3つの力を高めて記憶力の低下を防ぐ!-記憶を定着させるコツ

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30代40代と年齢を重ねて、「最近、記憶力が落ちたな」と感じている人は多いですよね?

「どうも忘れ物が多い」「人の名前が覚えられない」といった記憶力にかんすることで、仕事に悪影響を及ぼしてしまったという人もいることでしょう。

脳のパフォーマンスが低下するのは、年齢のせいだから仕方がないことだと、あきらめてしまう人も多いのが現実です。

「年齢を重ねれば、記憶力は低下して物忘れが多くなる」
そう考えている人が多いのですが、60歳を過ぎてから司法試験に合格した人や、70歳を過ぎてから社会保険労務士、宅地建物取引士などの国家資格を取得する人もいます。

そういう人たちが特異な脳の構造をしているかといえば、決してそんなことはありません。
記憶力を低下させないために必要なのは、頭の良さや若さではなくて、記憶を定着させる技術なのです。

記憶力は、努力することによって年齢に関係なく伸ばせることがわかっています。

ここでは、基本的な記憶のしくみや分類を解説してから、記憶力を低下させないために必要な3つの力と、その高め方を紹介します。

目次

1. 記憶のしくみ
1-1. 記憶する3つのプロセス
1-2. 長期記憶となる3つの要素
1-2-1. インパクト-印象
1-2-2. メリハリ-重要性
1-2-3. 繰り返し-反復

2. 記憶の分類
2-1. 知識として使える陳述記憶
2-2. 言葉で表しにくい非陳述記憶
2-3. 日常生活で重要な作業記憶
2-4. 印象記憶と具象記憶

3. 記憶を定着させる3つの力
3-1. 「覚える力」を高める
3-1-1. 空想で印象を強化する
3-1-2. 感情や情緒をすり込む
3-2. 「忘れない力」を高める
3-2-1. パターン化やイメージ化する
3-2-2. 記憶の倉庫を3Dにする
3-3. 「思い出す力」を高める
3-3-1. 飛び石ファイル検索法
3-3-2. 想い出の写真を見る

まとめ

1. 記憶のしくみ

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「今朝、何を食べたのか」ということと、学生時代の思い出は、どちらも記憶です。

しかし、明日になれば、学生時代の思い出は変わらず覚えていても、今朝食べたものは覚えていない可能性が高いですよね。
同じ記憶であるのに、どうしてこのような違いが出てくるのでしょうか。

何かを覚えるということは、脳に情報が残ることですが、覚えておきたい情報とそうでない情報は、脳内での扱いにどのような違いがあるのでしょうか。

まずは、そうした単純な疑問を解決するために、記憶と記憶力のしくみから解説していきましょう。

1-1. 記憶する3つのプロセス

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人間の記憶は、「感覚記憶」「短期記憶」「長期記憶」という3つのステップを経て脳に蓄えられます。

感覚記憶とは、視覚や聴覚などで得た情報を、その器官で余韻として1秒から長くても数秒程度残す、「感覚貯蔵」とも呼ばれるしくみです。
見たものも聞いたことも、とくに意識しなければ、その情報は1秒くらいで消えていきます。

感覚記憶のうち、気にとめたすべての情報は、脳の中心部にある「海馬」という小さな組織に送られます。
海馬とは、タツノオトシゴのことですが、脳内のこの組織が似た形をしていることから、そう呼ばれるようになりました。

アルツハイマー病で、最初に障害を受けるのが海馬です。
ですから、アルツハイマー病の初期症状は、物忘れであることが多いのです。

海馬に送られた情報は、数十秒から数日程度蓄えられて、この記憶は「短期記憶」と呼ばれます。
短期記憶のうち、海馬のフィルターにかけられて残った情報が、その外側にある大脳皮質に送られて記憶の倉庫に入ってしまうと、「長期記憶」となるのです。

「今朝たべたもの」は短期記憶にあたり、「学生時代の思い出」は長期記憶になっているわけです。

1-2. 長期記憶となる3つの要素

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短期記憶が海馬のフィルターにかけられて、長期記憶として残る要素、言い換えれば短期記憶の情報を記憶の倉庫に入れるポイントは、主に3つあります。

「強烈な印象」「重要という認識」「反復性」です。
それぞれの現象を日常的な出来事から解説しましょう。

1-2-1. インパクト-印象

印象が強烈な物事が記憶に残りやすいことは、誰もが経験から理解できるはずです。

一般男性に、女性芸能人15人の顔写真を30秒間見てもらい、誰の顔が一番記憶に残るかという実験では、いわゆる美人や整った顔立ちの女性ではなく、個性的な顔立ちの女芸人さんだったという結果があります。

ほかと違うインパクトや独特の印象を与える事柄は、長期記憶として残りやすいのです。

1-2-2. メリハリ-重要性

重要だと認識したことが、そうでないことよりも記憶に残ることも、誰もが経験していることでしょう。

ここで大切なのは、何を重要とするかという選択です。
試験のためだけに多くの事を記憶しても、それが試験に出なければ、ムダな知識となってしまいます。

ですから、効率のよい記憶力を発揮させるためには、情報の「取捨選択」をして記憶にメリハリをつけることが大事な要素になるのです。

1-2-3. 繰り返し-反復

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短期記憶を長期記憶にするためには、何度も繰り返す「反復」がとても有効です。

試験のために英単語を記憶しても、所詮一夜漬けでは長期記憶になっていませんから、その試験がうまくいったとしても、次の試験には使えないかもしれません。

こうした英単語などは、日常的に何度も繰り返して声に出したり、書いたりすることによって長期記憶となり、英会話でも使えるようになるのです。

 

2. 記憶の分類

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長期記憶は、一般的に「陳述記憶」と「非陳述記憶」に分類されます。

また、学術的な分類とは違いますが、日常生活における記憶力として大切な要素である「作業記憶」というものもあります。

さらに、記憶の残り方は「印象記憶」と「具象記憶」に分類することができます。

これら、記憶にかんする分類を解説しましょう。

2-1. 知識として使える陳述記憶

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陳述記憶とは、「議論したり宣言したりできるような記憶」であることから、「宣言的記憶」とも呼ばれます。

わかりやすくいうと、思い出や知識として、しっかり覚えていて、その内容を言葉で話すことができる記憶です。

陳述記憶は、さらに「エピソード記憶」と「意味記憶」に分類されます。
エピソード記憶は、思い出の記憶やイベント(事象)記憶のことで、意味記憶は英単語や歴史年表のような、言葉の意味に関連する記憶です。

2-2. 言葉で表しにくい非陳述記憶

非陳述記憶とは、陳述記憶とは逆に、言葉ではいい表しにくい記憶のことで、「手続き記憶」と「プライミング記憶」に分類されます。

手続き記憶は、自転車の乗り方や楽器の演奏方法など、体が覚えている記憶のことで、「技能記憶」とも呼ばれます。
記憶喪失になった人が、エピソード記憶を失っていても、手続き記憶は保たれていることが多いことは、よく知られています。

「プライミング効果」とは、ある事柄が後に続く事柄に影響する効果です。
この効果を遊びに使ったのが、「ピザ」と10回いわせてから、腕のヒジを指さして「ここは?」というアレです。

「ピザ」という言葉がプライミング記憶にあたり、「騙されないぞ」という気持ちで「ヒザ」といってしまうわけです。

2-3. 日常生活で重要な作業記憶

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陳述記憶や非陳述記憶など学術的な記憶の分類とは違いますが、人間は日常生活で「行動しながら記憶する」という作業を繰り返してします。
これが、「作業記憶」、または「ワーキングメモリ」と呼ばれるものです。

たとえばデスクワークを同時進行させたり、上司からほかの作業をたのまれて処理した後に、すぐ前の作業の続きができるのは、作業記憶があるからなのです。

ところが、このメモリは意外と容量が小さくて、外づけで容量を増やすことなどはできませんから、複数の事を記憶しながら上手くこなすマルチタスクは、なかなか難しいのです。

通常の人間が同時にできる作業記憶は3つまでといわれており、ワーキングメモリがオーバーフローしてしまうと、何から手をつけてよいかわからない状態になってしまいます。
作業記憶は、加齢の影響を受けやすいという特徴があります。

2-4. 印象記憶と具象記憶

インパクトやメリハリによって印象を操作すれば、短期記憶を長期記憶として定着させやすくなるわけですが、イメージには「印象」だけでなく「具象」というものもあります。
具象とは、「はっきりしている」という意味です。

物事を考えたり、誰かのことを思い描いたりするときに、顔や氏名や職業など具体的な内容が明確に残っている記憶を「具象記憶」、漠然とした雰囲気だけが残っている記憶を「印象記憶」といいます。

具象記憶が入力された情報がそのまま残っている本来の記憶であるのに対して、印象記憶は情報の入力にともなう二次的な感覚や余韻が残ったものです。

誰かに会ったときに聞こえていた音楽であったり、その場の温度、匂いなども印象記憶の情報です。
印象記憶をうまく使えば、具象記憶を効率よく定着させることができるのです。

 

3. 記憶を定着させる3つの力

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記憶を定着させる能力を高めて、記憶力を低下させないためには、短期記憶に「強烈な印象」「重要という認識」「反復性」という要素を与えて、記憶の倉庫に入れればいいわけです。

そのために意識して高めたいのが、「覚える力」「忘れない力」「思い出す力」という3つの力です。

3-1. 「覚える力」を高める

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記憶を定着させる第一段階ともいえる「覚える力」は、まず、その情報に関心をもつことが重要です。

しかし、興味のないことには、なかなか関心が高まりません。
その場合には、対象となる情報を、興味をもっていることに関連づけて覚えると効果的です。

また、そのときに興味がない情報でも、いずれ必ず役に立つと考えて覚えようとする前向きな姿勢も、記憶力を低下させないコツです。

3-1-1. 空想で印象を強化する

豊かな想像力も、情報の印象を高めて、重みをつけることにつながります。

覚えたい事柄を誇張したり、自由に空想したりして、インパクトとメリハリをつけるのです。
そして、想像は1回だけで終わらさずに3回は反復して、深く空想の世界に踏み込むことにより、記憶を定着させやすくなります。

3-1-2. 感情や情緒をすり込む

物事を覚えるときに、感情や情緒を一緒に添付すると、印象記憶と具象記憶がセットになって定着します。
情報は、感動が加わることによって深い領域の記憶となります。

誰かのことを覚えるときに、単に名前と顔を覚えようとするのではなく、愛着や滑稽など自由な感情を付加して記憶するのです。

そのためには、日頃から豊かな感性や、感情を表現するレパートリーをもっていることが大切です。
付加する感情は、あくまでも自分の中で強い印象になることが目的ですから、実際には覚える対象と無関係でも問題ありません。

3-2. 「忘れない力」を高める

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記憶を定着させる第二段階となる「忘れない力」を高めるためには、自分がもっている似た情報との違いを明確にしながら覚えることと、覚えたことを早めに思い出して確認し、反復によって短期記憶から長期記憶へと移行させることがポイントとなります。

そのほか、「忘却」を食い止めるために、次のような記憶保存術も有効です。

3-2-1. パターン化やイメージ化する

1回記憶した事柄を何かの折々に思い出して、感情や情緒を埋め込み、さらにパターン化したりイメージ化したりすることで、その情報は深い領域の長期記憶となります。

よくいわれるのが、1日1日の体験を水晶のような「玉」や、DVDディスクとして頭の中に保存する方法です。

保存した情報はそのまま蓄えておくのではなく、思い出して活用するために、玉やディスクはいつもどれかを引っ張り出して磨くのです。

今日1日の情報と、先週や1カ月前の玉を比較してみたり、数年前のディスクを並べてみたりして、そこにまた感情や情緒を埋め込んでいくのです。

また、イメージをスケール変換するのも記憶の定着に有効です。
1枚の写真を記憶に定着させるのと、その写真に写っている実際の景色を記憶に定着させるのでは、異なる記憶倉庫が使われます。

この性質を利用して、複雑な事柄を単純化したり、逆に単純な事柄に意味を持たせたりすることによって、記憶を定着させることができるのです。

3-2-2. 記憶の倉庫を3Dにする

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いろいろな記憶を定着させる「記憶の倉庫」を3Dのイメージ空間にすると、記憶力の低下を防ぐことができます。

職場でもプライベートでもいいので、自分の周囲を360度見回して、どういう人が何人いるのか、どこに何が置かれているのかといった状況を頭に入れます。

次に目を閉じて、今、頭に入れた空間を心の中に描き、自由にその中を動いてみます。
部屋であれば、反対の方向から見たイメージなども描いてみます。
空想の世界ですから、天井から見下ろしたり、床から見上げたり、ビルの窓の外から眺めたりすることも可能です。

こうして頭の中に3Dの空間をつくる訓練をすると、いろいろなことを覚えるときにリアルなイメージ空間が描けるようになり、そこに記憶を定着できるようになっていきます。

3-3. 「思い出す力」を高める

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記憶は、覚えて保存するだけでなく、思い出せなければ意味がありません。

過去に記憶した知識や情報を思い出せないと、記憶力が低下したと思いがちですが、思い出す力を高めれば、保存されている情報にアクセスすることができるのです。

過去に記憶した知識や情報が思い出せなくなることには、覚えるときにインパクトやメリハリが足りなかったために検索できなくなっているか、関連付けが不足しているためにどこに記憶があるのかわからなくなっていて、その領域にアクセスできない、といった理由があります。

3-3-1. 飛び石ファイル検索法

1日前、3日前、5日前といった飛び石の情報を思い出す訓練が、過去の記憶を思い出す力を高めてくれます。

その日に何があったか、ひとつずつ思い出して、関連づけやイメージ化などをしていくのです。
離れている領域に格納された情報を検索する練習です。

1日前、3日前、5日前に慣れてきたら、1カ月前、3カ月前、5カ月前、さらに1年前、3年前、5年前と、記憶の倉庫がある領域を変えていきます。

このようなイメージトレーニングは、思い出す力が高まってくることを実感できます。
空想を楽しみながら続けることがコツです。

3-3-2. 思い出の写真を見る

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長期記憶となっている「思い出」を活用して、記憶力の低下を防ぐことができます。

よい思い出となっている写真を部屋のところどころに配置しておくと、事あるごとに写真が目に入り、思い出が活性化します。

過去のよい思い出を繰り返し回想することにより、空間的な認識力やパターンの判断力を高めることができるのです。
こうした、思い出を活性化させるトレーニングは、老化の防止にとても有効です。

 

まとめ

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記憶力の低下を防ぐためには、自分が何のためにその情報を記憶するのか、何のために情報を収集しているのかといった、生きていく上でのテーマのようなものを明確にする必要があります。

それが明確になっていれば、情報の取捨選択ができますから、記憶力も効率よく働かせることができるのです。

脳の神経細胞は、年齢に関係なく訓練すれば増えるという研究発表がつい最近ありました。
ですから、何歳になっても生きているテーマを明確にして、記憶を定着させる訓練をすれば、記憶力の低下を防ぐことは可能なのです。

【参考資料】
・『記憶力の科学』 柿木隆介 大和書房 2015年
・『記憶力がいままでの10倍よくなる法』 栗田昌裕 三笠書房 2011年

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