15分で理解するタンパク質の基礎知識-身体を構成する主要成分

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タンパク質と聞いて、どんなイメージがありますか?

人体を構成する主要成分で、生命を支える重要な栄養素だといわれていることは知っていても、具体的にタンパク質とはどのような物質かと聞かれても、答えられる人は少ないかもしれません。

三大栄養素の中で考えると、糖質は炭水化物ですし、脂質は脂分ですからイメージしやすいのですが、タンパク質でイメージするものといえば、卵の白身であったり、大豆製品であったり、サプリメントのプロテインであったりと幅が広く、どうも本来の形が見えてきません。

それは、タンパク質の形態や働きが多岐にわたるからで、人体には10万種類ものタンパク質があるといわれているのです。

ここでは、タンパク質がどうやってできている物質で、体内でどのような働きをしているのか、また生活の中でどのように利用されているのかという、タンパク質の基礎知識をわかりやすい言葉で解説します。

英語の「プロテイン」はギリシャ語で「一番大切なもの」という意味ですが、日本語の「蛋白質」の「蛋」とは卵のことで、卵白がタンパク質を主成分とすることからつけられた名称です。

漢字以外に、「たんぱく質」「タンパク質」という表記もありますが、ここでは文部科学省が学術用語として推奨している「タンパク質」で統一します。

目次

1. タンパク質を構成する20種類のアミノ酸
1-1. 9種の必須アミノ酸
1-2. 11種の非必須アミノ酸
1-3. 遺伝子がつくるタンパク質
1-4. ペプチドは小さなタンパク質

2. 体内のタンパク質の基本的な働き
2-1. 身体の構造を維持する
2-2. 酵素をつくって代謝を促す
2-3. 抗体となって身体を守る
2-4. 細胞増殖や恒常性を維持する
2-5. 遺伝子の転写を制御する
2-6. 筋肉を収縮する
2-7. 物質を輸送する

3. 生活に利用されているタンパク質
3-1. 健康、美容分野
3-2. 医療分野
3-3. 環境分野

まとめ

1. タンパク質を構成する20種類のアミノ酸

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タンパク質は、アミノ酸が数十から数千という数でつながった物質。
アミノ酸とは、生物に起源を有する「有機化合物」で、すべてのタンパク質の基本構成単位となっている物質です。

約38億年前、地球に生命が誕生したのは、海中でアミノ酸が発生したことに起因するといわれています。
アミノ酸は隕石からも発見されているので、宇宙から飛来したとする説もありますが、どちらにしても生命の源になったことは間違いありません。

自然界に存在するアミノ酸は約500種類あり、その中でわずか20種類だけが、10万種類にもおよぶといわれる体内のタンパク質のすべてを構成しています。

タンパク質を構成する20種類のアミノ酸は、体内で合成できないために外部からの摂取が必須である「必須アミノ酸」と、体内で合成されるので摂取が必須ではない「非必須アミノ酸」に分類されます。

アミノ酸は単体でもそれぞれ役割をもっているので、簡単に紹介しておきましょう。

1-1. 9種の必須アミノ酸

① ロイシン
肝機能を向上させる働きがあるロイシンは、必須アミノ酸の中で1日の必須量が最大とされています。

② バリン
血液中の窒素量の調整や成長促進の作用があるバリンは、イソロイシン、ロイシンと相反する作用をもっているので、3種のバランスが重要。

③ フェニルアラニン
ルピナスというマメ科の植物から発見されたフェニルアラニンは、体内で非必須アミノ酸のチロシンとなり、チロシンから神経伝達物質のドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリンが生成されます。

④ リジン
リジンは、抗体、ホルモン、酵素などをつくり出して全身の組織の修復や成長を促し、さらに、ブドウ糖がエネルギーとして燃焼するのを助けたり、肝機能を高めたりと多彩な働きがあります。

⑤ トリプトファン
脳内で、ビタミンB6、ナイアシン、マグネシウムとともに、精神に安定をもたらす神経伝達物質のセロトニンをつくります。

⑥ ヒスチジン
子どもの成長に不可欠なヒスチジンは、幼児のみに必須とされてきましたが、1985年にWHO(世界保健機関)を中心とする合同委員会によって成人にも必須と報告されました。

⑦ イソロイシン
ロイシン、バリンと相関関係にあるイソロイシンには、神経機能の向上、成長促進といった作用があり、血管を拡張したり、肝機能を高めたりする働きもあります。

⑧ メチオニン
動物性のタンパク質に含まれるメチオニンは、抑うつ症状や統合失調症を改善する効果が知られます。

⑨ スレオニン
スレオニンには、肝臓に脂肪が蓄積するのを防いだり、成長を促したりする作用があります。
穀類にはリジンやスレオニンがあまり含まれないので、白米の食品添加物として用いられています。

1-2. 11種の非必須アミノ酸

⑩ アスパラギン
世界で最初に発見されたアミノ酸であるアスパラギンは、エネルギー生成のサポートをして運動持久力を向上させ、肝臓の保護作用も認められています。

⑪ シスチン
シスチンは、ブドウ糖のエネルギー化にかかわってほかの物質と反応することにより、解毒作用を発揮、有害金属や活性酸素を排除する働きがあります。

⑫ グリシン
構造がもっとも簡単なアミノ酸であるグリシンは、血中コレステロールを下げる作用、抗菌作用や酸化防止作用をもち、肌の弾力を保っているコラーゲンの材料になります。

⑬ アスパラギン酸
アスパラギン酸は、窒素やエネルギーの代謝を高めるので疲労回復にとても効果があります。
アンモニアを体外に排出する作用があり、神経伝達物質の材料にもなります。

⑭ チロシン
チーズに由来する名称のチロシンは、神経伝達物質のドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリンの材料となり、皮膚の色素であるメラニン、甲状腺ホルモンの材料にもなります。

⑮ アラニン
肝臓のエネルギー源となるアラニンは、アルコール分解力を高めると同時に、体内の糖質が不足したときにはブドウ糖を合成する材料となり、脂肪燃焼効果や運動持久力も高めます。

⑯ セリン
脳神経を活性化させて記憶力を高め、血中コレステロールを低下させるセリンには、皮膚でうるおいを保つ天然保湿因子(NMF)に関与して、肌の保湿作用を維持する働きもあります。

⑰ グルタミン酸
うまみ成分として知られるグルタミン酸は、体内に入ると脳機能に悪影響をおよぼすアンモニアをグルタミンに変えたり、アンモニアを尿で排出させる利尿作用があります。

⑱ グルタミン
筋肉に多く存在して、繰り返されるタンパク質の合成と分解にかかわるグルタミンは、胃腸の粘膜をつくる細胞の合成を促し、胃腸から病原菌などが侵入することを防ぎます。

⑲ アルギニン
体を活性化して免疫機能を強化する成長ホルモンの合成にかかわるアルギニンには、病気にかかりにくくなる、傷の治りを早くするといった作用があります。

⑳ プロリン
グルタミン酸から合成されるプロリンは、コラーゲン合成の主要成分となり、紫外線などによって破壊されたコラーゲンを修復して肌の弾力を保つ働きがあります。

1-3. 遺伝子がつくるタンパク質

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タンパク質を摂取すると、胃や腸で消化酵素によってこれら20種のアミノ酸に分解され、最終的に小腸で吸収されます。

分解されたアミノ酸は、血液によって全身の細胞に運ばれ、そこで、各々が必要とするタンパク質に再合成されるのです。

自然界に約500種類もあるアミノ酸のうち、なぜこの20種類だけがタンパク質になるのかという理由はまだ解明されていません。
しかし、細胞内で、わずか20種類のアミノ酸からどうやって10万種類ものタンパク質をつくり分けるのかという謎は、解明されています。

細胞内にあるDNAには遺伝子情報として、タンパク質の設計図が保存されています。
アミノ酸がつながる順番を決め、その細胞に必要なタンパク質をつくり出してるのは遺伝子。
だから、牛や豚のタンパク質を摂取しても、人間の身体に必要なタンパク質につくりかえることができるのです。

1-4. ペプチドは小さなタンパク質

タンパク質が分解されたアミノ酸には、タンパク質へと合成されずに細胞や血液中に蓄えられている「遊離アミノ酸」もあり、前項で説明したように、それぞれアミノ酸として重要な役割を果たしています。

食品や美容関連でよく目にする「ペプチド」も、タンパク質ファミリーの一員。
アミノ酸が2個から数十個つながった化合物がペプチドで、「ジペプチド(2個)」「トリペプチド(3個)」「テトラペプチド(4個)」といい、10個程度以下を「オリゴペプチド」、それ以上を「ポリペプチド」とアミノ酸の数によって区別され、タンパク質はポリペプチドに属します。

ペプチドは、とくにホルモンとして重要な働きをしています。

 

2. 体内のタンパク質の基本的な働き

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厚生労働省が示しているタンパク質の1日の推奨摂取量は、18歳以上の男性では60g、女性で50gで、18歳未満は性別、年齢別に細かく示しています。

それだけタンパク質は身体を構成する重要な物質であり、タンパク質不足が成長に大きな影響を与えるということ。

今、ダイエットの主流となっている糖質制限では、十分なタンパク質と良質な脂質をしっかり摂取することが大原則となっています。
ダイエッターたちの人気商品となったコンビニのサラダチキンは、動物性タンパクが豊富な鶏ムネ肉です。

心と身体の健康に欠かせない栄養素として注目されているタンパク質が、どのような目的で再合成されるのか、機能別に説明していきましょう。

2-1. 身体の構造を維持する

身体の構造を支えるタンパク質は、「構造タンパク質」と呼ばれ、コラーゲン、エラスチン、α-ケラチン、アクチンなどがあります。

皮膚のハリと弾力を保っていることで知られるコラーゲンはタンパク質の繊維で、骨、歯、腱などにも存在し、骨はコラーゲンとカルシウムが1:1の割合で成り立っています。

皮膚でコラーゲンを支えているエラスチンもタンパク質の繊維で、靭帯、肺、大動脈などの構造を支える主成分。

そのほかにも、毛髪や皮膚、爪のタンパク質を構成するα-ケラチンや、細胞骨格を構成するアクチンなども重要な構造タンパク質です。

2-2. 酵素をつくって代謝を促す

体内で、エネルギーをつくったり、タンパク質のようにいろいろな部位で必要とされる物質をつくるために分解や合成を行ったりする化学変化を「代謝」といい、代謝を起こさせるのが「酵素」で、ほとんどの酵素はタンパク質からできています。

この機能をもったタンパク質が、「酵素タンパク質」。

2-3. 抗体となって身体を守る

外的な要因から身体を守るのに、重要な役割をするのが「防御タンパク質」で、免疫機能に大きく関与しています。
外部から細菌やウイルスなどの異物が体内に入ると、抗体となるタンパク質が異物の分子と結合して排除します。

いろいろな病原体の抗原に対応するために、抗原認識部位の構造が違うタンパク質がつくられ、その総称を「免疫グロブリン」といいます。

2-4. 細胞増殖や恒常性を維持する

細胞の増殖や分化にかかわるタンパク質には「成長因子」があり、血小板増殖因子、神経成長因子、インスリン様増殖因子など、様々な増殖因子として細胞増殖に必要な機能を制御しています。

また、生命維持に必要とされる機能の調整に欠かせないのが、情報伝達にかかわる「受容体タンパク質」で、細胞膜に結合してホルモンの受容体として働きます。

ホルモンの多くはタンパク質の「ペプチドホルモン」で、細胞から分泌されると血液によって標的細胞まで運ばれて情報伝達を行います。

鉄を貯蔵するフェリチンなど、栄養の貯蔵を目的とする「貯蔵タンパク質」も恒常性を維持するために働きます。
恒常性(ホメオスタシス)とは、体内の環境を一定の状態に保とうとするしくみ。

2-5. 遺伝子の転写を制御する

アミノ酸からタンパク質が合成されるときには、「DNA(デオキシリボ核酸)の遺伝子情報が「mRNA(メッセンジャーRNA)」に転写されてタンパク質をつくり、これを「翻訳」と呼びます。

この翻訳にかかわっているのが、「転写因子」と呼ばれるタンパク質。
人間がもつ、いろいろな遺伝子の発現を制御しているのは、1800種以上あるといわれる「転写因子」と呼ばれるタンパク質なのです。

2-6. 筋肉を収縮する

筋肉は繊維状の構造をしており、太い「ミオシン」と、細い「アクチン」というタンパク質の繊維が規則正しく並んで、一定方向へ縮んだり伸びたりできる構造になっています。

筋肉の80%を占めるこれらのタンパク質は「収縮タンパク質」と呼ばれ、筋肉に刺激が伝わるとミオシン繊維の間にアクチン繊維が滑り込んで筋肉を収縮させると考えられています。

構造タンパク質でもあるアクチンは体内の全タンパク質の10%を占めており、ミオシンは分子量が巨大なタンパク質として知られます。

2-7. 物質を輸送する

体内では細胞の内外で、特定のタンパク質が特定の物質と結合して、その物質を目的地まで届けています。

このようなタンパク質は、「輸送タンパク質(トランスポーター)」と呼ばれ、赤血球中で酸素を運ぶヘモグロビンが代表的なもの。

ヘモグロビンは、「ヘム」という鉄電子を中心にもつ構造の色素と、「グロビン」という球状のタンパク質が結合した物質で、120日の寿命を終えるとヘムとグロビンに分解され、グロビンはさらにアミノ酸にまで分解されて、タンパク質の再合成に使われます。

 

3. 生活に利用されているタンパク質

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ここまでは、人体の中でタンパク質がどう働くかということを解説してきました。
最後に、生活の中でタンパク質が利用されている例をあげておきましょう。
タンパク質の化学反応は、特定の機能を発揮することから、様々な分野で利用され、新たな研究も進められています。

3-1. 健康、美容分野

健康アイテムとしては、サプリメントの「プロテイン」が、いろいろな形態で販売されており、アミノ酸や酵素のサプリも、タンパク質系の健康アイテムといえるでしょう。

コーダサプリメントの「心のアミノ酸」に代表される、必須アミノ酸をバランスよく配合したサプリは、体内でタンパク質が分解される工程をカットし、消化器官の負担を抑えるのでおすすめです。

また、美容関連では、コラーゲンやエラスチンをはじめとする様々なタンパク質が、コスメや飲料などに配合されています。

いずれのタンパク質も、体内に入るとすべてアミノ酸に分解されるので、コラーゲンを食べたり塗ったりしても、そのまま肌に定着するものではありません。

3-2. 医療分野

人間の身体をつくり、その活動や機能のコントロールも、ほとんどといってよいほどタンパク質が担っているのですから、病気になるということは、ほとんどが「タンパク質の形や働きに障害が出ている」ということになるのです。

そのために、多くの薬品はタンパク質をターゲットにしているか、タンパク質の働きを利用しています。
タンパク質を薬品として使っているものの代表が「抗体」で、がん細胞だけを認識するような抗体をつくって患者に投与し、がん細胞だけを攻撃するといった使われ方をしています。

近年は遺伝子レベルで、翻訳や転写のシステムをコントロールするようなタンパク質の研究が進められています。

3-3. 環境分野

材料分野で研究が進められている「バイオミネラル」は、真珠や貝殻など生物がつくり出す鉱物のことで、人工的にそのプロセスを利用して新しい材料をつくり出す際に、タンパク質が利用されています。

また、酵素や抗体が特定の物質だけに作用することを利用して、物質の検出や測定を行う「バイオセンサー」は医療、食品、環境など広い分野で利用されています。

 

まとめ

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いかにタンパク質が人体にとって重要であるか、わかっていただけましたでしょうか。

人体の60%は水分で、その次に多いのが20%を占めるタンパク質。
和牛の肉では65%、回遊魚のクロマグロでは89%が、タンパク質だといわれています。
また、鶏ムネ肉やササミ肉に多く含まれる「イミダペプチド」は、渡り鳥が小さな身体で数千キロも飛び続けられるエネルギー源になっているといわれ、強力な疲労回復効果が注目されています。

このように、生命の源であるタンパク質は、人間だけでなくすべての動物にとって重要な枠割を果たしているのです。

今、健康分野で注目されているは、栄養素が心の健康にもたらす効果。
身体の健康だけでなく、心の安定を目的としたアミノ酸やペプチド系のサプリが売り上げを伸ばしています。

【参考資料】
・『タンパク質とからだ』 平野久 著  中央公論新社  2017年
・『どうして心臓は動き続けるの? 生命をささえるタンパク質のなぞにせまる』 大阪大学蛋白質研究所 編  化学同人 2018年
・『今日からモノ知りシリーズ トコトンやさしい アミノ酸の本』 味の素株式会社 編  日本工業新聞社 2017年
・『もっとキレイに、ずーっと健康 栄養素図鑑と食べ方テク』 中村丁次 監修  朝日新聞出版 2017年
・『今日からモノ知りシリーズ トコトンやさしい タンパク質の本』 東京工業大学大学院生命理工学研究科 編  日刊工業新聞社 2007年
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