5つの分野から考える人生設計-幸せな未来を実現できる設計図

ライフ

「人生設計」や「ライフプラン」という言葉から何を連想しますか?
生命保険やがん保険のCMでよく耳にする言葉ですよね。

生命保険などを契約する際には、その人のライフプランにあわせた保険を提案されることになります。
しかし、考えてみると20代30代のときに人生設計を立てても、その通りに人生を歩む確率はとても低い。

何歳で結婚して、何歳で子どもができて、何歳で子どもが独り立ちしてなどといわれても、結婚できないかもしれないし、子どもをつくらないかもしれませんから、実感がありませんよね。
他人が考えた人生設計にはリアリティがもてないのです。

本来、人生設計とは充実した人生を過ごすために、自分で考えるもの。
30代、40代、50代と人生を歩む中で、社会環境の変化にあわせて「分析→計画→実行→検証」というサイクルを繰り返しながら自分の現状と将来にフィットさせていくものです。

ここでは、「仕事」「家庭」「個人」「経済」「健康」という5つの分野から考える人生設計のやり方を紹介します。

仕事

shutterstock_1657938115

30代と50代では、キャリアが違いますから人生設計の立て方が変わってきます。
人生設計は、過去に培ってきたキャリアの上に成り立つもので、高齢になればなるほどリアリティのあるプラン、実現可能なプランを立てられるようになります。

過去の自分のキャリアを分析し、将来の仕事面におけるビジョンや計画をつくるのが「キャリアデザイン」。
「働き方の設計図」といい換えることもできます。

キャリアデザインの基盤は、「今までに自分は仕事で何をしてきたか?」と、「これからの自分に必要なものは何か?」という2つの自己洞察。
この2点の分析によって、伸ばしていきたい長所や、改めたい短所が明確になります。
さらに、あらためて実現可能な目標を設定することができるのです。

自分の現状を分析する

まず、3つの分析によって、自分の現状を把握します。

① 過去の仕事を振り返る

次のような事柄を思いつく限り書き出していきます。

・社会人生活をスタートさせたとき、どのような展望をもっていたか?
・今までの仕事で転機となった事柄
・今までの仕事で培った能力

具体的な例をあげると、

・10年前に新人の頃は、自分の財産となるような人脈作りに励もうと思っていた
・3年後には責任あるポジションを任され、人脈のことなど忘れてひたすら業務に励んだ
・人間関係のストレスで会社をやめようと思ったこともあった
・目標にできる先輩と出会ったおかげで辞めずにすんだ
・失敗もあったが、仕事の流れ全体を見渡せるようになった

書き出したら、現在の自分に至る道筋を思い返してみましょう。

② 自分の「強み」と「弱み」を知る

強みを生かしたキャリアデザインをするために、自己評価を行います。
「企画力」「営業力」「管理能力」「事務処理能力」「人間関係」といった自分の仕事にあてはまる項目を作成し、採点してみましょう。

設定項目が細かいほど、詳細な分析ができます。
自分の弱みを知った上で、強みを生かしていくことが大切なポイントです。

③ 環境変化への対応力を知る

新型コロナウィルスの感染拡大によって、生活様式が大きく変容し、テレワークなどで仕事のしかたが全く変わってしまったという人が多いことでしょう。
今後も、予想できない環境変化が起こることが十分考えられるのですから、自分はどれだけ対応力をもっているのか知っておくことは、強みと弱みを把握する上でも重要なポイントです。

キャリアデザインを考える

過去から現状に至る自分の分析ができたら、今後のキャリアデザインを考えます。
5つのポイントに留意してください。

① 組織における役割を意識する

単に自分自身のことだけでなく、属している企業や団体の活性化を意識して、組織内でどのような役割をこなしていくか考えます。

② 人的ネットワークを意識する

人脈づくりは、現在の仕事の延長線上だけでなく、長く退職後も生かせるようなものにしておきたいですね。

③ 新しい時代に適応する意識をもつ

年齢を重ねても、新しい発想や時代の変化に対応する柔軟さをなくしてはいけません。

④ 退職後をみすえたキャリアアップ

50代に入って定年退職が見えてきたら、定年後の仕事の在り方を考えておく必要があります。

⑤ 「やりがい」を重視する

自分の人生における仕事の位置づけを意識して考えましょう。
働く目的はどこにあるのかということを明確にしていくのです。
そこには収入面だけでなく、「やりがい」がもてるビジョンがないと充実した人生のプランニングはできません。

家庭

shutterstock_1038143476

仕事と並列の関係にある家庭生活は、人生設計の基盤といってもいいでしょう。

内閣府が発行している『国民生活白書』では、家庭の役割を「休息、やすらぎを得ること」「子どもを生んで育てること」「助け合う相互扶助」「生活の糧を得ること」の4つに分類しています。

しかし、日本における家庭の在り方は、団塊世代が結婚してはじまった「核家族化」や女性の社会進出をきっかけとして変わってきました。
多様化によって、保険会社が提案してきたような「一般的」とされる人生設計が広く適用できなくなっているのです。

多様化する家庭の在り方

「ライフスタイルの多様化」という言葉がよく使われますよね。
仕事のしかたも、家庭のあり方も、自分だけの時間の過ごし方も、自由に選択できる時代になり、型にはめて考えることができなくなってきています。

実家を出てひとり暮らしをする。
結婚して家庭をもつ。
子どもができて家族が増える。
老いた親の面倒をみる。

こうした、かつて一般的とされていたスタイルは、もはや多数派とはいえず、そもそも一般的という言葉で家庭生活をくくることが難しくなっているのです。
結婚するかしないか、子どもをもつかもたいないか、妻が働くか働かないか、親の介護をするか専門家に任せるか、といった選択肢がたくさんあり、従来の設計図はつかえなくなっていますよね。

これでわかるのは、人それぞれ、自分が選んだ自分だけの家庭の在り方を設計する必要があるということなのです。

配偶者、子ども、親との関係を考える

人生設計の家庭生活を考えるときのポイントは4つ。
家族とのかかわり方やワークライフバランスを明確にしていきます。

① 配偶者との関係

30代40代の既婚者では夫婦共働きが多い現在、夫婦間のコミュニケーションの在り方も多様化しています。
結婚したからといって毎日夫婦が一緒に食事をしているとは限りませんし、週末だけ一緒に過ごすくらいがちょうどよいと考えている夫婦もいます。

しかし、結婚生活において重要なのは、配偶者との信頼関係を深めることであるのは、今も昔も変わりません。
赤の他人が同居しているのですから、相手を思いやる気持ちと、良好な距離感を維持することが、溝を深めないコツじゃないでしょうか。

② 子どもとの関係

子どもが成長するにつれて、親の悩みや不安の種が増えてきます。
新型コロナによる休校や家庭学習など、とくに今年は子どもをとりまく社会環境も大きく変化しているので、子どもが心に問題を抱えるケースも増えています。

子どもの健全な成長には、父親と母親双方からの積極的な関与が必要。
また、同世代だけでなく異世代とのかかわりは心身発達に好影響を与えるので、スポーツやイベント、ボランティアなどの機会を提供していく必要もあります。

③ 親との関係

50代になってくると親が高齢期に入るので、親とのかかわり方も考えなければいけません。
目指すべきは、お互いに依存しない関係です。

一時期よくあったのは、親が子どもの家の改築費を出してやり、そのかわり老後の面倒はみてもらうという依存し合う関係。
親は介護も面倒を見てもらえると思っていたのに、奥さんと息子がもめて面倒を見てもらえなくなってしまったが、老後の資金は家の改築費でほとんど使ってしまったという悲劇がありました。

親が高齢化してきたら見守りは必要かもしれませんが、介護で自分や配偶者が犠牲を払うようなことは避けなければいけません。

④ シングルライフ

晩婚化と未婚化が進んでいる現在、ひとり暮らしを続ける人の数は増え続けています。
自由で制約が少ないシングルライフですが、病気やケガなどで動けなくなったときのことは考えておかなければいけません。

個人

shutterstock_1674467302

人生設計の目的は、充実した人生、幸せな人生を送ること。
仕事や家庭とは分離して、自分だけの時間を充実させることは、豊かな人生を送る上で大事なポイントです。

人間、生まれるときも死ぬときもひとり。
仕事や家庭が年齢とともに変化していっても、自分はずっと自分です。
自分時間は死ぬまで続く1本の白線のようなものですから、ここが明確になれば急な坂道や分かれ道があっても、迷うことはなくなります。

楽しむ、磨く、役に立つ

自分時間をどう使うか。
これは、人生設計の中でもっともワクワクするところじゃないでしょうか。

趣味を追求して人生を楽しむ。
スキルを磨いて自分を高める。
人の役に立って心を豊かにする。

幸せの形は人それぞれ違うのですから、自分時間をどう使えば幸せかということも十人十色。でも、この3つが自分時間を充実させる代表的なものだといえますね。

生きがいを考えてみる

「やりがい」を感じられる仕事が人生設計にとって重要であると同時に、充実した人生とは「生きがい」を感じられる人生じゃないでしょうか。
自分の「生きがい」とは何か考えてみましょう。

漫画家の弘兼憲史さんは、「今が一番幸せだと思える生き方」のカギは、「好きなこと」「得意なこと」「人に迷惑をかけないこと」「人の役に立つこと」という4つの要素が重なるところにある事だといっています。
いいヒントになりますね。

経済

shutterstock_1724431912

人生設計において、自分は生涯にどのくらい稼いで、どのくらい使うから、どのくらい貯蓄が必要になる、というお金の計画は欠かせない要素ですよね。

お金の人生設計が難しいのは、自分と配偶者が何歳まで生きるかがわからないから。
残りの時間が明確になっていれば、支出が簡単に計算できるのですから、それに合わせたプランを考えればよいのですが、そうはいかないゆえにバランス感覚が求められるのです。

人生設計の基本公式

人生設計の本でよく紹介される「人生設計の基本公式」というものを紹介しましょう。

                                現在資産額
         老後生活費率 × 手取り年収 - 年金額 - 
                                老後年数
必要貯蓄率 = 
         現役年数
               + 老後生活費率 × 手取り年収
         老後年数

・必要貯蓄率(手取り年収の何倍を貯蓄すればよいかがわかる数値)
・老後生活費率(現役時代の生活費に対する老後の生活費の比率)
・手取り年収(今後の現役時代における平均手取り年収)
・年金額(年金などによる老後の定期収入)
・現在資産額(換金できる資産額)
・老後年数(老後の想定年数)
・現役年数(現役で働くつもりの残り年数)

この公式は、自分の現在から将来にかけての「現役時代の平均的な生活費」に対する「老後の平均的な生活費」の割合を考え、それを達成するために必要な現役時代の貯蓄率を算出するものです。

人と比べない人生設計

人生設計におけるお金の考え方は、上で紹介したような公式もあれば、老後は年金以外に2000万円必要だとか、いや3000万円は必要になるといった、様々な情報が氾濫しています。

なぜそんなにいろいろな情報がまことしやかに紹介されているのかというと、それだけ人によって人生に必要な金額が違うから。
人生がみな違うのですから、おしなべて何歳でいくらもっていないと心配だなどと数字を出すのは間違っています。

個人個人が、残りの人生における収入と支出を「仕事」や「家庭」や「個人」や「健康」といったほかの要素を設計しながら考えなければいけません。
そして、お金の設計で大切なことは、現実を受け入れて自分にできる最善の策を考えること。
なにがなんでも1億円の貯蓄をつくるという計画を立てても、実現できなければ人生設計の材料にはならないのです。

実現可能な範囲で収入を算出し、それに合わせた支出の生活を組み立てることが重要。
収入には、何歳まで働くかという設計も大きくかかわってきます。

健康

shutterstock_749969473

当たり前の話ですが、人生設計は生きている間の計画です。
残った家族のことがありますからすべてとはいえませんが、死んでしまったら基本的に設計はそこで終了。

ですから人生設計を実現する上で、健康管理をどう考えるかという要素は重要です。

身体の健康と心の健康

人生設計においては、心の健康管理も重視しなければいけません。
近年は企業や学校で、肉体的な健康だけでなく、メンタルヘルスの重要性が注目されていますよね。
ストレスの研究が進むにつれて、身体の健康と心の健康は切り離して考えられるものではないことがわかったのです。

充実した人生を送るためには、身体の健康も心の健康も欠かせません。
メンタルヘルスの核はストレスケアですが、ストレスは外部から受けた刺激に対して、体内で起こるホルモン異常などの反応ですから、「辛い」「不安」といったメンタルな感情だけでなく、身体にも悪影響を及ぼします。

体内でストレス反応が起こっていると、心拍や呼吸といった生命維持機能をコントロールしている自律神経が乱れるのですから、その状態が長く続けばいろいろな病気を引きおこすわけです。
心から身体へ、身体から心へと不調は連鎖するものなのです。

健康管理の8原則

健康管理の基本は、「食事」「運動」「休養」という3要素といわれます。
さらに、次にあげる8カ条も踏まえて人生設計を支える柱としてください。

① 自分の健康は自分で守る

② 家族の健康も考える

③ 正しい知識で実践する

④ 自然の法則に逆らわない

⑤ 生活習慣を見直す

⑥ 自分の健康状態を把握する

⑦ 持病をおろそかにしない

⑧ 信頼できる医師をみつける

まとめ

shutterstock_520185841

どんなに熟考した人生設計でも、そのとおりに実践できることはなかなかありません。
人生というのは予測しないことが起こるものなのです。
新型コロナの感染拡大は、いかに人生が計算通りにいかないか、環境変化への対応力が必要かということを知らしめましたよね。

だからこそ、冒頭で解説したように、人生設計は「分析→計画→実行→検証」というサイクルが重要なのです。
大きな環境変化が起こったら、何が対応できなくなった要素なのかという検証をいち早く行い、ここで紹介した5つの要素をそのときどきで分析して計画を立て直し、実践。

これが、「夢=絵に描いた餅」ではなくて、実現可能な目標を設計して達成しながら生きる、幸せな未来の設計図になるのです。

【参考資料】
・『より良い未来のために 今日からはじめるライフプラン』 一般財団法人地域社会ライフプラン協会 2019年
・『人生にお金はいくら必要か』 山崎元、岩城みずほ 著  東洋経済新報社 2017年
・『弘兼流 やめる!生き方』 弘兼憲史 著  青春出版社 2020年

タイトルとURLをコピーしました