やる気がない部下に火をつける14のワザ-感情にうったえる技術

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年齢が離れた部下との接し方は悩みますよね?

「少し叱っただけで無口になってしまうので、どう叱ったらよいのかわからない」
「何も相談しないから問題ないと思っていたら、仕事がぜんぜん進んでいなかった」
「責任は果たさないけど主張だけはするので、まともな会話が成り立たない」

管理職の研修会などでは、こうした悩みが必ず出るものです。
年齢も育った環境も経験もまったく違う人間が、1つの空間で仕事をする会社という場所は、人間関係の渦が巻いているようなもので、その中でも上司と部下の関係は、職場の悩みの最たるものといえます。

上司という立場になると、多くの困難を乗り越えて部下を育成する責任が出てきますから、たとえやる気が空回りしていても、日々、涙ぐましい努力をするわけです。
やる気がない部下の気持ちにも、なんとかして火をつけなければいけません。

ここでは、どうすれば「部下に気持ちよく仕事をしてもらうこと」ができるかという視点から、感情にうったえる14のワザを解説します。
後半の5項目には、部下のタイプ別に効果的なワザをまとめてあります。

目次

■ やる気がない部下に火をつける14のワザ

① 命令口調と威圧感をなくす
② 「3つの貢献」を伝える
③ 目標を伝えて自主性を尊重する
④ ユーメッセージからアイメッセージへ
⑤ 部下の目を見て話す
⑥ 表と裏のホメを使い分ける
⑦ 手柄を部下に渡す
⑧ 部下の言うことを否定しない
⑨ 大事な言葉は繰り返す
⑩ 上昇志向の薄い部下には「今を充実」
⑪ 失敗を引きずっている部下には「発想転換」
⑫ 失敗を恐れて消極的な部下には「ミニゴール」
⑬ 仕事に興味がない部下には「存在価値」
⑭ 不満を抱えている部下には「一緒に解決」

まとめ

■ やる気がない部下に火をつける14のワザ

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部下の心に火をつけるためには、まずその部下の心を見抜かなければいけません。
上司には、部下が何を考えているか読み取る能力が求められるのです。

仕事に興味がないのか、上昇志向がないのか、はたまた失敗を恐れているのか……、やる気の見えない原因がどこにあるのか、見極める必要があります。

そのためには、日頃からの人間観察が欠かせません。
まずはあなたが目を開いて、部下のことをしっかり見ながら、どの対策が効果的か判断していきましょう。

① 命令口調と威圧感をなくす

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「だまってオレについて来い!」
今の時代、そういう言い方をする上司はいないでしょう。
いたとしても、理由をわかりやすく説明して本人が納得しなければ、部下は動いてくれないでしょう。

今の若い世代は、自分が意味を認めないことには熱意をもちませんし、命令口調や威圧感には反発するからです。

1970年にアメリカAT&T社のロバート・K・グリーンリーフは、「サーバントリーダーシップ」という概念を提案しました。

サーバントリーダーシップとは、「支援型リーダーシップ」とも呼ばれ、「リーダーがトップダウンの命令で全体をコントロールするのではなくて、まず部下に奉仕し、その後部下を導きながらともに歩む姿勢を示す」という考え方です。

リーダーがピラミッドの頂点にいるのではなく、逆三角形のピラミッドの底にいて、部下と組織を支える構造です。
日本の資生堂が取り入れて成功、発展したことでも知られています。

トップダウンが通用しない今の若い部下には、サーバントリーダーシップを発揮させて部下とともに歩む姿勢を示し、「なぜこの仕事が必要なのか」という意義をしっかり伝える必要があるのです。

② 「3つの貢献」を伝える

心理学者のアルフレッド・アドラーは、「自分に貢献」「相手に貢献」「社会に貢献」という3つの貢献が、人間が生きていく上で最も大切な感覚だと説いています。

「自分に貢献」とは、自分の能力を伸ばして成長すること。
自分を伸ばすことで、目の前の相手に貢献することができ、それが社会に対する貢献につながるという考え方です。

日本では近江商人に、「三方よし」という心得がありました。
売り手と買い手がお互いに満足して、社会貢献もできることが「よい商い」だとする考え方です。

これは、松下電器産業(現:パナソニック)の創業者である松下幸之助氏が模範とした考え方でもあり、アドラーが説いた「貢献」ととても似ています。

若くて純粋な人間ほど、「人の役に立ちたい」「人の役に立って『ありがとう』と言われたい」という欲求があるものです。

若い部下には、相手(顧客)のためにする仕事が社会のためになり、自分を高めることもできて、それが結果的に対価として現れるのだということを伝えてあげましょう。

③ 目標を伝えて自主性を尊重する

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命令されたり支配されたりするのが嫌いで、理由がわからなければ動かない部下には、ルノー、日産自動車、三菱自動車を率いるカルロス・ゴーン氏のやり方を参考にしましょう。

ゴーン氏は、日本人は努力家で、自ら決心すれば目標を達成していくと認識し、日産、三菱では目標数値だけを示して、「社員が自分で自分に火をつけることを重視している」と言ったのです。

成果を出せばポジションも収入も上がりますが、結果を残さなければリストラもある状況の中、部下たちは自分の思うように計画を立て、信頼関係を深めていきました。

仕事の目標を伝えたら、達成するまでのやり方には口を出さず、部下に任せてみましょう。
部下たちは、達成までのプロセスを楽しむことも覚えます。

④ ユーメッセージからアイメッセージへ

「どうして君は……」「君はいつも……」というように、「あなたがどうである」と決めつける言い方は、「ユーメッセージ」と呼ばれます。

部下の短所や不手際を何度も目にすると、ついこういう言い方をして相手を責めてしまうものです。
しかし、こういう言い方をされた方は、人格を否定された気がします。

ですから、「ユーメッセージ」はやめて、「アイメッセージ」に変えましょう。
「アイメッセージ」とは、「私」を主語にしたメッセージです。

部下のネガティブな部分を責めてみても、何もよいことはありません。
できるだけ具体的な指示を出してから、「これができたら、私(たち)はうれしい」と付け加えるのです。

喜んでもらえることはうれしいことなので、部下も自分を変えて頑張ろうと思います。

⑤ 部下の目を見て話す

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IT社会で育った世代は、メールの文字やSNSの「いいね!」のやりとりで自分の思いを表すことに慣れてしまっており、フェイストゥフェイスの感情がこもった表現のしかたを知りません。

しかし、「目を見る」「話しかける」「タッチする」といったシンプルな動作が、コミュニケーションにおいて予想以上の効果を発揮することがあります。

フランスには「ユマニチュード(人間らしい)ケア」という高齢者ケアの方法があります。
「相手の顔を0.5秒以上見つめて会話をし、顔を近づけてほほ笑み、ちょっと触れる」という「アイコンタクト」「スマイル」「タッチ」という3つの行動が高齢者を元気にすることがわかったのです。

最近は日本の病院でも、ユマニチュードケアを取り入れるところが増えていますが、部下に対する上司こそ、ユマニチュードケアを取り入れるべき。
部下の目を0.5秒以上見て会話をし、微笑みかけたり、ポンと肩を叩いたりして、存在を認めていることを表現するのです。

⑥ 表と陰のホメを使い分ける

部下に対してストレートにホメるのはよいことですが、言い方やタイミングを考えないと、「お世辞を言われているのではないか?」と思われてしまうこともあります。

そこで、人を介して間接的にホメる「陰ホメ」をうまく使いましょう。

ホメたい相手の同僚や近い存在の社員に、「〇〇君は企画書を書くのがうまいね」「〇〇君の発想はすばらしいね」というように、具体的な評価ポイントをさりげなく伝えるのです。

人づてにホメられると、直接ホメられるよりも、客観性を帯びることによって喜びを感じやすくなります。

直接的なホメと間接的なホメをうまく使い分けるのが、上司の裏ワザです。

⑦ 手柄を部下に渡す

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チームの成功や部下の仕事を自分の手柄にする上司は、嫌われる上司の代表と言ってよいでしょう。

プロジェクトの成功に上司が胸を張るのは、部下にとってもうれしいことですが、自分たちの努力が評価されないことに寂しさを感じます。
これは、すべての人がもつ「承認欲求」と言われるものです。

そこで大切なのが、部下の名前を挙げて、貢献内容を紹介することです。
プレゼンの最後には、「マーケティングはA君が奔走し、B君がデータを解析しました。企画をまとめたのはC君で、デザインはD君が頑張りました。みんなを代表して私がこの企画を発表できるのは、とてもうれしいことです」と部下の働きに感謝するのです。

そして、手柄はすべて部下のものにしましょう。
こういうことがさらりとできる上司は、部下のやる気で悩むことはなくなるでしょう。

⑧ 部下の言うことを否定しない

部下の話を聞いて、「でも……」「しかし僕は……」というように、相手を否定する言い方をする上司は、部下を傷つけるので身構えられてしまいます。

相手を尊重しながら、自分の意見や要望を伝える、「アサーティブメソッド」と呼ばれるコミュニケーション方法があります。

「自分も正しい、相手も正しい」というのがアサーティブメソッドで、部下の話はまず肯定で受け取って、否定的な言葉を使わずに言いたいことを伝えるのです。

「そうだね。しかし」ではなく、「そうだね。そして僕は」というように話をつなげ、win-winの関係で部下から自由な発言を引き出します。
共感や連帯感を示すことによって、部下が発言しやすくなります。

⑨ 大事な言葉は繰り返す

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強調したいことを何度も繰り返して口にすることは、やる気がない部下の気持ちに火をつけるのには効果的なパフォーマンスです。

政治家には、この手法を上手に使う人が多くいます。

最近、この手法が上手いとされるのは小泉進次郎氏です。
父の小泉純一郎氏は、「郵政改革」「聖域なき構造改革」といった言葉を繰り返して、人々の頭に「改革」という言葉を刻み込みました。

進次郎氏もこの技術を自然に受け継いでいて、演説の上手さには定評があるのです。
海外の政治家では、バラク・オバマ前大統領が、この手法の名人でした。

上司として部下に覚えてほしいことがあったら、飽きずに何度でも言いましょう。
口癖だと思われてもよいのです。

「前向き」という一言だったら、事あるごとに「前向き、前向き」と繰り返して言うことにより、キーワードとなって部下の頭に残り、行動のきっかけになります。

⑩ 上昇志向の薄い部下には「今を充実」

ここからは、部下の具体的なタイプから、やる気に火をつける方法を紹介しましょう。

まず、将来像や目標が漠然としていながら、飄々と過ごしているような上昇志向の薄い部下です。
今は、目標に向かってガツガツ頑張らず、プライベートを充実させながら仕事もそれなりにこなしていくという若者が主流と言ってよいでしょう。

いくら上司が、「5年後の目標像を明確に描け」と言っても、将来像をもっていない部下には、勝手な押しつけにしか聞こえません。

一度、将来目線を現在目線に変えてみましょう。
今、一生懸命になれず、今を充実させられない人間が、未来のことに一生懸命になれるはずはないことがわかります。

将来像や目標を立てられない部下には、「今、このときを充実させること」の大切さを教えることが大事なのです。

それは、簡単な仕事で得られる「小さな成功体験」がもたらしてくれます。
どんなことにも、「よりよいやり方を見つける楽しさ」や「達成感の気持ちよさ」があることを気づかせてあげましょう。

⑪ 失敗を引きずっている部下には「発想転換」

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何もはじめないうちから「私にはできません」とか、やればできるのに「経験がないので、私にはムリです」と言って、失敗を恐れている部下には、2つのタイプが考えられます。

1つは、過去の失敗を今も引きずっていて、臆病になっているケースです。
このタイプに、「今度は大丈夫だよ」とか、「誰にでも失敗はあるよ」という言葉をかけても、それはただの慰めでしかなく、「何を根拠に言ってるんだ?」などと思われてしまいます。

失敗した部下には、「積極的な姿勢はよかったね。次回は裏付けをしっかりとればOKだよ」というように、行動を承認した上で、次はどうしたらよいのか具体的に伝えます。

さらに「失敗の原因は、裏返せば成功の手段になるんだよ」などと、ポジティブに発想の転換をする言葉をかけるのです。
過去がムダではなく、大切な意味があることに気がつくと、やる気につながります。

⑫ 失敗を恐れて消極的な部下には「ミニゴール」

失敗を恐れるもう1つのタイプは、単に未来を恐れて新しいことにチャレンジできないタイプです。

このタイプは、過去の仕事について、成功体験や失敗体験をヒアリングするのも有効ですが、部下が心を開いてくれるとはかぎりません。
ですから、過去を見つめるのではなく、未来に目を向けた方が、多くの人間に対応できます。

このタイプで最も多いのは、高すぎるゴールを自分で設定して、それが達成できないために消極的になっているケースです。

なんらかの事情やきっかけがあって、勝手に抱いている高いゴールを、その部下の経験や実力に見合ったゴールに引き下げてあげる必要があります。

「そばにいるから」と背中を押して、小さな成功体験を積ませることが、積極性をもたせるカギとなります。

⑬ 仕事に興味がない部下には「存在価値」

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目の前の仕事に関心が向かないタイプは、その業務に取り組む価値がわかっていません。

ですから、「なぜやらないんだ?」「この仕事がしっかりできれば成長するよ」などという言葉をかけても、押しつけにしか聞こえないのです。

自分の関心があるかないかで、仕事に対する姿勢を決めている部下には、周囲に目を向けさせることが大事です。
「〇〇君が動くことによって、会社も周囲の人間もプラスになるんだ」とか、「これができたらみんなも喜ぶよ」というように、存在を承認する言葉をかけるのです。

視点を自分から周囲に向けることができた部下は、「みんなが喜んでくれるんだったら頑張ってみるか」「一緒に喜んでくれる仲間がいたんだ」と感じることができるでしょう。

「周囲とのかかわり」や「周囲の人間の温かい評価」を伝えて、自分の存在価値を認識できるようにしてあげるのです。

⑭ 不満を抱えている部下には「一緒に解決」

部下が何かに不満を抱えていて、そのために仕事に対する意欲がわかないということがわかったら、喜んでください。

なぜかといえば、不満は問題意識をもっていることの表れだからです。
「わがまま」は、自分勝手な思い込みや勘違いから生まれるものですが、「不満」は、「自分が思うあるべき姿」と「現実」の差に疑問を抱いている状態です。

そうした問題意識をもっている人間の主張は、正当性があるケースも多いのです。
わがままを言っている部下に対しては、きちんと叱ることが大事ですが、不満を抱いている部下に対しては、ネガティブな評価を下すべきでありません。

まず、部下が「不満な状態をひとりで解決できないだけ」であることを認識し、「不満を解決する糸口を一緒に探そう」と、部下の力量不足を補って背中をひと押しするのです。

まとめ

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アメリカのプロスポーツ界で確立された「ペップトーク」という話術があります。

試合の前などに、ロッカールームで監督やコーチが、選手の心に火をつけて、もっている力を存分に発揮させるために行うショートスピーチのことです。

ペップトークは、ビジネスの分野にも取り入れられて、有効活用されています。
ここで解説してきた「やる気がない部下に火をつける14のワザ」にもいくつか応用されていますが、最後にペップトークの4つのポイントを紹介しておきましょう。

・事実(今の自分)の受け入れ
・ポジティブな発想転換
・肯定形での言葉がけ
・背中のひと押し

常にこれら4つのポイントを使う必要はなく、状況に応じてピックアップすればよいのです。

【参考資料】
・『部下のやる気を引き出すワンフレーズの言葉がけ』
日本実業出版社 占部正尚 2017年
・『一流のリーダーがやっている部下のやる気に火をつける33の方法』
日経BPマーケティング 佐藤綾子 2017年

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