自身を客観視する能力「メタ認知」とは?習得するメリットとトレーニング方法を解説

メンタル

仕事や人間関係において、物事を客観的に見る能力は高めておいて損はありません。
主観的になりがちな自分のことを客観的に判断できれば、最善の選択ができたり、さまざまな失敗を未然に防ぐことができます。

この記事では、自分のことを客観視する能力である「メタ認知」について、メリットやトレーニング方法を分かりやすく解説していきます。
「つい感情的になってしまう」「ストレスをコントロールしたい」「冷静な判断力を手に入れたい」という方は、自身のメタ認知能力を鍛えてみてはいかがでしょうか?

メタ認知とは?

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メタ認知とは、自分が認知していることを客観的に見る能力のこと。
メタ認知の「メタ」とは「高次の」という意味があり、例えば自身の思考や感情・目や耳で収集した情報などを、高次(第三者)の目線で認知することが、メタ認知の直訳的な意味です。

仕事をしていたりカフェでくつろいでいたりデートをしている時などに、もう一人の自分が自分の行動を俯瞰しているような感覚を抱いた経験はありませんか?
主観的な自分とは別に、もう一人の客観的な自分が思考を冷静に制御したり最適なアドバイスをしてくれる能力は、総じて「メタ認知」と呼ばれています。
物事の選択に迷った時の「天使と悪魔が戦っている」と例えられる思考も、メタ認知の一種と言えますね。

それでは、メタ認知の能力を高めることで、仕事や私生活、ひいては人生にどのようなメリットがもたらされるのか?
次の章で、メタ認知の高い人が得られる4つのメリットを解説していきます。

メタ認知が高い人・低い人の特徴と具体例

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メタ認知とは、特定の仕事に使うような専門的なスキルではなく、思考法の一種です。
そのため男性でも女性でも、サラリーマンでも主婦でも、専門職でも一般職でも、どんな人でもメタ認知を効果的に活用することができ、自分にとって最適な選択ができたり、物事の判断力が養われます。

メタ認知が高いことによるメリットは、主に次の4つです。

①いつも冷静に物事を対処できる
②柔軟に思考できる
③他人に配慮できる
④意欲が高まる

それぞれのメリットについて、メタ認知の高い人・低い人の具体例を交えて解説していきます。

①いつも冷静に物事を対処できる

メタ認知能力が高い人の最たる特徴は、いつも冷静に物事を対処できることです。
メタ認知能力が高い人は、感情的になりがちな主観ではなく、客観性を重視し、感情をコントロールして冷静さを保つことができます。

例えば、いくつもの仕事を同時に抱えた時、メタ認知能力が低い人は「あれもこれも全部いっぺんにやれない!」と焦りを覚え、仕事に取り掛かる前からストレスを感じてしまいます
一方、メタ認知能力が高い人は、複数の仕事を任された時に優先順位をつけ、終わらせるべき作業に最速で取り掛かることができます。
このように、メタ認知能力が高い人は「マルチタスク」の能力も持っています。

②柔軟に思考できる

メタ認知能力が高い人は、「物事を柔軟に思考できる」という特徴があります。
主観という1つの視点だけでなく、客観という第三者の数限りない視点から物事を認知できるため、年齢や役職・性格に関わらず思考が頑固にならないのです。

柔軟な思考ができる人は、ストレス耐性も高い傾向にあります。
例えば、いつもの時間の通勤電車に乗り遅れてしまった時、メタ認知能力の低い人は乗り遅れた自分に腹を立て、遅刻することをただ心配するだけで終わってしまいます。
しかしメタ認知能力が高い人は、万が一通勤電車に乗り遅れた場合でも、

・別の通勤方法を思いつく
・間に合わない場合は会社にすぐ連絡できる
・言い訳をすることが無駄だと理解しているため素直に謝れる

といったトラブル回避の能力も誠実さも人一倍備えており、結果的にその対応力が評価されることも。
メタ認知能力からくる柔軟性の高さは、仕事の効率化・環境の変化に対する対応力・人間関係の円滑化など、実に多くのメリットを与えてくれます。

③他人に配慮できる

メタ認知能力の高い人の中には、他人への配慮が自然とできる人が多くいます。

・初対面の人との関わり方
・敬語を使うべきか気さくに話すべきかの判断
・自分のことを好きな人と嫌いな人の判断

こうした他人との距離感を社会的に適切な距離に保つことができるため、他人のトラブルが少なく、その場その場の円滑な人間関係を築くことができます。
1対1のデートでも知らない人が多く集まるパーティなどでも、メタ認知能力の高い人は相手の求めていることを客観的に判断し、臨機応変に立ち回ることができます。

反対にメタ認知能力の低い人は、「自分が好きか嫌いか?」でしか人間関係を構築できなかったり、「なぜ他人から好かれないのか(嫌われているのか)?」を知ることができず、そもそも人間関係を円滑にする方法が分からない状況に陥ってしまいます。

また、職場やチームなどの集団に所属している際には、客観的な視点から自分の役割を把握できるため、協調性に優れることもメタ認知能力を高めるメリットです。

④意欲が高まる

メタ認知能力が高いことのメリットは、目の前の物事の判断力が高まるだけではありません。
自分の現状を客観的に把握した上で、自身の将来像を的確に描くこともでき、仕事や私生活、ひいては人生に対する意欲が高まります。

将来像を明確にイメージできるということは、目標を達成するために今すべきことも、冷静かつ客観的に判断できるということ。
そのため、闇雲に努力して挫折や失敗をするリスクが減り、目標達成率を高めつつ効率よく努力を継続することもできます。

さらに、仮に失敗した場合でも「なぜ失敗したのか?」を分析でき、次の行動に活かすことができます。
PDCA(計画⇒実行⇒評価⇒改善)サイクルを無意識的に回すことができる点も、メタ認知能力の高い人の特徴でありメリットと言えます。

自身のメタ認知能力を診断してみよう

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メタ認知について理解する上で、「そもそも自分はメタ認知できているか?」は気になるところ。
メタ認知能力は、マンチェスター大学の研究で用いられた「MCQ-30」にて自己診断が可能です。
全30問とややボリュームがありますが、いくつかの実験から有効性が認められており、自身のメタ認知能力を正確に知ることができます。

診断のやり方は、設問に対して1〜4の数字を選び、最後に5つの項目ごとに合計点を算出し、メタ認知能力を判断します。
メタ認知能力を知りたい方は、時間のある時にぜひ以下のMCQ-30を試してみてください。

【採点方法】
「1」…当てはまらない
「2」…少しだけ当てはまる
「3」…やや当てはまる
「4」…非常に当てはまる

【MCQ-30の設問】

①自分の記憶を信用していない
②決心する前に深く考える
③自分の考えていることを常に意識している
④一度気になったことが頭から離れなくなる
⑤思考を制御できなければ作業できない
⑥記憶力がよくない
⑦深く考えることで物事にうまく取り組める
⑧自分の心の動きに深く注意を払っている
⑨心配し始めると止まらなくなる
⑩自分の思考を制御できないのは弱さの現れだ
⑪自分がしたことの記憶に自信がない
⑫深く考えることで仕事を円滑に遂行できる
⑬自分の思考についてよく考えている
⑭心配事で病気になるかもしれない
⑮いかなるときも思考を制御しておくべきだ
⑯場所の記憶に自信がない
⑰深い思考は問題解決に役立つ
⑱常に自分の思考を審査する
⑲心配事があると無視できない
⑳頭の中に考えてはいけない思考がある
㉑言葉や名前の記憶に自信がない
㉒頭の中をきちんとするには深く考える必要がある
㉓自分の思考を監視している
㉔心配事で気が狂うかもしれない
㉕心配事を制御できないのは自分の責任である
㉖記憶違いで失敗することが時々ある
㉗深く考えることはトラブル回避に役立つ
㉘問題を考えているとき自分の思考傾向を意識している
㉙心配事は脅威となる
㉚制御しなければ罰せられる思考がある

【設問①認知的自信の欠如】
合計点が高いほど、記憶力や注意力の認知的な自信がない。
・設問…1、6、11、16、21、26
・平均スコア…12.7

【設問②心配事への積極的信念】
合計点が高いほど不安に対して前向きであり、心配することを問題解決や将来設計のために望ましいと捉えている。

・設問…2、7、12、17、22、27
・平均スコア…16.64

【設問③認知的自己意識】
合計点が高いほど、自身の思考プロセスを重視している。

・設問…3、8、13、18、23、28
・平均スコア…14.66

【設問④思考制御不能と危険への消極的信念】
合計点が高いほど、心配事をネガティブに捉えていて、思考を制御できないことに不安や危機を感じている。

・設問…4、9、14、19、24、29
・平均スコア…14.4

【設問⑤迷信・罰・責任など思考一般への制御欲求の消極的信念】
合計点が高いほど、頭の中にある危険な思想などは、それを明かすことで被る罰や責任を避けるために隠すべきだと考える気持ちが強い。

・設問…5、10、15、20、25、30
・平均スコア…13.0

メタ認知のトレーニング方法2選

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メタ認知能力を高めるということは、思考を主観から客観に切り替えることではなく、「主観と客観を使い分けられるようになる」ということ。
資格やスキルを取得すると転職の選択肢を増やすことができるように、メタ認知も高めておいてまったく損のない能力なのです。

では、そのメタ認知能力はどのように鍛えることができるのか?
2つのトレーニング方法を実践し、自身のメタ認知能力を成長させてみましょう。

トレーニング方法①フリーライティング

フリーライティングとは、自分の今の思考や課題を紙に書き出し、可視化する方法です。
ライティングセラピーとも呼ばれていて、思考という抽象的なものを「見える化」することで自身の心を客観視して、ストレスの原因を探って対処法を具体化たり、書くという行為によって精神を安定化することができます。

メタ認知を鍛えるフリーライティングのやり方は、次の3ステップです。

①紙とボールペンを用意する
②10分間、手を止めることなく思いついた考えをすべて紙に書き出す
③紙に書き出した思考のうち、課題や欠点を抽出して改善策を考える

ステップ2までの「紙に思考をひたすら書き出す」という行為だけでも、メタ認知の能力を養うことができます。
さらにトレーニングをしたい方のみ、ステップ3の「改善策の提示」に移りましょう。

メタ認知は2種類に分けられる

メタ認知は、細かく分類すると、次の2種類に分けられます。

①メタ認知的知識…自分の長所・特徴・課題など、自分自身に関する知識のこと
②メタ認知的技能…メタ認知的知識を把握した上で、自身の長所を活かしたり課題の改善に取り組む能力のこと

フリーライティングのステップ2は、このうちのメタ認知的知識を強化するトレーニングです。
ステップ3まで進むことで、その上位に位置するメタ認知的技能を強化し、行動力
問題解決力・ポジティブ思考などを養うことができます。

フリーライティングのコツは、できる限り手を止めず、思いついたことをそのまま紙に書き出すこと。
「直感的に書く」という行為に、10分間、ただ集中しましょう。

トレーニング方法②瞑想

GoogleやFacebookなどの企業でも導入されている「瞑想」も、メタ認知能力のトレーニングに役立ちます。
よく知られている瞑想は「雑念を振り払う」「無になる」というイメージがありますが、実は雑念を雑念として考えても良く、無になる必要もありません。

例えば、瞑想中に明日の仕事のことが気になったら、「明日この仕事がある」という事実だけを思考します。
そこに感情を持ち込まず、ただ事実として受け入れて、再び呼吸に集中するなどして瞑想の状態に入りましょう。

瞑想の「現実をただ現実として捉える(感情を切り離す)」という思考法は、メタ認知能力に欠かせない客観性を養うことにつながります。

メタ認知を鍛える瞑想は、わずか1分程度でも、定期的に継続することで徐々に効果が現れます。
やるべきことが多く忙しいタイミングこそ、ほんの少しの瞑想で心を鎮めて、メタ認知能力を高めてやるべきことに集中しましょう。

メタ認知をわかりやすく理解できる本2選

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メタ認知能力とは、一言で説明するなら「自分を客観視する能力」のことです。
しかし心理学の分野ゆえに、メタ認知を正しくできているかを測ることが難しかったり、自分の仕事や生活にどれだけ役立つのかを把握しにくいものでもあります。

そこでこの章では、メタ認知を専門的かつ分かりやすく学べる本を、2冊に厳選してご紹介します。
メタ認知に関する知識を深めたい方は、以下の2冊のうちお好みの書籍を手に取り、メタ認知能力を高めていきましょう。

おすすめの本①ムダに悩まない理想の自分になれる、超客観力

「ムダな悩み」とは、常に主観から発生します。
『ムダに悩まない理想の自分になれる、超客観力』は、自分の成長に必要な悩みに対してのみ意識を集中し、理想の自分に効率よく成長するためのテクニックが詰め込まれた一冊です。

【内容の一部紹介】
・客観性に関する3つの思い込み
・「自分はどんな人間か?」を掘り下げる「内観」の技術
・Googleが重要視する「知的謙遜」について

客観性を身につけることで、自身の能力を完全に把握し、新たな可能性を発掘したり限界に挑戦することができます。
「自分の限界を知りたい」「特性を知りたい」「長所を活かしたい」と考えている方におすすめです。

おすすめの本②メタ認知で〈学ぶ力〉を高める:認知心理学が解き明かす効果的学習法

メタ認知に関する知識はもちろん、認知したことを実際に活かす「メタ認知的技能」の習得方法を分かりやすく解説している書籍が、『認知心理学が解き明かす効果的学習法』です。
専門家の監修により、科学的な根拠に基づいたメタ認知の鍛え方を学ぶことができます。

【内容の一部紹介】
・メタ認知的知識とは?メタ認知的活動とは?
・メタ認知の実践(知識獲得編、問題解決編、コミュニケーション編)

一見難しそうなメタ認知が99の項目に細かく分けられていて、それぞれの項目がピンポイントで解説されているため、心理学に詳しくない方もつまづくことなく読み進められます。

「メタ認知とは?」という概念自体を学びたい方は、こちらの書籍がおすすめです。

まとめ

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メタ認知は、持っていて損をすることは決してない能力です。
加えて、メタ認知を正しく学ぶことで、逆説的に主観の大切さを理解することもできます。

客観性ばかりを重視すると、損や非効率的なことを避けるようになり、かえって人生の楽しみを見出せなくなることも。
能動的かつ安心できる人生を送るために大切なことは、「主観と客観の使い分け」です。

メタ認知能力を高めて、自分の人生を思い通りにコントロールしましょう。

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