西洋美術と現代ビジネスに学ぶ発想のヒント

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アイデアに行き詰まったときは、先人たちの発想からヒントをもらいたいと思いますよね。

AI(人工知能)が急速に進歩し、今まで人間が行っていたことを機械が代行する時代になっています。
このままAIが進化してゆけば、人間の仕事は大半が機械にとって代わられるのはないかともいわれていまね。

そうした時代の流れの中で、人間に求められるのが「発想力」や「創造力」。

「発想」は英語で“idea”、「発想力」は“creativity”が一般的に使われます。
同じく“creativity”が使われる「創造力」は、発想力の類語としてとらえられがちですが、「発想」が思いつくことや考え出すことを意味するのに対し、「創造」には「最初につくり出す」「新しいものをつくり出す」という意味があります。

創造力とは、今までなかったものをつくり出す力なのです。

ここでは、「西洋美術」「現代ビジネス」という2つのジャンルで、創造の達人からもらえる創造力や発想力を鍛えるヒントを紹介します。

目次

1. 西洋美術辺編
1-1. レオナルド・ダ・ヴィンチ 神から人への視点移動で生まれた遠近法
1-2. クロード・モネ 自由を求めて既成概念から外に出る
1-3. パブロ・ピカソ 複数の視点を同居させる
1-4. マルセル・デュシャン 創造という枠を超える
1-5. フランク・ステラ 既成概念を解体しながら変容する

2. 現代ビジネス編
2-1. 稲森和夫 もう方法がないと思うまで徹底的に働く
2-2. 孫正義 どんなこともプラスに転換する発想力
2-3. イーロン・マスク 失敗をプラスに転換する逆転の発想

まとめ

1. 西洋美術編

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1-1. レオナルド・ダ・ヴィンチ 神から人への視点移動で生まれた遠近法

芸術の歴史には、現代にも通じる発想のヒントがたくさん散りばめられています。

カードゲームデザイナーで、感動経営コンサルタントとしても活動中の杉岡一樹さんは、「西洋美術史から学ぶ、ビジネスのヒントとなる発想法」を提言されていますが、その中の芸術家から5人をピックアップして、ここで少しだけ紹介しましょう。

ルネサンス期を代表する芸術家であるレオナルド・ダ・ヴィンチ(1452~1519)は、遠近法を確立しました。
ルネサンス以前の中世の絵画は、交わることのない平行線を基盤とする神の視点で描かれていましたが、ダ・ヴィンチはどこかで交わる放射状の構図を創造します。

ルネサンスは、天動説から地動説へ、魔法から科学へ、神の視点から人間の視点へと、発想が転換された文化運動でした。
視点が変わることによって、発想が変わり、時代を変える創造が生まれたのです。

杉岡さんは、ルネサンスで「逆算」という発想が生まれたといっています。
中世までの絵は、輪郭を足していく足し算的な描き方であるのに対し、ルネサンス以降の絵は全体を分割して真ん中がどこか探る割り算的な描き方になっており、これが発想を転換させる大きなヒントになったのです。

1-2. クロード・モネ 自由を求めて既成概念から外に出る

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印象派を代表するクロードモネ(1840~1926)は、フランス革命によって生まれた民衆の視点で既成概念を打ち破りました。
神から人間へと変革した視点は、支配者から民衆へと移っていきます。

印象派の画家は、古典的な絵画の理論や、絵画は受注生産で描かれるものというそれまでの常識から脱出して、自由に絵を描くようになります。

チューブの絵の具が開発されたことも、創造の形態を大きく変えました。
それまでは、画家が絵の具をつくるところからはじめ、屋内でしか描くことができなかった絵が、簡単にもち運べるチューブ絵の具のおかげで、野外で描けるようになります。

スマートフォンという端末の普及によって、どこにいてもインターネットから情報を得られるようになった近年と同じように、価値観や発想の変革が起こったのです。
印象派の活動は、既存の価値観を疑った点や、新発明を積極的に取り入れた点など、現代のベンチャー企業における発想に通じるところがあります。

1-3. パブロ・ピカソ 複数の視点を同居させる

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印象派が外から受ける印象を描いたのに対し、ムンクに代表される、20世紀初頭にドイツで起こった表現主義では、内から湧き出る感情などを表現するという発想の転換が行われました。

同時期に抽象芸術のひとつとして、パブロ・ピカソ(1881~1973)とジョルジュ・ブラック(1882から1963)によってはじまったのがキュビスムです。
キュビスムは、ルネサンスでダ・ヴィンチが確立した単一視点による遠近法の放棄という、後世に多大な影響を与える「発想の大転換」でした。

キュビスムは、立体主義とも呼ばれますが、上からの視点、横から視点、斜めからの視点など、複数の視点を同居させたことが特徴です。

意外と知られていないことですが、ピカソの「発想の大逆転」は、古典絵画の技術があったからこそ生まれたものです。
14歳のときに書いた古典絵画が残っており、すでにその年齢において正統的な技法をマスターしていたことがわかっているのです。

杉岡さんは、ピカソに学ぶべき点が「多様なあり方に対する、圧倒的な肯定性」だといっています。
ピカソは、現代にに通じるビジネスセンスがあったことでも知られ、15万点近い膨大な量の作品を残しています。

1-4. マルセル・デュシャン 創造という枠を超える

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第二次世界大戦前夜、ナチスドイツは古典的な美術を奨励して、前衛的な芸術を否定しました。
そのナチスドイツがヨーロッパを席巻したために、前衛芸術の中心はニューヨークへと移ります。
この時代、アメリカの富裕層が芸術家の亡命を支援したのです。

パリで画家として活動していたマルセル・デュシャン(1887~1968)は、第一次世界大戦中の1915年にニューヨークへと移り住み、油絵を描くことをやめてしまいます。

「芸術を捨てた芸術家」と呼ばれたデュシャンが行ったのは、徹底的ともいえる既存の価値観の破壊でした。

男子用小便器にリチャード・マットと署名をした『噴水』という作品をはじめ、既成の道具をアートにする「レディメイド」というスタイルを生み出します。
男の顔になっている『モナリザ』のパロディも、よく知られています。

創造という枠を超えてしまったデュシャンの型破りな活動は、1960年から1970年代にかけて行われた前衛芸術運動「コンセプチュアルアート」に引き継がれていきます。
デュシャンの時代の前衛芸術は、否定する対象を必要としたのですが、これはひとつの弱点でもありました。

アメリカで開花するコンセプチュアルアートは、さらに自由な発想へと変わっていいます。

1-5. フランク・ステラ 既成概念を解体しながら変容する

22歳のときに、ポッポアートの先駆者であるジャスパー・ジョーンズがアメリカ国旗を描いた「旗」という作品を見て衝撃を受けたフランク・ステラは、ひたすら「縞(ストライプ)」を描き続けました。

ステラは、芸術は不必要なものを排除するという観点から、記号を芸術表現として選びます。
必要ないものを省いた最小限の記号としてストライプに注目し、黒のエナメル塗料を使って簡素なストライプを描き続けたのです。
16カ月間で23のバリエーションを生み出したこの作品は「ブラックシリーズ」と呼ばれています。

ステラの発想がそれまでの芸術家と違うのは、既成概念を解体したことにとどまらず、変容させていったことでした。

ストライプをより強調させる表現方法として、アルミニウムを混ぜた塗料を使ってカラーのストライプを描いたステラは、ストライプというモチーフの繰り返しに限度を感じると、さらにストライプを強調する新しい効果を求めて変容していきました。

そして到達するのが、「絵は四角い」という既成概念の解体です。
ステラは、キャンバスの形とはかけ離れた角度をもって際立つストライプを描き、ストライプ以外の部分は不要だとして、キャンバスを切り取ってしまったのです。
この「シェイプド・キャンバス」は、「視覚的な印象を与えることがアートの根本的な存在理由」と考える現代美術の象徴となりました。

 

2. 現代ビジネス編

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2-1. 稲森和夫 もう方法がないと思うまで徹底的に働く

京セラ・第二電電(現・KDDI)創業者、日本航空名誉会長として知られる稲森和夫氏(1932~)は、京セラ時代に、製品の返品が続いて技術者が「万策尽きた」と泣いていたときに、「おい、神様に祈ったか?」と声をかけたといいます。

その言葉は、「人間ができる最後の最後まで努力したのか?」という意味でした。
やり尽くしたといえるところまでやれという発想は、自身が働き続けたことから生まれたものだといわれています。

経営の神様と呼ばれる稲森さんは、「神様が哀れんでくれるくらいのひたむきな努力」によって、ビジネスを創造したのでした。

2-2. 孫正義 どんなこともプラスに転換する発想力

ソフトバクグループの創業者である孫正義氏(1957~)は、ツイッターで発言する経営者として知られます。

孫氏のつぶやきが特徴的なのは、「髪の毛が後退しているのではない。私が前進しているのである」といった自虐ネタをギャグにして笑い飛ばしてしまうところ。

自分の容姿をコンプレックスとして抱え、ストレスを増やすか、すべてを受け入れて発想を転換し、ポジティブに前進するかは考え方ひとつです。

どんな不満やネガティブな要素もプラスに転換してしまう発想力が身につくと、成功への道筋が見えてくるといわれます。

2-3. イーロン・マスク 失敗をプラスに転換する逆転の発想

南アフリカ共和国出身でアメリカを活動の場としている経営者のイーロン・マスク(1971~)は、宇宙開発会社スペースX社や、世界中に電気自動車ブームを巻き起こしたテスラモーターズの共同設立者として知られます。

自由な発想と行動力で、「不可能を可能にする男」と呼ばれています。
12歳にして自作のソフトウェアを販売、1995年にスタンフォード大学を2日で退学して弟と起業したZip2社がコンパック社に買収され、2200万ドルを手にしたところからイーロンの躍進がはじまりました。

既成概念を変えることに挑み続けている彼の特徴は、失敗をも自身のツイッターで公開し、分析してみせるところ。
すべてを公開することで、宇宙開発プロジェクトが着実に動いていることを宣伝してしまったのです。

不可能を可能にしてきた異次元の発想は、失敗から生まれているといっています。

まとめ

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創造力を生む豊かな発想とは、「人と同じことをしない」「既成概念にとらわれない」「自分の感性を信じる」といったことから生まれるものなのです。

そのためには、視点を変えてみること、ほかの人の視点を体験してみることが重要。
自由な視点をもてるようになって、既成概念を解体していきましょう。

 

なお、こちらでご紹介いたしました杉岡一樹先生のアドバイスをもっとお聞きになりたい方はフォレスタのアプリコンテンツもぜひチェックしてみてください。

アプリコンテンツでは、「美術の3巨匠に学ぶ ヒット企画のつくり方」と題して、美術史から学ぶ発想法をわかりやすく理論立てて解説する動画をご覧いただけます。

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美術の3巨匠に学ぶ ヒット企画のつくり方

 

【参考資料】
・『「型破り」の発想力 武蔵・芭蕉・利休・世阿弥・北斎に学ぶ』 斎藤孝 著  祥伝社 2017年
・『マイケル・ジャクソンの靴下はなぜ白いのか?』 野呂エイシロウ 著  ぱる出版 2016年

 

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