アイデアがわく発想を生む3つの意識‐ヒット企画をつくる原点

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アイデアに行き詰まったときに、発想の幅を広げられる方法があったら知りたいですよね?

ヒット企画を生むための発想力を養うために、たくさんの本を読んだり、いろいろなフレームワークを試してみたりして努力をしている人は多いでしょう。
最近は、通勤中にスマートホンで発想法のトレーニングができるアプリもいろいろと開発されていますし、ゲーム感覚でアイデアを生み出せるというカードもあります。

しかし、面白いアイデアや斬新な発想を生むための基本は、日々の意識にあります。
その原点となるのが、「ものの見方を変える」、「差別化する」、「センスを磨く」という日常的な3つの意識。

どんなに優れたアプリや、革新的なフレームワークがあったとしても、この3つのことを意識していなければ、発想力を高めることはできません。

ここでは、国民的番組を数多く手掛けた人気放送作家の鶴間政行さんをはじめ、ヒット企画創造の達人達から学ぶ、アイデアや発想を生むための3つの意識について解説していきます。


目次

1. ものの見方を変える
1-1. コップ半分の水をどう見るか
1-2. 無意識の行動に気づく
1-3. 素人視点で見直す
1-4. 自分の位置を変えてみる

2. 差別化する
2-1. ありそうでなかったものを考える
2-2. 98:2の理論
2-3. 時代に乗るのではなく俯瞰する
2-4. 客のわがままにヒントがある

3. センスを磨く
3-1. 五感を鍛える
3-2. 観察力と洞察力を鍛える
3-3. 得意分野を徹底して磨く
3-4. スクラップ&ビルドでセンスを鍛える

まとめ

1. ものの見方を変える

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自由な発想をもっとも邪魔しているのが、「常識」や「普通」という概念。
無意識のうちにもってしまっている固定概念といわれるものです。

「常識」や「普通」という枠を打ち破ることができなければ、新しいことはできません。
こうした固定概念を打ち破るためには、「ものの見方を変えてみる」という意識をもつことが大事です。

誰もがサラッと流してしまっているところに、アイデアを生むチャンスがあります。
そのためにはどのようなものの見方をすればよいのか、4つのポイントから解説しましょう。

1-1. コップ半分の水をどう見るか

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1925年にノーベル文学賞を受賞したアイルランドの文学者ジョージ・バーナード・ショウは、「もう半分しか残っていないと嘆くのが悲観主義者、まだ半分残っていると喜ぶのが楽観主義者である」という言葉を残しています。

人間は同じものを見ても、受け取り方ひとつで、悲観的な気持ちにも幸福な気持ちにもなるのだという意味です。
ウィスキーが半分入ったボトルを例にあげたこの言葉は、ピーター・ドラッカーの「コップの水」理論のもとになったことで知られます。

ドラッカーの理論は、コップの水が「まだ半分入っている」から「もう半分空になった」と認識が変わるときにイノベーションの機会が生まれるというものですが、ヒット企画を生む発想力に必要なのは、両面からものを見ることができるがかどうかということです。

1面からだけのものの見方にこだわっていると、新しい発想は生まれてきません。

1-2. 無意識の行動に気づく

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「常識」や「普通」とは、ほとんどの人が無意識にうちに思ったり行ったりしていることですから、まずはそこに気づくことができるかどうかが問題です。

たとえば、年賀状という習慣がありますよね。
Eメールが普及してからは、年賀状を出す人が減少の一途をたどり、若い世代では書く人の方が少なくなっています。

しかし、年賀状を出す人が減った理由はEメールだけではありません。
1枚1枚手書きで書いている頃はよかったのですが、パソコンとプリンターが普及したり、簡単に印刷してくれるところが増えたりして、印刷しただけの年賀状が多くなってくると、「こんな気持ちのこもっていないものを、おカネをかけてまでやり取りする意味はあるのだろうか?」と気づいて、やめる人が増えたのです。

この例は、1年に1回の習慣ですし、時代の流れが大きく影響していますが、誰もが毎日行っている挨拶も同じなのです。

朝会ったら「おはようございます」、夜眠る前には「おやすみなさい」といいますよね。
なぜそんなことをするのかというと、お互いに気持ちがよいからなのです。
ここに気づくことができれば、ただ挨拶を口にするのでは意味がないから、気持ちをこめて挨拶をしようと思い、物事の本質を理解することができて、発想の幅が広がります。

自分が無意識にやっていることに、目を向けてみてください。

1-3. 素人視点で見直す

どこの業界にも、「業界の常識」とされるものがありますよね。
しかし、その枠にとらわれていたら、ヒット企画は生まれません。
仕事をする中でしみついてしまった「業界の常識」を一度捨てて、客観的な視点、素人の視点から物事を見てみると、新しい発想が見えてくることがよくあります。

現在の出版業界では、10万部売れれば大ヒット、100万部売れる本など1年に1冊あるかどうかといわれています。
ところが、2009年に出版されて大ヒットした『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』の著者である放送作家の岩崎夏海さんは、「200万部売る!」という目標を立てたそうです。

結果、「もしドラ」は、発行元のダイヤモンド社はじまって以来初のミリオンセラーとなり、300万部を超える大ヒットに。
岩崎さんは、自分が出版業界の人間ではなかったから、常識を知らないことが最大の武器になったと語っています。

1-4. 自分の位置を変えてみる

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自分の立ち位置を変えてみると、見えてくるものが変わります。

企画を立てようとデスクに向かっていても、発想というのは生理現象のようなものですから、ひねり出そうとして出てくるものではありません。
とくに、「今週中に」「〇曜日までに」と期限が切られている場合はストレスがかかるので、余計に自由な発想ができなくなります。

こういうときは、デスクを離れて、あえて課題とは別のことをする時間をつくります。
脳に新鮮な刺激を与えることで、斬新なアイデアが浮かぶことがありませんか?

アイデアは「記憶の複合体」ですから、脳内にある情報を結びつける作業や、思い出す作業をすることで、新しいものが生まれてくることが多いのです。

昔から、アイデアが浮かぶのは「馬上、枕上、厠上」といわれます。
馬に乗って移動しているとき、枕に頭をのせて寝る前、トイレで座っているとき、という意味。
これらの状況に共通するのは、「ひとり」で「仕事から離れたところ」にいるときということです。

意識して自分のポジションを変えてみましょう。

 

2. 差別化する

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差別化と個性化は、どんなビジネスでも求められる要素。
ヒット企画が立てられるかどうかは、いかにして人と違うことを考えるか、自分の色を出すかという点にかかっています。

「こうすれば企画はヒットする」という確実な方法などありません。
しかし、大ヒットした企画に共通しているいくつかのキーワードがあります。
それは、「優越感」、「スペシャリティー」、「専用」、「特別感」、「お得感」といったワードで、
これを生むのが差別化や個性化。

差別化、個性化を意識するための具体策を解説しましょう。

2-1. ありそうでなかったものを考える

ヒット企画を生む大きなヒントのひとつが、「ありそうでなかったもの」です。
多くの人が「こんなものがあったらいいな」と潜在的に考えているようなこと。
ここにハマるものが出ると、人々は飛びつきます。

簡単なフレームワークで考えてみましょう。
縦軸に「あったもの」「なかったもの」、横軸に「ありそうなもの(あればいいもの)」「なさそうなもの(ありえないもの)」というフレームです。

「ありそう」で「あった」ものは二番煎じ。
「なさそう」で「あった」ものは失敗作。
「なさそう」で「なかった」ものは、なくていいものです。
狙うのは、「ありそう」で「なかった」ものになるわけです。

よく例としてあげられるのが、1991年に発売された「カルピスウォーター」。
カルピスは創業から96年にわたって「水で薄めて飲むもの」でした。
いちいち自分で水と混ぜなくても美味しい濃さで飲める「カルピスウォーター」は、人々が潜在的に求めているものだったから、大ヒットしたのです。

2-2. 98:2の理論

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萩本欽一さんが出演した多くの番組をはじめ、近年では「笑っていいとも!」「ごきげんよう」「王様のブランチ」「SMAP×SMAP」といった大ヒット番組の放送作家を務めてきた鶴間政行さんが提言する、「98:2の理論」というものがあります。

100人の人間がいて、98人の人はスルーしてしまうけど、2人だけが気づくようなことがありますよね。
アイデアや発想で勝負しようと思ったら、2人の方に入らなければいけないという理論です。

鶴間さんは、98人の人間が無意識で普通にやっているようなことに目を向けて、差別化、個性化することが大ヒットするような発想を生むといいます。

しかし常に、2人の方を追い求める生き方をするのは大変なこと。
98人の方にいるのは簡単ですから、疲れているときなどは98人のひとりでもいいのです。
でも、疲れていないときは、意識して2人になる努力をしましょう。

2-3. 時代に乗るのではなく俯瞰する

ヒットする企画は、時代より少しだけ先を行っていることが重要です。
先を行き過ぎていても受け入れられませんし、遅れていては話になりません。
この時代感が、とても難しいのです。

時代の流れを把握するためには、時代に乗って一緒に流れていてはダメです。
時代の流れを俯瞰して、客観的に見る感性をもたなくてはいけません。

過去に成功したパターンをそのままやっても、差別化はできないでしょう。
どんなにヒットしたものでも、時代に合わせてアレンジしなければ、ただの二番煎じで終わります。

時代感にマッチした差別化は、ほかの2つの意識である「ものの見方を変える」「センスを磨く」ことでできるようになるものであり、経験値を上げることによって精度が上がります。
企画は、不確定な未来を予測する行為。
ですから、占いと同じように「当たる」確率を上げることが重要なのです。

2-4. 客のわがままにヒントがある

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究極の差別化や個性化は、消費者やユーザーや視聴者のわがままを実現することです。
しかし、すべての人のわがままに応えようとすれば、完全オーダーメイドということになります。

すべての人、全人類をターゲットとするような大衆性のある企画は、ヒットすれば大ヒットにつながる可能性があっても、なかなかできるものではありません。
そこで、「誰かひとりのわがままに徹底的に応える」というパーソナルな差別化を考えてみるのです。

強い個性が人々の共感を呼んで、世の中に広がるパターンも少なくありません。
また、誰かひとりのためにつくったシステムが、アレンジされて多様化するケースもあるのです。

差別化も、常にマクロとミクロという両面からものを見ることを意識すれば、発想が広がっていきます。

 

3. センスを磨く

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差別化や個性化をどうつくるかということを考えるためには、物事の微妙な違いを感じとって未来を予測しなければいけません。
この「微妙な違いを感じとる感覚」が、「センス」です。

センスは先天的なものではなく、誰もが高めることのできる感覚。
センスを磨くポイントは「量と時間」といわれます。

「アイデアは思考の積み重ね」とは、『アイデアのつくり方』の著者であるアメリカの実業家ジェームス・W・ヤング氏の言葉です。
センスが悪いといわれてしまう原因は、「知らない」または「経験がない」ために、違いがわからず、想像力も働かないことにあります。

センスを磨くためには、意識してどのような経験を積めばよいのか、解説しましょう。

3-1. 五感を鍛える

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喜怒哀楽をはじめとする多彩な人間の感情は、「視覚」「聴覚」「嗅覚」「味覚」「触覚」という五感で受けた情報がつくり出すものです。
五感は人間のセンサーですから、人を感動させたり満足させたり、喜ばせたりしようと思ったら、五感に訴える情報を提供する必要があるわけです。

また、時代をとらえるセンサーでもありますから、画期的なアイデアを生もうと思えば、五感を鍛えなければいけません。

具体的には、知識を増やすだけではなく、日頃から「知る」ことと「感じる」ことを意識して実践するのです。

行列のできるスイーツ店があるとしたら、どんなに信頼できる人から得た情報よりも、実際に自分で足を運んで現場で「知り」、「感じた」情報の方が、リアリティをもちます。
そうすると、発想にリアリティが出てくるということです。
単なるもの知りになるのではなくて、自分で体験して五感で感じた情報を知識にしていくと、アイデアに説得力が生まれます。

3-2. 観察力と洞察力を鍛える

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インターネット社会では、どんな情報も検索すれば入手することが可能です。
しかし、差別化するためには、ネットで入手できない情報を大事にすべき。
そこで重要とされるのが、人間を観察することと、洞察することなのです。

観察力とは、物事の状態や変化、人の動向などを見て、感じて、知る力。
洞察力とは、物後の本質を見抜いて、見えなかったものを知る力です。

自分のもっている知識を越えようとするのであれば、センスを磨いて五感を鋭くし、新しい事実を探さなければいけません。

若い女性を対象としたスイーツを開発しようと思ったら、今、何が流行しているのかということを街に出て調べます。
これが観察ですね。

そして流行しているものがわかったら、なぜそれが流行しているのか、若い女性の立場になって考えてみるのです。
これが洞察です。

3-3. 得意分野を徹底して磨く

「好き」を磨いて「上手い」といわれ、「上手い」が「個性」となって自分の「センス」となる。
これは、元博報堂制作部長として広告業界の第一線で活躍し、現在は企業のブランディングやコンセプトワークを手がける高橋宣行氏の言葉です。

「好きこそものの上手なれ」ともいいますが、自分の得意なことや好きなことを磨くのは楽しいものですし、モチベーションが上がって自信もつきます。
ここを徹底的に磨いて、スペシャリストを目指すのです。

そうすると自分の中にひとつの核ができますから、そこからセンスの幅を広げていけばいいのです。

3-4. スクラップ&ビルドでセンスを鍛える

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自分を越えるためには、自分を壊すしかありません。
発想を壊してつくり上げ、また壊してつくりあげる。
観察や洞察から生まれる新しい情報を入れ込んで、企画を何回でもリビルドします。

手を変え品を変え、時代の風をコーティングして、時代にマッチした面白いものをつくり出すのです。
まさに「スクラップ&ビルド」。
1回壊して、新しいものを混ぜて組み立てる作業の繰り返しで、センスが磨かれていくのです。

会議などで気をつけたいのは、誰かがアイデアを出したときにそれがあまりよくないと思っても、否定したりダメ出しをしたりしないことです。
否定してしまうと、自由な発想ができなくなっていきます。
「それもいい、でももっとよくなるはず」という意識で、スクラップ&ビルドを繰り返しましょう。

 

まとめ

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画期的なアイデアや斬新な発想は、ものの見方を変えて、差別化や個性化を目指すことがポイントで、そこでカギになるのがセンスなのです。

どんなビジネスにも共通する目的。
それが、差別化と個性化です。
商品開発や店舗企画にしても、ブランディングにしても、番組企画、書籍企画にしてもみな同じで、ヒット企画をつくる原点となるのは、差別化と個性化を常に意識すること。

そのためには、五感を錆びつかせないことが大切なのです。

アイデアを湧かせる発想方法をもっと知りたい方は、こちらでも登場されている鶴間政行さんのお話が参考になるかもしれません。

鶴間さんが講師としてお話されているフォレスタのコンテンツをぜひチェックしてみてくださいね。

フォレスタアプリ>ビジネス>企画力

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ヒットメーカーが教える アイデア脳の作り方

 

【参考資料】
・『賢人の企画術』 夏野剛 ほか監修 幻冬舎 2012年
・『高橋宣行の発想筋トレ』 高橋宣行 著  日本実業出版社 2016年
・『理系の企画力! ヒット商品は「現場感覚』から』 宮永博史 著 祥伝社 2009年

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