起業に欠かせない資金調達のメリットとデメリット

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image目標を立てて、いざ起業となったときに必要になるのが資金です。起業時には何かと多くのお金が必要になります。

会社設立のための登記費用、事務所の敷金・礼金、事業に必要な設備の購入、商品の仕入代、会社で使う備品の購入などなど。細かいものまで数えたら、キリがありませんよね。

ですが、このようなお金の支払にあたって、起業前に準備した資金ですべてまかなえるのかどうか確認が必要です。

また、もし足りなかった場合にはどのように調達するのかということも大切になります。起業とお金は切り離せません。事務所の家賃、光熱費、通信費などは、事業がスタートすれば毎月発生するものです。

継続的に必要になるお金をどこから捻出するのか、事業が軌道に乗るまではどのようにまかなうべきなのかについて見ていきたいと思います。

目次

1 資金調達が必要な理由
  1-1 起業後の年商について
  1-2 資金が調達しやすいのはいつ?
2 資金調達の方法とメリット・デメリット
  2-1 自己資金
  2-2 投資を受ける
  2-3 融資を受ける
  2-4 起業家への融資に力を入れている金融機関―日本政策金融公庫
  2-5 実績のある会社なら、小規模事業者経営改善資金融資制度
  2-6 家族・知人からの借入
  2-7 補助金・助成金
  2-8 クラウドファンディング
まとめ

1 資金調達が必要な理由

そもそもなぜ資金調達が必要なのでしょうか。起業して直ぐに売上が立つようなビジネスであれば、すぐに資金調達は必要ないかもしれません。しかし、起業に十分な資金と考えたときには、起業においての資金調達はある程度まとまった金額で必要となります。

先ほども少し触れましたが、例えば事務所を賃貸する場合には、敷金・礼金がかかります。商品を仕入れて販売するビジネスであれば、仕入れ代金が発生します。コレだけをみてもまとまった金額が必要だということがある程度分かると思います。

しかし、ここでポイントです。ここに経営者、または、起業する際に参加するメンバー(社員)のお給料もプラスで必要になってきます。本業を抱えての起業であれば、そこまで考える必要がありません。起業してからある程度の売上が上がるまでは、生活費は何とかなるというメンバーばかりであれば問題もないでしょう。

中小企業庁が出している数字などをチェックすると、資金調達も含めてさまざまな参考になるデータが入っているので、一度、読んでみることをおすすめします。

1-1 起業後の年商について

image例えば、起業してから最初の3年間、年商1,000万円以上で事業を行っている会社は、ほんの一握りです。半数以上の会社が起業から3年以上経過しても、年商1,000万円を稼ぐことが出来ていないという現状があります。

この状況下で、経営自身が受け取ることができる役員報酬はいくらになるのでしょうか。実は手取りは10万円以下というケースも珍しくないのです。

そこで考えなければいけないのは、起業の段階では、最低でも1年間は売上を気にすることなく、経営者が生活していけるだけの「余剰資金」の準備です。

平均的には家族がいる場合には600万円、独身の場合には400万円と言われていますが、資金調達を借入で行った場合には、返済の必要があることからも、あまり高い金額に設定するのも・・・という点も理解しておきましょう。

1-2 資金が調達しやすいのはいつ?

image資金調達にもタイミングがあります。実は、起業における資金調達は、“起業前”が調達しやすいという事実があります。

銀行をはじめとする金融機関や投資家が振り向くのは、業績の良い会社です。立ち上げたばかりで業績なんて関係ないのでは?と思うかもしれません。しかし、業績があがるかもしれない会社、そうです、可能性がある会社には、目を向けるのも金融機関や投資家です。

これから起業するのであれば、いわゆる「青田買い」をしてもらうことも大切です。そのためには、起業に絞った融資のプランがある金融機関もあるので、銀行や金融機関が「起業向け」に提供しているサービスのチェックもしておきましょう。

2 資金調達の方法とメリット・デメリット

それでは実際にどんな資金調達の方法があるのか、メリット・デメリットと一緒に見ていきましょう。

1-1 自己資金

imageまずは自己資金です。起業をしようと考えたとき、ある程度の資金を準備しておくものです。1円からでも会社は作れる時代ですが、「資本金1円です」では信用度は「?」となってしまいます。自己資金◎◎◎円を投じて会社を立ち上げましたという会社であれば、起業家の本気度が分かるものです。

また、融資におしては、自己資金がベースとなり借入上限額を定めている金融機関もあります。自己資金を直接使うことがなくても、融資に繋げることができるというわけです。多いに越したことはありませんが、あえて理想を言うのであれば、300〜1,000万円の準備ができると良いとされています。

■メリット

自己資金のメリットは、自分のお金なので、経営に口出しをされたりすることがないということです。投資を受けた際には、投資家の意見に耳を貸す必要性が出てきます。また、借入ではないので、返済の必要はありません。もちろん、金利負担も発生しません。

■デメリット

すべて自分で集めることになるので、十分な金額の準備に時間がかかります。貯金などは、毎月コツコツ貯めていくものなので、いざ起業! というところから始めるのは正直難しいでしょう。起業を視野に入れて準備をしていたという人でも、資金を貯めるまでに時間がかかるということは否定できないでしょう。

調達額の目安は300〜1,000万円です。スピードは人それぞれでしょう。リスクを冒したくない、堅実に起業をしたいという人に向いている資金調達方法です。

2-2 投資を受ける

起業をしようと考えている人なら耳にしたことがあるかもしれません。ベンチャー起業の成長ステージをご存知ですか?

(1) シード
(2) スタートアップ
(3) アーリー
(4) グロース
(5) レイター

この5段階に分けられます。起業しようとしている人は、自分がどの段階に属しているのかをしっかりと見極める必要があります。属しているステージによって、調達できる資金額、審査の内容が変わってきます。

今、この記事をチェックしている方のほとんどが、(1)のシードのステージに属していると考えられます。起業段階ということになり、投資額の相場は300〜500万円と言われています。

投資する側はVC(ベンチャーキャピタル)やエンジェル投資家となるケースが多いのですが、この投資側の目的は、いわゆる「青田買い」です。成長する可能性のある起業の株を購入して、会社が大きくなり株価が上がるのを待ち、そして売却。

これが投資側の目的です。この会社は伸びると判断したときにはたくさんの株式の購入を提案してきます。しかし、ここで注意が必要です。

たくさんの資金を集めるために、求められるがまま株式を売ってしまうのはNGです。(2)以降のステージでは、ストックオプション、そして新たな投資の募集という可能性が出てきます。そのときに、重要になってくるのが“株式の割合”です。

出資者に渡す株式の割合は20%程度に留めるのが理想と言われています。

■メリット

投資をしてもらうメリットは何と言っても“返却不要”の現金が手に入ることです。また、投資家側の人脈や経営ノウハウの利用が可能になり、しっかりとした経営を目指すことができます。

■デメリット

投資家側の人脈や経営ノウハウの利用が可能になるというメリットとがあるにもかかわらず、それがデメリットにもなるケースがあります。多くのケースで、経営に投資家からの口出しが発生します。

また、資金を得るために持っている株式を手放す必要が出て来るケースもあります。会社のエグジットとして、IPOやバイアウトといった限定されたゴールが期待されるということです。

調達額は(1)の段階であれば500〜1,000万円が相場です。相手があることなのでスピードも状況によりますが、スピード重視で大きな事業を始めたい! IPOで大きなお金を手に入れたいという人に向いている資金調達の方法です。

2-3 融資を受ける

image民間の金融機関からの資金借入といっても、種類も審査の内容もさまざまです。起業から間もない会社には、大手銀行からの融資はなかなか難しいものです。なぜならば、実績重視だからです。狙うべきなのは、地方銀行や信用金庫です。

ただ、各行、各金庫によってベンチャーの融資に対するサービス内容に違いがあります。起業を積極的に応援しているというサービスを儲けているところから、先の見えないベンチャーには自ら関わらないという姿勢を貫いている金融機関もあります。

これらのサービス内容については、とにかくリサーチが大切です。気になる銀行があれば、直接足を運んで、サービス内容の説明を受けたり、アドバイスをもらうのもおすすめです。

■メリット

金融機関からの融資のメリットは、大手銀行との取引が成功すれば会社の信用に繋がるという点です。また、アドバイスなども積極的に行ってくれるので、顧客やビジネスパートナーを紹介もしてもらえます。

制度融資を用いることで、金利が低くなるというメリットもあります。融資側は、きちんと返済してもらうことを前提としているので、アドバイスには積極的になってくれるのもありがたいところです。

■デメリット

起業前や設立直後の会社では、融資を受けることが難しいケースが多くあります。借入の難易度も、一定の決まりはあるものの、実は担当者次第で・・・といったこともなくはありません。

金融機関からの融資で調達したい目安額は300〜1,000万円です。実際に融資を受けるまでに1〜2ヶ月かかるケースがほとんどなので、スピーディーな対応を求めている人にとっては、遅いと感じてしまうこともあるかもしれません。ですが、何と言っても信用できる相手先からの借入となるので、安心感を得られます。

2-4 起業家への融資に力を入れている金融機関―日本政策金融公庫

image起業の際にチェックしたい金融機関が「日本政策金融公庫」です。日本政策金融公庫は、財務省所管のもとに経営されている金融機関で、目的があります。

それは、「一般の金融機関が行う金融を“補完”し、国民生活の向上に寄与する」ことです。通常の金融機関とは少し違った目的を持っているので、起業するのだれば、まず日本政策金融公庫をチェックするのが鉄則です。

ベンチャーの支援をすることで、産業の創出を目指すという日本政府の後押しありのベンチャーのための金融機関といっても過言ではありません。起業家への融資には特に力を入れています。起業家にとってありがたい融資金額、利息金利を設定しています。この機会に他の金融機関との差をチェックしてみることもおすすめします。

まず、起業時によく使われる制度が、「新創業融資制度」です。借入金額は自己資金の10倍までの上限3,000万円。金利は平成28年9月時点で0.95〜2.45%となっています。さらにうれしいのが、無担保、無保証人で利用できるところです。

ちなみに、こちらの制度は単独での利用はできません。日本政策金融公庫が提供する他の各融資制度との併用が基本となっているので、条件などをしっかりとチェックする必要があります。サービス内容を読むだけでは分かりづらいという人も多いかもしれません。

おすすめは、窓口で自分の現状、プランなどを話しながら、担当者に“適切なプラン”を見つけてもらうことをおすすめします。

■メリット

創業準備の段階ではなかなか融資の申し込みはハードルが高いものですが、日本政策金融公庫であればその心配はありません。また、無担保、無保証人、代表者の保証も不要で利用できるのもありがたいところ。

通常、金融機関では1〜2ヶ月かかるところ、申し込みから融資実行までに要する期間は比較的短く、2〜3週間程度と言われています。

■デメリット

起業を目指している人にありがたい制度を設けてはいるものの、実際に融資を受けることができる起業は全体の2割程度と言われていて、それほど高い割合ではないことがわかります。手厚いサービスだからこそ、提供する相手をしっかり吟味しているとも言えるでしょう。

調達額の目安はこれまで見て来た中では一番高く、1,000〜2,500万円です。少し触れましたが、申し込みから融資実行までが比較的スピーディーに進められます。その期間は3週間〜6週間と一般的には言われています。サービス内容によっても差が出てくるので、詳しくは日本政策金融公庫の窓口で質問してみましょう。

2-5 実績のある会社なら、小規模事業者経営改善資金融資制度

imageこれから立ち上げる会社であれば、条件が対象外となるのですが、起業後の参考にもなるので、ご紹介します。マル経融資というものです。これから起業するというか谷は耳馴染みのないサービス名かもしれません。

正式名称は、小規模事業者経営改善資金融資制度。この字面を見ると、そのサービス内容が想像できるのではないでしょうか。商工会議所の推薦によって受けられる融資制度です。利用するには条件があります。推薦されるというところからも分かるように、実績重視の融資です。

最低でも1年以上の事業実績が必要となります。さらに、商工会議所の経営・金融に関する指導を原則として6ヶ月以上受けること、所得税、法人税、事業税、都道府県民税などの税金をすべて完納していることなど、細かい条件はいくつもあります。まとめてしまえば、きちんとしている会社ということです。

細かな条件が多いにも関わらず、利用する企業が多いのには理由があります。それは金利が圧倒的に低いということです。通常でも1.30%(平成28年9月時点)で、一般的に受けられる融資の中でも、最も低い水準と言えます。また、さらにうれしいことに、自治体によっては、地域内の事業者に対して利子の一部を補助するという制度もあります。

起業後も資金調達は必要になるケースが多いものです。1年間しっかりとした業績を上げることができたら、借り換えの計画に組み込むのもひとつの方法です。マル経融資(小規模事業者経営改善資金融資制度)については、日本商工会議所のホームページでチェック出来ます。

■メリット

何と言っても利息が低いということ、また、代表者の保証も不要で、無担保、無保証です。

■デメリット

創業後1年間の事業実績が必須で、それ以外にも、税金や社会保険料の完納をはじめ、細かい各種条件をクリアしている必要があります。

調達額の目安は500〜1,500万円、調達にかかる期間は1〜2ヶ月と長めです。しかし、借入の金利を少しでも低く抑えたい! という人にはピッタリの資金調達方法です。

2-6 家族・知人からの借入

image起業の資金を家族や知人から借り入れるというのも珍しくありません。特に家族であれば、応援の意味も込めて無利子で貸してくれるケースが多かったり、ときには返済を求めないこともあります。

知人からの借入も良く耳にしますが、あまりおすすめとは言えないのでここでは例として挙げるだけにしておきます。

■メリット

経営について口出しされることが少なく、好条件で有利に借入、もしくは支援してもらえるケースに繋がる。

■デメリット

家族であれば事業リスクの共有にも繋がります。お金を借りることで関係性が良くなくなる可能性も否定できません。

金額も、資金調達にかかる時間もケースバイケースです。とにかく利子を限りなくゼロに近づけたいという人に向いている資金調達方法です。

2-7 補助金・助成金

image手続きが面倒、どんな制度があるのか分からないという理由で、見落とされがちなのが補助金や助成金です。良い制度であるのにも関わらず、運用している国や地方自治体が積極的に告知を行っていないことから知名度が低めなのです。

しかし、よく見てみると、株式を渡したり、毎月の返済の必要性もないので、実は積極的にチェックしたい制度なのです。会社の形態、事業内容、規模などによって利用できるものが変わってくるので、専門家に相談してみるのもおすすめです。

実は申請にも少し手間がかかるものが多いので、適切な制度を教えてもらい、申請もお願いする(もちろん経費はかかりますが…)という方法もおすすめです。社労士の事務所などでチェックしてみましょう。無料相談のページがあるところも多いので、積極的に質問をすることをおすすめします。

■メリット

基本的には返済不要であること、起業前、起業後、どちらでも申し込みが可能な制度があるいこと。

■デメリット

申し込み期間が設けられているうえ、採択率があまり高くないのがデメリットです。後払いになるので、運転資金を別途準備する必要があるので、お金がないから調達したいと考えている人には向いていないでしょう。

調達額の目安は低めの100〜200万程度です。調達にかかる時間も長めで2〜3ヶ月です。後払いであること、それほど金額が高めでないことなどがありますが、キャッシュフロー管理がしっかりできている方であれば、返済不要なのでお得な制度です。

2-8 クラウドファンディング

最近注目を集めている資金調達がクラウドファンディングです。大きな資金調達に成功した例を目にしている方も多いでしょう。

■メリット

起業前でも起業後でもいつでも申し込みができ、返済は不要。

■デメリット

新しいサービス内容の提案であっても、秘密にすることができないこと。サービス内容を細かく公開してしまうので、模倣される可能性も否定できない。

資金調達もある意味マーケティングのひとつと考える人、資金調達をパフォーマンスとしたい人などに向いています。調達額の目安は、幅広く100〜3,000万円となっています。自分で希望額が指定でき、そのための審査もないので、自由度はかなり高めです。

ただし、スピードについては、お金が集まるのを待たなければいけないですし、少額の出資をたくさん集めるというケースもあるので、2〜3ヶ月ほどかかる場合もあります。

まとめ

資金調達は起業には欠かせないプロセスです。自己資金、事業内容、現在の収入源、今後のビジネス展開などすべてを考慮した上で、起業プランを立ててから、適切な資金調達をするようにしましょう。

【参考図書】
「らくらく株式会社設立&経営のすべてがわかる本」(あさ出版)
「オールカラー 一番分かる会社設立と運営のしかた」(西東社)
「ダンゼン得する 知りたいことがパッとわかる 会社設立のしかたがわかる本」(ソーテック社)
「小さな会社の資金調達の方法」(中経出版)
「顧問先にきかれたらこう答える! 税理士・認定支援機関のための資金調達支援ガイド」(中央経済社)

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