心理カウンセラーの実態がわかる6つのQ&A‐心をケアする仕事

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企業や学校でメンタルヘルスへの対処が重視されるようになり、メンタルヘルス関連の職種に就きたいと考える人も増えてきました。
その中でも、もっとも注目されているのが「心理カウンセラー」です。

ここでは、心理カウンセラーになりたい、心理学とはどのようなものか知りたいという人のために、6つのQ&Aという形で心理カウンセラーの実態を解説します。

心理カウンセラーとは、簡単にいうと「心のケアをする仕事」。

まずは、職業としての心理カウンセラーに求められる要素や役割を解説。
次に、心理カウンセラーのラインセンスの種類と概要。
そして、「心理職」と呼ばれる、心理カウンセラーの職場の実態。

後半は、心理学の学び方、心理学のいろいろな分野、心理カウンセラーが行う心理療法の概要を解説します。

目次

1. 心理カウンセラーの仕事とは?
2. 心理カウンセラーの資格は?
2-1. 基本とされる検定と資格
2-2. 主な民間資格
3. 心理カウンセラーの職場は?
3-1. 医療分野の心理職
3-2. 教育分野の心理職
3-3. 司法分野の心理職
3-4. 福祉・公衆衛生分野の心理職
3-5. 産業分野の心理職
3-6. 研究分野の心理職
4. 心理学の学び方は?
5. 心理学の分野にはどのようなものがある?
6. 心理療法とはどのようなもの?
まとめ

1. 心理カウンセラーの仕事とは?

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心理カウンセラーとは、心理的に不調をきたしているときや、自分だけでは解決できそうにない悩みを抱えたときに、心理面からサポートしてくれるスペシャリスト。
具体的には、「うつ」「ひきこもり」「不登校」「PTSD」「摂食障害」といった心のトラブルや悩みを抱えているクライアント(相談者)に対して、心理カウンセリングを行います。

「心理カウンセラー」「カウンセラー」「心理療法士」「サイコセラピスト」の明確な分類はありません。
「心理療法」を英語で「サイコセラピー」といいます。

一般的には、言語的アプローチによってクライアントを援助するのが「心理カウンセラー」で単に「カウンセラー」と呼ぶこともあり、言語的アプローチに加えて、より医学的な心理療法や精神療法を用いるのが「心理療法士」「サイコセラピスト」とされます。

現在、心理カウンセラーとして活動している人は、大きく分けて次の3つのタイプに分類されます。

① 大学や大学院で心理学を学び、臨床心理士に代表される資格を取得し、心理カウンセラーとして活動している人で、もっとも多いタイプといえます。

② 企業や団体に属していて、学会や協会が開催する講座を受けて資格を取得し、心理職として活動する人で、カウンセリングの知識を本業で活かします。

③ ひと通りの心理学の基礎知識を身につけて、資格の有無に関係なく活動する人で、人生経験を活かしながらカウンセリングします。

いずれのタイプも、心理学の専門知識を基にクライアントの心の問題解決を援助するのですから、プロとしての実力が求められることに変わりはありません。

2. 心理カウンセラーの資格は?

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心理カウンセラーと名乗ること自体に、資格は必要ありません。
名刺に「心理カウンセラー」と書いて、今日からカウンセリングをはじめることもできます。
実際に、資格を持たなくてもプロの心理カウンセラーとして活躍している人は少なくありません。

しかし、仕事としてのカウンセリングを考えて「心理職」と呼ばれる職業に就きたいのであれば、各職種によって必要とされる資格があります。

2-1. 基本とされる検定と資格

その基本とされるのが、日本心理学諸学会連合が認定する「心理学検定」。
心理学検定に合格すると、現在55の心理学関連団体が加盟する日本心理学諸学会連合の指導目標をクリアしたことになり、2級以上の合格者は、学会への入会や資格取得というメリットも生まれます。

さらに心理カウンセラーの多くが取得する二大資格と呼ばれるのが、1988年に創設された日本臨床心理士資格認定協会が認定する民間資格の「臨床心理士」と、2017年に施行された公認心理師法に基づく国家資格の「公認心理師」です。

日本初となる心理職の国家資格として認定された「公認心理師」の資格を取得するためには、大学の心理学部や心理学科で国が定める科目を修得した後、指定大学院で国が定める科目を修得するか、大臣が制定する省令で定められた施設で2年以上の実務経験を積んで国家試験を受けなければいけません。
公認心理師は、今後、活躍の場が広がっていく資格として注目されています。

2-2. 主な民間資格

各分野の心理学関連団体や協会などが認定する、心理カウンセラー関連の資格は、100種以上に及びます。
ここでは代表的なものを9種ほど紹介しましょう。

① 臨床心理士
臨床心理士は、文部科学省が認可した日本臨床心理士資格認定協会が行う審査で認定される資格。
臨床心理学の知識と技術に基づいた実践によって、いろいろな心の問題を解決に向けて援助します。
協会の認定を受けた大学院修士課程を修了するか、臨床心理士養成にかんする専門職学位過程を修了しなければ、受験資格を得られません。

② 認定カウンセラー
日本心理カウンセリング学会によって認定される資格で、個人だけでなく集団や組織の成長と問題発生の予防に重点が置かれています。
一般の受験者は、日本心理カウンセリング学会に入会後2年以上経過し、同学会の「認定カウンセラー養成カリキュラム」で210時間以上学習をしていることなどが条件となります。

③ 交流分析士
交流分析士には、日本交流分析学会が認定する資格と、日本交流分析協会が認定する資格の2種類があり、どちらも、社会の中で個人が成長し変化することを目的とした「エリック・バーンの理論」が基盤にあります。
学会認定の資格は正会員として3年が経過していることが条件の書類審査、協会認定の資格は講座を受講してからの試験によって取得できます。

④ 家族相談士
家族カウンセリングは、60年ほど前にアメリカで生まれた家族への心理的援助理論。
家族の中で起こる様々な葛藤や混乱を鎮めるため、また、家族関係の調整のために家族カウンセリングを行う家族心理士は、日本家族心理学会と日本家族カウンセリング協会が専門団体として認定するもので、研究実績や臨床経験が認められた者や養成講座を修了した者が認定試験を受験できます。

⑤ 産業カウンセラー
働く人の心理的問題を自らの力で解決できるように援助する産業カウンセラーは、日本産業カウンセラー協会が認定し、上位の資格であるシニア産業カウンセラーもあります。
産業カウンセラーの受験資格は、満20歳以上で、協会の養成講座を修了することが条件。
また、就職や転職に悩むクライアントを支援する「キャリアコンサルタント」は、2016年に国家資格となった資格で、日本産業カウンセラー協会の講習を修了すると受験資格が得られます。

⑥ 教育カウンセラー
教育カウンセラーは、「教育の荒廃と混迷を癒すものは心理療法家ではなく、心のふれあいをもてる教育者である」という理念の下に発足した、日本教育カウンセラー協会が認定する資格。
教員としての実践歴2年以上が受験資格の条件とされる「初級」、5年以上の中級、7年以上の上級という3つのランクがあります。

⑦ 心理相談員
厚生労働省が、労働安全衛生法に基づいて推進してきた「トータルヘルスプロモーションプラン(THP)」の一環として、1988年から導入されたストレス対策(メンタルヘルスケア)の担い手として設定されたのが心理相談員。
中央労働災害防止協会が実施する専門研修を受講して登録すると資格が取得できます。
企業と契約している医療法人のスタッフが取得しているケースが多いといわれます。

⑧ 認定心理士
大学の心理学部以外で心理学を学んでも、授業に「心理学」という名称がつかないために、心理学の技能がわかりにくいケースがあります。
こうした場合でも、心理学の標準的基礎学力と技能を修得しているスペシャリストとして認めるのが、日本心理学協会が認定する認定心理士で、申請して認められれば、心理職に就く際に有利です。

⑨ 学校心理士
学校心理士は、学校という領域で発生する、いじめ、不登校、学級崩壊といった子どもが抱える心の問題を解決する援助を行います。
申請によって学校心理士認定運営機構が認定する資格で、2011年には上級資格として学校心理士スーパーバイザーが設定されました。

3. 心理カウンセラーの職場は?

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心理職の分野は、「医療」「教育」「司法」「福祉・公衆衛生」「産業」「研究」の6つに分かれています。
心理カウンセラーがそれぞれの分野でどのような活躍をしているか、必要とされる資格などを解説しましょう。

3-1. 医療分野の心理職

医療機関で心理職が置かれるのは、総合病院の精神科、精神神経科、心療内科、神経科など、さらにメンタルクリニックや精神病院などがあります。
心理職をどうとらえるかは、それぞれの医療機関の方針で定められ、仕事の内容や職域、待遇には差があります。

関連する資格は、臨床心理士、公認心理士、精神保健福祉士、認定心理士、認定カウンセラー、精神対話士など。

3-2. 教育分野の心理職

「スクールカウンセラー」は、主に小中高の学校において、児童や生徒、保護者にカウンセリングを行ったり、教員のサポートを行ったりする心理職。
文部科学省では、臨床心理士の資格取得を条件のひとつとしていますが、地域によっては学校心理士の資格でよいところ、大学院で心理学を専攻して臨床経験が2年以上あれば資格がなくてもよいところがあります。

学校では、スクールカウンセラー以外にも自治体から派遣されて相談室で児童や生徒の相談にのる相談員がおり、こちらは必要な資格や条件がありません。

関連する資格は、公認心理士、臨床心理士、学校心理士、教育カウンセラー、スクールカウンセラー、認定カウンセラー、交流分析士、家族相談士など。

3-3. 司法分野の心理職

司法分野では、犯罪者や非行少年に対して面接、観察、保護、検査などを行って、社会復帰のサポートをする心理職があります。
主な職種は、家庭裁判所の「家庭裁判所調査員」、少年鑑別所、少年院、刑務所の「法務技官」、保護観察所の「保護観察官」、ほかに警察関連機関の「研究員」や「少年補導員」など。

これらの職種は公務員ですから、まず公務員試験を受けて各省庁に採用されなければいけません。
関連する資格は、公務員採用試験、公認心理師、臨床心理士、応用心理師、認定心理師
認定カウンセラーなど。

3-4. 福祉・公衆衛生分野の心理職

この分野の心理職は、児童相談所、児童養護施設、精神保健福祉センター、老人福祉施設、リハビリテーションセンター、知的障碍者援護施設、女性相談センターなどで、「心理認定」「カウンセリング」「訓練指導」を行います。

職種では、相談嘱託員、ソーシャルワーカー、不登校専任相談員、非常勤職員、児童自立支援専門員、福祉行政職、心理判定員などがあります。

関連する資格は、公認心理師、臨床心理士、精神保健福祉士、認定心理師、社会福祉士、精神対話士など。

3-5. 産業分野の心理職

企業で働く人々に対して、心身の健康維持をサポートする心理職の代表が「産業カウンセラー」です。
保健室や医務室に併設されたカウンセリングルームでカウンセリングを行ったり、企業に付属する診療所が担当したりする心理職で、最近では社外のカウンセリング会社と契約し、派遣されるプロのカウンセラーが相談を受ける企業も増えています。

関連する資格は、産業カウンセラーそのもの以外に、臨床心理士、公認心理師、交流分析士、キャリアコンサルタントなどがあります。

3-6. 研究分野の心理職

研究分野の心理職には、大学で教員として臨床心理学の講義をしたり、臨床心理学の研究をしたりするケースと、大学内の相談機関でカウンセラーとして勤務するケースがあります。
大学によっては、学生相談室のほかに地域住民を対象とした相談室を設けているところもあり、カウンセラーを目指す大学院生が実習の一環としてカウンセリングを行っているケースもあります。

関連する資格は、公認心理師、臨床心理士、大学の教員や研究員など。

4. 心理学の学び方は?

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心理カウンセラーに必要とされる心理学を学ぶためには、「短大で学ぶ」「大学で学ぶ」「大学院で専門的に学ぶ」「専門学校で学ぶ」「通信教育で学ぶ」という方法があります。

少数ですが心理学を学べる短大があり、2年間で心理学の基礎が学べるので、時間的だけでなく経済面でも魅力を感じる人が多くなっています。
短大では基礎知識の習得が中心になるので、4年制大学へ編入してさらに学ぶ方法も。

心理学は科学的根拠に基づく「心と行動の科学」ですから、文系と理系の中間に位置する学問だといえ、近年は、心理学の近接領域を学ぶ社会科学領域や自然科学領域などを新設する大学が増えています。
こうした学科では科目に「心理学」という言葉が入っていないケースもあるので要注意。

心理カウンセラーを目指す人にとって、大学卒業後に大学院で絞り込んだ専門分野を学ぶことは大きなメリットとなります。
また、社会人や昼間の通学ができない人は大学の通信教育で学ぶ手段もあります。

5. 心理学の分野にはどのようなものがある?

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心理学の分野は、日本心理学会が5つの部門に分けて設定した17の領域があり、日本心理学諸学会連合が実施している心理学検定では、さらに細かく10部門に24の領域が設定されています。

大きく、心理学一般の法則を研究する基礎心理学と、一般的な法則を実際の問題に役立てる応用心理学に分かれ、代表的な分野には次のようなものがあります。
多岐にわたるので、それぞれの分野の概要は専門の記事や書籍を参照してください。

代表的な基礎心理学
「発達心理学」「認知心理学」「社会心理学」「学習心理学」「知覚心理学」「異常心理学」などがあります。

代表的な応用心理学
「臨床心理学」「教育心理学」「産業心理学」「犯罪心理学」「動物心理学」「家族心理学」などがあります。

6. 心理療法とはどのようなもの?

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心理カウンセラーが、心理学の理論に基づいてクライアントを援助する技法を「心理療法」といいます。
実際の現場では200種を超える技法が用いられていますが、代表的なものを6種ほど紹介しましょう。

① 精神分析療法
精神分析の父といわれるフロイトによって創始された古典的な心理療法。
クライアントに思いついたことを自由に話してもらったり、クライアントの見た夢を分析したりして、無意識の領域に抑圧された本能的な部分を解放し、正常な精神活動に転じることを目的とします。

② ゲシュタルト療法
心理学者であり精神科医でもあったユダヤ系ドイツ人のフレデリック・パールズが提唱した理論に基づいた心理療法。
クライアントが、不満をもつ自分、それを非難する自分など、自分の様々な部分を演じることで思いがけない自分に気づくという役割演技の技法を用います。

③ 行動療法
行動療法は、クライアントの心理状態よりも行動の変化を治療の目的とするので、心理療法の中では特殊な技法とされます。
人間は、生まれたときは白紙の状態で、成長の過程でいろいろと色づけされていくと考えるのが特徴。

④ 論理療法
アメリカの臨床心理学者アルバート・エリスによって提唱された心理療法。
クライアントのビリーフ(不合理な思い込みや信念)を探し出して反論し、論理的に説得することにより、プラスの感情を認知できるようにします。

⑤ 家族療法
家族療法は、システム論を基本とした新しい理論による心理療法。
家族をひとつのまとまりをもったシステムとみなし、個人ではなく家族を対象としてシステムの機能不全を解決することにより、感受性の強い家族に起こっている問題行動や症状を改善します。

⑥ クライアント中心療法
「人間は誰でも豊かに成長する資格をもっていて、日々の生活はその成長へと向かうもの」とするアメリカの臨床心理学者カール・ロジャーズの理論が基盤。
カウンセラーには「自己一致」「無条件の肯定的尊重」「共感理解」という3つの態度が必要であると考え、傾聴することを重視して、クライアントが自分の感情の動きを理解できるように促します。

まとめ

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心理カウンセラーになりたいと思っている人にとって、収入面の実態も興味の対象ですよね。

心理カウンセラーは華やかな職業だと思われることも多いのですが、実は心身ともにハードな職業ですから、タフさが求められます。
しかし、その割に収入面では優遇されている職種とはいえないのが現状。
もちろん、職場や職種によって差はありますが、一般的には高収入とはいえない職業なのです。

それでも、カウンセラーになりたいと希望する人が増えているのは、心理学に対する向上心や、人の役に立ちたい、悩んでいる人を助けたいという情熱を大事にしたいと考える人が増えているからだといわれます。
ボランティアとしてカウンセリングを行う高齢者が増えているのも、困っている人の心を援助することが生きがいに感じられるからだといいます。

まずは心理学を学び、そこに本気で打ち込める要素のあることが、資格取得以前にカウンセラーの条件になるといえそうですね。

【参考資料】
・『心理カウンセラーをめざす人の本 ‘20年版』 新川田譲 監修  成美堂出版 2020年
・『心理療法って何? カウンセラーに聞きたいQ&A80』 古澤聖子 著  星和書店 2020年

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