疲れたときに効く10のアクション―ストレスケア、血流改善、栄養補給

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疲れたときにはどう対処していますか?
疲れたら休むのが自然な行為ですから、「休養をとる」ことは誰もがしていることですよね。
さらに、疲労回復の手段をいくつかもっているのではないでしょうか。

何かを食べる、何かをする、あるいは何もしないというように、自分なりの疲労回復手段をもっている人が多いことと思います。

ここでは疲れた時の対処法として、「ストレスケア」「血流改善」「栄養補給」という3つの観点から10のアクションを紹介します。
どれも当たり前のことで、すでにやっているから興味ないなどというなかれ。

医学も栄養学も脳科学も日進月歩なのです。
ここで紹介するのは、最先端の情報ばかりですから、あなたの知らない情報があるかもしれません。
ひょっとしたら、過去の常識で行っている疲労回復法が間違っているものかもしれないのです。

食べ物や飲み物で何を選ぶかという栄養補給の分野を例にあげれば、あなたは、「疲れた時には甘いもの」などと思っていませんか?
疲れた時に食べるものといえば、甘いものやニンニクといった常識は、すでに過去のもの。
最新の科学では疲労回復の常識がどうなっているのか、3つの分野を解説していきましょう。

目次

1. 疲れたときのストレスケア
① 自分にプラス刺激を与える
② 快に没頭する
③ 自律神経を整える
④ 睡眠の質を上げる

2. 疲れたときの血流改善
⑤ ストレッチ
⑥ 軽めの有酸素運動
⑦ リラックスできる入浴

3. 疲れたときの栄養補給
⑧ タンパク質を摂取する
⑨ 良質な脂質を摂取する
⑩ 抗酸化食品を摂取する

まとめ

1. 疲れたときのストレスケア

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疲れる原因のひとつにストレスがあります。

ストレスは精神的なもので、疲労は筋肉に乳酸が溜まることで起こるものという考え方も、現代では通用しません。
そもそも「疲労」という概念において、「精神=脳」と「身体」を分けて考えることはできないのです。

ストレスは、人間が「視覚」「聴覚」「嗅覚」「味覚」「触覚」という五感で外部から受けた刺激に対する脳の反応です。
刺激が電気信号となり、神経細胞を伝わって脳に届くと、扁桃体という部位で「快」か「不快」か、「好き」か「嫌い」かというシンプルな判断が行われます。

ここで「不快」や「嫌い」という判断になると、「辛い」「つまらない」「悲しい」「痛い」「不味い」といったマイナス感情が起こり、同時に脳は防御態勢をとって身体を守ろうとします。
危機に備えて、筋肉を緊張させ、ホルモンの放出によって血糖を高めてエネルギーを確保し、心拍や呼吸を早めて酸素を多く体内に摂り入れようと身構えるのです。

これがストレス反応、いわゆる「ストレス」の正体。
この状態が続けば、脳も身体も激しく疲労することになります。
慢性化すると、様々な病気を引き起こすことに。

疲れたと感じるときのストレスケアで大事なポイントは4つ。
ストレスは逃れられるものではないので、ぜひ習慣化したいことばかりです。

① 自分にプラス刺激を与える

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ストレスの原因となるマイナス感情を起こさせる「不快」な刺激は、自分の意思とは関係なく降り注ぐものですから、なくしたり消したりすることはできません。
不快な刺激を減らす環境をつくることはできても、まったくストレスのない生活はありえないのです。

マイナスの感情を忘れようとすれば、原因になっている不快な刺激を思い出すことになるので、余計にストレスを溜めてしまいます。
「忘れようとしないで忘れる方法」があればいいわけですね。

難しく聞こえるかもしれませんが、実はそうでもありません。
自分の脳が「快」の感情を生む刺激を五感に与えてやるのです。
「心地よい」「楽しい」「うれしい」「気持ちいい」「美味しい」といったプラスの感情が起こると、マイナスの感情を忘れることができるのです。

自分にプラスの刺激を与えること。
これが、ストレスケアの「神髄」であり、「必殺技」です。
マイナスの刺激は勝手に降り注ぐものですけども、プラスの刺激は自分で積極的に増やせるという特徴があります。

心地よいこと、楽しいこと、好きなこと、美味しいものを食べること、などを積極的に行えばいいのですから、難しいことではありません。
誰でも、「不快」な感情よりも「快」の感情の方が好きですよね。

② 快に没頭する  

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自分にプラス刺激を与えて疲れを癒すという行為は、誰もが自然に行っているはずです。
疲れた時に読む本、疲れた時に聴く音楽、自分を癒したい時に観る映画などというものが、ひとつやふたつはありますよね。

この「自分にプラス刺激を与える手段」は、多ければ多いほど、いろいろな状況に対応して疲れを癒すことができます。
趣味は多い方がいい、好きなものは多いほうがいい、といわれるのは、こういう効果があるからなのです。

心地よいこと、楽しいことをするときに重要なのは、没頭すること。
時が経つのも忘れてしまうような「快」が大事なのです。
温泉につかったりマッサージを受けたりして、時を忘れる。
登場人物に自分を重ねて、本のストーリーに没頭する。
美しい景色を見て、何も考えずにただ感動する。

このような、没頭できる物事を増やすことが、疲労回復のカギとなるのです。

③ 自律神経を整える

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疲労は、筋肉に乳酸が溜まって起こるものと考えられてきましたが、糖質をエネルギーとする無酸素運動で生成される乳酸は、疲労物質ではなく、肝臓でエネルギー源として使われる大事な物質であることがわかっています。

疲労の正体は、脳内の自律神経中枢域で活性酸素が大量発生することによって生まれる「疲労感」であることがわかりました。
筋肉の疲労と疲労感は別のものであり、「疲れた」ことを意識する疲労感は筋肉ではなく脳で起こっているのです。

自律神経は、心拍、呼吸、血圧、体温、消化吸収といった生命維持に欠かせない身体機能の調節をするシステムで、活動モードをつくる交感神経と、リラックスモードをつくる副交感神経が、常に6:4程度の割合で働いています。

ストレス反応が強くなると、交感神経が優位になり、脳内に活性酸素が増えて疲労感を感じることになります。
ですから、疲れたときには、副交感神経を活性化する対処が大事。
意識的に自律神経のバランスを変えることはできませんが、リラックスすることによって副交感神経を活性化させることができるのです。

④ 睡眠の質を上げる

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睡眠が、脳と身体を休めるための時間だという認識は間違っています。
睡眠中に、脳内では記憶の整理や、活性酸素によって傷ついた細胞の修復が盛んに行われているのです。

睡眠には、「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」という2つの状態があるのですが、この「レム」が意味するのは眼球がグリグリと動く状態のこと。
レム睡眠中は、まぶたの中で眼球がグリグリ動き、脳は活性を高めているのです。

睡眠中に、この脳のリペア作業を十分に行うことで、ストレスを軽減することも、疲れを癒すこともできるのです。

疲労回復効果を高める「質のよい睡眠」のポイントは2つ。
何度も目覚めない深い眠りと、適度な睡眠時間です。

一般的に、レム睡眠とノンレム睡眠は90分程度でワンセットとなり、日本人は5サイクル=7時間半が、平均的な睡眠時間とされています。
それより短すぎても長すぎても、寿命が短くなるという研究結果がありますから、やはり7時間半程度が疲労回復にも効果があるといえるでしょう。

目が覚めるのは、だいたい脳が活性化しているレム睡眠時なのですが、1回目や2回目のレム睡眠で目覚めないような睡眠環境を整えることが、深い眠りをとるコツです。

 

2. 疲れたときの血流改善

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血液は、栄養素や酸素を全身の隅々まで送り届けると同時に、代謝老廃物を回収する働きがあります。

代謝老廃物とは、エネルギーをつくったり、いろいろな部位で必要な物質をつくったりするために体内で行われる分解や合成といった化学反応で発生する不要な物質。
呼吸で発生する二酸化炭素、タンパク質の分解によって発生する尿酸やアンモニアなどの窒素化合物、代謝で使われた酸素が発生させる活性酸素などが代表的なものです。

こうした老廃物がうまく排出されないと、まず「だるい」というサインが出て、それが疲労感に変わるのです。
滞った血流を改善することは、疲労回復に欠かせない要素です。

⑤ ストレッチ

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ストレッチは、筋肉を伸ばして血流を改善する運動。
筋肉は、収縮させることしかできませんから、伸ばすためには、対になっている筋肉を収縮させるか、連携している部位の筋肉を収縮させる必要があり、部位によっていろいろなテクニックがあります。

脳への血流に大きな影響がある首、肩や、全身の筋肉の3分の2がある下半身のストレッチは、疲労回復に即効性があります。
具体的なストレッチのやり方は、専門の記事を参照していただくとして、ここでは、この2つの部位をストレッチする際のポイントだけを紹介しましょう。

首や肩のストレッチで大事なポイントは、肩甲骨の動きをよくすること。
手という重たい部位を支持している肩が乗っている肩甲骨は、胴体から浮いている構造になっているので、大きな負担がかかる部位です。
ヨガでも「肩甲骨はがし」という動作が重視されていますが、首、肩、腕の筋肉を伸ばして、肩甲骨が大きく自由に動くように維持するストレッチが効果的です。

下半身のポイントは、ふくらはぎの筋肉を動かすこと。
ふくらはぎの筋肉は、足に下りた血液やリンパ液を押し上げるポンプとして働きます。
とくに、全身の老廃物を回収して鎖骨の下あたりで静脈と合流するリンパ管には、心臓のようなポンプ機能がないので筋肉がその役割を果たし、中でもふくらはぎには、下半身のリンパ液を押し上げる重要な働きがあるのです。

⑥ 軽めの有酸素運動

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ウォーキングやジョギング、サイクリング、エクササイズなどの有酸素運動は、ダイエットや生活習慣病の予防に効果的な運動として知られてきました。

疲れたときに運動?
そう思ったあなたは、非常に遅れています。
今や、疲れた体は「アクティブレスト(積極的休養)」で回復させるという考え方が常識。
適度な運動をして血流を改善するアクティブレストは、スポーツ界から生まれた疲労回復法です。

アクティブレストでもっとも効果的な運動とされるのは、軽めの有酸素運動です。
かつては、ウォーキングなどの有酸素運動は30分以上続けなければ、脂肪が燃え出さないので効果が出ないなどといわれていました。
しかし、最近の医学や栄養学では、有酸素運動はやりすぎると活性酸素を増やしてしまうので、悪影響を及ぼすといわれているのです。

疲労回復に効果がある軽めの有酸素運動とは、汗をかきすぎず、息が切れない程度の運動。
10~15分程度の軽いウォーキングが、適しているといわれています。

⑦ リラックスできる入浴

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全身の血流を改善する手段として、入浴も欠かせない習慣。
入浴には、副交感神経を活性化させて心身をリラックスさせる効果もあります。
ただし、やり方を間違えると、入浴は逆に疲労を増すこともあるので注意してください。

疲れをとる入浴のポイントは、熱すぎない38~40度くらいのお湯にみぞおちまでつかる半身浴です。

季節によって湯温を調節し、最高でも40度くらいまでに抑え、つかる時間は10分程度が心臓に負担をかけない入浴法。
もっとも気をつけなければいけないのは、冬の時期に多い温度差によるヒートショックです。
冬季は浴室を温めておくようにしましょう。

本を読んだり、スマートフォンをもち込んだりする入浴は、時間が長くなりすぎる傾向があるので気をつけてください。
温度が温めでも長時間の入浴は、血圧が上昇して交感神経を活性化させることになります。

 

3. 疲れたときの栄養補給

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疲れたときに必要なのは、休養と栄養補給。
これは今も昔も変わらない真理です。

栄養を補給する食事の内容によって、寿命まで変わってくるのですから、栄養素にかんする基礎知識は身につけておきたいもの。
ぜひ、栄養素を扱った関連記事をご覧ください。

ここでは、とくに疲労回復に効果がある3つの栄養素を簡単に紹介します。

三大栄養素とは、「糖質」「脂質」「タンパク質」のことで、すべて体内ではエネルギーとなる物質。
糖質は、貯蔵量は少ないのですが燃えやすいので、瞬発力が必要とされるときの短期的なエネルギーとなり、血液中の糖分を調節する働きがあります。

脂質は、十分な貯蔵量と高い熱量があるのでメインのエネルギーとなり、細胞膜の材料となったり脂溶性ビタミンを働かせたりします。
糖質も脂質も余ったものは中性脂肪となり、体脂肪として蓄積するのですが、近年は貯蔵量が少ない割に過剰摂取しやすい糖質が問題視され、糖質制限が普及してきました。

⑧ タンパク質を摂取する

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タンパク質は、摂取すると体内でアミノ酸に分解され、全身に運ばれて細胞やホルモンなどの材料となる重要な物質です。

人間の身体は約60%が水分で、残りの40%をタンパク質と脂肪が9割を占め、残りの1割が元素や食物繊維など。
脂肪を除けば、人間の身体はタンパク質からできているといってもいいのです。

タンパク質がなければ、肌も筋肉も脳細胞も、修復したり新たにつくったりすることができません。
タンパク質がエネルギーとして使われるのは、糖質も脂質も使えないときだけです。

ですから、疲れたときにタンパク質が不足すると、身体のリペアやリカバリーができないので疲労回復しないのです。
「疲れたときには甘いもの」が間違いである理由はここにあります。

かつては、筋肉や脳の栄養となるブドウ糖を摂取すれば元気になると思われていたのですが、現在は糖質過剰が及ぼす血糖値スパイクや中性脂肪過多の方が問題とされ、しかも、体内で糖質が不足したときには脳や筋肉のエネルギーを生成するシステムがあることがわかり、糖質の摂取は必須でないといわれるまでになったのです。

疲労回復だけでなく生きるために欠かせないタンパク質は、肉類、魚類、大豆類、乳製品などからバランスよく十分に摂りましょう。

⑨ 良質な脂質を摂取する

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全身の細胞膜の材料となり、脂溶性ビタミンを働かせる脂質も、疲労回復だけでなく生きるために欠かせない栄養素です。

脂質は、選ぶことがポイント。
良質な脂質とは、常温で液体の不飽和脂肪酸のうち、リノール酸、DHA、EPAなどの「オメガ-3系」と、オレイン酸の「オメガ9系」。

悪玉コレステロールを減らし善玉コレステロールを増やす「オメガ‐3系」は、青魚、亜麻仁油、グレープシードオイル、えごま油などから摂取でき、悪玉コレステロールを減らす「オメガ‐9系」はオリーブオイル、べに花油、なたね油などから摂取できます。

LDLは悪玉コレステロールと呼ばれますが、細胞膜の材料となるコレステロールを全身に運ぶ働きがあり、余ったコレステロールを回収するのが善玉と呼ばれるHDL。
問題は活性酸素によってLDLが酸化することにあるのです。

⑩ 抗酸化食品を摂取する

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有害な細菌やウイルスを殺す免疫力には欠かせない物質である活性酵素は、過剰になると全身の正常な細胞やコレステロールなどを酸化させてしまい、疲労にはじまり、老化やがんなどの病気の原因をつくります。

もろ刃の剣となる物質ですから、人間の身体には活性酸素を除去する抗酸化力があるのですが、とても過剰になりやすい物質なので、それだけでは間に合いません。
そこで、抗酸化成分を多く含んだ食品を食べることで、活性酸素の悪影響を弱める必要が出てくるのです。

代表的な抗酸化成分には、つぎのようなものがあります。
・ビタミンA、C、Eのビタミン系
・β-カロテン、ルテイン、リコピン、アスタキサンチンなどのカロテノイド系
・アントシアニン、イソフラボン、ルチン、カテキンなどのポリフェノール系

近年、渡り鳥の研究から発見されたイミダペプチドも強力な抗酸化成分で、鶏ムネ肉やササミ肉に多く含まれています。
疲れたときには、コンビニで流行りのスイーツを買うよりも、ムネ肉のサラダチキンを買ったほうが効果的だということを覚えておきましょう。

 

まとめ

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ここで紹介した10の対処は、「ストレスケア」「血流改善」「栄養補給」という疲労回復のポイントをかいつまんだものです。

どれも、最新の科学で実証されているものばかりですが、環境や体調には個人差がありますから、自分用にアレンジすることが大事です。

自分なりのプラス刺激であるストレスケア、自分の身体を考えた血流改善、自分に足りない栄養素を補給する食事を検討して、疲れたときに対処しましょう。

 

 

【参考資料】
・『365通りのストレス対処法』 アダム・ゴードン編、山崎氷見子 訳  オークラ出版 2019年
・『最新 ストレッチの科学』 坂詰真二 監修 新星出版社 2017年
・『栄養の基本がわかる図解事典』 中村丁次 監修  成美堂出版 2015年
・『疲れやすい人の食事は何が足りないのか』 森由香子 著  青春出版社 2015年

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