観察力を磨く5つのキーワード-違和感に気づける人は成功する

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「観察」という言葉でイメージするのは、どんなことですか?

小学生の頃にやったアサガオの観察や、夏休みにつけた植物や虫の観察記録なんていう人が多いかもしれませんね。
推理小説が好きな人は、登場する探偵や刑事の観察力を思い浮かべるかもしれません。

観察力とは、「注意深く物事を見て気づく力」です。
英語では観察力を“Observation power”といい、“observe”には、観察する、目撃するということ以外に、「気づく」という意味もあります。

同じものを見ても、何かを気づく人と気づかない人がいます。
「観察力がある人は仕事ができる」といわれるのは、自分が知らぬ間に陥っている間違いや思い込みに気づけなければ、正しい判断ができないからです。

2016年に話題となった『観察力を磨く 名画読解』は、名画からいろいろな情報を読み取ることで、五感を鍛えることに言及した本でした。
観察力を磨くためには、情報の入り口である「視覚」「聴覚」「嗅覚」「味覚」「触覚」という五感を鍛えることが欠かせません。

そして同時に重要なのが、自分の潜在意識や先入観を知って、些細な違和感にも気づくことができるように「思考回路を磨く」ことなのです。
ここでは、5つのキーワードから、観察力を磨く思考を解説します。

目次

1. 潜在意識
1-1. 意識の90%を占める潜在意識
1-2. 気づくことで潜在意識が変わる
1-3. 潜在意識を見抜くとその人がわかる

2. 先入観
2-1. プライミング効果を理解する
2-2. 「手づくり餃子」は当たり前じゃない?
2-3. 固定観念にとらわれない発想法

3. 推測
3-1. 重なっている値札から推測できること
3-2. 過去のデータから予測する
3-3. 残されている痕跡から推測する訓練

4. リアリティ
4-1. 視覚情報が惑わせるリアリティ
4-2. 偶然が生む事実の歪曲
4-3. リアリティが結びつくエピソード記憶

5. コミュニケーション
5-1. 区別と差別の違いを理解する
5-2. 絶対的な評価は存在しない
5-3. 他人を観察をして自分を磨く

まとめ

1. 潜在意識

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人間の意識には、自覚されている「顕在意識」と、自覚されていない「潜在意識」があります。
自覚していない潜在意識とは、無意識のうちに言動を支配する「本性」のようなもの。
相手の潜在意識がわかれば、本性を見抜くことができるわけです。

アメリカのFBIでは、潜在意識をあぶりだす観察力テストが行われているそうですが、無意識の部分に気づくためには、どうすればよいのか解説していきましょう。

1-1. 意識の90%を占める潜在意識

人間の意識は、顕在意識が10%といわれています。
意識の90%は、自覚していないということですね。

ですから、顕在意識だけを見ていたのでは、その人間の本性を知ることができません。
たとえば、顕在意識でいくらダイエットをしようと思っても、潜在意識の中に「辛いことはしたくない」「食べるのを我慢するのは嫌だ」という気もちがあったら、成功しないでしょう。

強い意志があっても、なかなか自分を変えられないのは、潜在意識が変わっていないからなのです。

1-2. 気づくことで潜在意識が変わる

顕在意識だけで行動を変えるのは難しいのです。
では、どうすれば潜在意識まで変えることができるのでしょうか。

本性にうったえかける刺激や理由があれば、潜在意識は変わります。
ダイエットの例でいうならば、「このままの食生活を続けると間違いなく糖尿病になる。それは嫌だ」といった気もちが生まれれば、頑張ろうとしなくても実行できるようになります。

そのきっかけとして多いのが、糖尿病で足の指を失った人を見たとか、苦労した人の話を聞いた体験ではないでしょうか。
他人を観察して、自分のこととして気づくことができれば、潜在意識は変わるのです。

1-3. 潜在意識を見抜くとその人がわかる

相手の潜在意識を見抜くには、発言だけでなく行動を見るようにします。
言動が一致している人というのは少ないもの。
言動不一致は、「建前と本音」「自分の中の天使と悪魔」「顕在意識と潜在意識」の違いが原因で起こります。

その人が何を言っているのかではなく、何をしているかに目をむけることで、観察力を磨くことができるのです。

2. 先入観

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先入観とは、過去の体験などで形成された固定的な観念です。

先入観は、極度に好意を抱いていたり、反対に極度に嫌悪を抱いている対象と結びつきやすく、一度できあがってしまうと、これを否定する意見などを受け付けなくなるという特徴があります。

潜在意識同様に、自分がもっている先入観を知ることで、ニュートラルな観察力を磨くことができるのです。

2-1. プライミング効果を理解する

心理学で使われる言葉である「プライミング効果」とは、先に与えられた刺激が、無意識のうちに後の刺激の処理に影響を与える現象です。

現実的には、直前の情報が先入観となって、発想に影響することがよくあるのです。
一時期流行した、「ピザ」を10回言わせてからヒジを指して「ここは?」という遊びは、プライミング効果の例としてわかりやすいもの。

ある人と会社の話をさんざんした後に友人を紹介されて、てっきり同じ会社の人かと思ったら、関係なかったなどというのも、プライミング効果ですね。

観察力を磨くためには、人間にこうした習性があるということを理解しておかなくてはいけません。

2-2. 「手づくり餃子」は当たり前じゃない?

中華料理店の看板に大きく「手づくり餃子」と書かれているのを見て、「ええ? 餃子は手でつくるものじゃないの?」と思った人はいませんか?

本来、手でつくるのが当たり前の餃子なのに、なぜ「手づくり」ということが宣伝材料になるのかといえば、最近は機械でつくるものが多くなっているからです。

「餃子は手でつくる」という先入観が強かったために、機械でつくる餃子が増えているという時代の変化に疑問をもったということですね。
これは、時代の変化についていけていなかったように思われますが、「手づくり餃子」の看板を見て気づく観察力をもっていたということです。

当たり前のことにも、まず疑問をもつ思考回路は、観察の基本です。

2-3. 固定観念にとらわれない発想法

固定観念にとらわれない発想を身につけることは、観察力を磨く大切な要素。
そのために必要なのが、視点を変えてみることです。

何かを観察しているときに、ひとつの視点からだけ見ていたのでは、自分の先入観や潜在意識に気づくことはできません。

必ず複数の視点から物事を見るようにしましょう。
自分の位置、角度、立場、距離感などを変えてみるのです。
視点を変えることで、見えなかったものが見えてきて、また違う発想が生まれます。

3. 推測

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観察力の類語として「洞察力」という言葉があります。
洞察力は、観察をして得た情報から推測する力。

成功するための観察力には、単に観察するだけで終わらず、推測して洞察する力も求められます。
物事の本質を見抜くためには、目に見えない部分を推測する力を磨かなくてはいけません。
どこから推測すればよいのか、3つの例をあげて解説しましょう。

3-1. 重なっている値札から推測できること

今、漫画の古書を売っているリサイクルショップや古書店は、外国人にも人気が高いといいます。
あなたが、そうしたショップへ行ったとしましょう。

以前から、興味をもっていた漫画の単行本がありました。
しかも、今まで見てきた中でもっとも安い価格がついているのですが、よく見ると値札は3枚重なっています。
この状況から、どのようなことが推測できますか?

まず、値札が3枚重なっているということは、2回値下げされていることが考えられます。
値下げされた理由は売れなかったからでしょう。
この漫画家のファンには人気の高い一冊ですから、売れなかったということは破損があるかもしれません。

しかし、どう見ても多少の日焼けはあるものの、大きく破損している様子はありません。
ということは、掘り出し物にあたったということ。
しかも、2回値下げされている状況で、おそらくこの価格であったらすぐに売れてしまう可能性が高い。
あなたがこのような推測をしたのなら、その漫画を買いますよね。

洞察力を高めるとは、こうした「読み」を深めることなのです。

3-2. 過去のデータから予測する

目の前にある物から推測する方法以外に、過去のデータを照らし合わせて先を読むことも多いですよね。
まさに、「潮目を読む」ということです。

勝負ごとには、セオリーとしてこの推測が存在します。
将棋でも麻雀でも、相手の戦法や打ち筋のデータをもっているかいないかでは、勝てる確率がまったく変わってきます。

さらに、場の流れを読んで、ここぞ、というところで勝負に出るわけです。
相手の過去から場の流れと、観察は続けることが重要なのです。
日頃から観察眼をもって、データを蓄積させていくことを心がけましょう。

3-3. 残されている痕跡から推測する訓練

もうひとつ推測の材料となるのが、「痕跡」です。

『サザエさん』の4コマ漫画シリーズには、磯野家が旅館へ行ったら、部屋に人型の線が描かれており、波平さんが「なにかあったな」といって震え上がるストーリーがありました。

片づけ忘れた浴衣のヒモか何かが、事件の痕跡に見えたというオチなのでしょうが、波平さんは痕跡から推測したわけです。

この推測方法は、推理小説やミステリードラマなどを楽しませる要素としても使われる手段。
犯人がわざと痕跡を残して捜査をかく乱させるというシーンは、よくありますよね。
読書や映画、ドラマなども読み方、観方ひとつで楽しみながら観察力を磨くことができます。

4. リアリティ

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現代のパチンコ台は、LEDや液晶パネルがふんだんに使用されて、ストーリー性をもつものがほとんどです。

玉がある入賞穴に入ると、ストーリーが進行していき、長引けば長引くほど「当たり」の確立が高くなります。
ところが、本当は玉が入賞した時点で判定が行われており、ストーリーの進行がはじまるときには、すでに当たりとハズレが決まっています。

どんどんストーリーが進行し、「リーチ」と呼ばれる状態になって最後の最後で外れると、「惜しい! もう少しで当たりだったのに!」と思わせるのですが、その玉は最初からハズレているのに演出で「惜しい」と思わせているのです。

期待しても意味のないハズレなのですから、パチンコファンは、ストーリー進行やランプの点灯などのどこかに、早くハズレがわかる兆候がないか徹底的に観察するわけです。
こうした、リアリティを突きとめようとする思考は、観察力を向上させます。

4-1. 視覚情報が惑わせるリアリティ

夏のある日、あまりに暑いので自動販売機で冷たい飲み物を買おうとしたあなたは、千円札を自販機に入れました。

ところがよく見たら、飲みたいと思った飲み物は売り切れ状態。
仕方がないので、返却レバーを引いて千円札を戻しました。
ここで、不思議なことが起こったのです。
自分が入れた千円札はシワだらけの古いものだったのに、戻ってきたのはピンと伸びたお札でした。

このとき、あなたは自販機が、アイロンのように千円札を伸ばしてくれたように感じました。
実際には、そんなことがあるはずもなく、入れたものとは別のお札が出てきただけなのですが、目の前にある機械から出てきた同じお札という視覚情報が、一瞬、事実を歪めてしまったのです。

こうした目の前にあるリアリティが事実を覆ってしまうことも、覚えておきましょう。

4-2. 偶然が生む事実の歪曲

歩いていて、通りがかった家の街灯が3カ所も続けて点灯しました。

センサーがついていて、前を通ると点灯するライトがありますよね。
あなたは、てっきりあのライトだと思ったので、なんの不思議も感じなかったのですが、実は3軒ともセンサー付きのライトではなく、それぞれスイッチを入れて点灯させていたのです。

単なる偶然が重なっただけだったのですが、センサーが自分に反応してライトが点灯したのだと思い込んでしまったのです。

こんなことで、事実と違う認識をしていても問題が起こることはありませんが、超常現象やオカルトのように、偶然起こったことに因果関係を感じてしまうのはよくあること。
冷静に考えれば、「なーんだ」ということが、意外と多いものです。

4-3. リアリティが結びつくエピソード記憶

文字や言葉で表せる記憶である「陳述記憶」には、体験が記憶として残る「エピソード記憶」と、数字や言葉が意味をもつ「意味記憶」があり、エピソード記憶は覚えやすいのに、意味記憶は覚えにくいという違いがあります。

なぜ、このような違いが起こるかというと、エピソード記憶は情景や人間関係といったリアリティが結びついて記憶のネットワークを構成しやすいから。
ですからエピソード記憶は、芋づる式によみがえることが多いのです。

観察力を磨くにあたって、エピソードを関連づけて記憶する習慣はとても効果的。
意味記憶を覚えやすくする代表的な方法は、「794ウグイス平安京」のアレ。
「鳴くよ」「ウグイス」「平安京」というエピソード記憶に変換して遊べばいいのです。

5. コミュニケーション

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人間観察の能力を磨くことは、コミュニケーション力の向上につながります。
大切なことは、自分が周りの人たちを観察しているように、自分もまた観察されているのを忘れないことです。

5-1. 区別と差別の違いを理解する

人間の個性の違いに注目して、賢く生きていくために区別することは、悪いことではありません。
男女同権ということと、男女の違いを意識することはまったく次元が違う思考です。
男性用の雑誌があり、女性用の雑誌があるように、男女の感性や好みの違いに注目したアイテムがあるのは現実。

一方で、「男性が女性より優れている」「男性が女性より劣っている」などと考えるのは、人として最低の行為とされる差別です。
人を差別する人間は、他人から差別されると激怒するのですが、差別しない人間は差別する人を哀れだと思う傾向があるといいます。

こうした区別と差別の違いを理解していないと、人間観察は失敗します。

5-2. 絶対的な評価は存在しない

人間はお互いに観察し合って生きています。
ですから、会社などでもお互いに評価し合って存在しているわけです。

悪い評価をされて落ち込む人がいますよね。
しかし、世の中に絶対的な評価というものは存在しないのです。

地球上の人間すべてが、あなたのことを悪人だと評価したのなら落ち込むかもしれませんが、歴史上で極悪人とされる人物でさえ、必ず反対の評価をしている人もいるのです。
だから、他人の評価に惑わされる必要はありません。

あなたのように人間観察力を磨きたいと思っている人もいれば、他人の観察なんて興味ないという人もたくさんいるはず。
観察力とは、お互いに自分の中の問題であって、他人に影響を与えるためのものではないのです。

5-3. 他人を観察をして自分を磨く

観察力を高める目的は、周囲を観察して自分の思考回路を磨くことにあります。
目指すのは、日常にある小さな違和感に気づける人間になること。

人間関係においても、他人にある、自分との違いに気づくことが、コミュニケーションの基本なのです。
自分とは違うから、人間関係は面白いのであり、また相手を尊重し、学べるのです。

まとめ

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観察力を磨くことは、とても有意義なことです。

しかし、ひとつ注意したほうがいい点を紹介しておきましょう。
それは、面接や自己紹介などで、「観察力があること」を自己PRの材料にすること。

時と場合によりますが、「私は人間観察が得意です」とか「観察することには自信があります」などというと、詮索好き、支配欲が強い人間といった印象を与えてしまうことがあります。

やはり観察力は、あくまでも自分の内面のパワーとして認識し、表に出すときには相応の注意をしたほうがよさそうですね。

 

【参考資料】
・『観察の練習』 菅俊一 著  廣済堂 2018年
・『人のふり見て我がふり直せ 反面教師に学ぶ生き方レシピ』 柳愛実子 著  たま出版 2018年

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