広報の基本がわかる4つの仕事-企業経営に欠かせない信頼作り

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広報の仕事に魅力を感じている人は多いですよね。

女性から絶大な人気がある職種として、広報は不動の地位を保っています。

いろいろなメディアとかかわる機会が多く、華やかなイメージがあるからでしょうか。
社外の人と会うことが多くなるので、服装やメイクをいつもきれいに保っている広報担当者が多いということも影響しているかもしれませんね。

しかし、実際に広報の仕事をしている人の多くは、取材対応をしたり記者会見に同席したりといった表に立つ仕事はほんの一部で、実は地味な裏方の仕事のほうが多いといいます。

広報とは、どのような仕事なのか?
わかっているようでいて、知らないことがあるかもしれませんよね。
ここでは、広報の基本を知っていただくために、ベーシックな4つの仕事を紹介します。

「メディア」という言葉を使いましたが、広報の仕事を語る上で欠かせない存在なので、ここで説明しておきましょう。
「マスコミ=マスコミュニケーション」とは、不特定多数の人々に大量の情報を伝達することを意味し、そのために使われる新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、映画といった媒体を「マスメディア」と呼びます。

「メディア」とは「媒体(伝達のなかだちとなるもの)」を意味し、広報ではマスメディアを省略して使われますが、パソコンなどでは、ハードディスクやUSBメモリ、SDカードなどの記録媒体を省略して「メディア」と呼んでいるのです。

さて、広報という仕事の基本が、どうメディアとかかわるのか解説していきましょう。

目次

1. 広報の目的は信頼を築くこと
1-1. 広告と広報の違い
1-2. 社外広報と社内広報
1-3. ブランディングに必要な3つの価値

2. メディアに取り上げてもらうこと
2-1. メディアの種類
2-2. 代表的なアプローチ方法
2-3. メディアが取り上げたくなる5つの要素

3. メディアからの取材に対応
3-1. 取材現場では黒子になる
3-2. ネガティブな取材への対応
3-3. 報道後の問い合わせに対応

4. 危機管理広報の仕事
4-1. 危機発生時の2つの役割
4-2. 早期の記者会見
4-3. 日頃からのメディアトレーニング

まとめ

1. 広報の目的は信頼を築くこと

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具体的な仕事内容の前に、まず、広報にかんする基本的な知識をもっておきましょう。

「広報」を英語に訳すと、“Public Relations”になり、略して「PR」という言葉が使われます。

「PR」とは、「パブリック(大衆)とのリレーションズ(関係)を深める活動」。
「いい関係」に必要なものは信頼ですよね。
ですから広報の目的は、その企業や団体と、社会との信頼関係を築くことにあるのです。

では、「広告」や「ブランディング」とは、どこが違うのでしょうか?
社会に対して行う活動なのに、「社内広報」とはどういうこと?
こうした疑問を解決していきましょう。

1-1. 広告と広報の違い

まず、「広告」はおカネを払って新聞や雑誌、テレビなどのスペースを買い、そこを使って宣伝活動を行うのに対し、「広報の記事」はおカネを払わず、記者に情報を提供して記事を書いてもらうという違いがあります。

「広告」は企業側が自由に宣伝することができますから主観的な情報ですが、広報の記事はメディアの記者がつくるものなので、客観的な情報となります。

ですから広報の方が自由度は低くなり、場合によっては企業側が意図しない内容になることも。
しかしその反面、中立な立場であるマスメディアが報道することにより、信頼性は広告よりも高くなります。

日本は、とくにマスメディアが行う報道に対して信頼度が高いといわれており、報道の内容が企業やブランドのイメージに大きな影響を与えます。

1-2. 社外広報と社内広報

広報の仕事には、「社外広報」と「社内広報」があります。
社外広報が、社会に企業やブランドの価値をアピールして信頼を高める仕事であるのに対し、社会からの信頼を高めるために、自社の社員に対していろいろな情報の伝達を行うのが「社内広報」です。

社内広報の担当者が行う社内コミュニケーションの方法は、社内報や掲示板から、イントラネットやメールマガジンへと変貌しています。

どちらにも一長一短があるので、どこへでももち運べてゆっくり読むことができる社内報と、速報性に優れて抵コストなイントラネットという、双方の特性を活かす企業も多くなっています。
ここでは、社外広報に的を絞って解説を行いますが、社内広報の仕事があることも忘れないでください。

1-3. ブランディングに必要な3つの価値

「ブランド」とは、「自社製品に、他社製品との差別化を目的として高い価値をもたせる要素」のことで、「ブランドの価値を高める取り組み」を「ブランディング」といいます。

「マーケティング」は、商品やサービスを顧客に提供する企業活動全般を指す言葉。
マーケティングが「自社がどう売るか」という視点で使われるのに対して、ブランディングは「どう見られるか」という視点で取り組むものです。

企業と社会の接点である広報の仕事として基本的な活動となるのが、社会からどう見られるかということに取り組むブランディング。

ブランディングを行う広報の要素として「商品やサービスの価値」をアピールするとともに重要なのが、「ブランドをつくる人間の価値」や「社会貢献などにおける組織の価値」をアピールすることだといわれます。

2. メディアに取り上げてもらうこと

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広報はメディアに情報を提供しても、取り上げてもらえなければ仕事になりません。

13年間アマゾンジャパンに勤務して広報本部長を務め、2017年からは企業のPR業務をサポートする「AStory合同会社」の代表として活躍するPRのエキスパート、小西みさをさんは、「広報とは、信頼を稼ぐことで記事にしてもらう仕事」だといっています。

広告は企業がおカネを払うのでいいたいことがいえますが、広報はメディアの企画や論理に従わなければいけません。

どうやって信頼を稼いで記事にしてもらうか。
ここに、広報担当者の極意があるといいます。

2-1. メディアの種類   

今、広報が扱うマスメディアの定義は変わりつつあります。

大衆に情報を伝達するマスメディアといえば、新聞、雑誌、テレビ、ラジオという時代は終わり、インターネットを介するネットメディアや、交通広告、屋外広告などのSP(セールスプロモーション)メディアなどが台頭しています。

成長著しいネットメディアでは、企業やショップのサイト以外に、ユーザーが情報を発信していくソーシャルメディアとして、個人のブログやまとめサイト、フェイスブックをはじめとするSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)、Youtubeなどの動画共有サイトなどがあります。

広報担当者は、それぞれの特性を理解して使い分けなければいけません。
そのために、担当者によってつくられるメディアリストは、重要な広報戦略アイテムとなります。

2-2. 代表的なアプローチ方法

広報担当者がメディアの担当者にアプローチする方法には、代表的なものがいくつかあります。

ここでとくに大事なことは「情報開示」。
記事には基本的に数字が必要ですから、とくに正しい数字の開示が求められます。
企業側が「売れています」といったら、「どのくらい売れていますか?」と聞かれるのが当然。
ここで、はっきり数字を提示できなければ、信頼を得ることができないのです。

アプローチの基本となるのが、「ニュースリリース」や「プレスリリース」と呼ばれる資料。
メディアリストに従って郵送、FAX、メール添付などで送付するか、ニュースサイトに掲載します。

記者会見や記者発表会は、より力を入れたい広報活動で行われます。
メディアの担当者に直接語りかけることができる一方で、質疑応答があるので失言には注意しなければいけません。

新聞や雑誌の編集部に行って商品を試してもらったり、イベントで商品を紹介したりする手段は、「メディアキャラバン」と呼ばれます。

記者を一堂に集めて食事をしながら、商品やサービスの説明をする「記者懇親会」も、よく行われる手段です。
また、プレスリリースといっしょに商品を送って試してもらい、レビューの掲載を狙う方法もあります。

2-3. メディアが取り上げたくなる5つの要素

PRのエキスパートとして多くの有名企業でブランディングのサポートを行っている小西さんは、メディアが取り上げたくなる要素として5つのポイントをあげていますので、ここで簡単に紹介しておきましょう。

新規性

新しいトレンドに乗っている商品やサービスは、メディアに取り上げられやすくなります。

独自性

他者には真似のできない要素も大事なポイント。
商品開発の裏にあるストーリーや、素材へのこだわりをドラマチックに明文化することも、独自性を効果的に伝えるテクニックです。

意外性

「ありそうでなかった商品」「ありそうでなかったサービス」など、ありそうでなかったものはメディアや顧客の共感を得やすくなります。

時事性

PRは、タイミングひとつで効果がまったく変わってしまいます。
効果的なタイミングは、新規性と同じように時代の流れを把握していないとつかめません。
小西さんは、「トレンドとの接点」という言葉と使っています。

季節性

四季がはっきりしている日本では、とくに季節を意識したブランディングが有効で、メディアにも取り上げられやすくなります。

3. メディアからの取材に対応

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広報の仕事は、メディアにアプローチするのとは反対に、メディアからアプローチされた取材を受ける窓口にもならなければいけません。

取材を申し込まれた際には、「企画意図」「企画名」「扱うコーナー」「発行部数や視聴率」「取材対象者」「掲載やオンエアのスケジュール」「原稿チェックの有無」などを確認することになります。

会社側としては肩書のある人間を取材対象者にしたくなるものですが、メディアが求めているのは、あくまでもその分野に詳しい人間。
メディアを満足させて信頼を築くためには、こうしたメディアの論理を社内で認知されるように努力する必要があります。

3-1. 取材現場では黒子になる

広報担当者は、企業やブランドの情報を把握していなければいけませんから、他部署の社員より情報をもっているはずです。
ですから、サポート的な立場で取材に立ち会うことも多くなります。

そこで気をつけなければいけないのは、「監視役」や「うっとおしい広報担当者」として見られないようにすること。
あくまでも、取材対象者とメディア担当者双方を助ける存在であるべきなのです。

メディアが求めているのは「知りたいことに答えてくれる人」であって、企業側の論理を主張する人間は必要ありません。
広報は、必要なデータや資料をそろえたら、取材される社員とメディア担当者のやりとりをうかがいながら、それとなくサポートして取材の「黒子」に徹する仕事なのです。

3-2. ネガティブな取材への対応

メディアから申し込まれる取材には、ときとしてネガティブな内容のものもあります。
時事的な社会問題や、企業経営における問題が発生した場合などですね。

こういう状態では、複数のメディアから問い合わせが来るケースが多くなります。
企業の方針として、取材を回避しなければならないときもあるでしょう。
よくある断り方が、「担当者がいません」という逃げです。

何度、電話がかかってきても、この対応を繰り返せばその取材は回避できます。
しかし、メディアの報道はとてもイメージの悪いものになるはずです。
「隠ぺい体質」という言葉が使われるかもしれません。

ですから、基本的にはネガティブなことでも取材を受けるという姿勢が大事で、事実無根であれば否定する場として、事実であれば反省の態度を表明し、再発防止に向けた対策を発表する場として使うというのが、企業広報の正しい判断とされます。

3-3. 報道後の問い合わせに対応

あるメディアから新情報をスクープされた場合など、後追いで多くのメディアから取材依頼が来たり、コメントを求められたりすることがあります。

こうした場合に、想定回答集をつくって対応するのも広報の仕事。
担当者は、想定回答集に従ってコメントするのです。
その場で回答できない場合には、いつまでに回答するのか期限を必ず伝え、社内で検討します。

対応窓口を広報に1本化して、他部署からはコメントが出ないようにすることも、誤報を防ぐために大事なことです。

4. 危機管理広報の仕事

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不祥事や事故などで企業危機が発生した場合には、メディアからの取材が殺到することになります。
対応を間違えば、企業の存続にもかかわることにもなりますから、「危機管理広報」はブランディングと同等に重要な仕事として認知されるようになりました。

社会は、マスコミの報道以外に不祥事や事故の情報を得る手段がありません。
昨今は、そうしたマスコミの報道で得た情報に主観を交えた情報が、ブログやSNSなどにアップされるので、あっという間に膨らんだ情報が氾濫することになります。
ですから、発端となるマスコミ報道のイメージがとても重要なのです。

4-1. 危機発生時の2つの役割

危機発生時の広報は、平常時とはまったく違う対応が必要になります。
とくに重要な役割となるのは、2つの実務。

ひとつめは、「社内の意思決定」。
緊急記者会見が避けられないと判断した場合には、経営陣が「できれば記者会見は避けたい」と考えていたとしても、冷静に現状と起こるであろう状況を説明して、少しでも企業イメージの悪化を防ぐ会見を行わなければいけないのです。

そしてもうひとつが、緊急記者会見の日時、場所、出席者を決定して、取り仕切ることです。
時間は、新聞の締め切り時間帯にかからない、午前中ならば午前10時頃まで、午後であれば午後2時から4時頃までが望ましいとされます。

会場のレイアウトを決めたり、想定質問と回答を作成したりすることも重要な仕事です。

4-2. 早期の記者会見

企業が受けるダメージを少しでも軽くするためには、「起きてしまったことは仕方がない。現状でとることができる最良の対応を行う」という認識を統一することだといわれます。

初期対応のまずさや慌てぶりをマスコミに指摘されると、「潔くない」というイメージが広がってしまいますから、初期対応の早さが大事なのです。

ダメージを軽くするためには、報道される期間を短く抑えることも重要。
2~3日で報道が終わるより、1週間も報道が続けば、それだけダメージは大きくなります。
報道期間を短く抑えるためには、早期に記者会見を実施する必要があり、前項で説明した2つの役割が欠かせません。

4-3. 日頃からのメディアトレーニング

危機発生時のマスコミ対応には、してはいけないことや、しなければいけないことがいくつもあります。

謝罪会見では、集まったマスコミに対して司会者がお礼の言葉をいってはいけません。
「本日はお集りいただき、誠にありがとうございます」と発言すれば、マスコミに「この企業は事の重大性を意識していないのではないか」というイメージを与えかねないのです。

ですから「本日はお越しいただき、誠に申し訳ありません」といわなければいけません。
これはほんの一例ですが、「謝罪を最初に行う」「司会者は質問する記者の名前や社名を聞いてはいけない」といったイメージを悪化させないためのルールがあるのです。

ですから、緊急時にも好印象の対応ができるように、日頃からメディアトレーニングを実施する広報部が多くなっています。

まとめ

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広報の仕事は、社会の信頼を得ることが目的だという理由がわかりましたか?
おカネで買う広告枠とは違って、メディアとの信頼関係がなければ取り上げてもらえない広報の記事は、顧客からの信頼度も高いのです

「三方よし」とは、近江商人の心得として生まれた言葉ですが、企業にとって、メディアにとって、さらに顧客にとってもメリットを生む仕事が、広報の目標とすべきところだといいます。

 

なお、こちらの記事でご紹介いたしました小西みさをさんのアドバイスをもっとお聞きになりたい方は、フォレスタのアプリコンテンツもぜひチェックしてみてください。

アプリコンテンツでは、『誰にでもできる!小西式経営広報メソッド』と題して、ブランディングの要となる広報の仕事を解説する動画をご覧いただけます。

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誰にでもできる!小西式経営広報メソッド

 

【参考資料】

・『広報の基本がわかる4つの仕事-企業経営に欠かせない信頼作り』 宝島社  2019年
・『広報人門 プロが教える基本と実務』 広報会議編集部 監修  宣伝会議 2012年
・『新版 実践マニュアル 広報担当の仕事』 五十嵐寛 著 東洋経済新報社 2014年

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