2種類のクセを理解して自分を知る-思考のクセとしぐさのクセ

Pocket

shutterstock_162693761

ふとしたことで自分の一面を見て、落ち込んだり驚いたりすることがありますよね?

人間の脳や心は複雑なので、「自分のことは自分が一番よく知っている」と思っていても、実は見えていないことが多いのです。

今まで気づいていなかった未知の自分を知ることができれば、自分の可能性が広がり、新たな経験への挑戦も可能になります。

ここでは、脳科学の分野で用いられる「認知バイアス」という「思考や判断のクセ」と、心理学的にとらえる「しぐさのクセ」から、自分を知るヒントを解説します。

人間の脳のクセを知り、他人から見た自分を認識することで、新しい自分に出会えるかも知れません。
新しい自分が見えたら、どんなことでも受け入れて、自分自身を開拓していきましょう。

目次

1. 思考のクセで自分を知る
1-1. 選択肢過多効果
1-2. 変化盲
1-3. 内発的道義づけ
1-4. リアクタンス
1-5. バイアスの盲点
1-6. おとり効果
1-7. 自我消滅
1-8. テスティング効果
1-9. 自己奉仕バイアス
1-10. バンドワゴン効果

2. しぐさのクセで自分を知る
2-1. 相手の存在を軽視している
2-2. 服装が派手
2-3. 人を見下す
2-4. 自分の話ばかりする
2-5. 怒りを抑えられない
2-6. つい言い訳をしてしまう
2-7. ひとりごとが多い
2-8. 他人と目を合わせられない
2-9. 部屋が片づけられない
2-10. 貧乏ゆすり

まとめ

1. 思考のクセで自分を知る

shutterstock_667292731

先入観や直感に左右される思考や判断のクセを「認知バイアス」といいます。

絵に描かれた同じ大きさの物体が、背景によって違う大きさに見える、といった目の錯覚はよく知られています。

人間の脳は、効率よく作業をするために、経験や直感を通して反射的に答えを出そうとします。
ところが、背景に想定外のズレが生じていると、事実と違う認識をしてしまいます。
直感がいつも正しいとは限らないのです。

人間はみな、自分に都合よく物事を認識しようとします。
そこに事実を歪めた「偏見」が生まれるのですが、それ自体は悪いことではなく、少しでも楽に生きるための術なのです。

ところが、こうした偏見に気づかないまま自分の判断を信じてしまうと、思わぬ落とし穴にはまります。

だから、こうした自分の脳のクセを理解し、自分を知ることができれば、人との余計ないさかいを避けたり、自分の判断に自信をもつことができたりするようになるのです。

現在、数百もの認知バイアスが提唱され、専門的には細かく分類されています。
ここでは、代表的な10項目を紹介しましょう。

1-1. 選択肢過多効果

スーパーの試食販売コーナーで6種類のジャムを売るブースと、24種類のジャムを売るブースとでは、どちらの売り上げが多いでしょうか?

選択肢の多いほうが客は喜ぶと思われがちですが、実際は6種類のブースのほうが売り上げが多くなります。

統計によると、客が足を止める確率は24種類のブースのほうが高かったのですが、売り上げは6種類のブースが10倍も多かったという結果があります。

脳には同時に処理できる情報量に限界があり、許容量を超えると選ぶことをやめてしまうというクセがあるのです。

1-2. 変化盲

shutterstock_399985504

見知らぬ女性から道をきかれ、地図を確認している間に、この人が別の女性と入れ替わりました。
道を教えようと顔を上げたあなたは、女性が入れ替わったことに気づくでしょうか?

この実験では、なんと、90%以上の人が気づかないといわれます。
この脳のクセは、外界の変化に気づかないので「変化盲」と呼ばれます。

人間の目は視界に入っているすべてのものを認識しているわけではありません。
何かに注意を向けると、脳の処理能力はその仕事に集中されて、ほかのことには割り当てられなくなる傾向があります。

注意を向けていないことに対しては、大幅に認知能力が低下するのです。

1-3. 内発的道義づけ

アメリカの陸軍士官学校で、志望動機の2択質問をし、10年後に誰が出世しているかという調査が行われました。

「技術や素養を身につけ、将来は将校になって国に貢献したいから」
「軍隊が楽しそうだから」

将来の明確なビジョンがある人間のほうが出世するのではないかと思われますが、調査の結果は、「軍隊が楽しそうだから」と答えた士官候補生のほうが、15%ほど将校に出世する確率が高かったのです。

好きだからやっている人は、やる気が長続きします。
「好き」に、理由などいらないということです。

1-4. リアクタンス

shutterstock_700211917

禁煙エリアでタバコを吸っている人に対して、「周りの人に迷惑ですから、どうかお控えください」と声をかけるのと、「こちらは禁煙エリアになっております」と声をかけるのでは、どちらが効果があるでしょうか。

人間は自分の意思で行動していると思っていますから、他人から指示されることを嫌います。
ですから、「お控えください」と丁寧にいわれても、「人に指示をするな!」と反発したくなるのです。

この心理的傾向は、「リアクタンス」と呼ばれます。
一方、規則で決まっていることだといわれると、命令する主体は人間ではなく社会だと判断するので、リアクタンスは少なくなります。

1-5. バイアスの盲点

電車やバスの車内で、立っているのさえつらそうなお年寄りがいます。
しかし、その前に座っている人は本を読んでいて、そのお年寄りに気づかないので席を譲ろうとしません。
結局、隣に座っていた人が、そのお年寄りに席を譲りました。

隣に座っていた人はお年寄りの正面に座っていた人に対して、「自分はこんなに気を利かせているのに、なんて気が利かないのだろう」と思いますが、正面に座っていた人はそもそもお年寄りに気づいていないので、「自分が気の利かない人間」などとは思いません。

人間は、他人の欠点には気づくことができても、自分の欠点には気づけないのです。
自分は正しくて、他人は間違っていると考えてしまう傾向があるのです。
「欠点」は「バイアス(偏り)」といいかえることができるので、この傾向は「バイアスの盲点」と呼ばれます。

1-6. おとり効果

shutterstock_286477157

レストランのメニューで、ステーキの欄に次の2つがあります。

① ステーキ   \1000
② 上ステーキ  \1500

このどちらをオーダーする人が多いかということは、一概にいえません。

しかし、ここにもう1つの選択肢を加えることによって、お店は「上ステーキ」の売り上げを伸ばすことができるのです。

① ステーキ   \1000
② 上ステーキ  \1500
③ 特上ステーキ \3000

こうした、人の選択を変化させる効果を「おとり効果」と呼びます。
通販サイトなどでは、「お得」だと思わせるための常套手段として使われています。

1-7. 自我消滅

2つのグループにテレビのお笑い番組を見せ、片方のグループには笑うのを我慢してもらいました。
番組を見終わってから、両方のグループにハンドグリップを握り続けてもらうと、握っていられる時間は、笑うのを我慢していたグループのほうが20%も短かったという結果があります。

何かを我慢すると、その後の我慢ができなくなっていくのです。

自制心や意志力は「使うと減る」もので、脳のエネルギーであるブドウ糖を補給することによって回復します。

1-8. テスティング効果

shutterstock_143450254

英単語のテストがあるときに、「英単語を何度も繰り返して読んで頭に入れる」のと、「繰り返し、模擬テストを解いてみる」では、どちらが覚えられるでしょうか?

これは、模擬テストを行うほうが覚えられます。

脳は、インプットされる情報を「記憶するべきか否か」という判断をするのですが、このときに基準となるのはアウトプットの頻度です。
アウトプットを繰り返すことによって記憶に刻むことができ、この効果をテスティング効果といいます。

知識を増やしたいときは、インプットを繰り返すだけでなく、アウトプットすることが重要なのです。

1-9. 自己奉仕バイアス

会社を出ようとしたら雨が降りだしたので、傘立てに置いてあった自分の傘を探したのに見つかりません。

「誰かがもって行ってしまったかな」
「あれ、どこかに置き忘れたかな」
どちらの推測をする人が多いかといえば、「誰かがもって行ってしまったかな」です。

人間誰しも、責任が自分ではなく他人にあると考えたほうが楽です。
脳は、成功を「自分の手柄」と思い、失敗を「他人のせい」「不可抗力」と解釈することで、ストレスを軽減し、自分を守ろうとするのです。

1-10. バンドワゴン効果

カレーが食べたかったので、レストランに入りました。
ところが、店にいる客のほとんどがハンバーグを頼んでいます。

このような状況になった場合、カレーが食べたかったにもかかわらずハンバーグを頼んでしまう人が多いのです。

「みんながそうしているから」という「同調圧力」が生じると、人間は周囲の意見に流されがちです。
これがバンドワゴン効果と呼ばれる現象で、同調圧力は「社会的圧力」とも呼ばれ、ブームの原動力や、株価暴落などの要因になる原理です。

2. しぐさのクセで自分を知る

shutterstock_484730770

脳のクセである認知バイアスは、誰にでも当てはまるものですが、ここからは個人的なクセに焦点を合わせます。

日常の何気ないしぐさや言動には、自分では気づかない本心が隠れていることがあります。

そうしたクセを理解すれば、自分を知ることができ、自分とより深くかかわることができるようになります。

2-1. 相手の存在を軽視している

会社で嫌われる上司の言動には、次のようなものがあります。

・ 「おい、キミ」などと、部下を名前で呼ばない
・ 頼みごとをしても礼をいわない
・ 女性社員の体に触れる
・ 必要以上に接近する
・ 常に上から目線でものをいう
・ 作業をしながら部下の話を聞く

これらのしぐさに共通するのは、部下が「自分の存在を軽視されている」と思ってしまうことです。
上司や先輩の立場でこのようなしぐさをしていないか、思い返してみましょう。

2-2. 服装が派手

shutterstock_228260899

ファッションにはその人の性格や願望が表れます。
派手な服ばかり着る人は、自分を守りたいという願望があり、他人と接することに自信がもてないという不安が表れています。

そのほかにも、ファッションのクセには、いろいろな心理が表れます。

 

・アクセサリーが多い、大きい

自己顕示欲や、自分を大きく見せたいという願望の表れです。

・ 流行に敏感

協調性はありますが、自分の意見がないという人が多く、周りと同じでないと不安を感じてしまいます。

・ いつもマスクをしている

自信がなくて、人とのコミュニケーションに不安を感じている人が多く、周囲とのかかわりを避ける傾向があります。

・ 個性的なファッション

他人とは同じでいたくないという願望の表れで、協調性を重んじない傾向があります。

2-3. 人を見下す

他人を見下したり、上から目線になる人は、他人をおとしめることで、「自分は優れている」と自分自身にいい聞かせている人です。

誰しも「優れた存在でいたい」という願望はもっており、密かに優越感にひたる行為をするものです。
しかし普通は、他人の優れている部分を尊重する心ももっています。

幼児期は、誰もが「自分は何でもできる」という万能感をもっていて、成長する過程で現実を認識し、等身大のイメージへと変わっていくのですが、何らかの理由で万能感を抱いたまま大人になってしまうケースがあります。

こういう人は、地道に自尊心を養いながら自分を省みて、他人をほめることができる素直な人間になれるよう努力することが必要です。

2-4. 自分の話ばかりする

shutterstock_446570320

「自分大好き」なナルシストは、過剰な自尊心と肥大した自己イメージをもっています。

一方では、他人からの評価を気にするので傷つきやすく、「わかってくれない周りが悪い」と考えて自分を守ろうとします。

いつもチヤホヤされていないと機嫌が悪くなるような子どもっぽさもあるので、周囲からは「面倒くさい人」というレッテルを貼られがちです。

こうした自己愛が病的になると、「自己愛パーソナリティ障害」と呼ばれます。
自分にナルシストの傾向があると感じたら、他人のことを認めて理解しようとする努力が必要です。

2-5. 怒りを抑えられない

些細なことでも怒りを発散してしまう人は、脳に血液が集まりやすい傾向があります。
怒りは、「自分が対処できない」という脳のサインだといわれます。

対応できない状況になると、脳はその問題を解決しようとして血液を集めます。
しかし、脳に血液が集中してしまうと脳圧が上がって、脳のパフォーマンスが低下します。
すると、正常な判断力を失って、感情にまかせて行動してしまうのです。

頭に上がってしまった血液が分散するのには、30分から1時間かかるといわれます。
これが脳のクールダウンと呼ばれる状態ですが、運動やその場を離れることで意識を怒りのもとから隔離することにより、クールダウンを助けることができます。

怒らない人は、よく動く、すぐに動くといわれます。
自分がキレやすい性格だと感じたら、全身の血行をよくして、頭に血が上らないよう努力しましょう。

2-6. つい言い訳をしてしまう

shutterstock_657690046

言い訳は自己正当化の手段で、社会で生きていく上で必須のテクニックにもなります。
ただし、自分のミスを認める謙虚さがなければいけません。

自分がミスをしたのに、謝罪よりも言い訳が先に立ってしまう人は、自分の行動によって生じた結果が、外的な要因に左右されていると考えています。

こういう人は、ミスを人のせいにしますからストレスは溜まりにくいのですが、失敗から学ぶことをしないので、ミスを繰り返します。
成功も「運がよかった」などと外的要因の影響を考えるので、自信にはつながりません。

逆に、成功も失敗も自分の能力の結果だと考える人は、ミスを繰り返すことが少ない反面、ストレスが多くなって自分を責めてしまう傾向があります。

2-7. ひとりごとが多い

ひとりごとの多くは、声を出すことでストレスを発散させたり、自分を落ち着かせたりするために発せられるものです。
不安やストレスが根底にあるケースが多いのです。

こうしたひとりごとは、ムリにやめようとすると、さらにストレスを溜める原因になってしまうので、ストレスを軽減するケアを考えましょう。

ひとり暮らしが長いと、気づかないうちに、ひとりごとがクセになってしまっている場合があります。
また、心の病気の前兆として現れるひとりごともあります。

本人にまったく自覚がない、誰かと対話しているように話す、「死ね」などネガティブな言葉を繰り返すというような場合には、早めの診察が必要です。

2-8. 他人と目を合わせられない

shutterstock_295051712

他人の視線が怖いのは、いくつかの原因が考えられます。

・ 自分がどう見られているかという気持ちが異常に強くなり、常に誰かに見られていると感じてしまう「他者視線恐怖症」

・ 自分の視線が相手に嫌な思いをさせているのではないかと不安になる「自己視線恐怖症」

・ 人と対面したときに目を合わせられず、自分が恥をかくことが怖い「正視恐怖症」

・ 他人を自分の視界に入れただけで迷惑をかけてしまったと思い込む「脇見恐怖症」

視線恐怖症を克服するには、とにかく場数を踏んで慣れることが大事。
どんな人でも緊張はしますし、不安になることもあるのです。

2-9. 部屋が片づけられない

部屋を片づけられない原因の1つが、「完璧主義」です。
完璧主義の人が部屋をキレイにしようとすると大変な手間と時間がかかるので、後回しにしてしまうことが続くのです。

優先順位をつけられない、1つのことに集中できないという症状が現れる「ADHD(注意欠陥・多動性障害)」の人も、片づけることが苦手です。

また、モノが捨てられない「溜め込み障害」の人も、「いつか必要になるのではないか」という不安からモノを捨てることができず、部屋が散らかっていきます。

しかし、こうした症状は軽度であれば問題はないので、多少部屋が散らかっている程度でしたら、あまり気にしなくてもいいでしょう。

2-10. 貧乏ゆすり

shutterstock_778548346

貧乏ゆすりがクセになっている人は、ストレスが慢性的になっていたり、常に不安を抱いていたりして、フラストレーションを感じている可能性が高いといわれます。

手足や姿勢は、顔の表情のように、常にコントロールを意識しているわけではないので、何気ないしぐさに本心が現れるものです。

とくに足は、ボディランゲージでもめったに使われない部位なので、気がつかないクセがあることも多いのです。

まとめ

shutterstock_225460909

心理学には、自己が4つの領域によって形成されるという考え方があります。

・ 解放領域(自分も知っていて他人にもオープンにしている部分)
・ 秘密領域(自分だけが知っていて他人には秘密にしている部分)
・ 盲点領域(他人に見えていて自分では気がつかない部分)
・ 未知領域(自分も気づいていなくて他人も知らない未知の部分)

本当の自分を知るためには、この4つの領域のうち、自分が知らない部分である「盲点領域」と「未知領域」を狭めなければいけません。

そのためには、積極的に自分をさらけ出して、他人との人間関係を深めることで盲点領域を教えてもらう必要があります。
そして、盲点領域を知ることで視野が広がり、未知領域に近づくことができるのです。

脳や心の中にいる「自分の知らない自分」を探して、自分の可能性を追求しましょう。

【参考資料】
・『自分では気づかない、ココロの盲点 完全版』 講談社 池谷裕二 2016年
・『「なるほど!」とわかる マンガはじめての自分の心理学』 西東社 ゆうきゆう 2015年

Pocket

▼ファミリアスピリット・アプリ(iTunesサイト) ※iphoneでご覧ください bannar-familiarspirits familiarspirits-app-download

コメントをどうぞ

*