡先を入手できるので、効率的にリード獲得が可能です。
さらに、オンライン展示会では社長や役員など決裁者の参加が多いことが特長。
「IT&MARKTING EXPO 2021 春」開催レポートによると、社長・役員クラスの参加が20%、課長クラスまで含めると約50%にのぼりました。
参考:「IT&MARKTING EXPO 2021 春」開催レポート
オンライン展示会の注意点(デメリット)
通常の展示会に比べて、見学側・出展企業側にとって気軽に参加できるオンライン展示会。
今までと勝手が大きく異なるだけに、上手くリード獲得ができない場合もあります。
オンライン展示会出展時に注意すべきポイントを解説します。
コミュニケーションが一方通行になりやすい
オンライン展示会では参加者の顔が見えないため、コミュニケーションが一方通行になりがちです。
通常の展示会の場合は、相手の表情や反応を見ながら会話の内容やプレゼンの仕方を変えることができます。
オンライン展示会の場合は一人ひとりに合わせることが難しいため、いかに見学者の興味を惹き付ける工夫をするかが重要です。
直接的な体験を提供できない
展示会の魅力のひとつは「体験」です。
オンライン展示会の場合は、直接製品に触れられるような体験を提供できません。
また臨場感・ライブ感なども見学者を惹き付けるポイントですが、オンライン展示会の場合はそうした臨場感に欠けてしまいます。
そのため、見学者に製品の魅力を十分に伝えるための工夫が必要です。
例えば、製造系であれば「製造工程」の映像などはコンテンツとしての価値を高められるでしょう。
オンライン展示会の開催方法
オンライン展示会を開催するための方法は2パターンあります。
- 参加型
- 自社制作型
それぞれの特長・メリット・デメリットを解説します。
参加型
参加型のオンライン展示会は、主催者が企画したオンライン展示会に出展するパターンです。
メリットは、展示会の開催案内や集客に関することをすべて行ってくれることです。
さらに、大規模なオンライン展示会では、著名人をゲストに招いた講演を行うなど、積極的に見学者を誘致しています。
また、出展にあたって用意するものが決められているため、準備が比較的少なく済みます。
反面デメリットとしては、出展費用が掛かる点です。
出展自体に費用が掛かる場合もあれば、リード獲得数に応じた成功報酬型など主催者の運営方法によって異なります。
ただし、通常の展示会に比べれば費用は抑えられるという点は魅力です。
ほかにも、リード獲得はしやすいがその後商談化しにくい点もデメリットとして挙げられます。
見学者の目的はさまざまで、必ずしも自社に対する興味関心が高いわけではありません。
中には「なんとなくブースを訪れた」という方もいるはずです。
実際の展示会同様に、
- いかに母数を増やすか
- いかに製品に興味関心を持ってもらうか
創意工夫が求められます。
自社制作
自社制作のオンライン展示会はプラットフォームサービスなどを活用し、自社のウェブサイトに掲載するパターンです。
合同型の展示会と異なり、すべて自由に開催できる点がメリットです。
- 開催期間
- 掲載コンテンツ量
- 表現方法
など、すべて自社オリジナルで展示会開催が可能です。
イメージとしてはショールームに近い開催スタイルです。
メリットとしては、商談化しやすい点が挙げられます。
特に自社サイトに直接訪れている時点で、
- 自社のことを知っている
- 製品に対する興味関心が高い
といった見学者が多いため、即見込み客となります。
また、独自性を打ち出した演出ができることも大きなメリットです。
- 掲載する製品数
- コンテンツ量
- コンテンツ内容
- 掲載期間
などすべて自由に決められ、掲載した後も自由に変更が可能です。
デメリットとしては、集客は自分たちで行わなければならない点です。
展示会の中身をいくら充実させても、来てほしい人に、展示会の存在を知ってもらわないことにはアクセスは増えません。
展示会サイトにアクセスしてもらうためには、
- 検索エンジンに読み込んでもらう(SEO強化)
- リスティング広告を打つ
- SNSの活用(Twitter、Facebookなど)
- メルマガ・DM
- CM、ラジオ
といったプロモーション活動が必要です。
参加型 | 自社制作型 | |
---|---|---|
メリット | ・集客をしなくて済む・短期間で大量のリード獲得が期待できる・展示会ページを作成しなくて済む | ・掲載コンテンツが自由・掲載期間が自由・掲載費用が掛からない |
デメリット | ・費用が掛かる・表現方法に制限、規定がある・開催日程が決まっている | ・自力で集客をする必要がある・コンテンツ制作に時間と労力が掛かる |
特にオンライン展示会の出展が初めての場合は、参加型への出展がおすすめです。
実際におライン展示会がどういったものか体感することで、自社開催に活かすことができます。
まとめ|オンライン展示会を開催することで集客力アップが可能!
本記事では、オンライン展示会の開催事例を交えて、オンライン展示会の魅力について解説してきました。
最後に解説した内容をまとめます。
- オンライン展示会はすでに通常の展示会同等の集客実績を持つ
- 今後オンライン展示会市場はさらに拡大する見込み
- 通常の展示会に比べて圧倒的に低コストで出展可能
- 参加型のオンライン展示会は集客や専用ページの準備が不要
- 自社制作すればオリジナル性を打ち出すことが可能
オンライン展示会は登場して間もない形態だけに、相場が決まっていない部分があります。
そのため、主催者もなるべく多くの企業に出展してもらいたいという狙いもあるため、無料で出展できる展示会も多くあります。
今後はさらに展示会の需要が高まれば、
- 展示会出展費用の発生や価格上昇
- プランによるリード獲得しやすさの変動
がなされる可能性があります。
しかし世の中のニーズとしては非常に高いため、チャンスでもあります。
今の段階から積極的にオンライン展示会の知見やノウハウを貯めておくことで、新たなビジネスチャンスも獲得しやすくなるはずです。
まずは開催予定の展示会を実際に見学してみることから始めてみてはいかがでしょうか。