うつで仕事を休む人への注意5項目-本当に困っている人を救え

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「うつ病休職」をする人が増えています。
あなたの会社にも、休職中の人や、休職を経験した人がいるのではないでしょうか。

気分がうつで仕事が進まない、仕事が手につかないというときは、誰にでもあるもの。
多少のストレスを抱えながら仕事をしているのは普通のことですよね。
適度なストレスがあるから達成感や充実感が生まれるのです。

しかし、「仕事したくない」「仕事辞めたい」という気分が続き、上司に相談したら心療内科の受診をすすめられ、受診の結果「うつ病休職」になるというケースが増えているのです。

今、休職診断書をゲットすることが簡単にできてしまうために、それほど大きな問題を抱えているわけではないのにうつ病のレッテルを貼られることになり、仕事はできる状態なのに復職や仕事探しで苦労する人も多くなっています。

ここでは、本当にうつ病で困っている人を救うために、うつ病の基礎知識から休職や復職、うつ病休職の問題点など、5項目の注意事項を解説します。
安易に休職しないための知識としてお読みください。

目次

1. うつ病の基礎知識
1-1. 気分障害に分類されるうつ病
1-2. ストレスホルモンによる神経の破壊
1-3. 境界が曖昧な抑うつとうつ病
2. うつ病のサインと症状
2-1. 生活に現れるサイン
2-2. 仕事中に現れるサイン
2-3. 精神と身体に現れる症状
3. 簡単に休職診断書をもらう3つのポイント
3-1. 若い医師のクリニックへ行く
3-2. 精神科を避ける
3-3. 診断書をもらった人に聞く
4. 復職と手当
4-1. 復職したくないときは再受診
4-2. 傷病手当金を申請する
4-3. 障害年金を申請する
5. 現在のうつ病休職が抱える問題点
5-1. 不鮮明な診断基準
5-2. 神経質にならざるを得ない企業
まとめ

1. うつ病の基礎知識

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「精神疾患」は、「がん」「脳卒中」「心筋梗塞」「糖尿病」と並び、重点的に対策すべき5疾病として厚生労働省に指定されています。

その精神疾患の中でもっとも多く、社会問題にもなっているのが「うつ病」。
1999年には50万人以下であった受診者数が、2014年に111万人となり、それ以降も増えています。

これだけ増えているうつ病ですが、その原因や現状はあまり理解されていません。
まず、うつ病の概要を知りましょう。

1-1. 気分障害に分類されるうつ病

日常的に憂うつな気分である状態を「うつ」または、「抑うつ状態」と呼びます。
「うつ」の強い状態が概ね2週間以上続き、日常生活や人との接触で問題が起こるようになると「うつ病」と診断されます。

医学的には精神障害のひとつである「気分障害」に分類され、気分が落ち込む「うつ病」と、うつ状態と過度に高揚する躁状態が現れる「躁うつ病」に大別されます。

かつては中年世代の病気と考えられていたうつ病ですが、現在は小学生から後期高齢者に至るまであらゆる年代で発症することがわかっています。

1-2. ストレスホルモンによる神経の破壊

うつ病の主な原因は、「環境の変化によるストレス」にあると考えられています。
人間の身体は、「辛い」「つまらない」「悲しい」「痛い」といったマイナスの感情が起こると、自律神経やホルモンの分泌をコントロールして自分の身体を守ろうとします。
これがストレス反応の正体。

通称「ストレスホルモン」と呼ばれるコルチゾールは、腎臓の上にある副腎皮質から分泌されて、血糖値や血圧を上昇させたり、免疫反応を抑えて炎症を鎮めたりして身体を臨戦状態にします。
この状態が続くと疲労が激しくなり、慢性的になると様々な病気の原因に。

近年の研究では、コルチゾールの過剰な分泌によって、脳で記憶を司る「海馬」という部位の神経細胞が破壊されることがわかりました。
脳神経細胞と、神経細胞間で情報を伝達する神経伝達物質の異常が、うつ病の原因だと考えられています。

1-3. 境界が曖昧な抑うつとうつ病

近年、「新型うつ」と呼ばれる症状が増えています。
従来のうつ病と同じように抑うつ状態が続くのですが、自分の好きなことや楽しいことに対しては意欲がわくという特徴があります。

不眠や食欲低下といったうつ病特有の症状を示さないことも多いので、かつてはうつ病と診断されなかったのですが、うつ病の診断基準が拡大されたことから、「非定型うつ病」という病名ができました。

「非定型うつ病」と診断される人は、若い層に急増しており、会社で「うつ病休職」が増えている背景にもこの「新型うつ」の急増があって、社会問題となっています。
抑うつ状態とうつ病の境界が曖昧なために、ただ気分が晴れないという理由だけで簡単に休職診断書が出されてしまうことも多く、復職する際の障害や、企業の監督責任などが問われているのです。

2. うつ病のサインと症状

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うつ病を患って現れるサインや症状は、年齢、性別、性格、生活環境などによって個人差があります。
ここでは、一般的なものだけを紹介しておきましょう。

 

 

2-1. 生活に現れるサイン

日々の生活において、次のようなしぐさや表情が続くようであれば、うつ病を心配する必要があります。

① よく話す人だったのに口数が減る
② 溜息が多くなる
③ 表情が暗くなり、元気がない
④ 服装を気にしなくなり、化粧をしなくなる
⑤ イライラしたり、否定的な言葉が増える
⑥ 毎日続けていたことをやめてしまう

2-2. 仕事中に現れるサイン

周囲の人間から見て、仕事中に次のような状態が増えた場合にはうつ病を心配する必要があります。

① 今までと変わらない仕事の作業効率が落ちる
② 判断を迷うことや判断ミスが増える
③ 遅刻や欠勤が増える
④ 会話が減る
⑤ 仕事を抱え込むようになる

2-3. 精神と身体に現れる症状

精神や身体に現れる症状は、以下のようなものが一般的。
これらは自覚があることが多いので、日常生活に支障をきたすようであれば、クリニックなどの診断を受ける判断基準になります。

<一般的な精神的症状>
① 憂うつな気分が続いて、物事に興味や関心がなくなる
② 劣等感を抱いたり自己嫌悪に陥ったりすることが増える
③ 思考力や判断力が低下して、物事に集中できなくなる

<一般的な身体的症状>
① 過食や拒食
② 不眠や過眠
③ 頻繁に起こる頭痛
④ 全身の倦怠感
⑤ 嘔吐や便秘
⑥ 動悸やめまい

3. 簡単に休職診断書をもらう3つのポイント

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「うつ病休職」が増えている背景には、休職診断書が簡単に出されてしまう医療体制があるといわれています。

「朝起きたら憂うつな気分で、仕事に行きたくない」
「うるさい上司の顔を見たくない」
そんな、誰にでもある理由でも心療内科を受診したら、高い確率で「うつ病」と診断され、休職診断書がもらえるのです。

しかも、休職中は堂々と手当ももらえます。

「仮病ではないのか?」
「なまけているだけじゃないのか?」
上司がそう感じても、会社側は診断書があったら休ませないわけにはいきません。
労働安全衛生法には、企業は労働者の健康を守る義務があると定められているからです。

ここでは、休職診断書をもらおうと思った人が簡単にゲットするポイントをあげてみます。
現役の精神科医が、問題提示とともに紹介している実状です。

3-1. 若い医師のクリニックへ行く

20年ほど前までは、うつ病と診断するためには精神医学上の厳密な基準があったといいます。

しかし、50人以上の企業でストレスチェックが義務付けられている現在は、ちょっとした落ち込みやストレスも見逃してはいけないという風潮が広がり、うつ病の診断範囲がとても広くなっているのです。

こうした新しい診断基準が常識となっていて、すぐに診断書を出してくれるのは、ベテラン医師よりも若い医師が多いといいます。
クリニックも新しいところが多いので見た目でもわかりやすく、そういうところを探して受診すると、「軽症ですが」と前置きしながらも「うつ病」と診断されるケースが多いのです。

3-2. 精神科を避ける

クリニックに行くと、「どのようなストレスがありますか?」「それはどのくらい続いていますか?」「何か思い当たるきっかけはありますか?」「睡眠はとれていますか?」「食欲はありますか?」といった質問を受けることになります。

これはどこのクリニックを受診しても同じですが、同じ質問に同じ答えを示しても、「心療内科・精神科」というように精神科を掲げているところは、「うつ病」と診断されにくいといいます。

精神科を掲げているところは真面目な性格の医師が多く、古い厳密な診断基準にこだわっているケースが多いのです。
心療内科という名称は、受診しやすくするために精神科が偽装したものだという医師もいるほど。

ですから、精神科を掲げず「心療内科・内科」というような看板を出しているクリニックへ行ったほうが診断書をもらいやすいのです。

3-3. 診断書をもらった人に聞く

もっとも簡単に休職診断書を出してくれるクリニックを見つける方法は、実際に受診した人に聞くことです。

大きな会社であったら、うつ病休職をした人を見つけるのはそれほど難しいことではないでしょう。

「そんなに大変そうには見えないけど、うつ病の診断書をもらって休んでいるらしい」というような噂が立っている人がいたら狙い目。
その人と同じクリニックへ行けば、高い確率で診断書がもらえるはずです。

4. 復職と手当

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「〇週間」もしくは「〇カ月間」の休養が必要という診断書がもらえたら、会社に提出して休職期間がはじまります。

休職中はストレスを軽減するのが目的。
医学的根拠をもらって休んでいるのですから、誰に気兼ねすることもありません。
睡眠を十分とって美味しい物を食べ、気分が晴れてきたら外出してみましょう。

診断書に定められた期間が過ぎると、復職ということになります。
復職における注意事項を3つほどあげておきましょう。

4-1. 復職したくないときは再受診  

十分な休養をとり、「仕事行けるぞ!」という気分になっていたら問題ありませんが、「久しぶりの出勤で気分が重い」「もう少し休みたい」という人も出てきます。

「やっと診断書をもらって休職したのに、さらに休むなんて社会的に許されることじゃない」などと考える必要はありません。
また同じクリニックへ行って、ありのままの気分を伝えればいいのです。

簡単に診断書を出してくれるクリニックは、あれこれチェックすることもなく、「もうよくなっているのだから会社に行きなさい」などともいわずに、「治療するも、十分な改善が見られないため引き続き〇週間(〇カ月間)休養が必要」という診断書を書いてくれることでしょう。

4-2. 傷病手当金を申請する

うつ病休職は、労働者側の事情による「私傷病休職」に分類されますから、休職中の給料を会社が払わなければいけないという労働法はありません。

しかし、社会保険の制度に「傷病手当金」というものがあり、これは正当に受給することができます。
連続する3日間を含み4日以上仕事を休んだ場合、最長1年6カ月にわたって支払われるもので、1日あたりの支払額は、「支払い開始日以前の12カ月の標準報酬月額を平均した額÷30日×3分の2」。

復職したら会社の総務などで申請書をもらい、診断書を書いてもらったクリニックへ行って「主治医の意見」を書いてもらえば申請できます。

4-3. 障害年金を申請する

復職して元気に仕事ができるようになれば問題ありませんが、休職が長引いたり、退職したりして生活に支障をきたす場合には、障害年金を申請することができます。

うつ病と診断された人なら、初診から1年半経った後に申請可能で、過去にうつ病の診断を受けたことがあれば、何年経っていても申請可能。
審査に通れば、過去5年間にさかのぼってもらうことができる年金で、所得税も住民税もかからないのですから、休職者の数とともに申請者が増えているのもうなずけます。

厚生年金保険の加入期間がどんなに短くても25年間加入したこととされ、うつ病で認められることが多い「二級」だと、年間150万円から200万円程度の金額がもらえます。

軽いうつ病であっても、生活に不自由していることを医師に上手く書いてもらって審査をパスし、受給している人が少なくないといいます。

5. 現在のうつ病休職が抱える問題点

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ストレス過多の社会となり、うつ病をはじめとする精神障害で苦しむ人が増えていることは、社会全体で対処していかなければいけない問題です。

しかし、メンタルに問題を抱える人間が増えていることは事実としながら、労務問題を医療問題にすり替えていることを問題視する精神科がいます。

先に紹介したような病状が出ている場合には、病気と診断できるので医療的な問題とされますが、「上司のパワハラが辛いから会社を休みたいので診断書を書いてほしい」「会社に行くのが辛くなったので上司に相談したら診断書をもらって来いといわれた」といったケースの問題点は労務的な要因。

また、障害年金目当てでうつ病の診断書を欲しがる人も増えているといいます。
こうした「ニセモノ」の患者が増えることは、本当にうつ病で辛い思いをしている人の待遇や立場を侵害することになるのです。

5-1. 不鮮明な診断基準

かつては、「軽い抑うつ症状」とされていたものが、軽いけど「うつ病」と診断されてしまうのは、うつ病の診断基準が変わったことに起因しています。

1980年に出現した「DSM-Ⅲ」という診断基準と、1999年に日本で発売されるようになった「SSRI」という抗うつ薬がきっかけとなって、2010年代になるとうつ病の患者数は1980年代の5倍になったといいます。

現在の診断基準である「DSM-5」や「ICD-10」と呼ばれる国際診断基準によって診断される「うつ病」は、精神医学の根底をなす精神病理学的には、「抑うつ反応」とされるものが多く、単なる落ち込みや逃避まで「病気」と診断することを問題視する医師も多いのです。

5-2. 神経質にならざるを得ない企業

なぜ、「うつ病」の診断基準がここまで広くなってしまったのかというと、企業で過労死や自殺事件が多くなったからです。

裁判で企業側の責任が認められれば、その企業は大打撃を受けることになるので、メンタルヘルスにかんして、とても神経質になっているのが現状。

「上司に、会社に来るのが辛いと打ち明けたら、心療内科で診断書をもらって来いといわれた」
「退職したいといったら診断書をもらって来いといわれた」
こういうケースがとても増えているのですが、これは裁判になったときに会社側の責任をはっきりできるからです。

自分勝手な理由で休まれ、監督責任を問われるのだったら、「うつ病休職」にした方が責任を問われずに済むということ。
企業がストレスチェックなどで社員のメンタルヘルスに責任をもたなければいけなくなったことが、「うつ病休職」を増やす原因にもなっているということなのです。

まとめ

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現代人のメンタルヘルスに大きな影を落とす「うつ病」。
本人が気づかないところで進行し、最悪のケースでは自らの命を絶ってしまう人もいるのですから、社会で「気づき」のシステムをつくり、早めの対処が求められます。

しかし、その一方で労務的な問題を「うつ病」という疾病にすり替えてしまう「社会の緩み」が問題視されています。
企業や医療がかかえる現状は複雑で、一朝一夕に解決するものではありません。

だからこそ、うつ病の心配があるときは、「心療内科」の看板に惑わされることなく、信頼できる精神科医を受診するようにしましょう。

【参考資料】
・『新版 入門 うつ病のことがよくわかる本』 野村総一郎 監修 講談社 2018年
・『うつ病休職』 中嶋聡 著  新潮社 2017年

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