記憶力アップを実感できる12の方法-生活習慣改善と簡単脳トレ

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40代後半くらいからは、物忘れが多くなってきて、記憶力の低下を心配する人が増えてきますよね。
これも老化のひとつだとあきらめていませんか?

現在の脳科学では、記憶と深い関係にある脳の海馬という部位で、年齢に関係なく神経細胞が増え続けていることがわかっています。
年をとることによってもの忘れが多くなる原因は、脳細胞が減少することではなかったのです。

それでは、原因は何かというと、2つに分類されます。
ひとつは、身体的要因で脳機能が低下すること。
もうひとつは、勉強をしなくなったり刺激が少なくなったりすることが要因で、記憶を保持しているといわれる情報のネットワークをつくりにくくなっていること。

この2つの要因が解決できれば、年齢に関係なく若者であろうが高齢者であろうが、記憶力を高めることが可能なのです。
ここでは、2つの要因を改善して記憶力アップが実感できる方法を「生活習慣」「簡単脳トレ」という2ジャンルに分けて紹介します。

目次

1. 生活習慣の改善で記憶力アップ
① 人の名前は顔と場所を関連づける
② 気もちいいことと記憶を結びつける
③ メモを習慣化する
④ 没頭と熱中でストレスケア
⑤ 緑の香りでリラックス
⑥ 睡眠の質を上げて記憶を定着
⑦ 糖質制限で脳内改造
⑧ 軽い有酸素運動で海馬を刺激
2. 簡単脳トレで記憶力アップ
⑨ 思い出の写真トレーニング
⑩ 過去の検索トレーニング
⑪ 1日回想トレーニング
⑫ 語呂合わせと俳句
まとめ

1. 生活習慣の改善で記憶力アップ

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脳に保持されている記憶は、数秒から数日間のうちにほとんどが消えてしまう「短期記憶」と、長年忘れることがないような「長期記憶」に分類されます。

短期記憶は脳の海馬という部位に保持されますが、海馬の情報記録容量がそれほど多くないため、短期記憶が次々と失われることによって、新たな情報を保持する領域が確保されていると考えられています。
人間は忘れることによって、新たな物事を記憶できるようになっているということですね。

短期記憶の中から、選ばれた情報だけが大脳皮質に送られて保持されて長期記憶となるのですが、この作業が行わるのは睡眠中。
情報は大脳皮質に100億個以上あるといわれる神経細胞に保持され、それらの情報が複雑なネットワークを作ることによって、記憶として定着すると考えられています。

ですから、情報を保持する脳の機能や、情報のネットワークをつくる能力を高めることができれば、記憶力はアップするのです。

① 人の名前は顔と場所を関連づける

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長期記憶には、言葉で説明したり文字で表したりできる「陳述記憶」と、言葉やイメージでは表せない「非陳述記憶」があります。

非陳述記憶は、「手続き記憶」とも呼ばれ、自転車の乗り方や楽器の演奏法といった身体で覚える記憶で、「技能記憶」とも呼ばれるもの。
これは同じ経験を繰り返すことによって脳に定着します。

陳述記憶は、自分が体験した経験に基づく「エピソード記憶」と、言語や数字などで意味をもたせた知識の「意味記憶」に分類されます。
体験したときのビジュアルや感覚が思い出されるエピソード記憶は長期記憶として定着しやすいのに対し、人の名前や数値、言葉などの意味記憶は定着しにくいのが特徴。

覚えづらい人の名前は、会った場所のイメージやその人の顔、着ていたものなどを関連付けておくことで、意味記憶をエピソード記憶に変換することができて、長期記憶として定着しやすくなります。

② 気もちいいことと記憶を結びつける

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短期記憶を長期記憶に変えるポイントは、次の3つ。

・強烈な印象
・重要だという認識
・反復

その中でも「強烈な印象をともなう記憶」は、一生忘れないような記憶となる事が多いものです。
「視覚」「聴覚」「嗅覚」「味覚」「触覚」という五感で受けた刺激は、電気信号として脳に伝わり、扁桃体という部位で「喜怒哀楽」の様々な感情がわき起こるので、意識的に自分に刺激を与えて記憶と結びつければ、その情報はより強い印象をもつようになります。

どのような刺激を与えるのがよいかといえば、それは「心地よい」「うれしい」「楽しい」「美味しい」といったプラスの感情がわく刺激。
記憶のために、わざわざマイナスの刺激を与えるのは特殊な場合を除いて、ストレスを増やすことになるので普通はやりません。

プラスの刺激と記憶を結びつけることによって、本能的に重要な情報だという認識を植え付けることにもなります。

③ メモを習慣化する

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短期記憶の情報をメモしておくことで、忘れても大丈夫だという安心感がわき、新たな情報を記録するための領域を空けることができます。
いってみれば、メモは外付け記憶装置のようなもの。

忘れても大丈夫だという安心感は、ストレスを軽減するので、脳機能を活性化することにもつながります。

かつて、メモは手書きすれば動作をともなうので、より記憶に残りやすいといわれていましたが、今や誰もがスマートフォンをもっている時代ですから、この便利アイテムを使わない手はありません。

カメラで動画や静止画を撮影する、テキストとして残す、音声を記録するというようにいろいろな形式でメモを残すことが簡単にできます。
こうしたいろいろな形式のメモを一括管理するメモアプリもありますから、ぜひ活用したいものです。

④ 没頭と熱中でストレスケア

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ストレスは、脳機能を低下させる大きな要因になります。

ストレスは忘れようとしても、原因になっている「ストレッサー」と呼ばれるマイナスの刺激を思い出してしまうので、逆効果。
もっとも効果的なのは、前項で解説したようなプラスの刺激を自分に与えることです。

プラスの刺激によって生まれるプラスの感情が、ストレッサーを忘れさせてくれます。
そして、より効果的なのは、プラスの刺激を受けることに没頭したり熱中したりすること。

心地よいこと、好きなこと、楽しいことなどに没頭することによって、ストレスは軽減され、脳機能は活性化されます。
記憶を定着させる機能もアップするわけです。

⑤ 緑の香りでリラックス

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リラックスして精神を安定させることも、脳の活性化に大きな効果があります。
リラックスして自律神経を整えることによって血流がよくなり、脳の神経細胞にも酸素や栄養素をしっかり届けられるようになるのです。

リラックスする方法はいろいろありますが、簡単にできて効果が高いのは、木々の緑や草が生い茂る場所へ行くこと。
樹木や草の緑がもつ香りは、「フィトンチッド」と呼ばれ、精神を安定させて自律神経を整える効果が注目されています。

仕事の休憩時間には、できるだけ緑のある所へ行ってのんびりする、休日は山や森の中へ行ってすごすというように、積極的にフィトンチッドを体内に取り入れて脳機能を活性化させれば、記憶力アップが図れます。

さらに効果的なのは、木漏れ日、小川のせせらぎ、小鳥のさえずり、風が枝葉を揺らす音など、不規則に繰り返される「ゆらぎ」の中にいること。
森の中などは、記憶力アップに最適な環境だといえるのです。

⑥ 睡眠の質を上げて記憶を定着

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海馬に記録されている短期記憶の中から、選ばれた情報が大脳皮質に送られて長期記憶となるのですが、脳内でこの作業がもっとも進むのは睡眠中だといわれています。
ですから試験の前日は、徹夜をせずに眠ったほうが記憶は定着するのです。

睡眠は、90分程度に1回、身体も脳も眠っている「ノンレム睡眠」から、身体は眠っていても脳が起きている「レム睡眠」という状態になり、そのサイクルを繰り返します。
ちなみに「レム」とはまぶたの中で眼球がグリグリ動いている状態を意味する言葉。

90分に数分間訪れるレム睡眠は、目が覚めやすい状態です。
質の良い睡眠とは、1回目や2回目のレム睡眠で目覚めないことと、4回目か5回目のレム睡眠で起きることです。

1回目や2回目のレム睡眠で目覚めなければ眠りは深くなり、脳内の情報整理作業が進みます。
そして朝起きるときには、眠りが浅くなったレム睡眠で目覚めればスッキリして、脳を活動状態へとスムーズに切り替えることができるのです。

⑦ 糖質制限で脳内改造

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食習慣も、記憶力アップには大いに関係する生活習慣です。

食生活で重要なことは、脳細胞の材料となるタンパク質と、細胞膜の材料となる脂質をしっかりとることに加え、血糖の不安定や神経伝達物質の異常、代謝の低下を招く糖質過多を防ぐこと。

かつては、脳の栄養になるブドウ糖を欠かさないように糖質をしっかり摂ることが大事だといわれていました。
しかし、現代の栄養学では、体内で糖質が不足すれば、肝臓で中性脂肪と乳酸からブドウ糖が生成されることがわかっています。
さらに、それでもブドウ糖が不足したら、脂肪が燃焼される過程で生成される「ケトン体」が脳のエネルギー源になることもわかっています。

ですから、「朝はかならず糖質を摂って脳を活性化する」「疲れたら甘い物をがいい」といった情報は、すでに過去のもの。
余ったら中性脂肪になって蓄えられてしまう糖質は、体内に貯蔵できる量が少ないので、中性脂肪を増やす最大の原因です。

糖質を過剰に摂取しないことが、ダイエットばかりでなく、脳機能の維持にもつながります。
タンパク質や良質の脂質とともに、三大栄養素の代謝を助けるビタミンやミネラルをバランスよく摂ることも大切です。

⑧ 軽い有酸素運動で海馬を刺激

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運動習慣も記憶力アップと深い関係をもっています。
脳への血流をよくすることと、自律神経に悪影響を与える活性酸素を増やさないことがポイントになります。

ウォーキングやジョギング、サイクリングなどの有酸素運動は、脂肪を燃焼し、体内に十分な酸素をと取り入れることができる簡単な運動として人気があり、かつては30~40分以上やらなければ脂肪燃焼がはじまらないので効果が出ないといわれていました。

しかし近年は、息が切れない、大量の汗をかかない程度の軽い有酸素運動が注目されています。
運動をはじめると、まず糖質がエネルギーとして燃やされ、続いて皮下脂肪などに蓄えられている中性脂肪が燃やされるのですが、糖質の量はとても少なくすぐに燃え尽きてしまうため、短時間でも脂肪燃焼が行われるのです。

また、有酸素運動を長時間続けると、体内で活性酸素が大量に発生してしまい、これが脳疲労につながるので、10分程度の軽い運動を日に2~3回行うのがよいとされています。
有酸素運動は、海馬に刺激を与えるともいわれているので、活性酸素を増やさないように行えば、記憶力アップに効果的なのです。

2. 簡単脳トレで記憶力アップ

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長期記憶は、脳の神経細胞が複雑なネットワークをつくることによって定着すると考えられているのですが、簡単脳トレの目的はこの能力を高めることにあります。

思い出せない物事があるときに、今はスマートフォンで検索すればすぐにわかりますよね。
でも、それでは頭を使わないので、記憶として定着しないのではないかと思う人が多いかもしれません。

ところが、あれこれと考えてムダな時間を費やすよりも、スマートフォンで検索した方が記憶力アップにつながるのです。
それは、検索したことによって、その時点で新たな情報ネットワークがつくられるから。
そのときの場所、一緒にいた人、自分が置かれていた状況などが、思い出した情報と結びついて新たな記憶となるのです。

このような、記憶情報ネットワークの構築を意識的に行う脳トレをいくつか紹介しましょう。

⑨ 思い出の写真トレーニング

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プリントした写真ではなくても、スマホに保存してある写真データを使えば、どこにいても簡単にできる脳トレです。

過去の写真を見ながら、ひとつでも多くのことを思い出します。
写真は小学生時代、中学生時代、高校生時代、20代、30代というようにグループ分けしておくと、さかのぼる時間別に選べて効果的。

当時の思い出、一緒に写っている人物、撮影した場所など、いろいろな角度から思い出をたどることで、長期記憶を引き出して新たに関連づけるというネットワーク化が行われ、記憶力アップを図れます。

⑩ 過去の検索トレーニング

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こちらは、写真などのアイテムを使わずに、脳内の検索能力を高める脳トレです。

昨日、3日前、1週間前にどのようなことがあったか、ひとつでも多くのことをゆっくりと思い出していきます。

次に、1カ月前、3カ月前、6カ月前にそれぞれどのようなことがあったか、ひとつでも多くのことを思い出していきます。

ただこれだけの脳トレですが、脳内で離れている領域に保持されている情報を引き出すことによって、新たな関連付けが行われ、長期記憶として定着させることが可能。
思い出すときには、いろいろなビジュアルを描くようにすると、過去の記憶をエピソード化する能力が高まり、記憶をより定着させやすくすることができます。

⑪ 1日回想トレーニング

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夜、寝床に入って精神を落ち着けてから、その日1日のことを朝から回想する脳トレ。

反省したり後悔するのではストレスになってしまうので、嫌なことを思い出す必要はありません。
どうしてもストレスになるようなことを思い出してしまうときには、発想の転換をしてプラスに受け取るようにしましょう。

例えば、誰かに発言した言葉が悔やまれるものであったら、その相手に対して抱いていた願望は何だったのか → なぜ自分はそんな願望を抱いたのか → そもそも他人に対して願望を抱くことが間違い → 明日会って謝ろう → 今日の一件があったから大事なことに気づけた、というようにプラスに転換し、消化してしまうのです。

過ぎてしまったことは変えられないのですから、自分に都合よく発想を転換させた方がストレスを抱えずにすみ、脳も健康な状態を保つことができます。

⑫ 語呂合わせと俳句

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「710(なんと)大きな平城京」
「794(なくよ)ウグイス平安京」

こうした語呂合わせで歴史の年号を覚えた経験は誰にでもありますよね。
この記憶法のポイントは2つ。
日本人にとってもっとも印象に残りやすい七五調にしてあることと、「大きな」「ウグイス」といったビジュアルが関連付けられてエピソード記憶化すること。

この記憶法を意識して積極的に身に着けようとするのが、この脳トレです。
日々の生活の中で、出会う物事や体験したことなどを七五調にする訓練をします。

七五調は短くてつくりにくいと感じる人は、五七五の俳句形式でもOK。
面白おかしく楽しみながら、エピソード記憶として脳に定着させる訓練で、記憶力アップを図りましょう。

まとめ

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短期記憶を長期記憶として定着させる3つのポイントのうち、「反復」についてはとくに解説しませんでしたが、繰り返し学習することの効果は、誰もが試験勉強などで経験していることでしょう。

もうひとつ記憶力アップに大切なことは、必要以上の情報や刺激を脳に与えないことです。
情報過剰になっている現代は、視覚から入る情報も耳から入る情報も複雑化、多種多様化していて、のべつ幕なしに受け入れていると本当に大事な情報を捨ててしまうことにもなりかねません。

テレビ、パソコン、スマートフォンといった多大な情報を受けるツールは、使用時間を考えるようにしましょう。

参考資料
・『60代から頭がよくなる本』 高島徹治 著  興陽館 2019年
・『最新科学で解き明かす最強の記憶術』 澤田誠 他 洋泉社 2017年

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