コロナの影響で在宅時間が増え、運動できる時間は減り「前より太ったかも…」と悩む方が増えているようです。
そんな無闇に外出できない今の時期でもできるダイエット法として、最近特に注目されているのが「断食」です。
現代は、コンビニなどでいつでも手軽に好きな食事ができ、食生活の偏りや過食による体調不良や肥満が問題となっています。
そんな時代だからこそ、乱れた食生活が断捨離のようにリセットされ、食生活を見直すきっかけを作ってくれる断食が、今世界的に注目されているのです。
そこでこの記事では、断食の基本的なやり方から注意点まで、初心者が押さえておきたい断食のコツを分かりやすく解説しています。
断食は、その人の体調や食習慣によって十人十色のやり方があります。
まずは、自分の心と体に適した方法を見つけられるように、この記事から基本を押さえましょう。
断食の効果をおさらいしよう
断食のやり方を知る前に、今一度その効果についておさらいをして、断食に対するモチベーションを上げましょう。
断食の主な効果は、次の2つです。
①内臓の機能回復
②代謝酵素の活性化
まずは、断食の一番のメリットである「内臓の機能回復」から見ていきましょう。
断食の効果①内臓の機能回復
断食によって起こる体の一番の変化が、「内臓を休められること」ですよね。
毎日働きっぱなしの内臓を断食の間だけ休めることで、内臓の本来のパフォーマンスを取り戻すことができるのです。
例えば、ジョギングで脚の筋肉が疲労したら、適切な睡眠をとって脚の疲れを癒す必要があります。
断食とは、言わばジョギング後に良質な睡眠をとるようなものです。
働きっぱなしの内臓を休ませて本来の機能を回復させることが、断食の主な目的です。
内臓の働きが正常に整うことで、
・栄養を効率よく吸収できる
・免疫力が上がる
・太りにくい体を作れる
といった様々なメリットにつながります。
断食の効果②代謝酵素の活性化
断食のもう一つの効果は、代謝酵素の活性化です。
人間の体内では、
①食事をした時に分泌される、消化酵素
②生命活動のためのエネルギーを作り出す、代謝酵素
この2つの酵素が、適度なバランスを保ちながら分泌され続けています。
暴飲暴食・過食・偏食をすると、この2つの酵素のうち「消化酵素」ばかりが分泌されるようになります。
すると、体が食物の消化を優先するため代謝酵素の分泌量を減らし、
・体の疲れが抜けない
・体調不良が治らない
・やる気が出ない
といった様々な悪影響を及ぼしてしまいます。
断食によって消化酵素の分泌量を減らし、代謝酵素の働きを増やすことができます。
すると、食事を摂っていないのに疲労が回復したり、免疫力が上がるということが起こるのです。
不要な消化酵素を減らし、人間が本来もつ生命維持機能を高めることも、断食の大きな目的の一つです。
断食のやり方3ステップ
断食の主な効果と目的についておさらいしたところで、続いては断食の基本的なやり方をご紹介します。
初心者の方が断食のハードルを少しでも低く感られるよう、3つのステップに分けて詳しく解説していきます。
ステップ①断食の準備を整える【準備期】
ジョギング前に準備体操をするとケガを予防できるように、断食にも準備期間を設けることが成功のカギです。
体の良い変化を感じやすくするため、そして急な体調の悪化を防ぐためにも、準備を怠らないようにしましょう。
断食の一般的な準備期間は、「断食を実践する日数の半分」とされています。
断食の期間が3日なら準備期間は1日〜2日、1週間なら3日〜4日が基本です。
これから初めての断食に挑戦する方は、3日断食(準備期間1〜2日)がおすすめです。
断食初心者におすすめの期間は「3日」
断食を始める際に悩むのが、断食を行う期間ではないでしょうか。
「短すぎても効果がなさそう…」「長過ぎるとつらそう…」と悩んでしまい、そもそも断食を始められない方も少なくありません。
断食が初めてで、ある程度の効果を実感したい方は、まずは3日間の断食がおすすめです。
1週間以上の長期間の断食は、メリットも大きい反面、体調不良やリバウンドのリスクも高まります。
しかし1日の断食では、得られる効果も薄く、体感的に意味がなく思えてしまうことも。
特に断食が初めての方は、固形物を3日間摂取しないだけでも、むくみの軽減やお腹のすっきり感を確実に感じられるでしょう。
準備期間中の食生活
断食の準備期間中の食事で守るべきポイントは、以下の3点です。
①ごはんと野菜中心のメニュー
②腹七分目程度で済ませる
③水分をいつもより多く(1日2L程度)摂取する
準備期間の目的は、内臓を固形物から流動食に移行し、水分中心の生活に慣らすことです。内臓を慣らすことができれば、断食中の食欲を抑えたり、体調不良を予防することができます。
断食を健康的に続けるためにも、準備期間はとても大切なのです。
ステップ②断食を行う
初心者の方であれば1〜3日、自分で決めた期間の断食を行います。
断食の実践期間中は、固形物やカフェイン・糖分入りの水分を避け、純粋な水だけを飲むよう心がけましょう。
断食中の一番の敵は、空腹です。
空腹感を抑え、断食中の健康を守るために、発酵ドリンクの摂取がおすすめです。
断食用の発酵ドリンクを取り入れよう
発酵ドリンクは、アミノ酸など生命維持に欠かせない栄養素を含む飲料水です。
アミノ酸には様々な種類があり、そのうちの「必須アミノ酸」は、体内で作ることができず必ず食事から摂取する必要があります。
この必須アミノ酸を水分として摂取できる発酵ドリンクは、断食の継続・成功を助けてくれる強い味方です。
断食中はカロリーを吸収できない分、1日に必要な栄養素を確実に満たしてあげることが大切です。
特に断食に慣れていない初心者の方は、断食をサポートしてくれる発酵ドリンク等のお助けアイテムを上手に活用して、「まずは最後までやり切ること」を心がけましょう。
ステップ③食生活を元に戻す【回復期】
決められた期間の断食を終えても、すぐに元の食生活に一気に戻してはいけません。
ジョギング後にストレッチをしてケガや筋肉痛を予防するように、断食後にも回復期間を設けましょう。
断食の回復期で守るべきポイントは、以下の3点です。
①断食後1日目の食事はお粥や消化しやすい固形物のみ
②脂の多い動物性食品は食べない
③納豆や豆腐などの植物性タンパク質を摂取する
断食直後の内臓は、例えるなら熟睡した日の寝起きのような状態です。
この状態でいきなりハードな運動はできませんよね。
断食後も同じく、いきなり揚げ物や辛味のある刺激物を摂取せず、徐々に元の食生活に慣らしていきましょう。
回復期の食事の例
断食を3日間行う場合の回復期は、以下のような食生活とメニューがおすすめです。
【食生活】
・準備期(1日〜2日)…おかゆと野菜中心
・断食本番(3日)…固形物を口にしない、発酵ドリンクを飲む
・回復期(1日〜2日)…おかゆ、野菜、大豆類、魚肉
魚肉は脂の少ないものであれば、良質なタンパク質や魚特有の栄養素であるDHAなどを摂取できるため、回復期の栄養源・タンパク源として非常におすすめです。
回復期〜回復期を終えた後も、暴飲暴食やお腹いっぱい食べることを避け、体調の変化に柔軟に対応しましょう。
数日の断食が怖い方におすすめの16時間断食
1日から数日単位の断食は、食生活のリズムが大きく変わったり体調不良が怖かったりと、特に仕事をされている方はなかなか始めることができない場合もあります。
そこでおすすめの断食が、16時間の間隔を開ける「間欠的断食」です。
16時間の断食でオートファジーが働く
1日ですらなく、たった16時間の断食でも効果があることが、最近の研究で明らかになっています。
人間の体は、最後に固形物を食べてから10時間を過ぎると、脂肪がエネルギーとして分解されます。
そして16時間を超えると、「オートファジー」という働きが起こります。
オートファジーとは、全身の古くなった細胞を除去し、新しい細胞に作り変える仕組みのこと。
「自食作用」とも呼ばれていて、古い細胞が新しい細胞の材料となるため、美容・健康・アンチエイジングに効果があるとして、世界的に注目されている断食の方法です。
16時間断食は初心者に最もおすすめ
16時間断食のやり方は、固形物を食べない時間を16時間確保するだけ。
その16時間は、先ほど紹介した水分や発酵ドリンクを飲んで良いため、1日で断食を完結できます。
さらに、準備期間や回復期などを特に意識する必要はなく、食生活を一時的に変える労力がかからない点も初心者向きです。
「1日断食すればいい」というハードルの低さは、心理的なストレスを減らし、継続のモチベーションにもつながります。
ダイエットや美容は、継続が何よりも大切です。
・1回で大きな効果を得られる、数日単位の断食
・1日あればできる、初心者向きの16時間断食
どちらも取り入れてみて、ご自身に合う断食を定期的に続けてみてくださいね。
断食前に知っておきたい4つの注意点
せっかく断食を始めるのであれば、「健康的に痩せたい!」「確実に痩せたい!」「リバウンドはしたくない!」と思うのは当然ことですよね。
ここからは、初めての断食を失敗しないために知っておきたい4つの注意点をご紹介します。
注意点①断食以外の期間に暴飲暴食をしない
断食でよくある勘違いとして、「断食以外は好きなものを食べていい」というものがあります。
断食は、普段の不健康な食生活を補うために行うものではありません。
普段から暴飲暴食や偏った食生活を送っていると、内臓脂肪や老廃物が体に蓄積され続け、1回の断食では補えないほど健康状態が悪化します。
断食はあくまで普段から良い食生活を送った上で、さらに内臓を休めて体を内側からキレイにしようとする試みです。
食生活が乱れている方は、安易に断食に頼る前に、健康的な食習慣を身につけることから始めましょう。
注意点②病気や体調不良の時には断食を行わない
断食は、すでに健康な人が、美容やアンチエイジングを目的にさらに体調を整えるための方法です。
何かしらの病気を患っていたり、体調が優れない時に断食を行っても、メリットを得られないばかりかさらに病状を悪化させる可能性があります。
断食中は食事から栄養を摂取できないため、基本的な免疫力が低下します。
他にも、
・体温が低くなり冷え性が悪化したり、風邪を引きやすくなる
・塩分が不足して脱水症状を起こしやすくなる
といった様々な体調不良を起こす可能性もあります。
通院中や療養中の方は、断食を行う前にかかりつけ医に必ず相談しましょう。
注意点③断食で一気に痩せることはない
プチ断食がブームになりつつあり、SNSでも断食の成功報告が多く投稿されていることから、「断食をすれば一気に痩せる!」という勘違いをしている方も多くいます。
結論からお伝えすると、1回の断食で劇的に痩せることはまずありません。
成人女性の1日の摂取カロリーは、約1400〜2000kcalです。
このカロリーを断食によって減らしたとしても、1日に減る体重はわずか200〜300gしかないのです。
数日空腹に耐えても1kg痩せられるかどうかであり、断食による直接的なダイエット効果は実はほとんどありません。
断食の一番の効果は、以前に解説した通り、
①食生活に対する意識改革
②内臓を休めることによる体の機能回復
③オートファジーによるアンチエイジング
このような体重以外のところにあります。
「断食で痩せた!」と報告している方のほとんどは、
・断食をしたことで普段の食事を見直すことができた
・食事の量より質や栄養を求めるようになった
・塩分を控えたことでむくみが解消され、痩せて見えるようになった
こうした効果を実感できている方ばかりです。
これから断食を始める場合は、短期的な体重を目標にするのではなく、長期的な視点を持ち、生活習慣と意識の改善を目指しましょう。
注意点④断食中の頭痛やだるさは「好転反応」
断食を始めたばかりの頃は、頭痛・眠気・だるさ・下痢・便秘といった体調不良を引き起こすことがあります。
このような断食を原因とする体調不良を「好転反応」といいます。
好転反応とは、断食によって普段の食生活が急激に変わり、体がその変化に慣れていないことで感じる心身の様々な不調のこと。
好転反応を感じると「断食のせいで体調が悪くなった」と思い、断食をやめてしまうことがあります。
しかし、こうした一時的な体調不良は、体内の毒素や老廃物が体外に排出される過程で感じるものであり、体が良い方向に変化しているサインです。
一時的で軽度な体調不良であれば、少し我慢をしてみてください。
ただし、あまりにも体調が悪化した時は、すぐに断食をやめて食生活を元に戻しましょう。
断食前後に読みたいおすすめの本2選
断食を初めて行う方にとって、自らの意思でご飯を食べないという行為は、これまでの生き方に反する行動でもあります。
しかし、断食が多くの人にメリットがあることも、また事実です。
・断食がなぜ体に良いのか?
・断食の効果的なやり方は?
・そもそも私に断食は必要なのか?
こうした疑問に答えてくれるおすすめの書籍を、2冊ご紹介します。
おすすめの本①空腹こそ最強のクスリ
『空腹こそ最強のクスリ』は、いつでも好きなものを食べられる現代において「なぜ断食が必要なのか?」を丁寧に教えてくれる、断食の本質を学べる一冊です。
空腹によって人間が本来もつ「オートファジー」という機能が呼び起こされるように、人間には空腹の時間もまた、健康的に生きる上で必要不可欠なのです。
断食を始める前に『空腹こそ最強のクスリ』を読むことで、「空腹は良くないこと」という意識が根本から変わり、断食を続けるモチベーションを高めることができます。
おすすめの本②食べても太らず、免疫力がつく食事法
『食べても太らず、免疫力がつく食事法』は、「ダイエット=体重を減らすこと」という考え方が決定的に間違っていることを教えてくれる一冊です。
この本を読むことで「肥満」「間違ったダイエット方法」に対する見方が変わり、断食後に食生活を見直すことの重要性を実感できます。
食事を通じて免疫力を高め、理想の体型も健康も維持するコツを知りたい方は、断食と合わせて『食べても太らず、免疫力がつく食事法』もチェックしてみましょう。
まとめ
断食のやり方自体は、
①準備
②実践
③回復
上記の3ステップで説明できるほど簡単なものです。
しかし、これまで当たり前だった食生活を一時的にでも変えることは、心にも体にも大きなストレスを与えます。
そのストレスを和らげ、健康を維持しつつ美容効果を高めるためにも、特に初回は準備を確実に行いましょう。
断食の成功体験は、次の断食のモチベーションにつながります。
コロナの影響で生活習慣が乱れやすい今こそ、断食で食に対する意識を変えてみてはいかがでしょうか。