50歳からの生き方マニュアル-人生の後半を楽しむための6項目

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50歳になったからといって、自分の何かが変わったとは感じませんよね?

「老眼が進んだ」
「腰痛や関節の痛みが慢性化した」
といった体の老化現象の多くは、40歳をすぎたころからはじまっているものですし、職場で若い部下との関係に悩むのも、今にはじまったことではありません。

しかし、体の老化や、自分を取り巻く社会環境の変化は確実に進行していて、ある日、ネガティブになっている自分に気づく、仕事をこなすだけの毎日に先々の不安を覚える、職場でも家庭でも居心地の悪さを感じるといったことを実感するのです。

50歳前後で、ある日、そうした孤独感や無気力に苛まれて、ガクンと落ち込む人が少なくありません。
50代でうつ病になる人は、「初老期うつ病」と呼ばれます。
現代の年齢区分でいうと、50歳は中年から初老期へと移行する年齢なのです。

50歳で確実に変わるのは、自分の中の何かではなくて、初老期に入るという社会的な認識です。
どんなに元気であろうと、若さを保っている自信があろうと、社会的には「初老の人」なのです。

これから、初老期を経て高齢者として人生を充実させるためには、まず「自分は初老期に入るのだ」という自覚をもたなければいけません。

ここでは、社会と自己との現実を受け入れて、後半の人生を楽しむためのヒントを6つの項目から解説します。

目次

1. 50歳のとらえ方
1-1. 第二の人生の準備をはじめるとき
1-2. 自分の将来を見極めるとき

2. お金
2-1. 老後資金の考えかた
2-2. 住環境を見直す

3. 仕事
3-1. 継続か転職か?
3-2. 現実を受け入れて実現可能な目標をもつ

4. 家庭
 4-1. 家庭の中で自立する
 4-2. 親の介護はムリのない範囲で

5. 人間関係
 5-1. 人間関係を広げる時期は終わり
 5-2. 人づきあいの負担を軽くしておく

6. 死生観のもち方
6-1. 「死」と向かい合ってみる
6-2. リビングウィルのすすめ

まとめ

1. 50歳のとらえ方

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作家の五木寛之さんは、著書『孤独のすすめ 人生後半の生き方』の中で、人生を登山にたとえると、50歳からは下山する人生だと記述しています。
しかし、悲観するようなことではありません。

五木さんは、頂上まで登る人生は、目の前に伸びる道や、立ちはだかる山肌しか見えませんが、下山の人生では、眼下に広がる壮大な景色を楽しみながら生きる醍醐味があると続けています。

中国の五行説の色を四季と組み合わせた言葉には、「青春」「朱夏」「白秋」「玄冬」という4つの言葉があり、50代から60代半ばは「白秋」にあたるといわれています。

50歳は、すでに人生の折り返し地点を回っているということを自覚すべき時なのです。

1-1. 第二の人生の準備をはじめるとき

会社で仕事をしている人の多くは60歳で定年になります。
その後、65歳まで続けて働ける会社が増えています。
女性の平均寿命が87歳、男性が80歳を超えた現代では、定年後も20年以上生きることになるのです。

今後は、さらに医療が進歩して、人生100年時代も絵空事ではなくなるでしょう。
そうした意味で、60歳からの人生は「第二の人生」と呼ばれています。
第二の人生をどう生きるかということは、現代人にとってさけて通れない課題なのです。

しかし、60歳になった時点で「さあ第二の人生をはじめるぞ」と思い立っても、スキルや資金の問題などがありますから、簡単に歩み出すことはできません。

ですから、50歳からの10年間は第二の人生の準備期間と考えて、少しずつスキルアップするとか、独立資金を確保するなどして、いざ歩み出すときに焦らなくてむようにしておくべきなのです。

1-2. 自分の将来を見極めるとき

企業の中で仕事をしてきた場合、出世コースが見えているほんのわずかな人以外は、50歳になった時点で、だいたい自分の限界が見えてくるものです。

このままあと10年働いて定年を迎えるか、それとも3年後に転職の計画して準備を進めるか、定年まで働くにしてもその後はどう生きるか、といった将来設計をはじめなければいけません。

孔子の『論語』には、「五十にして天命を知る」という言葉があります。
「天命」の意味を「人の力では変えられない運命」とする場合もありますが、もうひとつ、「与えられた使命」や「自分がするべきこと」ととらえることもできます。

すると、この文章は「自分の適性や能力を、活かせる生き方を知る」という意味になります。
その年齢が、50歳ということなのです。

 

2. お金

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50歳をすぎると、老後がリアリティをもつようになってくるので、自分の人生に不安を抱える人が多くなります。
その原因のトップは、「老後資金」の問題です。

自分は何歳まで生きるのかということはわかりませんから、必要以上に心配が募ります。
将来、自分が介護を必要とするようになったら、家族に負担はかけたくないと思いますよね。

そのためには60歳までに、第二の人生の経済基盤を整えておきたいものです。

2-1. 老後資金の考えかた

総務省統計局の家庭調査によると、平成29年の2人以上の世帯における消費支出は、1カ月で約32万2000円、1年間では386万4000円になります。
これで65歳から85歳までの20年分を考えると、7728万円になります。

よく、「老後資金の目安は6000万円」ということがいわれますが、これは、それまでの生活を続けた場合の話です。
実際に高齢者の夫婦を考えれば、食費は当然減っていきますし、交際費や生活用品だって減っていくはずです。

また、「老後の平均貯蓄は3500万円」などともいわれますが、これは一部のお金持ちが平均額を上げているもので、実際に子どもを育てあげて、やっと住宅ローンを払い終えたという家庭に残っている貯蓄額は、それほどありません。

50歳になれば、自分が将来もらえる年金の額もわかりますし、今後、仕事で得る収入もだいたい計算できるはずです。
その金額内で、自分(夫婦)が暮らしていく方法を考えるのが現実的です。

2-2. 住環境を見直す

日本で終身雇用が当たり前だったのは、すでに過去の話。
今は、定年を迎えても退職金が出る企業は、全企業の半分もありません。

そうした状況の中で、第二の人生の資金計画を立てるのであれば、一番大きいのは住環境ということになります。

60歳以降の人生に合わせて、住環境を縮小する計画も必要になります。
子どもが独立して夫婦2人だけに戻ったら、何部屋もある住居は必要ありません。
掃除も維持もかえって大変になります。

とくに「もち家」で暮らす人は、よく考えるべきです。
高齢者用のサービス付き賃貸住宅に移るために、いざ家を売ろうと思っても、土地売買の相場には波がありますから、50代のうちから計画を立てて好機を狙うのが得策です。

 

3. 仕事

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50歳になると、企業人であっても自営業であっても、社会的地位に応じて責任が大きくなっていきます。
まだまだ走り続けなければいけない立場でしょう。
そうした気の抜けない大変な状態の中で、将来設計を考えなければいけないのです。

高齢化社会が現実のものとなった今、「働ける間は何歳まででも働きたい」と思っている高齢者が増えています。

定年後は、潤沢な老後資金を使って悠々自適な趣味人生を過ごす、というごく一部の人をのぞき、多くの人にとって仕事は単に生活費を稼ぐ手段ではなく、生きがいを得る手段にもなるのです。

現に、老後は仕事をしている人のほうが、適度なストレスが脳を刺激して長生きするということが解明されています。

3-1. 継続か転職か?

60歳以降の人生を見据えて、このままあと10年間、今の仕事を続けるか、転職するかという判断は、50代前半が最後のチャンスだと考えましょう。

例えば、今の会社ではどんなに頑張っても65歳までしか働けないので、70歳をすぎても働ける職場に移っておきたい、といった判断もあります。

また、起業をする、店をもつといった計画を立てるのであれば、50歳くらいから準備をはじめたほうがいいでしょう。

例えば、趣味をいかして手打ち蕎麦の店をもちたい、高齢者がくつろげる空間づくりを目指して喫茶店をもちたいといった計画であったら、今の仕事を続けながら、土曜日と日曜日はそのための準備にあてて、蕎麦を食べ歩いたり喫茶店をまわったりすることからはじめるのです。

3-2. 現実を受け入れて実現可能な目標をもつ

50歳で立てる第二の人生プランは、実現可能なものでなければいけません。
もう、子どもの頃にプロスポーツ選手になりたいとか、会社に就職した20代の頃にトップを目指すといった「夢」を見ている場合ではないのです。

ちょっと手が届かないかもしれないという目標であるならば、失敗した場合のリスクヘッジを用意しておかなければいけないのです。

実現可能な、よりよい目標を立てるためには、今の自分が置かれている状況、10年後、20年後におかれているであろう環境などを受け入れなければいけません。

起業するにしても、一か八かで人生を終えてもいいと思っている人以外は、ギャンブルをすべきではありません。

 

4. 家庭

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50歳の夫婦を考えると、すでに子どもが成人している家庭や、もうすぐ成人して手が離れるという家庭が多いでしょう。

子どもを育て上げるという一大目標が達成されると、第二の人生では、夫婦2人の家庭環境に戻ります。
そこから20年以上、この環境は続くことになります。

仕事一筋に生きてきた男性が、定年を迎えた瞬間に熟年離婚を迫られるケースが増えているのは、子育てをしている間はずっとガマンしていた妻が、開放されるからです。

独身に戻った女性は、後半の人生を謳歌するのに対して、孤独になった男性は哀しいことに早死にする傾向にあります。
こうした悲劇を招かないために、50歳になったら家庭環境や夫婦関係を見直しましょう。

4-1. 家庭の中で自立する

熟年離婚を迫られる男性の多くは、「オレが働き続けてこの家を支えてきたんだ」という自負が強いために、その間に妻のしてきた苦労がわかりません。

夫婦共働きが主流になっている現代では、働きながら家庭のことをすべて背負っている女性が少なくありません。

それで、定年になった夫が毎日家にいて、朝から晩まで口うるさいことをいわれたのでは、離婚を決意するのもムリはありません。

男性がそうならないために必要なのは、妻から自立しておくことです。
妻の立場や人生を尊重し、依存しなくても生きていけるような人間になっておくのです。
高齢になれば、妻が病気になったり、死別したりする可能性も高くなるのですから、そういうときでもなんとか生きていけるように自立しておきましょう。

半分とまではいかなくても家事を分担して、料理もできるようになっておくのが得策です。

4-2. 親の介護はムリのない範囲で

50代になると、親の介護という問題も起こります。
親子の関係には、他人に理解できないデリケートな部分もあるので、一概にはいえませんが、昨今問題になっている介護離職などは避けなければいけません。

自分が介護される立場になったときも、子どもに犠牲を強いるべきではありません。
幸せのためには、親にも子にも依存しない家庭を目指すべきです。

介護は、まず行政のシステムなど、介護を取り囲む環境をよく理解して、人に頼めるところは頼む体制をつくりましょう。
親への愛情と介護は切り離して考えるべき。
老人の介護のために、若者の人生が犠牲になっては、国の未来がありません。

自宅介護や、ひとり暮らし老人の問題は、まだまだケアスタッフの人材不足など多くの問題があって、社会インフラが現状に追い付いていません。
転職、起業、ボランティアなどで、そうした分野の確立にかかわるのも、実と利を兼ねた生きがいになるのではないでしょうか。

 

5. 人間関係

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人間関係は、職場で抱えるストレスのトップスリーに必ず入ってくるほど、面倒だと感じている人が多い問題です。

生活環境や活動範囲が変わる第二の人生を考えると、会社で仕事をしている今とは違う人間関係を構築する必要があります。

5-1. 人間関係を広げる時期は終わり

50歳になったら、経営のトップを目指す人や自営業を拡大しようとする人以外は、もう人間関係を広げる必要がありません。

生活規模を縮小する第二の人生では、人間関係もグッと絞り込んだほうが楽になります。
人づきあいというものは、お金もかかりますし、エネルギーも使うのです。

そう考えると、50代でもムリをしてまで友人を増やす必要はないのです。
むしろ、第二の人生を軽くする準備として、人間関係を整理する方向に向かうべき。
自分の人生にとって、必要な人とそうでない人を分けはじめてもいい時期なのです。

5-2. 人づきあいの負担を軽くしておく

日本人の人づきあいで大変なのは、お中元やお歳暮、年賀状といった悪しき習慣です。

年賀状がなぜ悪しき習慣かといえば、近年はひと文字の自筆もない、プリントした年賀状が横行しているからです。
あれほど心がこもっていないハガキをもらっても、うれしい人などいません。

50歳まで仕事をしていれば、どうしてもお中元やお歳暮をやめられないという人もいるでしょう。

減らせる部分は減らしていき、どうしても贈らざるを得ない相手には、60歳の定年をきっかけにして、「この度、定年を迎えましたので、贈り物の交換は御遠慮させていただきます」とハガキでも送って、堂々と伝えるのです。

贈り物も年賀状も、本当に仲のよい相手や、世話になった人への気持ちとして、限定していきましょう。

 

6. 死生観のもち方

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ここまで、「第二の人生をどう生きるか」という準備の話をしてきました。
その先にある、誰もが避けられない運命が、「死」です。

第二の人生では、「どう生きるか」ということと同じように「どう死ぬか」ということも考えておかなくてはいけなくなります。

人生も後半になる50歳になったら、その準備として、健康な人でも「自分の死」について考える時間をもちましょう。

6-1. 「死」と向かい合ってみる

「死」をどう捉えるかということは、宗教が大きくかかわってきます。
日本人は宗教を意識している人が少ないのですが、死を通して生き方を考えるのが、宗教です。

死をどうとらえるかは、宗教によって違います。
ごく簡単に説明すると、仏教では、死んだら六道と呼ばれる6つの世界のどれかに生まれ変わる「輪廻」が永遠に繰り返されるので、生きることは「苦」で、死は輪廻の一通過点という考えです。

キリスト教やイスラム教などの一神教では、唯一無二の絶対神が死んだ人間を裁きます。
また、日本の神道では、人間が死ぬと守り神になるなどして、神の仲間入りをします。

なにかの宗教に入信するということではなく、古来、「死」と向かい合ってきたいろいろな宗教がどのようなものなのか、知っておいて損はありません。
ぜひ、いろいろな宗教の入門書を紐解いてみましょう。

6-2. リビングウィルのすすめ

最後の瞬間まで人生を楽しんで、家族にも迷惑をかけないで逝ける「ピンピンコロリ」がいい。
そう思っていても、思い通りにならないのが人生です。

いつ、どこでどうやって死ぬかは自分で決められません。
日本では安楽死や尊厳死が認められていないので、自分の死に方を選ぶことはできないのです。

不治の病などで自分が意思を表明できなくなったときに、延命治療の拒否などを医師に伝えられるように、書き残しておく書面を「リビングウィル」といいます。

必要になるときまでリビングウィルを管理してくれる日本尊厳死協会という団体もありますが、個人で書いて、もしものときには家族がわかるようにしておけばいいのです。

3人にひとりがガンで亡くなる時代ですし、50代は脳梗塞や脳出血などのリスクも高くなりますから、早めにリビングウィルを用意しておきましょう。

 

まとめ

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「2030年問題」とは、高齢化がますます進んで日本の人口が大幅に減少し、離婚や死別によって単身世帯が急増する問題です。

また、日本の総人口は現在、約1億1700万人ですが、50歳の人が70歳以上になる2040年には、約1億700万人まで減少し、高齢化率は36パーセント程度になることが推定されています。

これは、世界でも類を見ない超高齢化社会。
今50歳前後の人たちは、この厳しい現実の中で第二の人生を歩むのです。

社会の現実を受け入れ、自分の限界を受け入れ、そして人生を他人と比較しないこと。
これが、50歳からの生き方で幸せになるための三原則です。

 

【参考資料】
・『孤独のすすめ 人生後半の生き方』 中公新書ラクレ 2017年
・『いかに死んでみせるか』 廣済堂新書 2016年
・『50歳からの「死に方」』 廣済堂新書 2014年

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