3つの視点で行うブランディングとは?-顧客の信頼を築く仕事

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ブランディングとは何か?
「ブランドの価値を高める取り組み」です。

これはわかっていても、「ブランドとは何か?」という問いに、明確な答えをもっている人は少ないのではないでしょうか。
「ブランド」というと、シャネルやルイ・ヴィトン、イヴ・サンローランといったヨーロッパのプレミアムブランドを思い浮かべる人が多いことでしょう。

しかし、「ブランド」とは、「自社製品に、他社製品との差別化を目的として高い価値をもたせる要素」という意味で使われる言葉ですから、すべての企業や商品、サービスに存在しているものなのです。

今、日本では大企業だけでなく、多くの中小企業がブランディングに取り組みはじめていますよね。
顧客が商品やサービスを選ぶときに、価格以外の選択基準とする「ブランド」の重要性を認識したからです。

目次

1. ブランドイメージを高める3つの視点
1-1. 商品やサービスの専門性
1-1-1. 商品ブランドの場合
1-1-2. サービスブランドの場合
1-1-3. 技術ブランドの場合
1-1-4. ビジネスモデルブランドの場合
1-2. 企業の人間性
1-2-1. 自由な風土
1-2-2. 開発型のマネジメントや人事システム
1-2-3. 専門人材の育成
1-3. 組織の社会性
1-3-1. 社会的使命の明確化
1-3-2. 社会的課題を解決する商品やサービス
1-3-3. 社会貢献活動

2. メディア戦略を成功に導く5つのポイント
2-1. 新規性
2-2. 独自性
2-3. 意外性
2-4. 時事性
2-5. 季節性

まとめ

1. ブランドイメージを高める3つの視点

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ブランドの価値を高めるためには、顧客にどのようなイメージをもってもらうかという「イメージデザイン」をしなければいけません。

ブランドの個性をつくりあげていくイメージデザインの視点には、「商品やサービスの専門性」「企業の人間性」「組織の社会性」があり、顧客がそのブランドを選ぶときには、このどれかに基づいて判断するといわれます。

13年間アマゾンジャパンに勤務して広報本部長を務め、2017年からは企業のPR業務をサポートする「AStory合同会社」の代表として活躍するPRのエキスパート、小西みさをさんも、ブランディングに必要な企業のストーリーをつくるために、「人」「商品やサービス」「組織」という3つの要素が欠かせないといっています。

ブランディングに欠かせない3つの視点とは、どのようなものか解説しましょう。

1-1. 商品やサービスの専門性

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顧客が商品やサービスを選ぶときに、もっともわかりやすい選択基準が、「デザインやセンスが好みかどうか」「自分が抱える問題を解決してくれるかどうか」「所有する喜びをもたらしてくれるかどうか」といったことでしょう。

こうした、特定のジャンルにおける専門的な価値は、4つに分類されます。

1-1-1. 商品ブランドの場合

顧客が購入する製品でブランディングするメーカーは、もっとも多いでしょう。
商品ブランドは、一度顧客のシェアを獲得すればロングセラー化することが多く、時代やニーズに合わせた変化を加えながらも一貫性をもたせてブランドを守ります。

商品がロングセラーになると、場合によってはメーカー名よりも商品名のほうが知られるようになることもあります。

商品ブランドづくりで大事なことは、万人受けを狙うよりもターゲットを絞り込んで、「違いのわかるお客様に、こだわりの商品を提供する」ことだといわれます。
商品開発の裏にあるストーリーや、品質へのこだわりなどを、しっかりPRすることが大切です。

1-1-2. サービスブランドの場合

サービスブランドは、サービスという目に見えない価値をブランド化するので、自社が提供するサービスの価値がどのようなものなのか明確にする必要があります。

スピード、品質、きめ細かい対応など、他社よりも優れている点はどこにあるかということですね。
サービス体系や料金体系などをわかりやすく「見える化」することも重要。

顧客にわかりやすくするという点では、ネーミングも重要です。
ヤマト運輸の「クール宅急便」「ゴルフ宅急便」などは、顧客がすぐにイメージできるわかりやすさがありますよね。
「エステ」など、覚えやすい略語にするのも最近の流行となっています。

1-1-3. 技術ブランドの場合

技術ブランドとは、顧客が購入する最終製品ではなく、部品や素材、用いられている技術などをブランド化したものです。

代表的なものでは、インテルのCPU「Intel Core」やユニクロの「ヒートテック」、トヨタがプリウスなどに搭載している駆動技術「ハイブリッドシナジードライブ」などがあります。
こうした技術ブランドを使うことによって、最終製品の価値を上げるというのが特徴。

他社が容易に真似できないテクノロジーを開発する土壌や経営基盤が必要とされ、研究機関や他社との提携も検討されます。

1-1-4. ビジネスモデルブランドの場合

ビジネスモデルブランドとは、自社独自の「儲かるしくみ」をブランド化したものです。
セブンイレブンが最初に開発した「コンビニエンスストア」、ユニクロやGAPが定着させた「製造小売」といったモデルが代表的なもの。

ビジネスモデルブランドのブランディングには、次の3つのポイントが重要だといわれます。

① 他社が容易に真似できない独自性
② 環境への配慮など社会性が高く、関係者すべてにメリットがある
③ 新鮮で、しくみがわかりやすい

ビジネスモデルブランドは、とくに先駆者となることが、ブランドの価値を高める大きな要素となります。

1-2. 企業の人間性

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ブランドの価値は、「最終的には現場の人間の質で決まる」といわれるほど、顧客との接点になる「人」の存在は、ブランディングにおいて大きな要素です。

どの企業にも存在する「人」という経営資源を、自社の価値としてブランディングできるかどうか?
有名シェフがいるレストラン、カリスマ店員がいるアパレルショップなど、接客業や特殊技能を提供する業種では、とくに大事な視点となります。

「人」をブランド価値にするためには、次のような方策が用いられます。

1-2-1. 自由な風土

社内でブランド価値を生み出すのは、システム化された組織よりも、自由な社風であるケースが多いものです。

グーグルやアップルなどのIT企業で、自由な社風と解放された空間がブランドイメージの向上に役立っていることは、よく知られていますよね。

「風通しのよい職場環境」や「家族的で温かい人間関係」の構築も、よくとられる方策です。
現場に権限をもたせる、若手を中心としたプロジェクトをつくるといった方策によって、自由な風土を目指す企業もあります。

1-2-2. 開発型のマネジメントや人事システム

社内におけるマネジメントのしくみも、ブランドの価値を上げる要素となります。

近年は、従来のラインマネジメントとは別に、専門性を活かすエキスパートのコースを設ける企業が出てきました。

また、社員のチャレンジ精神を奨励する社風づくり、異分野や異業種との交流を目的とした社外留学制度といった人事システムを導入する企業も増えています。

こうした独自のマネジメント方法や、ユニークな人事システムを前面に打ち出してブランドイメージに反映させるのです。

1-2-3. 専門人材の育成

高度な専門性をもったブランドを構築するためには、プロフェッショナルな人材が必要。
人材の採用にあたっては、学歴や専門知識よりも、自社の理念や価値観を共有できることが大事な要素になります。

育成面では、ブランドイメージを明確にする社員研修が必要とされ、そうしたシステム自体がブランド化するケースもあります。

ブランドイメージを高めるような社員の育成は、短期間に構築できるものではありませんが、たとえ10年かかっても専門人材を育てることができれば、企業にとって多きな強みになると考える企業も増えています。

1-3. 組織の社会性

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世界的に企業の社会貢献意識が高まる中で、顧客が商品を選ぶ基準として「その商品が社会にとって良いか悪いか」という視点は、見逃せない要素となっています。

この視点からブランドの価値を高めている例には、商品を購入すると代金の一部が環境保護団体や貧困支援機関などに寄付されるとか、クリーンエネルギーの活用によって間接的な環境保護活動ができるといったものがあります。

従来よりコストが増えたとしても、企業のストーリーに刻まれて「未来への投資」となるケースも少なくありません。

この視点の特徴は、それを購入することによって、周囲から「そのブランドを選ぶ存在」だと評価されるということ。
トヨタのプリウスが、ハリウッドスターのステータスとなったことがありましたよね。

ブランドの社会性を高めるポイントは次の3点です。

1-3-1. 社会的使命の明確化

その企業の存在意義や使命感を宣言することは、「ソーシャルミッション」などとも呼ばれます。

自社がどのような形で社会に貢献するかを明文化することによって、どのような社会的活動を行うか判断する基準となります。

創業者の思いや当時の時代背景、地域的な特性などと結びついていることが多いという特徴があります。

1-3-2. 社会的課題を解決する商品やサービス

地球環境にやさしいエコプロダクツやオーガニック製品、売り上げの一部が支援団体などに寄付される募金型商品など、社会的課題の解決に貢献するような商品やサービスは、「ソーシャルプロダクツ」と呼ばれます。

近未来に主流となるであろう電気自動車をはじめ、最近注目されている紙製ストローなどのエコ製品、売り上げの一部が「緑の募金」や「赤い羽根共同募金」、日本赤十字社に寄付されるQUOカードなどがあります。

ブランドイメージの向上に、こうしたソーシャルプロダクツを活用する企業も少なくありません。

1-3-3. 社会貢献活動

地域団体への協力やボランティア活動など、直接的な社会貢献活動は「ソーシャルミッション」と呼ばれ、ブランドの社会性を認知させる効果的な手段です。
発展途上国などへ出向いて、支援活動や啓蒙活動を行う企業もあります。

重要なことは、社会貢献やボランティア活動を行ったことだけで終わらせずに、対外的な認知度を高めるところまでストーリー性をもたせること。

ソーシャルミッションに基づいたソーシャルプロダクツがあり、ソーシャルミッションを通じて広く認められることが、社会性を向上させるブランディングの基本です。

 

2. メディア戦略を成功に導く5つのポイント

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ここからは、PRのエキスパートとしていろいろな企業でブランディングのサポートを行っている小西さんが提言する、「メディアが取り上げたくなる5つのポイント」を紹介しましょう。

「PR」とは、「パブリック(大衆)とのリレーションズ(関係)を深める活動」です。
「マーケティング」とは、商品やサービスを顧客に提供する企業活動全般を指す言葉ですが、とくに「自社がどう売るか」という視点で使われるのに対して、ブランディングは「どう見られるか」という視点で組み立てるもの。

ですから、顧客の視点に立って認知度をあげることは、ブランディングには欠かせない要素なのです。

具体的には、いろいろなメディアを活用して認知度を高めることになりますが、メディアに取り上げられやすいポイントを戦略化することで、ブランドの維持にもつながります。

2-1. 新規性

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新しいトレンドに乗っている商品やサービスが、メディアに取り上げられやすくなることは、わかりますよね。
新しい情報を提供することは、メディアのもっとも大事な役割といえるでしょう。

新規性を意識したブランディングには、世の中で何が関心をもたれているかということを常にチェックするアンテナと、その情報をトレンドと調和させていくアレンジ性が求められます。

新規性をもたせることは、長い歴史をもつブランドでも、一貫性をもちながら変化を与えることで可能になります。

2-2. 独自性

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独自性も、メディアが取り上げたくなる要素です。

他者には真似のできない技術ブランドや、一番はじめに仕掛けることが重要なビジネスモデルブランドでは、とくに大事なポイントです。

商品開発の裏にあるストーリーや、素材へのこだわりをドラマチックに明文化することも、独自性を効果的に伝えるテクニックのひとつ。
自社ならではの要素を盛り込みます。

2-3. 意外性

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ありそうでなかったものは、メディアや顧客の共感を得やすくなります。
発明の原点でもある意外性は、ブランディングでも大事な要素。

意外性を意識したブランディングには、固定観念や既成概念にとらわれない発想が求められます。

ありそうでなかった商品。
ありそうでなかったサービス。
ありそうでなかった技術。
ありそうでなかったビジネス。

すべての専門的価値は、ちょっとした発想の転換のもととなり、世の中の価値観を変えてしまうようなブランドに発展することがあるのです。

2-4. 時事性

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時事性とは、タイムリーなブランディングのことです。
PRは、タイミングひとつで効果がまったく変わってしまいます。

効果的なタイミングは、新規性と同じように時代の流れを把握していないとつかめません。
小西さんは、「トレンドとの接点」という言葉を使っています。

どのような企業でも、どのようなブランドでも、トレンドとの接点が必ずあるので、それをみつける目をもつことが大事。

企業で行うブランディングは、ひとりで行うことなど稀です。
PR担当や開発担当、営業担当や販売担当などブランディングにかかわるチームでディスカッションする習慣が、常に時代やタイミングを意識したブランディングを実現します。

2-5. 季節性

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四季がはっきりしている日本では、とくに季節を意識したブランディングが有効で、メディアにも取り上げられやすくなります。

自社の特徴や強みを理解し、季節ごとのメリットを活かしたブランディングは、年間ベースで考えることが大事。
季節を意識しながら、コンスタントに情報発信できるPRプランを立てます。

「初詣」「花見」「花火見物」「紅葉観光」など、顧客の行動を想定してメディア戦略を立てると、話題になりやすくなります。

 

まとめ

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ここで解説してきたブランディングは、企業の戦略として行われる活動ですが、個人の価値の認知度を上げるためにも有効です。

企業のブランドが、「誰に対して何を売るのか」というコンセプトをベースとするのと同じように、個人の価値を高めるのも「自分は、誰のために何ができるのか」という個人ブランドなのです。
ですからここで得た知識は、ぜひ自分で行う「自分ブランディング」にも応用してください。

なお、こちらの記事でご紹介いたしました小西みさをさんのアドバイスをもっとお聞きになりたい方はフォレスタのアプリコンテンツもぜひチェックしてみてください。

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【参考資料】
・『ブランディングの本質 100年先につなぐ価値』 平井克幸 著  ダイヤモンド社 2018年
・『ブランド戦略論』 田中洋 著 有斐閣 2017年

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