総務の仕事を理解する10のポイント-従業員を支える事務の概要

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総務が重要な部門と認識している企業は少ないですよね?

なぜなのでしょう。
経理、人事、営業、開発といった部門は、仕事そのものが名称になっていますから、業務内容がわかりやすく、その重要さも認識しやすいのですが、「総務」という名称からは業務内容が伝わりにくいからなのです。

会社という組織を支えているのは従業員。
その従業員が安心して働けるように支えているのが総務部門です。
総務がしっかり仕事しない会社は、従業員が安心して仕事できないのですから、会社という組織の基盤だといえます。

総務が担当する業務は幅広く、ほかのすべての部署から頼りにされているのに、中小企業では重きを置かれていないことが多く、少人数で多くの業務を兼任しているケースもあります。
しかし、幅広い業務の中には専門的な業務もあり、誰でも楽にできる仕事とはいえません。

ここでは、総務の仕事とはどのようなものかという全体像と、効率化のコツなどを、10のポイントから紹介します。
もちろん、実際の業務内容は会社によって違いがありますから、あくまでも一般的な概要としてとらえ、業務の詳細は庶務の仕事を解説した本を参考にしてください。

目次

総務の仕事を理解する10のポイント

1. 「総」ての事「務」を行う部門

2. すべての部署とのコミュニケーション

3. 来客応対と電話応対のポイント

4. 社内文書と社外文書のポイント

5. 郵送物管理のポイント

6. 消耗品管理のポイント

7. 廃棄物管理のポイント

8. 書類保存のポイント

9. 印章(ハンコ)管理のポイント

10. マイナンバーと情報管理のポイント

まとめ

総務の仕事を理解する10のポイント

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総務の具体的な仕事を紹介する前に、「総務」と「庶務」の違いをはっきりさせておきましょう。

総務は、会社を支える従業員や会社そのものをサポートする職務で、「総務部」や「総務課」といった部署名で存在する会社が多いですよね。

庶務とは、雑多な事務そのものを指す言葉。
一般事務と呼ばれることもあり、ここで解説する事務仕事全般を指しています。

総務課と庶務課の違いは、総務部や総務課は独立した部門であるのに対して、庶務課は、いろいろな部門内に存在するという点です。
ですから、業務内容が同じように見えても、総務は会社全体を対象とした事務、庶務は部門を対象とした事務を行うという違いがあるのです。

 

1. 「総」ての事「務」を行う部門

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総務が具体的にどのような仕事をしているかということは、会社全体を支えているにもかかわらず、あまり知られていません。
簡単にいうと、その名のとおり「総(すべ)」ての事「務」を行います。

開発、製造、営業、物流、販売といった専門業務の部門に属さない仕事を引き受けているのが総務で、労務諸法令、会社法、民法などの法律にかんする業務も多く、幅広い知識と、経営的な視点やいろいろな部門の視点、外部からの視点などが必要とされます。

大きく分類して次の5つが総務の仕事の柱となります。

①経営陣のサポート
企業を経営するために必要な情報の収集や分析を行い、経営陣の意思を全社員に伝える仕事。

②社内各部門の調整
経営者と各部門をサポートして、スムーズに組織運営ができるように効率化、円滑化を図る仕事。

③人の管理
人員計画、社会保険の手続きなど労務管理、就業規則の作成、給与計算など、全従業員の管理業務。

④モノの管理
会社の施設、資産、備品、文書、情報システムなどの管理業務。

⑤外部に対する窓口
来客の対応や電話対応以外にも、PR業務の一貫としてHPやSNSなどの管理運営を担当することもあります。

 

2. すべての部署とのコミュニケーション

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総務の仕事は、全従業員とかかわるので総務の中だけでは終わらず、各部署と連携することがほとんどです。
各部署で使用する文書の作成や管理なども行いますから、その文書がどのように使われるものか知らなければいけません。
ですから、社内各部門の業務内容を把握する必要があるのです。

そのためには、日頃からほかの部署の社員とコミュニケーションをとることが大事です。
その部署がどのような仕事をしていて、従業員はどのような環境で仕事をしているのか、どういった特性があるのかなど、コミュニケーションをとることによって見えてきます。

総務は会社側に立って、従業員と接しなければいけないときもあります。
会社に対する提出物を催促するとか、勤怠や服務規程違反について言いにくいことでも言わなければいけません。

こうしたときも普段からコミュニケーションがとれている相手であれば、職務として発言しやすくなりますよね。
また、逆に従業員からの会社に対する不満や要望を聞くことができて、経営陣にフィードバックすることも可能になります。

ですから日頃から、従業員と言葉を交わすときには、挨拶だけ、ただ要望を伝えるだけ、応えるだけというだけでなく、気持ちを一言添えて顔を見て会話をするのが、総務の仕事を円滑にするコツなのです。

 

3. 来客応対と電話応対のポイント

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外部に対する総務の応対は、その会社のイメージに大きく影響します。
とくに来客への応対は、会社の第一印象を与えるものですから、その応対が好印象であれば、取引にもよい影響を与えることが考えられます。

また、外部からの窓口として総務が電話応対をする会社では、全ての業務に影響を与える存在となります。
来客応対と電話応対の一般的なポイントをあげておきましょう。

来客応対のポイント

① お客様を待たせずに対応し、笑顔で挨拶する。
② お客様の会社名と名前を聞いて復唱する。
③ 事前の約束がある場合は担当者とつなぎ、ない場合は要件を訪ねて担当者に意向を確認し、対応する。
④ たとえ飛び込みの営業であっても、相手によって態度を変えることなく、会社の窓口として丁寧な対応をする。

電話応対のポイント

① 電話を受けた場合は社名を名乗り、相手が社名と氏名を名乗ったら、「いつもお世話になっております」と挨拶をする。
② 相手が名乗らなかったら、「失礼ですが、お名前をうかがってもよろしいでしょうか」と切り出して、名前と社名を確認する。
③ 担当者が不在の場合は、折り返し電話をすることを伝え、電話番号、社名、氏名を確認し、最後に自分の名前を伝える。
④ 電話の日時、相手の社名と氏名、要件などが担当者に伝わるよう、社のシステムに従ってメモを残す。

 

4. 社内文書と社外文書のポイント

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総務では、社内、社外で使用する多くの文書を作成します。

社内文書は、経営陣から各部署へ情報を伝えるものや、全従業員に知らせるお知らせ、従業員からのいろいろな届け出文書などがあり、それぞれの構成はだいたいフォーマットが存在するので、それに従って作成します。

ポイントは、正確、簡潔に仕上げること。
社外文書のような挨拶などは省いて、情報が早く明確に伝わるように心がけます。

社外文書もビジネス文書として正確さと簡潔さが求められますが、社内文書と違うポイントは、対外的なものなので礼儀をふまえるということ。
一般的な構成では、主文の前に頭語、前文が置かれ、末尾にはそれに対応した末文、結語が加わります。

どちらも誤りがあると問題が起こりますが、社外文書はダメージが大きくなるのでとくに注意しなければいけません。
社名や個人名、日時や数値などの誤りは、会社に損害を与える可能性もあるので、入念な確認が必要です。

 

5. 郵送物管理のポイント

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会社に届く郵便物や宅配便などを受け取って、各部署や担当者に振り分けるのも総務の仕事です。

宛名に担当部署や担当者が書かれていれば、問題なく振り分けできますが、会社名しか書かれていない郵送物は、総務で開封して内容に応じた部署へ回すことになります。
ここでも、各部署の仕事内容を把握しておく必要が出てきます。

郵便物の紛失は、重大な問題を引き起こします。
取引先が担当者宛てに送った重要文書が紛失してしまった場合などは、会社に大きな損失を与えかねません。

ですから郵送物の管理は、受信と発信の記録を必ず残します。
多くの場合は電話応対などと同じように、郵送物の管理は社内のルールが定められています。
郵送物を振り分ける際に担当者が不在であったら、デスク上に置くだけでは紛失の危険があるので、その部署のチーフやデスクに手渡しするか、鍵付きの保管場所に置く、メモだけ置いて総務で預かる、といった対処が必要です。

受け取った郵送物には急ぎの案件もありますから、バイク便、速達、書留、宅配便などは優先的に処理するといった工夫も大切です。

 

6. 消耗品管理のポイント

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事務用品や給湯室トイレの備品、電球などの消耗品を管理するのも総務の仕事です。

事務用品は個人で使用するものですが、総務で一括管理するのは経費節減と経理処理の数を減らすため。
事務用品は一括購入すれば割安になりますし、個人で購入していたのでは不必要なものや高価なものを購入してしまうムダが発生します。
また、それぞれが経費の処理をするのでは、経理の仕事が繁雑になってしまいますよね。

消耗品は種類を絞り込んで、ひとつの業者から大量購入するのが基本。
どこから何を購入するか決めるのも総務の仕事であり、現在は、価格の比較が簡単にできるネット通販を利用する会社も多くなっています。

事務用品や備品の管理方法は会社によって違いますが、管理表を作成して持ち出しの自由度を下げるのがムダを減らすコツです。
在庫切れを起こさないように気を配るのも、従業員が安心して仕事をするためのサポートです。

 

7. 廃棄物管理のポイント

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会社のゴミ処理を管理するのも総務の仕事。
企業のゴミは、「産業廃棄物」と「事業系一般廃棄物」に分類されており、一般家庭のゴミのように「燃えるゴミ」「燃えないゴミ」といった分別とは違います。

産業廃棄物は、全業種を対象とした「燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類、金属くず、ガラスくず、コンクリートくず、陶磁器くず」などと、特定業種のみに指定された「紙くず、木くず、繊維くず、動植物性残さ、動植物系固形不要物、動物の糞尿・死体、ばいじん」などに分類されており、事業系一般廃棄物は産業廃棄物以外のゴミです。

産業廃棄物は業者と契約を結んで収集してもらい、事業系一般廃棄物は市区町村で決められた方法で処理します。
一般家庭ゴミのように集積場に出すものではないので、市区町村のルールを確認しなければいけません。

 

8. 書類保存のポイント

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総務では多くの書類を扱いますが、企業の書類は法律で保存期間が定められています。
保存期間は、その書類が関連する法律によって決められているので、一定ではありません。

代表的なものでは、会社法関連の決算書、株主総会議事録、取締役会議事録などは10年、税金関係の書類は7年、労働基準法関連の多くは3年、健康保険、厚生年金保険、雇用保険などは2年となっており、定款、株主名簿など法律では定められていなくても永久保存するものがあります。

書類保存のポイントは、日頃から使用するもの、普段は使用しなくても行政の調査が入ったときに必要となるもの、法定の保存期限までほとんど使用しないものに分類すること。

従業員関連の書類は、法令ごとに分類しても、部署ごとに分類しても問題ありませんが、あまり使用することなく長期保存するものは保存期限が同じ年のものをまとめておくと、廃棄するときに作業が楽になります。

 

9. 印章(ハンコ)管理のポイント

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「印章」とはハンコそのもののこと、「印影」とはハンコに朱肉をつけて押印した「跡」のこと、「印鑑」とは公官庁などに届け出した印影のことを指します。

総務ではいろいろな印章を管理して押印する機会が多くなり、ほかの部署に押印の基本的な決まりを指導する立場でもあります。

法人の代表的な印章は、法務局に届け出している「代表者印」、金融機関に届け出している「銀行印」、請求書や領収書などに押印する「社印(角印)」など。
押印のある文書は、法律上、本人の意思に基づくものとされるので、悪用されないように厳重な管理体制が必要とされます。

押印のしかたにはいくつかの基本的な決まりがあるので、紹介しておきましょう。

・印紙と書面にまたがって押印する「消印」
・書面に訂正が発生することを前提として余白部に押印される「捨印」
・訂正箇所が出たときに、余白に「〇字訂正」「〇字削除」などと記入して押印する「訂正印」
・2枚以上作成した契約書が同じ内容であることを示すために、書面を重ねて押印する「割印」
・2枚以上の書類が一体のものであることを示すために、綴じ目にまたがって押印する「契印」

 

10. マイナンバーと情報管理のポイント

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総務では、会社の機密情報や個人情報を扱いますから、漏洩のない環境づくりが求められます。
こうした情報が漏洩してしまうと、会社が信用を失うだけでなく、金銭的な損害が出たり、場合によっては行政処分の対象となったりと、深刻なダメージをもたらします。

個人情報の一部であるマイナンバーは、取得から廃棄に至るまで法律で厳しく定められているので、扱いにはとくに注意しなければいけません。

マイナンバー取り扱いのポイントは、次の4つ。

①取得
会社が従業員のマイナンバーを取得する際には、利用目的を通知して、番号確認と身元確認を所定の証明書類で行う。

②利用・提供
マイナンバーの利用目的は、社会保険や税金などの行政手続きに限定されているので、本人の同意があろうともほかの目的で利用することはできない。

③保管・廃棄
マイナンバーの保管は、必要とされるときだけに限定され、不要になったら速やかに廃棄しなければいけない。

④安全管理措置
漏洩や減失を防ぐために、4つの安全管理措置を講じることが義務づけられている。
・物理的安全管理(入退室や施錠の管理など)
・技術的安全管理(IDやパスワード、情報へのアクセス制限、セキュリティ、定期的なバックアップなど)
・人的安全管理(機密保持契約や定期的な研修など)
・組織的安全管理(個人情報管理規定、企業機密管理規定などの整備)

 

まとめ

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ここで紹介したのは、総務の仕事の大枠だけで、実務はさらに多岐にわたります。
とてもやりがいのある仕事だということがわかりますよね。
会社全体の業務をサポートしているのですから、もう「雑用係」などというイメージはなくなったことと思います。

総務の仕事をすること自体に資格は必要ありませんが、組織として法律で義務づけられているものや、取得を推奨されているものがあります。

国家資格である「衛生管理者」は、50人以上の従業員がいる職場に選定が義務づけられており、従業員の健康障害や労働災害を防止するのが目的です。

民間資格である「個人情報保護士」は、個人情報保護法が改正されたことをきっかけとして、総務部門に取得を推奨する大企業が増えています。

同じく民間資格の「マイナンバー実務検定」は、取得すると「マインバー管理士」として認定されるもので、1級から3級までのレベルのうち1級2級を取得すると、個人情報保護士の認定試験を受ける際に「課題Ⅰのマイナンバー法の理解」が免除となり、これら2つの資格は、合格後も2年に1回の更新試験に合格する必要があります。

 

【参考資料】

・『現役総務さんの声を生かした 総務のお仕事がスイスイはかどる本 第3版』 池田理恵子 著  秀和システム 2018年
・『図解 自分をアップデートする 仕事のコツ大全』 金沢悦子 著  講談社 2019年

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