日常で実践できる20の記憶力トレーニング-脳の性質を利用する

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物忘れが多くなって、記憶力を鍛えたいとは思うけど、具体的にどうしたらいいのかわからないという人は多いですよね?

人間の記憶は、3段階になっているといわれます。

まず、視覚や聴覚、触覚などの感覚で得た情報が、その器官に1秒くらい残る「感覚記憶」。
意識した事柄が、数秒から数日間、脳の海馬という組織に残る「短期記憶」。
そして、海馬で選ばれた情報が、大脳皮質に移されて強く刻まれる「長期記憶」です。

ですから、記憶力を鍛えるということは、いかにして短期記憶を長期記憶に変えるかということに尽きるわけです。
そのために必要なのが、「効率よく覚える技術」と「正確に思い出す技術」です。

ここでは、日常生活の中で簡単にできる「覚えるトレーニング」と「思い出すトレーニング」を紹介します。
脳のいろいろな性質をうまく利用して、記憶力を向上させましょう。

目次

1. 覚えるトレーニング

① 人の顔や名前と場所を一緒に覚える
② 言葉や文章を逆からいう
③ なんでも俳句にしてみる
④ 楽しいことと結びつけて覚える
⑤ 一歩後退、二歩前進の反復法
⑥ つぎ足しの反復法
⑦ 間違えたことは必ずチェック
⑧ 図表化やイメージ化
⑨ ICレコーダーに声を録音する
⑩ 連想力を鍛える

2. 思い出すトレーニング
⑪ 料理のイメージトレーニング
⑫ お店で同じメニューを食べる
⑬ 1週間で会った人を好きな順に思い出す
⑭ 楽しかった思い出を10個書き出す
⑮ 覚えた知識は人に教える
⑯ 通勤は一駅ごとに景色を見る
⑰ 連鎖の糸をたぐり寄せる練習
⑱ 9時間以内に10分間の反復をする
⑲ 反復するときは順序を変えてみる
⑳ 眠れないときは1日を自由に振り返る

まとめ

1. 覚えるトレーニング

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学生時代の試験でよくあったように、多くのことを覚えなければいけない、丸暗記するしかないと自分を追い込むのは、効率よく覚える記憶術とはいえません。

そうやってムリヤリ詰め込んだ知識は、翌日の試験で使える短期記憶にはなっても、長期記憶として定着しないからです。

記憶を定着させるためには、まず、対象となる物事に感心や興味をもつということが大事。
しかし、世の中はそんなに面白いことばかりではありません。
そこで、短期記憶を長期記憶に移行させるテクニックが必要となるのです。

日頃から、日常生活の中で物事を覚えるトレーニングを重ねることで、記憶を定着させることができるようになります。

① 人の顔や名前と場所を一緒に覚える

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人の顔と名前を覚える大変さは、仕事をしていれば誰もが感じていることでしょう。
一流ホテルのドアマンは、はじめてのお客様でも顔と名前をすぐに憶えて、「いってらっしゃいませ、〇〇さま!」と声をかけます。
伝説のドアマンと呼ばれた人は、なんと1万人もの顔と名前を憶えていたといいます。

そこまでは到達しないにしても、人の顔と名前は、そのときの場所やイベントと一緒に覚えると、定着しやすくなります。

無意味なことよりも、ストーリーや体験を記憶しやすいという脳の性質を利用するのです。
記憶を検索する手掛かりは多いほどいいとされますが、感情や匂い、音なども、いい関連付けとなります。

② 言葉や文章を逆からいう

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記憶を定着させるためには、短期記憶する力も求められます。
言葉や文章を反対からいってみることによって、短期記憶する力が鍛えられます。

言葉を逆からいうためには、その言葉を短期記憶として覚えなければいけません。

「デジタルカメラ」の反対である「ラメカルタジデ」は、「デジタルカメラ」という単語を一時的に脳に記憶させなければ出てこないのです。

短期記憶がスピーディーかつスムーズに行われることによって、長期記憶に移行させられる情報の数も増えます。

③ なんでも俳句にしてみる

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何かの折、たとえば食後ののんびりタイムや帰宅後などに、食事の感想やその日の出来事などを「5・7・5」で読んでみます。

最初は俳句などと硬く考えずに、とにかく「5・7・5」にまとめるのです。
慣れてきたら、季語を入れてみたり、句として鑑賞したりして楽しみましょう。

記憶力のトレーニングをはじめようと思っても、つらいものや義務感がともなうものは長続きしません。
楽しみながら続けることがコツです。

俳句は、まずいろいろな出来事を思い出し、一番のものを選んで「5・7・5」という中で的確に表現しなければいけないので、脳全体を使う記憶力トレーニングに最適なのです。

④ 楽しいことと結びつけて覚える

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人間は幼少期からいろいろな体験をしながら育ちますが、思い出に残っていることは楽しい事柄が一番多いという傾向があります。

これは一般的に、脳には悲しいことやつらいことを早く忘れようとして、楽しいことのほうが記憶に定着しやすいという性質があるからです。

ですからこの性質を利用して、何かを記憶するときには、できるだけ自分が楽しいと思うことや楽しい体験と結びつけると覚えやすくなります。

学生時代に学んだ化学記号は覚えていなくても、化学の実験のことは覚えている、ということはよくあります。

⑤ 一歩後退、二歩前進の反復法

記憶を定着させるために、「反復」が有効であることは誰もが知っているはずです。
英単語などは、何度も何度も繰り返し発音し、書くことで頭に入りましたよね。

この反復という作業には、できるだけ早く確実に記憶するためのコツがいくつかあります。

後退しながら前進する方法も、そのひとつ。
たとえば本の1ページを記憶するとしたら、全体をいくつかに分け、まず①から②へと読み進みます。
次に③へは行かずに、また①と②とじっくり読んで、それから③に進み、③を読み終わったら、②と③をじっくり読んでから④へと進むのです。

この反復法は、全体像が早くつかめるという特徴があり、比較的短時間で記憶することができます。

⑥ つぎ足しの反復法

もうひとつ、反復法として代表的なものにつぎ足しの方法があります。

これは、①を読んだらすぐ②にいかずに、①をもう一度読み返して②に進み、その次はまた①から読み始めて③まで進むというように、どんどんつぎ足していく方法です。

この反復法は、つぎ足すものが多くなるにつれて、前の部分の反復が多くなるので時間はかかりますが、確実に記憶が定着していくという特徴があります。

⑦ 間違えたことは必ずチェック

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人は誰でも失敗をします。
記憶しているつもりのことができていなかったり、ある部分の記憶は正確であってもある部分は間違って記憶していたり、ということがあるものです。

一番問題なのは、間違って記憶してしまうことで、不正確なままの情報は記憶しない方がいいのです。
ですから、記憶する情報の正確さをチェックすることは大事なことで、さらに記憶した情報が正確であることも常にチェックする必要があります。

何か失敗をしてしまったときは、記憶の正確さを磨くチャンスです。
嫌なものは見たくないという気持ちは誰にでもありますが、失敗の原因を探って、冷静に記憶のチェックをしてみましょう。

⑧ 図表化やイメージ化

人間には、「視覚」「聴覚」「嗅覚」「味覚」「触覚」という五感があります。
その中で、成長とともにもっとも発達するのが「視覚」だといわれます。

情報を感覚と結びつけて記憶することは、長期記憶として定着させるコツのひとつですが、とくに視覚をともなう記憶法は、簡単にできて効果が高いという特徴があります。
企画書は、相手の記憶に残るように、視覚に訴える情報を重視するわけです。

覚えたいことは、文字として表現するだけでなく、図解するトレーニングをしましょう。
図形を組み込んだり、相関図をつくったりして、「目に焼きついた記憶」にするのです。

慣れてきたら、文字の太さやフォントを変える、図形に色をつけるといった変化も楽しみながら情報をイメージ化してみましょう。

⑨ ICレコーダーに声を録音する

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英会話の勉強用に、「聞くだけで覚えられる」という教材があります。
繰り返し聞くことによって、記憶を定着させる音源です。

この効果をもう一歩進めて、覚えたいことを自分の声で録音し、繰り返し聞くというトレーニングが、記憶の定着にとても有効です。

自分で録音すること自体が記憶力を高めるトレーニングになるのですが、それを聞きながら声に出したり、心の中でつぶやいたりすることで、記憶力が強化されます。
一説には、音が共鳴する効果によるものではないかといわれています。

⑩ 連想力を鍛える

「風が吹けば桶屋が儲かる」という話があります。

風が吹く → ホコリが立つ → 通行人が目を悪くする → 目が不自由な人になる → 三味線を弾いて生活する人が増える → 三味線の材料に使われる猫が殺される → 猫が減るとネズミが増える → 増えたネズミが桶をかじる → だから桶の注文が増えて桶屋が儲かるという、突飛な連想です。

このストーリーを覚えることはそう難しいことではありませんが、この中に出てくる「風、ホコリ、目が不自由な人、三味線、猫、ネズミ、桶屋」といった7つの要素をそのまま覚えようとすると、難しいことに気づくはずです。

ですから逆に、覚えたいことは、連想のストーリーにすれば覚えやすいということです。

 

2. 思い出すトレーニング

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記憶というものは、脳に刻むだけではなくて、必要なときには意のままに引っ張り出せなければいけません。

そのためには、いつまでもぼやけない、くっきりとした記憶にすることが重要です。
これも、記憶に意味をもたせることや、反復が基本になります。

ところが、確実に覚えていたはずのことが思い出せないというケースもあります。
記憶のどこかから、目的の情報を引っ張り出すトレーニングも大切で、「ど忘れ」防止にも効果があります。

⑪ 料理のイメージトレーニング

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普段、料理をしない人はピンとこないかもしれませんが、料理という行為は、まず何をつくるかという企画からはじまり、材料は何をそろえればいいか、下ごしらえに調理の段取り、そして盛り付け、というように、とてもたくさんの情報を必要とします。

料理は、思考系、運動系、視覚系、理解系、記憶系など、脳のあらゆる部分を使いますから、実際に料理をすることは脳の老化防止にとても有効です。

そして、実際に料理せずにシミュレーションだけでも、その効果はほぼ変わりません。
覚えている料理の段取りをひとつひとつ細かくシミュレーションするのもいいでしょうし、レシピを見ながら複数のメニューを同時につくるイメージトレーニングも、楽しみながら海馬を鍛えることができます。

⑫ お店で同じメニューを食べる

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レストランや割烹、居酒屋などに通って、毎回同じメニューを食べます。
そして、そのメニューを食べるときには、五感を集中します。

なんども同じメニューを頼んでいると、味付けや盛り付けのちょっとした変化、器の変化などに気がつくようになります。

視覚と味覚などを結びつけることによって、記憶の手がかりが増えて、前回、前々回の料理を思い出すことができるようになるのです。

複数の感覚を結びつけて、記憶力をアップさせるトレーニングです。

⑬ 1週間で会った人を好きな順に思い出す

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1週間に何人の人と会うかは、仕事によってずいぶんと個人差があるでしょう。
10人の人もいれば、100人という人がいるかもしれません。

人数にはこだわらず、週の終わりに、その週に会った人のランク付けを行います。
他言することではありませんから、単純に見た目の好き嫌いで好きな順にベスト10を選出するのです。

これは、視覚と記憶を結び付けて思い出すトレーニングです。
比較することによって、脳はバックグラウンドでの作業をしますから、短期記憶のワーキングメモリを鍛える効果もあります。

⑭ 楽しかった思い出を10個書き出す

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これは、「楽しいことと結びつけて考える」のアレンジですが、毎日、過去に楽しかった思い出を10個書き出すというトレーニングです。
とくに、落ち込んでいるときや、疲れているときに効果があるメソッドです。

過去のいい思い出を思い浮かべることで、視覚系の回路を強化できますし、「こうすればもっと楽しい」という、より幸せになる方法を考えることによって、「思い出す回路」と「学習する回路」という左右の海馬を使い分けることになり、とても効果的な脳トレになります。

また、楽しいことを考えることで、脳のストレスを軽減することもできる一石二鳥のトレーニングです。

⑮ 覚えた知識は人に教える

人に何かを教えるためには、その内容を自分が理解していなければできません。
教えるという行為は、自分の記憶を思い出す反復になりますから、人に教えるということは記憶の定着に直結します。

教えることによって、自分の頭が整理され、さらに理解が深まるので記憶は強化されます。
大切なことは、記憶が死なないうちに、人に教えること。

死んでしまった記憶を思い出すのと、繰り返し呼び出されている記憶を思い出すことは、まったく意味が違い、反復して思い出すことが重要なのです。

⑯ 通勤は一駅ごとに景色を見る

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通勤中は、とてもいい記憶力トレーニングの時間になります。
ここでおすすめするのは、本や資料など覚えるべきものを読みながら、一駅ごとに窓の外を見て、その瞬間の景色を目に焼き付ける方法です。

これも視覚と記憶力を結びつけるトレーニングですが、2つの事柄が接近して起こると、それが「対(つい)」という形で記憶されるという脳のクセを利用するものです。

「対」として記憶された事柄は、一方を思い出すと、もう一方も思い出されるという性質があるので、記憶の手がかりをつくる訓練になります。

⑰ 連鎖の糸をたぐり寄せる練習

記憶は、関連するいくつもの「連鎖の糸」が、複雑に編まれたネットとして、脳の中に保存されています。

ですから、関連する1本の連鎖の糸と、別の連鎖の糸の交差するところを探して、目的の記憶を見つけるのです。

たとえば、ある映画のタイトルを思い出したいというときに、主演俳優の顔や名前、テーマ曲の作曲者、いつ頃のどういうジャンルの映画なのか、といった連鎖の糸が思い浮かんだとします。
もしかしたら、主演俳優とテーマ曲という2つの連鎖だけで映画のタイトルを思い出すかもしれませんし、そこに公開年という連鎖が加わることで思い出すかもしれません。

このトレーニングは、覚えるときの多面性が大事であることを実感します。

⑱ 9時間以内に10分間の反復をする

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記憶の定着には「反復」が重要であることは、繰り返し述べてきました。
ここで示すのは、効果的な反復のタイミングです。

脳の海馬にある「短期記憶の倉庫」は、全体の3分の2を占める部分が忘れやすく、反復しなければおおよそ9時間以内に忘れ去ってしまい、残りの3分の1は、1日から数日かけて忘れられていくといわれています。

ですから、反復は9時間以内に行って、記憶を定着させると能率がいいのです。
かといって、30分や1時間後では、まだ記憶が新鮮すぎてあまり反復の効果はありません。
何日も経ってから時間をかけて記憶をたぐり寄せるより、9時間以内の10分間が重要なのです。

⑲ 反復するときは順序を変えてみる

一度覚えた記憶を明確なものにし、思い出しやすくするための工夫として、反復して思い出すときに順序を変える、形を変えるという方法があります。

記憶を呼び出すトレーニングは、ここまでにいくつか紹介してきましたが、いつも同じ順序や方法で反復していると、ある一つの連鎖だけの記憶に集中してしまい、関連づけが弱くなっていきます。

ですから、いったん覚えた事柄は、いろいろな形で思い出して、「スクラップ&ビルド」することが効果的です。
そうすることによって連鎖の糸は本数が増えていき、より明確な記憶として定着していきます。

⑳ 眠れないときは1日を順に振り返る

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夜中に目が覚めて、眠れなくなってしまうことがあります。
こんなときは、焦って寝ようとしても逆効果ですから、ゆったりとした気持ちで1日を振り返ってみましょう。

その日に覚えたことがあったら、「9時間以内の反復」をする好機かもしれません。

実は、記憶が整理されるのは眠っている間なので、その寸前に反復することは、記憶の定着にとても効果的なのです。

 

まとめ

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覚えているはずの記憶なのに、思い出せないという「ど忘れ」は、記憶が明確に定着していないから起こる現象です。

「ど忘れ」で、連鎖の糸が見つからないこともあるでしょう。
そのときの裏ワザは、五十音を頭から念じてみることです。
連鎖の糸が、どこかでひっかかるかもしれません。

普段から、複数の感覚や事柄を関連づけて覚えるトレーニングをしていると、連鎖の糸が増えますから、ど忘れしてもどこかでヒットしやすくなります。
ですからやはり、記憶力のトレーニングは毎日続けることが大切なのです。

【参考資料】
・『新版 ホイホイ記憶術』 多湖輝 PHP研究所 2015年
・『記憶力の鍛え方』 加藤俊徳 宝島社 2014年

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