5つの習慣で頭が良くなる方法-何歳になっても脳は活性化する

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「頭が良くなる」とは、科学的にいうと脳機能が活性化すること。
そこで、ここでは脳機能を活性化させる方法を紹介します。
それも、難しい訓練や勉強ではなくて、習慣として簡単に身につけることで脳機能が活性化する5つの方法です。

近年の脳科学では、記憶と深くかかわっている脳の海馬という部位の神経細胞は、年齢に関係なく増え続けるということがわかっています。
「生まれつき頭が良くないから」「もう歳だから」、という理由で頭を良くすることをあきらめる必要はないということですね。

それなのに、物忘れが多くなったり、何かを覚えることが苦手になってしまったりするのは、神経細胞が増え続けている脳を活かせていないから。
脳の働きを阻害する要因が増えてしまうからです。

脳がきちんと働ける状態にすれば、頭は良くなるのです。
ここでは「記憶術」「睡眠術」「ストレスケア」「食生活」「運動習慣」という5つの習慣で脳を活性化する方法を解説しましょう。

頭が良くなる記憶術

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「頭の良さ」と直結する「記憶力」は、そのメカニズムを知ることによって誰でも高めることが可能です。

人間の脳は、これだけ科学が発達した今でも、その働きの全てが解明されているわけではありません。
しかし、多くの研究や調査によって、どのようにして記憶が保持され定着するのかということがある程度わかってきました。

ここでは現在の脳科学で定説とされる記憶のしくみを解説し、記憶力アップの方法を紹介します。

記憶のメカニズムを理解する

人間が外界から受け取る情報は、「視覚」「聴覚」「嗅覚」「味覚」「触覚」という五感からインプットされ、電気信号となって神経細胞を伝わり、脳へと伝わります。

脳ではそれぞれの感覚に対応する部位で信号の処理が行われて、その情報が集められて保持されるのが「海馬」という部位。
これが「短期記憶」と呼ばれる記憶で、多くは数秒から数分で忘れられていきます。

短期記憶を保持するメモリ容量はそれほど多くないために、忘れることによって新たな情報が保持できるようになると考えられているのですが、長いものでは数日間覚えており、忘れてしまったと思っている情報も潜在的には1カ月程度まで保持されているといわれます。

短期記憶の中から選ばれた情報だけが、大脳皮質という部位に貯蔵され、一般的にいうところの記憶として定着することに。
これが「長期記憶」と呼ばれるもので、年単位で覚えており、中には生涯忘れない情報も生まれます。

短期記憶を長期記憶に変える方法

短期記憶の中から選ばれた情報だけが長期記憶として残るのですから、意識的に短期記憶を長期記憶に変えられれば、記憶力は高まることになります。

短期記憶が長期記憶に変わる条件は3つ。
① 強烈な印象がともなったこと
② 重要だと感じていること
③ 反復されたこと

この中でもっとも効果的であり、誰もが行っている方法は「反復学習」です。
東大で多くの学生に実践されているという反復学習法は、まず学習した翌日に復習をし、それから1週間後に2回目、さらにそれから2週間後に3回目、そしてその1カ月後に4回目の復習をするというもの。
海馬が短期記憶を潜在的に保持している1カ月間に、ゆっくりと記憶を定着させるわけです。

記憶にかかわる3段階の精神活動

頭の良さに欠かせない要素として、記憶している情報を「想い出す」ことがあげられます。
記憶は、必要なときに必要な情報を想い出せなければ意味がありません。

① 覚えること(入力)
② 忘れないようにすること(保持)
③ 想い出すこと(再生)

記憶にはこの3段階の精神活動がともなわなければ、頭を良くする方法にはつながらないのです。

記憶は、大脳皮質の神経細胞同士がつくり出す無数のネットワークに保持されると考えられており、想い出すこと(再生)によって、また新たなネットワークが構築されるので、その情報はますます定着することになります。

物忘れが多くなるのは、長期記憶となった情報を忘れてしまったわけではなく、引き出せなくなっているだけ。
どんな記憶でも、反復して想い出す習慣をつくることで、頭は良くなるのです。

頭が良くなる睡眠術

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頭が良くなる方法としてあげる2つ目の習慣は、睡眠です。

脳はもちろん身体の一部ですから全身の健康に左右され、そうした意味でも質のよい睡眠をとることは大事ですが、頭を良くすることと睡眠にはさらに深いかかわりがあります。

記憶は寝ている間に定着する

短期記憶が長期記憶として大脳皮質に定着する効率は、寝ている間がもっともよくなるといわれています。

中学生や高校生が試験勉強をするときに、徹夜をするより眠ったほうがいいとされるのはそのため。
内容を覚えたい本は、寝る前に読むのが効果的なのです。

眠っている間に脳はエネルギーを大量に消費して情報処理をせっせと行っています。
また寝ている間に脳が収縮し、そのすき間を体液が流れて老廃物などを排出することもわかっています。

質のよい睡眠が頭を良くする習慣として欠かせない理由は、ここにあります。

レム睡眠とノンレム睡眠を理解する

質の良い睡眠をとるためには、寝具を考えたり、照明や部屋の環境を整えたりすることが重要だといわれますよね。

そうした環境的なこと以外に重要なのが、寝るタイミングと起きるタイミング。
人の眠りは一般的に、「ノンレム睡眠」の後に数分の短い「レム睡眠」があるという90分程度のサイクルを繰り返しています。
レム睡眠の「レム」とは、眼球がグルグル動く状態を意味し、身体は眠っていても脳が起きている浅い眠りなのです。

深い眠りをとるためには、1度目や2度目のレム睡眠で目覚めないようにすることが大事。
そして、4回目(約6時間)か5回目(約7時間半)のレム睡眠で目覚めるようにすると、スッキリ気持ちよく起床できて、疲れが取れると同時に脳内の情報処理も十分に行われることになります。

睡眠ホルモンを増やす方法

睡眠に欠かせない、眠りを誘発するホルモンが「メラトニン」。

メラトニンは朝起きてから14時間後に分泌がはじまるよう、体内時計にセットさせているのですが、加齢とともに量が減少していき、若くても不健全な生活によってうまく分泌されなくなります。

睡眠の質を上げるためには、メラトニンの分泌を増やす必要があり、そのために効果的なのが材料となる「セロトニン」を増やすこと。

セロトニンは、神経細胞と神経細胞の間で信号を伝える神経伝達物質のひとつで、昼間にリラックスする時間をつくることで増やせます。
また毎朝、朝陽を浴びることによって、24時間よりも少し長いとされる体内時計をリセットし、セロトニンの分泌を促すこともできます。

頭が良くなるストレスケア

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3つ目の習慣は、ストレスケアです。
ストレスが脳に悪い影響を与えることは、誰でも知っていますよね。

人間関係の問題や仕事の悩みは社会人のストレスをもたらす要因として知られますが、今やストレスは大人だけのものではなくて、小学生でも悪影響を受けることがわかっています。

年齢に関係なく心(脳)と身体に悪影響を与えるストレスのメカニズムを知れば、頭を良くするためのセルフケアができるようになります。

ストレスのメカニズムを理解する

ストレスは、五感で受けた刺激が脳に伝わって起こる感情によって生まれます。
不安、辛い、悲しい、痛いといったマイナスの感情が起こると、脳は自分を守ろうとしてホルモンを分泌し、心拍や呼吸を活性化して筋肉を緊張させ、血圧を上げて危機に備えるのです。

これが「ストレス反応」と呼ばれる防御反応で、この状態が続くと筋肉の血流が悪化して身体は疲労、当然、脳にも悪影響を及ぼし、さらに負担が大きくなれば心と身体に病気をもたらすことに。

ストレスのもとになっているマイナスの感情を忘れられればいいのですが、忘れようとすればマイナスの刺激や感情を思い出すことになるので、よけいにストレスを溜めてしまうのです。

脳を委縮させるストレス

膵臓から分泌されて血糖値を下げる「インスリン」というホルモンは、よく耳にしますよね。

インスリンと相反する働きをして生命維持に役立っている「コルチゾール」というホルモンがあります。
左右の腎臓の上にある副腎という器官から分泌されるコルチゾールは、ストレス反応によって分泌量が増えてしまうので「ストレスホルモン」とも呼ばれます。

近年、このコルチゾールが、短期記憶の貯蔵庫である海馬を委縮させることがわかりました。
ストレスは血流を悪化させて脳機能を低下させるだけでなく、脳を委縮させてしまうのですから、ストレスケアは頭を良くする重要な習慣でもあるわけです。

快の感情でストレスケア

セルフストレスケアでもっとも簡単な方法は、プラスの感情を起こすこと。
「心地よい」「楽しい」「うれしい」「美味しい」といったプラスの感情が沸き起こると、脳はマイナスの感情を忘れてしまうのです。

マイナスの感情を起こす刺激の多くは意識と関係なく降り注ぐのに対し、プラスの感情が起こる「快」の刺激は、積極的に増やすことが可能。
心地よいことや楽しいことをしたり、美味しいものを食べたりすればいいのです。

さらに頭を良くするポイントは、没頭すること。
時間の経つのも忘れて熱中してしまう趣味、気持ちよく緊張した筋肉をほぐすマッサージやストレッチなどが、ストレスを忘れさせてくれます。

頭が良くなる食生活

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脳は身体の一部ですから、食生活の見直しで頭を良くすることが可能。
脳を活性化させる食生活とはどのようなものか、解説していきます。

三大栄養素と呼ばれる「糖質」「脂質」「タンパク質」はどれもエネルギー源となり、その働きを助ける「ビタミン」「ミネラル」を加えて五大栄養素と呼ばれること、さらに「食物繊維」が第6の栄養素と呼ばれていることをおさえておきましょう。

糖質だけではない脳のエネルギー源

かつては脳のエネルギーとなるのは糖質だけだと考えられていました。
「朝は糖分を摂らないと頭が働かない」「甘いものを食べると脳が活性化する」などといわれていたのです。

しかし今や、糖質が足りなくなると筋肉で発生した乳酸やアミノ酸が肝臓でブドウ糖に合成される「糖新生」というシステムがあり、それでも足りなくなると中性脂肪が肝臓で分解されて「ケトン体」という物質が作られ、このケトン体が脳や筋肉のエネルギーになっていることがわかっています。

糖質の過剰摂取が問題とされるのは、体内に貯蔵される量が少なくて、余ったものはどんどん中性脂肪となって血液中に放出されてしまうからです。
中性脂肪を増やす主な原因は、脂質ではなくて糖質にあったのです。

脳神経を活性化させるタンパク質と脂質

現在、主流となっている栄養学では、十分なタンパク質と良質の脂質を毎日摂ることが健康を維持する必須条件とされています。

糖質の摂取は必要ないという医師もいるほどで、日本人の食生活は糖質過剰になりやすいものですから、とくに睡眠を控えた夕食では糖質摂取を控えたほうがいいという考え方が常識となりつつありますよね。

タンパク質は体内でアミノ酸に分解され、全身の細胞をつくる材料となります。
新しい細胞をつくったり、ホルモンをつくったり、器官を維持したりするのに、十分なタンパク質が必要とされます。

また、脂質は細胞膜の材料となり、脂溶性ビタミンを運ぶという重要な役割があるので、これも欠かせません。
もちろん脳細胞(神経細胞)も例外ではありませんから、タンパク質や脂質が不足すれば、頭を良くすることはできないのです。

腸活で頭がよくなる

頭を良くする習慣としてタンパク質や脂質がしっかりと働くためには、ビタミンやミネラルをバランスよく摂ることが大事。
そして、もうひとつ重要なのが「食物繊維」を欠かさないことです。

腸内環境を整える「腸活」は、ダイエットだけでなく全身の健康に、しいては脳の活性化に大きな影響を与えることがわかっています。

腸活のポイントは、腸内の善玉菌を増やすこと。
認知症患者の腸内環境は、善玉菌が減少して悪玉菌が増えていることもわかっています。
善玉菌のエサとなる食物繊維やオリゴ糖などをしっかり摂取するのも、頭を良くする食生活の大事な要素ですね。

頭が良くなる運動習慣

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5つ目の習慣は、適度な運動です。
生活習慣病の予防やダイエットでも、「適度な運動」という言葉が必ず出てきますよね。
頭を良くするのに適度な運動とはどのようなものか解説しましょう。

脳機能を高める運動と休養

脳機能を高めるためには、脳に十分な栄養や酸素が届かなければいけません。
この役目を果たすのは血液。
脳への血流を低下させないことが、頭を良くする必須条件だといえます。

脳は身体の最上部である頭部にあるので、「首」が文字通りネック。
肩や首がこって血流が悪化すると、脳へ十分な栄養や酸素を届けることができなくなってしまうのです。

ですから、疲れた筋肉を休める、ストレッチなどで収縮した筋肉を伸ばす運動で、とくに首や肩を快適な状態にしておくことが大切です。

海馬を刺激する軽い有酸素運動

短期記憶を保持している海馬では、年齢に関係なく神経細胞が増えているのですが、そのメカニズムには運動が関与していることがわかっています。

2018年に、日本の筑波大学とカリフォルニア大学の共同研究によって、フィットネスバイクの上で10分間じっとしている日と、ゆったりしたペースで10分間漕ぐ日をつくり、両方とも終了後にパソコンを使用したテストが行われました。

この実験の結果、運動をした日は海馬の神経細胞が目立って活性化していたのです。
しかも、中負荷から強負荷の運動後は記憶力の向上が見られなかったといいます。
このことから、頭を良くするためには、息が切れない程度の軽い運動を毎日続けることが効果的だと考えられています。

小脳の運動学習機能を活性化させる

脳の中でも後頭部の奥深くにある小脳は、大脳と連携して身体を思うように動かす役割を果たしています。
記憶の中でも、運動記憶や技能記憶と呼ばれるものは、覚えたら無意識のうちに行っている行動で、小脳の運動学習機能が大きくかかわっています。
例えば、自転車の乗り方やバットでボールを打つ運動などですね。

こうした運動記憶は、頭の良さとは関係ないように思われるかも知れませんが、自転車の乗り方が上手い人、野球でバッティングが上手い人と同様に、日々の行動がスムーズで読書や学習がはかどるという人がいますよね。
身体で覚えたことは忘れないなどといわれますけども、無意識に繰り返している運動記憶も脳で覚えているのですから、頭を良くするには脳全体を健全な状態に保つ必要があるのです。

まとめ

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最後に、頭を良くする方法とは正反対の話をひとつ。

認知症の前段階では短期記憶を長期記憶に変える機能が壊れていき、アルツハイマー型認知症では短期記憶を保持する海馬が委縮するといいます。
だから、昔のことは覚えていても、昨日のこと、ついさっきのことが覚えていられなくなってしまうのです。

アルツハイマー型認知症は、ある種のタンパク質が脳に蓄積することが原因であり、それは40代からはじまるといいますが、そのしくみは明確になっていません。
でも、ここであげた5つの習慣を身につけていれば予防にはつながることでしょう。

若いうちから、頭を良くすると同時に脳機能の低下を防ぐ習慣を身につけておきたいものですね。

【参考資料】
・『60代から頭がよくなる本』 高島徹治 著  興陽館 2019年
・『おもしろサイエンス もの忘れと記憶の科学』 五日市哲雄 著  日刊工業新聞社 2019年

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