アナウンサーの話し方に学ぶ5つの基本-信頼される心の伝え方

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「自分の心を伝える力」を高めることができたらいいと思いませんか?

ここでは、話し方のプロであるアナウンサーの本や動画から、心を伝える話し方の基本を5つの視点でまとめてみました。

「どうやって声を出せばよいのか」という発声法
「どのように話せば効果的か」という話す力
「どのように言葉を選べば効果的か」という表現力
「どうすれば、よりよいコミュニケーションがとれるか」という伝達力
「どうやって相手の話を聞けばよいのか」という聞く力

心を伝える力は、これら5つの力がバランスよく働かなければ発揮できません。
それぞれの力を働かせるために基本となるポイントをピックアップしましたので、ぜひ参考にして、相手の信頼を勝ち取れるような心の伝え方を身につけてください。


目次

1. 発声法の基本
1-1. 正しい姿勢を身につける
1-2. 表情筋を鍛える
1-3. 安定した呼吸法を身につける

2. 話す力の基本
2-1. 「高低」「緩急」「強弱」「間」を意識する
2-2. 語尾をあいまいにしない
2-3. 話し方のクセを直す

3. 表現力の基本
3-1. 聞く人を心づかう言葉選び 
3-2. 気持ちが表れる助詞に注意する
3-3. 豊かなボキャブラリーを身につける

4. 伝達力の基本
4-1. コミュニケーションの基本は挨拶
4-2. 相手の心を読み取る心づかいと気配り
4-3. 緊張をほぐす柔軟な受け答え

5. 聞く力の基本
5-1. 相手7割、自分3割
5-2. 相手の話は最後まで聞く
5-3. 「あいづち」と「うなずき」

まとめ

1. 発声法の基本

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アナウンサーの方々は、みな立派な発声法を身につけていますが、見えないところで日々の訓練が繰り返されていることは、容易に想像がつきますよね。

アナウンサーのように相手の心に響いて安心感を与える声は、一朝一夕にして身につくものではありません。
しかし、発声法の基本を身につけることによって、ほかの4つの力を底上げすることができるのです。

多くのアナウンサーが「よい声」には、「心技体」が必要だといっています。
技術を習得するだけではだめで、心と体の調子を整え、発声にかかわる体内の器官を適切に使うことが求められるということです。

この点を意識しながら、3つのポイントを理解しましょう。

1-1. 正しい姿勢を身につける

テレビ朝日の人気番組「ワイド!スクランブル」の新聞記事紹介コーナー「夕刊キャッチUP」を16年間担当し、現在はフリーアナウンサーとしてだけでなく、講義も人気を呼んでいる佐々木正洋さんは、「明るく元気に姿勢を正すこと」が、言葉を伝える技術の「基本中の基本」だといっています。

アナウンサーが開く講座や話し方教室では、声を出しやすい姿勢とは、首や肩の力を抜いてリラックスし、上半身を起こして立ち、肺から口まで1本の管のようになる姿勢だと教えます。
これは、難しい姿勢ではありません。

リラックスして姿勢を正せば、声は出やすくなるのです。

1-2. 表情筋を鍛える

発声のトレーニングとして必ず行われるのが、表情筋をほぐすストレッチ。
顔には20以上の筋肉があって、様々な表情をつくり出すと同時に、声を明るくはっきりさせる働きをしています。

表情筋を鍛えるもっとも簡単な方法は、口角を「ニーッ」っと上げて笑顔をつくること。
笑顔をつくると、表情筋の動きを脳が察知して幸福感を生み出す効能もあります。

アナウンサーが行っている表情筋をほぐすストレッチで代表的なものは、目と口を顔の中心に集めて5秒したらパッと脱力、左目に集めて脱力、右目に集めて脱力、最後にまた中心に集めたら「ムンクの叫び」のように顔を縦に伸ばすというもの。

口を大きく動かして「お」と「あ」を繰り返したり、「う」と「い」を繰り返すのも、よく知られるストレッチです。

1-3. 安定した呼吸法を身につける

声をつくりだしているのは、肺にある空気。
空気をたっぷり吸い込まなければ、いい声は出せません。

アナウンサーが、最初に学ぶのが腹式呼吸だといわれます。
日常の無意識な呼吸は胸式呼吸で、肺の下にある横隔膜を下げて行っています。
呼吸が浅くて回数が増えるのが特徴。

一方、腹式呼吸は、お腹に空気を吸い込むイメージで横隔膜を上げる呼吸です。
腹式呼吸の方が多くの空気を取り込めて、横隔膜を上げることによって副交感神経を刺激するので、リラックスできるという効果もあります。

腹式呼吸の基本は、お腹をへこませながら、口で「フーッ」と大きく息を吐き切り、鼻からゆっくり息を吸うという動作。
6秒か8秒ずつ程度で繰り返していると、心身がリラックスしてくるのがわかるはずです。
声だけでなく、心にも体にもよい影響が表れるので、ぜひ、腹式呼吸を身につけましょう。

 

2. 話す力の基本

アナウンサーがトレーニングして身につけるのは、「よい声」の次に「よい話し方」です。

「よい話し方」とは、自分の声を活かして心を伝え、相手に好感を与える話し方。
アナウンサーが大切にしている「話し方のテクニック」から、基本的なものを紹介しましょう。

2-1. 「高低」「緩急」「強弱」「間」を意識する

「高低」とは、声の音程の高さと抑揚。
「緩急」とは、話すスピードやリズム。
「強弱」とは、声のボリュームの大きさ。
「間」は、言葉を発するタイミング。

アナウンサーは、この4つのポイントを調節して状況に応じた話し方をつくり出します。

日常生活における話し方も、音の高低や大小、スピードや間を調節することで、言葉をよりよく相手の心に伝えることができます。

高い声は、明るさや元気のよさを印象づけるでしょう。
スピードが速ければテキパキとした印象、ゆっくりとすれば安心感を与えることができます。
また、大きな声は力強さ、小さな声はやさしさを感じさせます。
さらに、強調したい言葉の前か後ろに適度な間を入れると効果的ですね。

2-2. 語尾をあいまいにしない

アナウンサーが意識して気をつけていることのひとつに、「語尾まではっきり話す」というポイントがあります。

最後まではっきり話すことが、相手の心まで言葉を届けるコツ。

「〇〇だと思うのですが……」「〇〇かもしれませんねえ」というように、話の最後をあいまいにしてしまうと、自分の気持ちをはっきり伝えることはできませんが、「です」「ます」としっかり締めくくることで、意思が明確になるのです。

断定したくないときでも、「〇〇だと思います」「〇〇ではないでしょうか」というように最後は引き締めましょう。

語尾が引き締まることで、具体性が高まって話全体の印象がよくなり、好感を与えることにもなります。
語尾を伸ばさないことや、語尾の音を下げて終えるということも、アナウンサーが印象をよくするために気をつけている話し方のポイントです。

2-3. 話し方のクセを直す

話し方のクセは、聞く人に不快感を与えてしまうことがあるので、アナウンサーは徹底的に直します。
言葉の頭に「あのー」「えー」が頻繁についたり、語尾を「〇〇ではありませんか?」「こう思いません?」というように上げたりするクセは、テレビに出ている人たちにもよくありますよね。

「基本的に」「そもそも」といった言葉で話しはじめるクセや、「とても」「かなり」「本当に」を多用してしまうクセのように、気に入った言葉を多用しすぎるのも不快感を与える要素。

アナウンサーの場合は、研修などで直されますが、通常はなかなか自分で気づけませんから、自分が話しているところをスマートフォンなどに録音して確認するといいでしょう。

 

3. 表現力の基本

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アナウンサーが話し方のプロたる所以は、正しい発声や原稿をしっかり読める能力以外に、自分が言いたいことを状況に応じて変換する「表現力」にもあります。

基本は、「聞く人に好感を与える、わかりやすい言葉を使う」こと。
言葉の選び方にも、プロのテクニックがたくさんあるといわれますが、代表的なポイントを紹介しましょう。

3-1. 聞く人を心づかう言葉選び 

コミュニケーションの効果は言葉の受け手が決定するもので、それはアナウンスでも同様。
同じことを伝えるのでも、どういう言葉を選ぶかで印象が変わります。

言葉の受け取り方は人それぞれ違いますから、「誰にでもわかりやすく、できるだけやわらかい表現を選ぶこと」が言葉選びの基本。

「問いかけ」と「念押し」の違いは、アナウンサーが会話で気をつけるポイントのひとつだといいます。

何かを説明した後に、「わかりましたか?」と聞く「念押し」は相手に不快感を与えてしまいがちですが、「わかりますよね?」とやさしく問いかければ、相手の気持ちに寄り添った印象になります。

3-2. 気持ちが表れる助詞に注意する

「が」「の」「を」「に」「へ」「から」といった助詞の使い方は、表現力の大事なポイントです。

「水が飲みたい」
「水を飲みたい」

この2つを比較すると、「が」を使った場合は、いろいろある飲み物の中でも「水」が飲みたいという気持ちが表れますよね。

「先日、友人に会いました」
「先日、友人と会いました」

この2つの言い方には、偶然に会った可能性が高いか、意識的に会った可能性が高いかという違いがあります。

助詞の使い方を間違えると言葉の印象がまったく変わってしまうので、アナウンサーが常に気をつけているポイントです。

3-3. 豊かなボキャブラリーを身につける

ボキャブラリーを活かした繊細な言葉選びも、アナウンサーの表現力には欠かせません。

細かいニュアンスや微妙な感情を伝えることができる日本語を自在に使うためには、日頃から豊かな表現に触れて、ボキャブラリーを増やすことが大事。

もっとも効果的なのは読書だといわれますが、多くのアナウンサーは、自分でボキャブラリーを増やすトレーニングをするといいます。
よく聞くのが、何かを表現するときに、あえて制限を設けて言葉選びをする訓練。

野に咲く花を見ながら、「きれい」という言葉を使わずにその美しさを表現してみる。
美味しい料理を食べたとき、3分以内にできる限り多くのパターンで表現してみる。
日頃から、こうしたトレーニングをして、ボキャブラリーを磨いているのです。

 

4. 伝達力の基本

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アナウンサーの仕事には、インタビューや対談のように、話す相手を目に前にして行う会話もあります。

ここで重要なのは、コミュニケーションの要となる伝達力です。

4-1. コミュニケーションの基本は挨拶

佐々木正洋さんは、コミュニケーションの基本は「挨拶をする」ことだといっています。

近所の人でも職場の人でも、顔を合わせたら、笑顔で「おはよう」「こんにちは」と言えるようになること。
これが、人間関係のはじまりです。
この入り口がしっかりできなければ、コミュニケーション力も、伝達力も発揮することはできません。

挨拶には、人と人との距離を縮めるという効果以外に、自分の存在を認められたいという人間の本能を満たす効果もあるといいます。
まず、挨拶をしっかりして、言葉を伝える状況をつくるわけです。

4-2. 相手の心を読み取る心づかいと気配り

佐々木さんは、2002年に著した本『ちょっとしたコツで誰でも「上手な話し方」が身につく―テレビ朝日アナウンサーの企業秘密公開! (実業之日本社)』で、聞き上手になることとともに、相手を知る気配りが重要だと書いています。

相手の立場に立った言葉選びと、相手の気持ちを想像する心づかいが会話の重要なポイントであることは、多くのアナウンサーが指摘するところ。

これは、相手の言葉の奥にある感情を感じ取って、言葉選びや話し方を相手に合わせるということです。
明るく元気に話している人が、本当は辛くて、その辛さをまぎらわすためにわざと明るくふるまっていることだってありますよね。

相手がなぜそういう言葉を選んだのか、なぜそんな態度になっているのかといった気配りを欠かさずに会話ができれば、伝達力は向上します。

4-3. 緊張をほぐす柔軟な受け答え

「お手数ですが」「恐れ入りますが」「差支えなければ」「もし、よろしければ」といったクッション言葉を柔軟に使い分けることも、アナウンサーが身につける伝達力の大事なポイント。

クッション言葉を使うことで、相手の緊張をほぐし、余計なストレスをかけずにすみますから、角を立てずに会話を進めることができます。

最初に安心感を与えてから話を進めたい場合には、結論を先に話す方法も使い分けます。

 

5. 聞く力の基本

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アナウンサーには、「話す力」とともに「聞く力」も必要です。

会話はキャッチボールのようなものですから、ただ相手の話を聞いているだけではなく、相手の話を聞いて考え、言葉を発したら、また相手の話を聞いて考えるという繰り返しが必要なのです。
その基本は、「まず、相手の話をじっくり聞くこと」にあります。

5-1. 相手7割、自分3割

佐々木さんは、コミュニケーション力を高めるポイントとして、相手の話を聞く割合が7割で、自分が話すのは3割程度という意識をあげています。

相手に集中して言葉を選ぶことも重要で、集中すれば相手の話をよく聞こうという姿勢になりますから、必然的にそういうバランスになってくるといいます。
そして、お互いにこのバランスを意識することが、会話を盛り上げる秘訣だともいっています。

ここに、相手に対する気づかいや心配りが添えられると、コミュニケーション能力はさらに高まっていくはずです。

5-2. 相手の話は最後まで聞く

プロのアナウンサーは、相手の話をさえぎることをしません。

これは、相手に不快感を与えない会話のマナーでもありますが、結論から話して、わかりやすく解説を述べる人もいれば、話をだんだんと深めていき、最後に核心へと迫る人もいますから、誰の話も最後まで聞くのです。

最後まで相手の話に耳を傾けると同時に、自分の思い込みや自分だけのモノサシで相手の話を解釈しないことも大事です。

5-3. 「あいづち」と「うなずき」

相手が、「自分の話に集中してくれている」という感覚をもつ「あいづち」や「うなずき」を適度に入れることも、会話を展開させるテクニックのひとつです。

アナウンサーが気をつけるのは、連発して嫌味にならないようにすることと、気持ちが入っていないうなずきで相手に不快感を与えないようにすることだといいます。

相手が自信の強いタイプや話し方の早いタイプであったら、できるだけあいづちは控えて軽くうなずく程度、逆に自信があまりなさそうなタイプや、ゆっくり話すタイプであったら、感想や質問を盛り込んで長めのあいづちを打つのが、プロの技。

「それは素晴らしいですね。それでその後はどうなったのですか?」と、あいづちに質問をプラスするというテクニックも使います。

まとめ

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ここで紹介した「発声法」「話す力」「表現力」「伝達力」「聞く力」という5つの基本にプラスして、アナウンサーの話し方に重要なのが「共感力」という力です。

初対面の相手と会話をすることがわかっているときは、相手の情報をできるだけ多くインプットしておくといいます。
相手の家族構成や出身地、趣味や好きな食べ物など、様々な情報を集めて、その中から自分との共通点や共感点を絞っておくのです。

会話の中に、こうした共感ポイントをさりげなく織り込むことが、相手の心を開くカギになるといいます。

こうした、プロのアナウンサーの話し方に学ぶテクニックには、ビジネスやプライベートであなたの存在を一変させる要素があります。

こちらの記事で紹介した元テレビ朝日アナウンサー佐々木正洋さんのアドバイスをもっと詳しくお聞きになりたいという方は、フォレスタのアプリコンテンツもぜひチェックしてみてください。

アプリコンテンツでは、「アナウンサーの共通点」や「コミュニケーション力の高め方」などを動画でご覧いただけます。

フォレスタアプリ>心理・コミュニケーション>話し方のコツ

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【参考資料】
・『はじめの1分で信頼を勝ち取る声と話し方』 テレビ朝日アスク 著  学研プラス 2018年
・『言葉の温度 話し方のプロが大切にしているたった1つのこと』 馬場典子 著  あさ出版 2018年
・『ちょっとしたコツで誰でも「上手な話し方」が身につく―テレビ朝日アナウンサーの企業秘密公開!』 佐々木正洋 著   実業之日本社  2002年

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