夜、眠っているはずなのに思ったように疲れが取れない―。
そんな悩みを抱えている方は多いかもしれません。寝ても疲れが取れない人におすすめなのが、今や世界中の超一流の人々がひそかに実践している「パワーナップ仮眠法」です。
パワーナップ仮眠法とは、日中に15~20分の仮眠をとることによって、疲労を解消するだけでなく仕事のパフォーマンスを向上させたり、クリエイティヴィティを向上させたりするなど、私たちに多くの恩恵をもたらしてくれる画期的な睡眠メソッドのこと。
あなたも、ぜひこの仮眠法を取り入れて、効果的に疲労を回復させて、仕事でよりよい成果をあげましょう。
目次
1 寝ても疲れが取れない人に昼寝が必要なワケ
1-1 短時間の仮眠があなたの人生を変える
1-2 日本人の睡眠時間は世界最短!
1-3 日中の仮眠はパフォーマンスをあげる
1-4 寝ても疲れが取れない人に、なぜ昼寝が有効なのか?
2 寝ても疲れが取れない人に!パワーナップ仮眠法の驚くべき効果
2-1 世界の超一流企業が導入している“パワーナップ仮眠法”
2-2 パワーナップで仕事の能率がUP
2-3 パワーナップで脳のクリエイティヴィティが向上
2-4 パワーナップでイライラやストレスを撃退
2-5 パワーナップで心身共に健康な状態に
3 寝ても疲れが取れない人のためのパワーナップのコツ
3-1 パワーナップを成功させる3つのルール
3-2 寝ても疲れが取れない人のパワーナップ実践法1 準備
3-3 寝ても疲れが取れない人のパワーナップ実践法2 仮眠
3-4 寝ても疲れが取れない人のパワーナップ実践法3 覚醒
4 まとめ
1 寝ても疲れが取れない人に昼寝が必要なワケ
現代においては、「いつも疲れがたまっている」「ちゃんと寝ているのに疲れが取れない」という悩みに苦しんでいる方がいっぱいいます。
まず、この章では、なぜ寝ても疲れが取れない人に、日中の昼寝が有効なのかをご説明したいと思います。
1-1 短時間の仮眠があなたの人生を変える
疲れが取れないまま仕事を続けていると、当然ながらパフォーマンスが低下していき、思うような結果を手にすることができなくなります。そればかりか、精神的にもストレスやイライラが解消されにくくなり、集中力や注意力も低下していきます。
疲れが取れない原因は、睡眠をしっかり取ることができていないことなのですが、かといって毎日仕事に追われているほとんどのビジネスパーソンにとっては、夜に十分な睡眠時間を確保すること自体が難しいでしょう。
そこで、オススメなのがここでご紹介する「パワーナップ」です。パワーナップとは、昼間に短時間の仮眠を取る、つまり「昼寝」をすることで、効果的に疲労を回復させ、パフォーマンスを向上させる方法のこと。
たった15~30分の仮眠を取るだけで、寝ても取れなかった疲れがとれるようになり、あなたの人生に素晴らしい変化をもたらしてくれるのです。
1-2 日本人の睡眠時間は世界最短!
ところで、日本人の睡眠時間は、世界でも最短であるということをご存じでしょうか。
2011年にOECD(経済開発協力機構)が行った調査では、日本人の平均睡眠時間は男性で7時間36分、女性で7時間41分と世界最短レベルでした。下に示す表をご覧いただければ、日本人の睡眠時間が他の国の人々のそれに比べ、いかに短いかがよくわかります。
そして、睡眠時間が短いということだけが問題ではありません。2014年にOECDが調査したところによれば、15~64歳男性の1日当たり平均労働時間は375分(休日も含む)で、OECDに加盟する26カ国中で最長だったのです。労働時間が最短だったのがフランスで、1日当たり平均労働時間は173分。つまり、日本人はフランス人の2倍以上働いている計算になります。
睡眠時間が世界最短なだけでなく、労働時間も世界最長―。これでは、睡眠不足による疲労の蓄積に悩む人が多いのは無理もありません。
1-3 日中の仮眠はパフォーマンスをあげる
とはいえ、睡眠というものは「長くとればいい」というものではありません。大切なのは、「睡眠の質」であり、良質な睡眠が取れていれば、睡眠時間が短くても問題ありません。
しかし、睡眠の質と一口に言っても、どういう眠りが質の高い眠りなのでしょうか。自分が質の高い眠りを取れているかどうかを知るための最も簡単で確実な方法は、日中における自分のパフォーマンスを見ること。
あなたがもし日中にあまり集中できていないとか、いつも発揮できるはずの実力を発揮できていないということがあれば、睡眠の質が低下していることを疑ってみましょう。逆に、日中のパフォーマンスが高く、良い結果を出すことができているのなら、たとえ睡眠時間がかなり短かったとしても、その人にとっては別段問題ないという場合もあります。
そして、大切なのは、日中の仮眠はこのパフォーマンスをあげるために取るものであるということです。仮眠は、夜の睡眠が取れていない人だけが取るものではなく、忙しく疲労が溜まっていてパフォーマンスが低下してしまっている人が取るものなのです。
1-4 寝ても疲れが取れない人に、なぜ昼寝が有効なのか?
人間は、昼に短時間の仮眠を取ることでパフォーマンスを上げることができますが、そもそもなぜ人間は午後になると眠気を覚えるのでしょうか?
一般には、昼食を食べて満腹感を覚えたから眠気を覚えるのだと考えられていますが、他にも科学的な理由があります。
生物が生まれつきそなえている時間計測機構である「体内時計」。実は、人間には24~25時間を1周期とする「サーカディアンリズム(概日性リズム)」、12時間を1周期とする「サーカセミディアンリズム(半概日性リズム)」の2種類の体内時計がそなわっています。
人間は、この体内時計のリズムのせいで、午前2~4時と午後2~4時の1日2回、眠気のピークが訪れるようになっているのです。ですから、昼に眠くなるのはむしろ自然なことなのです。
そして、昼寝にはもともと夜の睡眠の3倍の疲労回復効果があるとされており、短時間の睡眠によって血圧が安定し、脳の疲労感が取れることがわかっています。カリフォルニア大学の心理学者サラ・メドニック氏によれば、昼に20分の仮眠を取るだけで8時間分のスタミナを取り戻すことができるそうです。
つまり、昼に短時間の仮眠を取って疲労を回復させるのは、きわめて自然かつ有効な方法なのです。
2 寝ても疲れが取れない人に!パワーナップ仮眠法の驚くべき効果
昼間に短時間の仮眠を取ることによって、寝てもとれなかった疲れがとれるばかりではなく、実にさまざまな効果を得ることができます。
この章では、世界の超一流企業が続々と導入をはじめている画期的な仮眠法である「パワーナップ」の効果の数々をご紹介します。これを読めば、きっとあなたもパワーナップを日常生活に取り入れたくなるはずです。
2-1 世界の超一流企業が導入している“パワーナップ仮眠法”
さて、人間が日中に短時間の仮眠を取ることで疲労が回復し、パフォーマンスが向上する点についてはわかっていただけたと思います。
しかし、ここでご紹介する「パワーナップ」という方法は、ただの昼寝とは一味違います。Google、Apple、Microsoftをはじめとする世界的な超一流企業から、NASAや米国海兵隊など国家レベルの組織にいたるまでが採用している優れた仮眠法、それが「パワーナップ」なのです。
ほとんどの日本人は、まだこの「パワーナップ」という今や世界的な潮流となりつつある仮眠法を知らないでいますが、むしろ世界的に見ても労働時間が長く、睡眠時間が短い日本人こそパワーナップを習得する必要があるのではないでしょうか。
また、疲労回復効果だけでなく、パワーナップには実にさまざまな驚くべき効果があります。具体的なやり方の説明に入る前に、パワーナップの効果について観ていきましょう。
2-2 パワーナップで仕事の能率がUP
パワーナップを行うと、眠気と疲労が解消されるため、仕事の能率が上がります。
NASAが行った宇宙飛行士の睡眠に関する研究によれば、宇宙飛行士に日中26分間の仮眠を取ってもらった場合、そうしなかった場合に比べて認知能力が34%、注意力が54%も向上することがわかったといいます。
この研究結果を受け、GoogleやAppleをはじめとする企業ではオフィスに仮眠スペースを設けたり、快眠マシンを導入したりするなど、日中に仮眠を取りやすい環境を整えることで、従業員の能率を維持しているのです。
2-3 パワーナップで脳のクリエイティヴィティが向上
「仮眠ができないような会社には来たくない」
これは、誰の言葉だと思いますか?実は、Appleの創業者であり、iPodやiPhoneなど世界を席巻した数々の画期的製品の生みの親でもあった、スティーヴ・ジョブズの言葉です。
睡眠は、仕事の能率のみならず、クリエイティヴィティ(創造性)とも大いに関係があります。睡眠不足に陥ると、人の脳は疲労のせいで機能低下を起こし、自由な発想やアイデアが湧きにくくのです。
スティーヴ・ジョブズは、そのことを直感的に知っていたのかもしれません。
2-4 パワーナップでイライラやストレスを撃退
パワーナップには、私たちのストレスを軽減する効果もあります。なぜなら、仮眠には脳をクールダウンさせる力があるからです。
人間は、仕事などで脳を使い続けていると、「オーバーヒート」のような状態になっていきます。睡眠が不足したり、疲労が蓄積したりしているならそのような状態には拍車がかかります。
そうなってくると、ふだんは何でもないことが気に障り、ちょっとのことでイライラしたり、ストレスが溜まったりするものです。日中に仮眠を取ることで、こうしたイライラやストレスをある程度リセットすることができるというわけです。
2-5 パワーナップで心身共に健康な状態に
短時間の仮眠を取ることは、健康の維持にも効果的です。昼寝が健康に良い影響を与えることは、世界中の研究者によって明らかにされています。
特に、ギリシャのアテネ大学のデミオトリオス・トリホプロス博士は、シエスタ(午後に取る昼寝)と心臓病発症率との関係を研究し、週に3回以上30分の昼寝をしたほうが心臓病死のリスクが37%も低下することを突きとめました。
それに加え、午後の仮眠には血圧を下げる効果があるため、高血圧、心臓病、脳梗塞、糖尿病を予防する効果があることがわかっているのです。
つまり、仮眠は、仕事の能率のみならず、あなたの健康そのものを守ってくれるかもしれない習慣なのです。
3 寝ても疲れが取れない人のためのパワーナップのコツ
さて、パワーナップの素晴らしさ、驚くべき効果の数々についてはもうお分かりいただけたと思います。しかし、ほとんどの方は、パワーナップとただの昼寝との違いについてはご存じないのではないかと思います。パワーナップと昼寝とは明確な違いがあります。
ここでは、パワーナップがただの昼寝とはどう違うのかをご説明したうえで、具体的な実践方法をご紹介します。
3-1 パワーナップを成功させる3つのルール
それでは、パワーナップの具体的なやり方をご紹介します。その前に、まずはっきりさせておきたいことが1つ。
それは、パワーナップはただの昼寝とは違うということです。パワーナップをただ昼間に眠ることだと勘違いしてしまうと、むしろ「頭が働かない」「ダルくなった」など、逆効果になってしまうケースもあるのです。
それでは、パワーナップを成功させるためにはどうすればいいのか?まず、守らなければならない3つのルールがあります。
ルール1 昼寝は正午から午後3時までに行う
1つ目のルールは、「昼寝は正午から午後3時までに行う」ことです。なぜなら、夕方以降に睡眠を取ってしまうと、今度は夜に寝つきにくくなってしまうからです。夕方以降にどうしてもという場合は、10分以内にとどめるようにしましょう。
ルール2 眠時間は15~20分にとどめる
2つ目は「仮眠時間は15~20分にとどめる」こと。なぜなら、長く眠りすぎると眠りが深くなってしまい、頭がスッキリするどころか目覚めは最悪で、そのあとも頭が重たい状態が続いてしまいます。仮眠は短くても疲労回復効果がありますので、20分までにとどめるようにしましょう。
また、シエスタ(昼寝)が長すぎると、逆に心筋梗塞のリスクが高まるという研究結果も出ていますので、眠りすぎには注意してください。昼寝は短ければ健康に良いが、長いと逆効果なのです。
ルール3 事前にカフェインを摂取する
3つ目は「事前にカフェインを摂る」こと。睡眠をとるのに、カフェイン?と思われるかもしれませんが、これも「眠りすぎない」ための工夫です。カフェインを摂ってから昼寝をするほうが、昼寝を終えたときの脳の覚醒度が高まり、起きてすぐに仕事のパフォーマンスを高められるのです。
この3つのルールを守ってはじめて「ただの昼寝」が、あなたをさまざまな面で向上させてくれる「パワーナップ」へと進化するのです。
3-2 寝ても疲れが取れない人のパワーナップ実践法1 準備
さて、それではいよいよパワーナップを実践してみましょう!
まず、仮眠を取る前に、コーヒーなどでカフェインを摂取します。これは昼寝の場合にのみ有効な方法であり、夜にカフェインを摂ってしまうのは寝付きが悪くなってしまうので注意してください。
コーヒーを飲むタイミングは、仮眠前ならいつでもいいかというとそうではなく、「眠る前」にするようにしましょう。なぜなら、カフェインの覚醒作用は飲んでから約20~30分程度あとに効き始めるからです。カフェインが、いわば体内の目覚まし時計のような役割を果たしてくれ、起きてからすぐ脳をハイパフォーマンスの状態にすることができるのです。
また、カフェインの覚醒作用は、アイスコーヒーの場合は約1時間後と遅くなりますので、パワーナップをする場合はできればホットコーヒーを飲むようにしてください。
なお、コーヒー以外にも緑茶、紅茶、コーラ、強壮ドリンクなどにもカフェインは含まれていますので、コーヒーが好きではない方でもパワーナップをはじめることはできます。
3-3 寝ても疲れが取れない人のパワーナップ実践法2 仮眠
いよいよ、実際に仮眠を取るステップに入ります。パワーナップを成功させる3つのルールの1つに、「仮眠時間は15~20分にとどめる」というのがありましたが、このステップではもう一つ気をつけていただきたいことがあります。
それは、「横になって眠らない」ということです。なぜなら、横になって眠ってしまうと眠りが深くなりやすく、時間内に切り上げられないことが多いからです。長く寝過ぎてしまっては、それはパワーナップではなくただの昼寝になってしまいます。
横にならずに眠るのは、椅子がひとつあればできますので、それほど難しいことではありません。仮眠スペースで横にならずに壁により掛かるとか、オフィスの椅子で机につっぷして眠る、公園のベンチで眠るなどもいいでしょう。
気をつけていただきたいのは、次の2点です。
2.「首を寝違えないようにする」こと
それから、くれぐれも寝過ぎてしまわないように、事前にアラームをセットしておきましょう。アラーム以外にも、「自己覚醒法」といって、眠る前に「自分は何分後に必ず起きる」と強く決意して眠る方法もあります。自己暗示のひとつですが、なかなかに効果がありますのでお試しあれ。
3-4 寝ても疲れが取れない人のパワーナップ実践法3 覚醒
さて、仮眠が終わったら、次は覚醒です。パワーナップでは、ただ仮眠から目覚めればいいわけではなく、覚醒のステップでいくつかの「やるべきこと」があります。
1 ストレッチをする
目が覚めたら、まずは体を伸ばすようにしてストレッチをしましょう。これを行うことによって、血流が良くなり、頭が冴えやすくなります。
2 冷たい水で顔を洗う
冷たい水を顔にかけることによって、自律神経のスイッチが交感神経へと切り替わり、心拍数や血圧が上昇、体が目覚め始めます。
3 日光を浴びる
私たちの体には、目覚めた後に日光を浴びると、脳と体が覚醒するというメカニズムがそなわっていますので、仮眠が終わったあとは日光を浴びるようにしてください。日光浴は、5分程度、ウォーキングと組み合わせるとなおよいでしょう。
これらをしないで覚醒しようとすると、眠気に勝てずに二度寝してしまったり、頭が重いまま仕事をはじめなければいけなかったりしますので、気をつけましょう。
4 まとめ
いかがでしたか?ふだん寝ているはずなのになかなか疲れが取れない、日中のパフォーマンスが上がらないという方は、今や世界的な潮流となりつつある「パワーナップ」を日常生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。
昼に仮眠をとる文化は、日本ではまだ定着していませんが、パワーナップの驚くべき効果が知られていけば、近い将来、オフィスでの昼寝が当たり前になる時代が来るかもしれません。
【参考書籍】
『世界の超一流の人だけがこっそりやっているパワーナップ仮眠法』(坪田聡・フォレスト出版)
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