15分で理解する糖質過多と「うつ」の関係-カギは血糖と神経伝達物質

Pocket

shutterstock_511888939糖質制限を実践する人が増え、某クリニックがサイトで公開した糖質制限漫画が話題になりました。
糖質制限の目的は、中性脂肪を減らすダイエットだけではありません。
脳機能の活性化や老化の予防など、多くの成果が得られることがわかっています。

その中でも今、心の健康にもたらす影響が注目されています。
日常的に憂うつな気分が現れる状態を「うつ」といい、その状態が強くなって日常生活や人との接触に大きな影響が出るようになると、気分障害のひとつである「うつ病」と診断されることになります。

厚生労働省の調査によると、1999年に44万人だったうつ病の受診者数は、2014年には111万人を超えていますが、実際には受診者数よりはるかに多くのうつ病患者がいると考えられています。
その予備軍ともいえる「うつ症状を訴える人」の数は、計り知れません。

この「うつ症状」の、大きな原因としてあげられているのが「糖質過多」。
ここでは、糖質過多と「うつ」の関係を「血糖」「神経伝達物質」という2つの側面から、わかりやすく解説します。

目次

1. 三大栄養素が行う代謝の特徴
1-1. 糖質の代謝
1-2. 脂質の代謝
1-3. タンパク質の代謝
1-4. 糖質過多がもたらす弊害
1-5. 人体にとって必須ではない糖質の摂取

2. 糖質過多が引き起こす抵血糖症
2-1. 血液中のブドウ糖量が調節されるしくみ
2-2. 糖質過多による血糖値スパイク
2-3. 血糖調節異常である低血糖症
2-4. 糖尿病とうつ病の相関関係

3. 糖質過多が引き起こす神経伝達異常
3-1. うつ病の原因は神経伝達の異常
3-2. 3系統の神経伝達物質
3-3. インスリンが自律神経に与える影響

まとめ

1. 三大栄養素が行う代謝の特徴

shutterstock_1112830802

栄養素の働きは、「活動のためにエネルギーを産生する」「体内で

必要な物質を合成する」「いろいろな機能を調節する」という3つ。
その柱となっているのが、「糖質」「脂質」「タンパク質」という三大栄養素です。

三大栄養素の代謝には「酵素」が必要とされ、酵素が働くために欠かせないのが、微量栄養素である「ビタミン」や「ミネラル」です。
「代謝」とは、エネルギー産生や物質合成のために、体内で行われる化学変化の総称。

三大栄養素の代謝には、それぞれの役割と特徴があります。
まず、栄養学の基本ともいえる三大栄養素の代謝と、糖質過多の問題点を解説しましょう。

1-1. 糖質の代謝

糖質は燃えやすいので、即効性のある非常用エネルギーを産み出します。
なぜ非常用かというと、糖は体内での貯蔵量が少ないので短時間しか使うことができないからです。
糖質のエネルギー代謝には酸素を必要とせず、活性酸素を発生させずに乳酸を発生させるのも特徴。

糖質を摂取すると、主に小腸で吸収されてブドウ糖となり、グリコーゲンという糖に合成されて肝臓と筋肉に貯蔵されます。

肝臓のグリコーゲンは、多くが血液中にブドウ糖として放出され、貯蔵されたものは血糖(血液中のブドウ糖の量)の調節に使われますが、エネルギー量は約500キロカロリー。
筋肉に貯蔵されたグリコーゲンは、瞬発的に筋肉を動かすときや、酸素を使わずにエネルギーをつくらなければいけないときに使われ、エネルギー量は約2000キロカロリー。

糖質の貯蔵エネルギーは合わせて2500キロカロリーほどで、脂質の貯蔵エネルギー量約13万5000キロカロリーと比べるととても少ないのです。

貯蔵量が少ないために、過剰となった糖質は大量の中性脂肪として脂肪細胞に蓄えられていくことになります。

1-2. 脂質の代謝

shutterstock_1311768065

脂質は、通常時の主なエネルギー源であり、貯蔵体制もしっかりできていますが、なかなか火がつかず、炭のごとく燃え出すまでに時間がかかるのが特徴です。
しかし、いったん火がついてしまえば、これほど安定したエネルギー源はありません。

脂質は1グラムあたり9キロカロリーのエネルギーを産み出しますが、糖質やタンパク質は1グラムあたり4キロカロリー程度。
ですから、脂質は糖質の倍以上のパワーをもっている高効率物質なのです

脂質は体にとってもっとも重要なエネルギー源であるため、小腸で吸収されると、肝臓を経由しないで全身の細胞に運ばれてダイレクトにエネルギーになるのも特徴。
余った脂質は、糖質と同じように中性脂肪として脂肪細胞に貯蔵されます。

さらに脂質には、水に溶けにくいビタミンA、D、E、Kといった脂溶性ビタミンを働かせる役割や、細胞膜の材料になるという大きな役割もあります。

1-3. タンパク質の代謝

脂質にはメインエネルギー、糖質には非常用エネルギーになるという大きな役割があるのに対し、タンパク質がエネルギー源になるのは、体内のエネルギー源が不足したときです。

例外として小腸の粘膜だけは、普段からタンパク質がエネルギー源。
これは、糖質と脂質を吸収する小腸でそのどちらかをエネルギー源にしてしまうと、吸収がうまくいかなくなるためだといわれています。

タンパク質の主な役割は、全身を構成する60兆個ともいわれる細胞の原料になることです。
骨、筋肉、臓器、皮膚、爪、髪などの組織に加えて、酵素やホルモン、脳の神経伝達物質などの原料でもありますから、不足すれば重大な問題を引き起こします。

タンパク質を摂取すると体内で、9種の必須アミノ酸と11種の非必須アミノ酸からなる20種のアミノ酸に分解され、これが全身に運ばれて、各部位でそのまま働くもの、10万種類ともいわれるタンパク質に再合成されるもの、と生命維持に必要とされる様々な代謝が行われます。

1-4. 糖質過多がもたらす弊害

shutterstock_1307182789

貯蔵量の枠が少ない糖質は過多になりやすいので、いろいろな弊害をもたらします。

その代表的なものが、中性脂肪が増えることによる肥満や、生活習慣病の発症。
次に知られるのが、血糖(血液中のブドウ糖の量)の調整がうまくいかなくなる低血糖症で、繰り返していれば糖尿病につながります。

さらに、自律神経を乱すことによる様々な弊害。
最近は、ストレスに対抗するホルモンを分泌する副腎皮質と糖質過多の関係が、とくに注目されています。

神経伝達物質が正常に働かないことによる脳機能の低下も、うつ症状の大きな要因としてあげられます。

1-5. 人体にとって必須ではない糖質の摂取

脳や赤血球のエネルギーとなるのは、唯一ブドウ糖だけだという古い認識から、糖質の摂取を重んじる傾向がありました。

とくに米を主食にしてきた日本人はその傾向が強く、今でも、朝食はしっかりご飯を食べないと脳が働かないとか、甘いものは脳を活性化させるといった、間違った意識が残っています。

今や、糖質の摂取は人体にとって必須ではないというのが、栄養学の常識。
体内のブドウ糖が不足すると、アミノ酸や乳酸からブドウ糖を合成する「糖新生」と呼ばれるシステムがあるのです。

糖新生でも間に合わなくなると、中性脂肪が肝臓で分解されて「ケトン体」という物質がつくられ、このケトン体が脳や筋肉のエネルギーになることがわかっています。
糖質がなくても体内でブドウ糖はつくられ、さらにブドウ糖に変わる、脳の第2のエネルギーが存在するということが、現在の栄養学では常識になっています。

 

2. 糖質過多が引き起こす抵血糖症

shutterstock_525088390

うつ症状の原因のひとつである「低血糖症」は、血液中のブドウ糖の量が不安定になることによって発症します。

血糖が調整されるしくみから解説していきましょう。

2-1. 血液中のブドウ糖量が調節されるしくみ

食事をして糖質を摂取すると、ブドウ糖となって肝臓で分解され、エネルギー源として使える状態になってから多くは血液中に溶け込んで全身へと送られます。

血糖は通常、ホルモンによって一定の範囲内に調整されています。
食事後に血糖量が多くなると、膵臓からインスリンが分泌されて、濃度を薄めることによって血糖値を下げようとします。

逆に血糖の量が一定量よりも低くなると、アドレナリン、ノルアドレナリンといった神経伝達物質や副腎から分泌されるコルチゾールが作用して、血液にブドウ糖を補給しようとするのです。

血糖の量が安定していると、脳の活動も安定するので、精神状態はよくなります。

2-2. 糖質過多による血糖値スパイク

最近、なにかと話題に上がる「血糖値スパイク」ですが、なぜ血糖値が急上昇と急降下を繰り返すのでしょうか。

通常、健康な成人の血糖値は、空腹時で80~90、食事をとった後は1時間後に120くらいまで上昇してから、3~4時間かけてゆっくり下降していきます。

ところが、大量の糖質を摂取すると30分くらいで血糖値が急上昇するので、膵臓は大量のインスリンを発動して血糖値を下げようとし、その結果、今度は急降下することになります。
これが「血糖値スパイク」。

血糖値スパイクを繰り返していると、膵臓が疲労してインスリンがうまく分泌されなくなっていきます。

2-3. 血糖調節異常である低血糖症

血糖値の急上昇と急降下を繰り返しているうちに、血糖値が下がりすぎて陥るのが低血糖状態。

血糖値が70を切ると、眠気やだるさ、不安感やイライラ、発汗や動悸などが現れて、頭痛や吐き気などの症状を起こします。
さらに血糖値が下がり過ぎて50を切るようになると、めまいや震え、脱力感、血圧や心拍数の上昇といった症状が現れ、30を切ると痙攣や意識障害を起こして昏睡状態に。

低血糖は命にかかわることもあり、運転中に意識を失えば大事故につながります。

低血糖症には、「食後に血糖値が急激に下がる」「ずっと低い値で推移する」「乱高下を繰り返す」という3つの典型的なパターンがあります。
血糖値スパイクを繰り返すことによって、血糖値の調整が正常にできなくなっている状態をさらに続ければ、通常時の血糖値が高いままになる糖尿病を発症します。

2-4. 糖尿病とうつ病の相関関係

低血糖症の症状には、うつ状態と診断されるイライラや不安、急な眠気などが現れます。
この状態を続けることは非常に危険ですから、糖質制限をしなければいけません。

インスリンが分泌されなくなる、されても働かなくなる糖尿病は、うつ病の大きな原因となっています。
うつ病は糖尿病の合併症ではありませんが、糖尿病の患者がうつ症状を起こすのは、通常の2倍も多いといわれます。

また、「うつ」によってホルモンや自律神経に異常をきたすケースは多く、インスリンが働かなくなる「インスリン抵抗性」の要因としても指摘されています。

 

3. 糖質過多が引き起こす神経伝達異常

shutterstock_382158250

糖質過多によってうつ症状を引き起こすもうひとつの要因が、神経伝達の異常です。

「視覚」「聴覚」「嗅覚」「味覚」「触覚」という五感で受けた刺激は、電気信号として脳に伝わり、感情を生みます。
脳は、「ニューロン」と呼ばれる神経細胞で構成されており、その数は千数百億個。

ニューロンとニューロンの間のつなぎ目は「シナプス」と呼ばれ、シナプスで次のニューロンに信号を伝えているのが神経伝達物質です。

3-1. うつ病の原因は神経伝達の異常

うつ病は、長い間「なまけ病」ではないかと思われてきました。
環境の変化によるストレスが、引き金になっているからです。

しかし現在は、ニューロンとニューロンの間における情報伝達の障害が、直接の原因であることがわかっています。

人間はストレスを感じると、ストレスから身を守ろうとして、腎臓の上にある副腎から「コルチゾール」というホルモンを分泌、コルチゾールには血糖値や血圧を下げたり、炎症を鎮めたりする作用があるので「ストレスホルモン」と呼ばれます。

強いストレスが続くとコルチゾールが過剰分泌を起こし、脳に運ばれた大量のコルチゾールが、記憶が定着するまで情報を貯蔵する「海馬」のニューロンを壊してしまいます。

脳でニューロンがダメージを受けると、シナプスで信号を伝える神経伝達物質が正常に働くことができません。
うつ病まで悪化しなくても、脳の神経伝達に異常が起これば記憶障害やうつ症状が現れます。

最近の研究では、糖質が副腎疲労の原因になること、糖質過多がコルチゾールの過剰分泌を誘発することがわかっています。

3-2. 3系統の神経伝達物質

神経伝達物質は働き方によって、「興奮系」「抑制系」「調整系」という3つに分類されます。

興奮系には、快感や喜び、運動調節などに作用する「ドーパミン」、集中力、積極性、不安、恐怖などに作用する「ノルアドレナリン」などがあります。

アミノ酸には単体で神経伝達物質になるものもあり、抑制系の「GABA(γ-アミノ酪酸)」もそのひとつ。
抑制系には脳の興奮を抑制する作用があり、興奮系がアクセルだとすれば抑制系はブレーキになってバランスをとります。

調整系の代表は、必須アミノ酸のトリプトファンから合成されるセロトニン。
精神の安定をもたらし、睡眠を誘うホルモン「メラトニン」に合成されます。

うつ症状に直接関係があるのは、セロトニンが正常に働かないこととされますが、これらの神経伝達物質は影響し合って作用するので、3系統がバランスよく働くことが重要なのです。

3-3. インスリンが自律神経に与える影響

shutterstock_739544254

糖質が神経伝達物質にもたらす悪影響には、副腎疲労によるコルチゾールの分泌異常がありますが、コルチゾールとともに悪影響を与えているのが、インスリンの過剰分泌です。

甘いものを食べて幸福感がわくのは、急上昇した血糖値を下げようと分泌されたインスリンが、セロトニンの材料であるアミノ酸「トリプトファン」を増やすから。
ところが、実はトリプトファンが増えているのではないのです。

インスリンにはタンパク質を合成する働きもあるので、インスリンが増えればタンパク質の材料であるアミノ酸をたくさん消費します。
ですからトリプトファンが増えたのではなくて、ほかのアミノ酸が消費されて一時的にトリプトファンの比率が増えただけで、長続きはしません。

しかも、ほかの重要なアミノ酸を消費してしまうことで、ドーパミンの低下や、新陳代謝に必要なタンパク質の不足を招くのです。
糖質過多によるインスリンの増加は、神経伝達物質のバランスを崩すとともに自律神経を乱して、うつ症状を誘発するのです。

 

まとめ

shutterstock_267769658

体内でアミノ酸に分解されるタンパク質と、心拍や呼吸といった基礎代謝のエネルギーとなる脂質の重要性がクローズアップされるほど、その裏に糖質過多の弊害が見えてきます。

やる気がでない、不安感、イライラする、集中できないといった症状を感じたら、糖質過多になっていないか、食生活を見直してみましょう。
ほとんどの日本人は、糖質過多になっているといわれます。

食生活の改善で補いきれない部分は、サプリメントを利用するのも賢い選択。

心理カウンセラーとして、栄養ボディ療法を提唱されている橋本翔太先生は、栄養素が心と体の健康にもたらす効果を分析して糖質過多がもたらす弊害を指摘するとともに、アミノ酸、鉄分、亜鉛、マグネシウム、ビタミンB群、ビタミンDなどを効果的に補うサプリメントを開発されています。

ご自身のうつ体験をもとに、栄養と心の関係をわかりやすく解説されていますから、うつ症状が気になる人は必見です。

 

 

【参考資料】
・『「疲れ」がとれないのは糖質が原因だった』 溝口徹 著  青春出版社 2014年
・『「うつ」は食べ物が原因だった!』  溝口徹 著  青春出版社 2009
・『ニュートン別冊 現代人をむしばむ五つの大病』 ニュートンプレス 2018年
糖尿病情報センター サイト

▼ファミリアスピリット・アプリ(iTunesサイト) ※iphoneでご覧ください bannar-familiarspirits familiarspirits-app-download

コメントをどうぞ

*