心理カウンセリングを理解する5項目-効果や資格から分野まで

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shutterstock_517028773心理学やメンタルヘルスが注目されていますよね。
なぜかといえば、心理カウンセリングや心理療法を必要とする人が増えているからなのですが、一方ではそうした需要を満たすために、心理カウンセラーになりたいと思う人も増えています。

心が抱える問題は言葉にならないものが多いので、心理カウンセリングは心の声を聴きとらなければいけません。
興味があっても簡単にできる仕事ではないですよね。
まずは、心理カウンセリングがどのようなものかという、概要を知る必要があります。

ここでは、心理カウンセラーになりたいと考える人のために、心理カウンセリングの基本や現状、カウンセリングに必要とされる心理学の主な分野などを解説します。

目次

1. 心理カウンセリングの目的
1-1. 心理療法や精神療法との違いは?
1-2. 心理カウンセラーの3つのタイプ
2. 心理カウンセリングの仕事と現状
2-1. 団体や組織に属するか独立開業か
2-2. 注目されるボランティア
3. 心理カウンセラーの資格
3-1. 民間資格の「臨床心理士」と国家資格の「公認心理師」
3-2. その他の主な資格
4. 心理学の分野
4-1. 心理学の学び方
4-2. 多岐に渡る心理学の分野
5. 心理カウンセリングの基本
5-1. 援助に必要な3条件と2つの基本理論
5-2. 代表的な6つの心理療法
まとめ

1. 心理カウンセリングの目的

shutterstock_672388048現代は、心の負担が大きな時代だといわれます。
引きこもりや不登校、摂食障害、PTSD(心的外傷後ストレス障害)といった心の問題を抱える人間が増えています。

心理カウンセリングは、こうした心の問題を解決するためにあるということは、ご存じですよね。
心理カウンセリングを行うのが心理カウンセラー。
単に「カウンセリング」や「カウンセラー」という場合もあります。

まず、心理カウンセリングの目的やカウンセラーの立場を明確にしておきましょう。

1-1. 心理療法や精神療法との違いは?

「心理カウンセリング」と、「心理療法」や「精神療法」の違いは、心理学専門家の間で議論されてきましたが、いろいろな考え方があって絶対的な定義はありません。

英語で「Counseling(カウンセリング)」は相談や助言、「Psychotherapy(サイコセラピー)」は心理療法や精神療法と訳されます。
心理療法は心理学領域、精神療法は医学領域で用いられることが多い言葉です。

現在、一般的には、クライアント(相談者)の健康面や長所に焦点をあてて、言語的アプローチによって欲求不満状態を解消する援助を行うのカウンセリング。
病的な面に焦点をあて、言語的アプローチに加えて非言語アプローチによる療法も用いながら、ときには無意識レベルにまで掘り下げて除去するのがサイコセラピーとされています。

1-2. 心理カウンセラーの3つのタイプ

心理カウンセラーは、言語的アプローチによってクライアントの心理面をサポートするスペシャリスト。
心にトラブルを抱える相談者に対して、心理的、専門的な援助を行います。
現在、心理カウンセラーとして活躍している人は、3つのタイプに分類されます。

① 大学や大学院で心理学を学び、臨床心理士に代表される資格を取得してカウンセラーとして活動している人。

② 企業や団体に属していて、学会や協会が開催する講座を受けて資格を取得し、心理職として活動する人。

③ 心理学の知識を身につけて、人生経験を活かしながら資格の有無に関係なく活動する人。

いずれのケースでも、心理学を学ぶことに熱意をもっていなければ社会の信用を得ることはできません。

2. 心理カウンセリングの仕事と現状

shutterstock_454811005現在の日本で心理カウンセラーの仕事は、まだまだ多くはありません。
週に1日や半日というパート型の非常勤勤務を掛けもちしているカウンセラーも多く、仕事としては競争率の高い分野です。

常勤で働いたとしても、医療機関の場合は30歳で手取り20万円程度が目安とされていますから、決して高給ではありません。

しかも、プロとしての実力をつけるために欠かせない、研修会や講習会への参加、指導者からの指導を受けるスーパービジョンなどの費用は、非常勤であったらすべて自己負担となり、常勤でもすべて職場からフォローされるとは限らないのです。

やはり、心理学への探求心と、人を助けたいという情熱がなければできない仕事ですね。

2-1. 団体や組織に属するか独立開業か

仕事として心理カウンセラーになる場合、企業や病院などに属してカウンセリングを行うケースと、自ら相談室の看板を掲げて開業するケースが考えられます。

団体や組織の中で行うケースでは、②のタイプであるように、自分の役職やポジションにカウンセリングの知識を活かす場合と、ストレスチェックの実施などにともなって新設された部署で、メンタルヘルスケアの一環として行う場合があるでしょう。

どこの職場にも属さずに私設の相談室を開業する場合には、心理学の知識だけでなくマネジメント能力や人脈も必要とされます。
アメリカでは床屋の数と同じくらいに私設の相談所があるといわれ、資格がなければ開業できません。

日本では開業に資格を必要としませんが、資格があるからといってすぐに仕事として成立するわけではなく、相談室を維持することはとても大変だといわれています。
維持経費を削減するために、都市部では医師と組んだり、グループで相談室を開業するケースも多く、インターネットや電話相談でカウンセリング活動を行う人も増えてきました。

2-2. 注目されるボランティア

近年、ボランティアの心理カウンセリングが注目されています。
ボランティアですから無償です。

相次ぐ災害やいじめ問題などで、心に傷を負った人たちが増える現状を目の当たりにして、「何とか社会の役に立ちたい、困っている人たちの心を楽にしたいという思いが強くなったのに、資格がないからカウンセリングのノウハウがわからない」という人でも、カウンセラーとして仕事をすることが可能なのです。

心に疾患のある人とおしゃべりや軽い運動を一緒にしたり、デイサービスを受ける高齢者の話し相手になったりするカウンセラーが、各地の社会福祉協議会などで募集されています。

また、「いのちの電話」や「自殺防止センター」といった電話相談室で募集しているボランティアでは、研修や訓練を受けてクライアントの相談にのることになります。
報酬は一切なくて、研修費なども自己負担になりますが、相談内容は緊張感のあるものがほとんどですから、カウンセラーとして学べることが大きいといわれます。

3. 心理カウンセラーの資格

shutterstock_1106780153心理カウンセラーになるためには、必ずしも資格が必要ではありません。
資格などなくても優秀なカウンセラーはたくさんいます。

しかし、カウンセリングはクライアントとの信頼関係がなければ成立しない仕事であり、クライアントの信頼を得るための実績として資格が意味をもつこともありますし、心の専門家として社会から認知される看板でもあります。

心理カウンセリングは心理学がベースとなっていますから、日本心理学諸学会連合が認定する心理学検定に合格することが、心理カウンセリングに関するすべての資格の基礎といわれています。

心理検定に合格すると、現在53の心理学関連団体が加盟する日本心理学諸学会連合の指導目標をクリアしたことになり、学会への入会や資格取得というメリットも生まれます。

3-1. 民間資格の「臨床心理士」と国家資格の「公認心理師」

心理カウンセラーや心理セラピストが取得する二大資格が、1988年に創設された日本臨床心理士資格認定協会が認定する「臨床心理士」と、2017年に施行された公認心理師法に基づく国家資格の「公認心理師」です。

臨床心理学を基礎とした知識や技術を用いて心理学的な専門業務を行う「臨床心理士」は、学部や学科を問わずに大学卒業後、指定大学院で教育訓練を受けてから資格認定試験を受けることになります。

戦後から行われていた心理職の国家資格化にかんする議論がやっと実現し、2015年に公認心理師法が成立、2017年に施行されたことにより、日本初となる心理職の国家資格として認定されたのが「公認心理師」。

公認心理師の資格取得には、大学の心理学部や心理学科で国が定める科目を修得した後、指定大学院で国が定める科目を修得するか、大臣が制定する省令で定められた施設で2年以上の実務経験を積んで国家試験を受けなければいけません。
国家資格である公認心理師は、今後、活躍の場が広がっていくことが予想されています。

3-2. その他の主な資格

企業で働く人を対象とした心理カウンセリングにかんする資格には、就職や転職の相談などを行う国家資格である「キャリアコンサルタント」、日本産業カウンセラー協会が認定し、働く人の心理的問題を自らの力で解決できるように援助する「産業カウンセラー」などがあります。

いろいろな分野や領域の心理学関連団体、協会などが認定する資格はなんと100種類を超えます。
代表的なものをいくつか紹介しましょう。

・認定心理士
日本心理学協会が認定する資格で、心理学部以外で心理学を学んだ場合でも心理職に就くことを目的とした資格。

・認定カウンセラー
日本心理カウンセリング学会が認定する資格で、個人だけでなく集団や組織の成長と問題発生の予防に重点を置くのが特徴。

・心理相談員
厚生労働省が推進する「トータルヘルスプロモーションプラン(THP)」の一環として、1988年から導入されたストレス対策(メンタルヘルスケア)の担い手となったのが心理相談員。

・家族相談士
家族の中で起こる様々な葛藤や混乱を鎮めるため、また、家族関係の調整のために、家族カウンセリングを行うことを目的とする家族心理士は、日本家族心理学会と日本家族カウンセリング協会が専門団体として研究を行っている分野。

・交流分析士
交流分析士には、日本交流分析学会が認定する資格と、日本交流分析協会が認定する資格の2種類があり、どちらも、社会の中で個人が成長し変化することを目的とした「エリック・バーンの理論」を基盤とする。

・学校心理士
いじめ、不登校、学級崩壊などで子どもが抱える心の問題を解決するために援助する学校心理士は、学校心理士認定運営機構が認定し、2011年には上級資格として学校心理士スーパーバイザーが設定された。

・教育カウンセラー
「教育の荒廃と混迷を癒すものは心理療法家ではなく、心のふれあいをもてる教育者である」という理念の下に発足した、日本教育カウンセラー協会が認定する資格。

4. 心理学の分野

shutterstock_1455473372心理カウンセリングの基盤である心理学について、ここでは簡単に解説しておきましょう。
一歩踏み込んだ知識を求める方は、当サイトの「概要の理解に必要な心理学の用語30-代表的な6つの領域と研究」などをご覧ください。

4-1. 心理学の学び方

心理学を学ぶためには、「短大で学ぶ」「大学で学ぶ」「大学院で専門的に学ぶ」「専門学校で学ぶ」「通信教育で学ぶ」という方法があります。

心理学を学べる短大は少数ですが、2年間で心理学の基礎が学べるので時短であると同時に経済面でも有利です。
短大で基礎知識を学び、4年制大学へ編入する方法も。

心理学は「心と行動の科学」ですから、社会科学領域や自然科学領域など心理学の近接領域を学ぶことが望ましく、近年はそうした近接領域も含んだ学部や学科を新設する大学が増えています。
短大もそうですが、科目に「心理学」という言葉が入っていないケースもあるので、よく確認することが大事。

心理カウンセラーを目指す人であれば、大学卒業後に大学院で絞り込んだ専門分野を学ぶことも大きなメリットとなります。

4-2. 多岐に渡る心理学の分野

心理学の分野は、心理学一般の法則を研究する基礎心理学と、一般的な法則を実際の問題に役立てる応用心理学に分かれます。

日本心理学会では、5つの部門に分けて17の領域を設定。
日本心理学諸学会連合が実施している心理学検定では、さらに細かく24の領域が10部門に設定されています。

代表的な基礎心理学には、「発達心理学」「認知心理学」「社会心理学」「学習心理学」「知覚心理学」「異常心理学」などがあり、代表的な応用心理学には、「臨床心理学」「教育心理学」「産業心理学」「犯罪心理学」「動物心理学」「家族心理学」などがあります。

5. 心理カウンセリングの基本

shutterstock_584253658心理カウンセリングの基本的な理論と実践にあたって行われる心理療法について簡単に解説しましょう。
心理療法とは、心理学の理論に基づいてクライアントを援助する技法で、実際にカウンセリングの場で利用されるものは200種類を超えるといわれています。

心理療法をすべてマスターすることなど、いかに優秀なカウンセラーでも無理ですが、多くの心理療法を知ることによって、実践の幅を広げることができます。
ほとんどの療法に共通するのは、クライアント自身が自分で解決することが最善で、カウンセラーは共に考えながらそれを援助するという認識です。

5-1. 援助に必要な3条件と2つの基本理論

どの心理療法にも共通する、3つの大前提とされるものがあります。
① クライアントが「何を言っているか」ではなく、「何を言わんとしているか」を理解できなければいけない。

② コミュニケーションにある「内容」「プロセス」という2つの側面を総合して、理解が進んでいくこと。

③ 部分的な理解ではなく、周辺の状況まで含めて考えなければ、その人の問題を理解したことにはならない。

また、2つの基本的なカウンセリング理論として、「クライアントを理解するための理論」と、「カウンセリングの方法論」が必要とされます。

5-2. 代表的な6つの心理療法

① 精神分析療法
精神分析の父といわれるフロイトによって創始された古典的な療法で、クライアントの無意識の領域に抑圧された本能的な部分を解放することによって、正常な精神活動に転じることを目的とします。

② ゲシュタルト療法
心理学者であり精神科医でもあったユダヤ系ドイツ人のフレデリック・パールズが提唱した理論に基づき、クライアントが、不満をもつ自分、それを非難する自分など、自分の様々な部分を演じることで思いがけない自分に気づくという役割演技の技法を用います。

③ 行動療法
人間は生まれたときは白紙の状態で、成長の過程でいろいろと色づけされていくと考え、クライアントの心理状態よりも行動の変化を治療の目的とするという、心理療法の中では特殊な技法。

④ 論理療法
アメリカの臨床心理学者アルバート・エリスによって提唱された心理療法で、思い込みや信念を「ビリーフ」と呼び、クライアントのビリーフを見つけて反論し、論理的に説得することにより、プラスの感情を認知できるようにします。

⑤ 家族療法
家族をひとつのまとまりをもったシステムとみなし、個人ではなく家族を対象としてシステムの機能不全を解決することにより、感受性の強いメンバーに起こっている問題行動や症状を改善します。

⑥ クライアント中心療法
「人間は誰でも豊かに成長する資格をもっていて、日々の生活はその成長へと向かうもの」とするアメリカの臨床心理学者カール・ロジャースの理論の下、カウンセラーには「自己一致」「無条件の肯定的尊重」「共感理解」という3つの態度が必要でありと考え、傾聴することを重視しています。

まとめ

shutterstock_130668242心理カウンセリングを学びたいけれど、なかなか時間が自由にならない、スクールなどがそばにないという人は、通信教育がおすすめです。

通信教育は意思を強くもたないと最後までやり通すのは難しく、それだけではカウンセリングの技法まで学ぶことはできませんが、自分のペースでカウンセリングの基本を学ぶことができます。

一例をあげると、生涯学習のユーキャンで行っている「生活心理講座」は、一括払い35000円、分割は月々2980円×12回(ともに税込み)という料金で心理学の基本を学ぶことができます。
キャリアカレッジジャパンでは、心理学・カウンセラー関連で17もの通信講座があり、「メンタル心理カウンセラー」講座は、通常価格36000円(税別)、Web価格26000円(税別)で受講できます。

ほとんどの通信講座は無料で資料請求できますから、比較検討して自分に合った講座を見つけてください。
* 料金は、2020年2月1日現在のもの

【参考資料】
・『基礎から学ぶ心理療法』 矢澤美香子 編  ナカニシヤ出版 2018年
・『心理カウンセラーをめざす人の本 ‘19年版』 新川田譲 監修  成美堂出版 2019年

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