疲れの正体がわかる10の真実-最新科学に基づいて疲れをとる方法

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疲れがとれなくて悩んでいる人は多いですよね?

「疲れ」は「疲労」と同義語であり、「筋肉や神経を使いすぎたことによって、身体的、あるいは精神的パフォーマンスが低下した状態」を意味します。
英語では、“fatigue”や“tiredness”という言葉で表され、“tiredness”はちょっとした疲れ、“fatigue”のほうが強度の疲労というニュアンスで使われます。

昔から、いろいろな疲労回復の方法が語られてきましたが、そうした方法を日常生活に取り入れても、疲れがとれない人が多いのです。

なぜかといえば、疲れをとる方法が間違っているから。
最新の科学では、精神的疲労だけでなく身体的疲労も、脳内で起こっていることがわかっています。
ですから、疲れをとろうと思ったら、脳のケアが必要になるのです。

ここでは、科学的に解明された「疲れ」の正体を解説し、その事実に基づいた疲労回復法をいくつか紹介します。


目次

1. 科学で解明されてきた疲れの正体
① 疲れの正体は脳の疲労だった!
② 自律神経のダメージを知らせるサイン
③ 疲労感をもたらす活性酸素と疲労因子

2. 最新科学に基いて疲れをとる方法
④ 疲れた脳を食事で回復させる
⑤ 「ゆらぎ」で疲れやすい体質を変える
⑥ 疲れた時はインドアですごす
⑦ 冷房はつけたままで寝る
⑧ 疲れる階段よりエスカレーターを使う
⑨ 疲れ目は自律神経を整えて治す
⑩ ながら仕事でワーキングメモリを鍛える

まとめ

1. 科学で解明されてきた疲れの正体

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1日の仕事が終わって家に帰ると、身体がだるい、肩がこる、首筋が張る、頭が重い、腰が痛いといった症状が出て、疲れを感じるという人も多いでしょう。

こうした疲れは、医学的に見ると、「これ以上、筋肉や神経に負荷をかけ続けると、身体に問題が起こりますよ」というアラームです。
疲労感は、生物が生命維持のために身体の状態や機能を一定に保とうとする働きである、「ホメオスタシス(恒常性)」のひとつなのです。

疲れの正体を見極めるにあたって、ひとつ知っておかなければいけないのは、「疲労」と「疲労感」は違うということです。
疲労感を感じない疲労というものもあり、これはアラームがない状態で筋肉や神経を使い続けてしまうので、過労死につながる危険があります。

ホメオスタシスのひとつである疲労感を発生させる要因や、身体が疲労するしくみを解説していきましょう。

① 疲れの正体は脳の疲労だった!

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日本において科学的に疲労を解明する研究は、1991年から「抗疲労プロジェクト」という名称で行われてきました。

抗疲労プロジェクトでは、人の身体が疲労を起こすメカニズムが解明されました。
これまで肉体的な疲労と精神的な疲労は、別の原因で起こると考えられてきましたが、どちらも脳で起こっていることがわかったのです。

日常生活で肉体的疲労を感じている場合でも、肉体そのものは疲労してないことがほとんどで、疲れているのは、脳の中にある自律神経中枢(自律神経をコントロールしているところ)であることが判明しています。

自律神経は、呼吸や心拍、血液循環、消化、体温など、生命維持に必要な機能をコントロールしている神経システムです。
交感神経と副交感神経の2つからなり、一方が優位になるともう片方が機能を低下させるという関係にあって、常に両方が40~60%の割合で機能しながら、ホメオスタシスを維持している状態が健康とされます。

この自律神経のバランスが崩れて、自律神経中枢が疲労することが、「疲れ」の正体だったのです。

② 自律神経のダメージを知らせるサイン

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日中、優位になる交感神経は、動物であれば獲物をハンティングする闘争モードをつくり出すものですから、自律神経中枢の脳細胞は、フル回転で最大のパフォーマンスを発揮しようとします。

呼吸や心拍、血液循環は促進され、瞳孔は開き、汗腺の分泌が盛んになります。
消化吸収機能は抑制されて、唾液や涙の分泌は減少します。

一方の副交感神経は、夜間優位になってリラックスモードをつくり出します。
交感神経と反対の働きをして、脳の神経細胞も活性を落とします。

自律神経中枢が疲れるのは、交感神経の優位な状態が続いて、休息や睡眠をとらなかったときなのです。
ですから、副交感神経が優位な状態を増やせば、日常の疲れは軽減することができます。

疲れてボーっとする、頭痛やめまい、眠気、耳なり、火照りがあるという状態は、自律神経がバランスを崩しているサインであり、この状態が続くと、自律神経失調症という病気になってしまいます。

「飽きる」「疲れる」「眠くなる」は、脳疲労の三大サインといわれます。
最初に現れるサインである「飽きる」状態になったら、休息をとって脳疲労を悪化させないようにしましょう。

③ 疲労感をもたらす活性酸素と疲労因子

「運動をすると筋肉に乳酸が溜まって疲労を起こす」という考えは、間違いであったことがわかっています。
乳酸は疲労物質ではなく、むしろエネルギー源として代謝され、疲労を軽くする働きがあることも判明したのです。
乳酸が増えても筋肉の酸化は起こりません。

それでは何が疲労感をもたらしているのかというと、脳内でも筋肉でも内臓でも、活性酸素が疲れの直接の引き金になっていることがわかったのです。

体内で酸素が使われると必ず発生する活性酸素は、強力な酸化作用をもっており、細菌やウイルスを殺して免疫力を維持するのに欠かせない物質です。
しかし、紫外線を浴びたり、自律神経を酷使したりするだけで増えてしまう活性酸素は過剰な状態になりやすく、そうなると強力な酸化作用によって正常な細胞を酸化させてしまいます。

体内でもっとも活性酸素の攻撃を受けやすいのは、脳内でエネルギーをつくっているミトコンドリアという物質で、自律神経の細胞内でミトコンドリアが酸化してしまうと、自律神経は本来の働きができなくなってしまうのです。

活性酸素が細胞を疲労させると、細胞内から老廃物が排出されて「疲労因子FF」が発生。
FFとは“fatigue factor”の略で、疲労因子FFが増えることによって、「疲れている」という感覚が生じるのです。

また体内には、疲労因子FFを中和して活性酸素の影響をやわらげる「疲労回復因子FR(fatigue recovery factor)」があって、疲労回復を助けますが、疲労回復因子FRの働きには個人差が大きいこともわかっています。

 

2. 最新科学に基いて疲れをとる方法

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自律神経は、自分で意識してコントロールできるものではありません。
しかし、リラックスすることによって副交感神経を優位にしたり、運動をすることによって交感神経を優位にしたりすることができます。

日常生活の中で毎日繰り返している食事、睡眠、運動、仕事などで、自律神経を整えて疲れを予防し、回復させる方法をいくつか紹介していきましょう。

④ 疲れた脳を食事で回復させる

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抗疲労プロジェクトでは、一般的に疲労回復に効くとされていた、果物や野菜に含まれるビタミンCや、うなぎなどに含まれるタウリンなど、23の成分について研究が行われました。
ポイントは、疲労と疲労感の両方を軽減させる効果です。
疲労感がなくなっても脳疲労が残っていては、根本的な解決になりません。

その結果、「クエン酸」「コエンザイムQ10」「リンゴポリフェノール」「イミダペプチド」という4つの成分に疲労回復効果があることが実証されました。

中でもずば抜けて疲労回復効果が高かったのが「イミダペプチド」です。
「イミダゾールジペプチド(略してイミダペプチド)」は、鶏のむね肉やササミに多く含まれている酵素成分で、脳内で悪影響を与える活性酸素を無力化する抗酸化作用が非常に高いことが判明したのです。

イミダペプチドは、鳥が羽を動かす筋肉に豊富で、渡り鳥が小さい体で長距離を飛び続けることができるのは、イミダペプチドの抗酸化作用によって細胞の酸化を防いでいるからなのです。

イミダペプチドは加熱しても変質しないので、鶏むね肉は焼いても炒めても高い疲労回復効果が得られます。
しかし、煮たりスープにしたりすると、成分が溶け出すことを忘れないでください。

イミダペプチドは、鶏もも肉、豚肉や牛肉、回遊魚のカツオなどにも含まれていますが、鶏むね肉であれば、1日に100g食べることで効果的な量が摂取できます。

⑤ 「ゆらぎ」で疲れやすい体質を変える

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脳疲労を軽減する環境として注目されたのは、「ゆらぎ」のある空間です。

森林浴が体にいいのはマイナスイオンのおかげだという説が広まりましたが、実はマイナスイオンという言葉は和製英語であり、科学的根拠のないものなのです。

森林浴で体験できる木漏れ日や小川のせせらぎ、小鳥のさえずりなどは、一定の平均値から微妙にずれた、ある程度の「不規則な規則性」をもった現象で、こうした現象を「ゆらぎ」と呼んでいます。

人間の身体は常にゆらいでおり、自然界のゆらぎと呼応することによって心地よさを感じます。
ゆらぎの環境に置かれると、休息モードに入って副交感神経が優位になり、ストレスや疲労が軽減されるのです。

人間は無意識のうちにゆらぎを求めて、環境に変化をつくろうとします。
とくに日本人は古来、ゆらぎを大切にする暮らしをしてきました。
しかし、現代の洋式家屋やオフィス空間は、利便性と省エネを重視したものになっているので、生活の中にゆらぎをつくることが求められるのです。

⑥ 疲れた時はインドアですごす

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「休日は気分転換にでかける」という人は、多いのではないでしょうか。
疲労回復に効果的な休息のとり方を考えてみましょう。

アウトドアで過ごすのは、気分をリフレッシュできるかもしれませんが、疲労回復に効果的とはいえません。

自分の家(ホーム)と比較して家の外はアウェイであり、人の目にさらされて、いつ不測の事態が起こるかわかりませんから、無意識のうちに緊張状態になります。
これは、交感神経が優位になり続けることを意味します。

たしかに、目的地に着いて雄大な景色を眺めたり、ゆらぎの空間に身を置いたりすることは脳疲労を軽減させる効果が望めます。
しかし、往復の移動では緊張状態が続き、脳を疲れさせてしまいます。

とくに遠出や、初めて行く場所は、疲れているときには避けたいものです。
疲れたときの休日は、インドアでリラックスし、副交感神経を優位にさせるような過ごし方が効果的なのです。

筋肉疲労には、ゴロゴロして過ごすよりも軽めの運動をして体を休ませる「アクティブレスト」が効果的といわれます。
リラックスしながら近所をウォーキングしたり、ストレッチをするといいでしょう。

⑦ 冷暖房はつけたままで寝る

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快適な睡眠は、疲労回復に欠かせない要素です。
寝室の照明やカーテン、寝具などを工夫して、寝やすい環境をつくりましょう。
ここでは、快眠のコツである室温コントロールについて解説します。

夏の熱帯夜や、真冬の凍るような晩は、冷暖房をつけっぱなしで寝るという人と、寝る前にエアコンを切る、タイマーを設定して寝るという人がいます。
冬は布団を1枚増やせば、暖房がなくても大丈夫になるかもしれませんが、夏は苦労するものです。

暑くて寝苦しい夜も、部屋が乾燥するから、温度が下がりすぎるから、という理由でエアコンを切って寝る人が多いのです。

ところが、疲労回復を意図するのであれば、エアコンはつけっぱなしで寝たほうがいいのです。
寒ければ皮膚や血管が収縮して緊張状態になり、暑ければ発汗するので、両方とも交感神経の活性を上げることになります。

熱帯夜にエアコンを効果的に使うポイントは3つ。
・除湿機能をうまく使って、体感温度が25~26度くらいになるようにする。
・一晩中エアコンを切らず、風を直接体に当てないようにして扇風機を使うのもよし。
・下半身を温かくし、上半身を涼しくする。

室温を変化させないことが、自律神経を乱さないコツです。

⑧ 疲れる階段よりエスカレーターを使う

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ストレスや疲労を軽減する生活習慣として、適度な運動も欠かせません。
しかし、「適度な運動」とはどのような運動なのでしょう。

科学的に解明されている、疲れにくい身体をつくる運動とは、日常生活の中で毎日歩くことや、ウォーキングなどの軽い運動です。

にわかに信じがたいかもしれませんが、ジョギングや筋力トレーニングなどの本格的な運動は、身体を疲労させて老化を進める行為なのです。
激しい運動は体内で活性酸素が過剰発生するので、疲労と老化の原因になるのです。

医師が生活習慣として運動をすすめるのは、体重増加や筋肉の衰えを防止するためである場合が多く、体重コントロールができていて、ある程度の筋力が維持できていれば、身体に大きな負荷をかける運動をする必要はありません。

疲労や老化という面でいえば、運動のやりすぎはマイナスです。
階段を上がるような負荷のかかる運動はせずにエスカレーターを使いましょう。
老化を防ぐためには、適度に歩くことが効果的です。

⑨ 疲れ目は自律神経を整えて治す

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疲れ目が悪化すると、身体のほかの部位にも症状が出る「眼精疲労」という病気になります。
パソコン仕事やスマートホンの常用で、現代は眼精疲労を起こす人が急増しています。

疲れ目や眼性疲労の原因は、自律神経中枢の疲労です。
人間の目は、レンズの役目をする水晶体を厚くしたり薄くしたりすることによって、ピント合わせをします。

水晶体の周りにある毛様体筋という筋肉は、交感神経が優位になると緩んでレンズが薄くなるので遠くにピントが合い、副交感神経が優位になると収縮してレンズが厚くなり、近くにピントが合うしくみになっています。

パソコン仕事やスマートホンの常用は、近くに焦点を合わせ続けることになりますが、仕事中などは本来、交感神経が優位にあるので遠くに焦点を合わせる状態にあるのです。

脳は交感神経が優位な状態にあるのに、目の水晶体には副交感神経が優位であるという信号を送ることになり、その結果、自律神経中枢は混乱して疲労します。
これが疲れ目や眼精疲労の正体なのです。

ですから、仕事中に目の疲れを感じたら、窓の外を見て遠くに焦点を合わせ、自律神経中枢の疲労を軽減して、自律神経のバランスを整えると疲労回復に効果的なのです。

⑩ ながら仕事でワーキングメモリを鍛える

集中するということは、脳の同じ回路ばかりを酷使するので、その部分の神経細胞が活性酸素に攻撃されて酸化してしまいます。
これは、脳の疲労につながります。

現代の一般社会において、仕事に求められるのは集中力より、複数のことを同時にこなすマルチタスクの能力です。

そこで必要になるのが、ワーキングメモリなのです。
ワーキングメモリは、作業記憶とも呼ばれ、リアルタイムでインプットされる情報を処理しながら、過去の記憶と結びつけて複数のことを同時に行う、脳のシステムです。

何かデスクワークをしていて、急に上司から別の仕事を頼まれたときに、それを済ませてまた元のデスクワークを続行できるのはワーキングメモリの働きです。

仕事の疲労を軽減するためには、集中することよりも、注意をうまく分散して複数の事を同時に処理する能力を高めたほうがいいのです。

そのためには、学生時代には悪いこととされた「ながら勉強」ならぬ、「ながら仕事」を積極的に行って、最小の疲労で同じ効果を上げられる習慣を身につけましょう。

 

まとめ

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疲れの正体が脳疲労であることがわかれば、脳疲労を軽減する生活習慣の重要性もわかりますね。

ここでは脳の疲労、とくに自律神経中枢の疲労をメインにして対処法をいくつか紹介しましたが、筋肉の疲労を直接回復させる対処法も同時に行うことによって、効果は倍増します。

交感神経が優位な状態が続き、筋肉が緊張して収縮すると血行が悪化し、老廃物や二酸化炭素が排出できなくなって、こりや痛みを感じるようになります。

こりや痛みといった疲労感は、このまま活動を続けてはいけませんというサインですから、休憩をとってストレッチやマッサージをしたり、熱をもっている場合以外は温めて血行を促したりして、筋肉の疲労を回復させましょう。

そこで、自律神経を整える対処を同時進行させることが大事です。

【参考資料】
『なぜあなたの疲れはとれないのか?』 梶本修身著 ダイヤモンド社 2017年
『すべての疲労は脳が原因』 梶本修身著 集英社 2016年 
『すべての疲労は脳が原因 2』 梶本修身著 集英社 2016年 

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