心と体のセルフケアで改善される7つの症状-薬を使わない治療法

Pocket

この数年でメンタルヘルスがより重視されるようになって、「セルフケア」という言葉をよく耳にするようになりましたよね?

セルフケアとは、自分自身を管理して手当てする行為。
そもそも人間には、自然治癒力が備わっており、軽度の身体的不調やケガは自分自身で治すことができるのです。

自然治癒力は、古代ギリシャで医学の父と呼ばれるヒポクラテスの時代から認められているセルフケア。
現代の医学においても、患者の自然治癒力を妨害せずに自立支援する「セルフケア理論」は看護の基本とされています。

心と身体の健康を切り離して考えられないことが明確になった現在、セルフケア能力の高い人とは、身体的不調ばかりでなく、メンタルの不調も自己管理できることを意味するようになったのです。

そのメンタルに大きな悪影響を与える「ストレス」が、重大な身体的不調を引き起こす原因であることは、今や誰もが知る事実ですよね。
ここでは、ストレスが原因でメンタルに現れる7つの症状に対して、効果的なセルフケアの方法を解説します。

目次

1. うつ病
2. 非定型うつ病
3. 双極性障害
4. パニック症
5. 社会不安症(SAD)
6. 限局性恐怖症
7. 強迫症(OCD)
まとめ

1. うつ病

shutterstock_606121190

代表的なストレス性疾患である「うつ病」は、「心の風邪」といわれるように誰もがかかりうる病気で生涯有病率は6.5%、15人に1人がうつ病を経験するということになります。

憂うつで気分が落ち込み、何事にも興味がもてないようになる「抑うつ状態」は、誰もが経験するものですが、多くの場合はセルフケアによって回復します。

しかし、この状態が2週間以上、毎日ずっと続くと「うつ病」と診断され、専門医の治療を受けなければいけません。
ところが、日本人はこうした抑うつ症状があっても、約4分の3の人が医療機関を受診していないといわれます。

それだけに、抑うつ症状を悪化させないセルフケアが必要とされるのです。

【効果的なセルフケア】

抑うつ症状を改善するセルフメンタルケアは、いろいろな本で紹介されていますよね。
その中でも、うつ病や不安症などのストレス性疾患に効果が高いといわれているのが、「マインドフルネス瞑想」と「自律訓練法」。

マインドフルネスとは、「今、ここにいる自分に意識を集中して現実に気づく」ことを目的として瞑想するメソッドです。
瞑想という言葉から、難しく感じられるかもしれませんが、簡単にはじめることが可能。
瞑想の初心者でも簡単にできる方法を紹介しましょう。

【簡単なマインドフルネス瞑想法】
① イスにすわって背筋を伸ばし、アゴを引いて肩の力を抜きます。
② 両手を太ももの上に置き、下腹部を前に出すようなイメージで鼻から息を吸って吐く呼吸を行います。
③ 呼吸はコントロールしようとせずに自然にまかせ、目を閉じるか半眼にして、自分の呼吸に意識を集中させます。

自律訓練法は、心と体の緊張をやわらげて精神を安定させ、自律神経を整えるリラクゼーション法。
自律神経は、心拍、呼吸、血圧、体温、消化吸収といった生命維持に欠かせない身体機能をコントロールしているシステムですから、整えることによって「疲労回復」「ストレス軽減」「集中力アップ」「苦痛の緩和作用」「向上心アップ」といった効果も得られます。

これも本格的に治療としてはじめるためには専門医の指導を受ける必要があります、自分をリラックスさせるセルフケアとして行うのは難しいことではありません。

【簡単な自律訓練法】
① イスに座ってベルト類など体を締め付けるものを外し、軽く目を閉じて腹式呼吸を行います。
② 腹式呼吸は、「お腹をへこませるように口からフーっと8秒かけて息を吐き切り、鼻から4秒かけてお腹に息を吸い込み4秒キープ」。
これを繰り返しますが、8秒が長く感じる人は6秒3秒でもかまいません。
③ 腹式呼吸をしながら、次の6つ暗示を心の中で唱えます。

・右手をだらんと下ろして「右手が重い」と唱え、左手、右足、左足が重いと続ける
・右手を胸に当てて「右手が温かい」と唱え、左手、右足、左足が重いと続ける
・「心が静かに鼓動している」と唱える
・「楽に呼吸している」と唱える
・お腹に両手を当てて、「お腹が温かい」と唱える
・「ひたいが心地よく涼しい」と唱える

④ このメソッドを終えたら、両手を5~6回握ったり開いたりし、両ヒジを2~3回曲げたり伸ばしたりしてから大きく背伸びをして目を開けます。

2. 非定型うつ病

shutterstock_1056416111

「非定型うつ病」の特徴は、気分の浮き沈みが激しいことで、過食や過眠、体が重いといった症状も現れます。

うつ病が何事にも興味がわかないのに対し、非定型うつ病は、憂うつな気分であっても好きなことや楽しいことがあると元気になるので、「気まぐれ」「自己中心」などと誤解されやすいのも特徴です。

また、うつ病が朝から午前中にかけて調子が悪くなるのに対し、非定型うつ病では夕方から夜にかけて症状のスイッチが入り、別人のような行動をとることも。
突然キレるといった激しい症状が現れることも珍しくありません。

【効果的なセルフケア】

非定型うつ病の症状が見られる人に対しては、マインドフルネス瞑想や自律訓練法とともに、「アサーション」が有効とされます。

アサーションは人間関係のストレスを軽減するコミュニケーション技法で、「自分も他人も尊重する自己表現」を目指して、「話す」「聞く」という相互交流を行うもの。
アサーションでは、自己表現を3つのタイプに分けて考えます。

① アサーティブな自己表現
「アサーティブ」とは、自分も他人も尊重しながら話し合えている「適切な状態」を示します。
自分の考えや気持ちを正直に、その場にふさわしい方法で表現し、意見の食い違いは話し合って調整、お互いに納得のいく結論を出す努力をします。

② 攻撃的で過剰な自己表現
自分の気持ちをはっきり表現するのですが、相手の気持ちやその場の状況を無視するので、自分を押し付ける自己表現になります。
一見、堂々としているように見えますが、不正直な自分をあとで後悔することも多く、相互理解ができないので人間関係も長続きしません。

③ 非主張的で不十分な自己表現
相手を優先して自分のことは後回しにするので、相手を立てているように見えますが、自分に正直ではないので、相手に対しても本心が伝わりません。
自信が無くて不安の強い状態が多く、ストレスをためてしまうので、うつ病の原因になることもあります。

アサーションでは、自分に②や③の傾向が見られたら、積極的に①のタイプに近づくよう努力することがセルフケアにつながります。

3. 双極性障害

shutterstock_746074252

「双極性障害」は、かつて「躁うつ病」と呼ばれていた病気で、憂うつ感、興味や喜びの喪失、思考力の低下、自己否定、自殺願望といった「うつ」の症状と、自尊心の誇大、話が止まらない、考えが次々に浮かぶ、注意力が散漫になる、興奮といった「躁」の症状が繰り返し現れます。

うつ状態で過眠が多くなるのに対し、躁状態では睡眠への欲求が減り、1日3時間程度の睡眠時間でも平気になってしまうことも。
両極端な症状が現れるので、患者の精神はとても不安定になり、気持ちが揺れ動きます。

双極性障害は専門医の治療が必要とされ、薬物療法と精神療法が中心になりますが、悪化させないためにはセルフケアが重要です。

【効果的なセルフケア】

双極性障害は、ストレスが再発の引き金となります。
セルフメンタルケアとしてとくに効果的なのが、マインドフルネス瞑想。
自分を客観的に観察できるようになると、ストレスにとらわれていた心を解放するとができます。

ストレス性疾患には、メンタルケア以外に、主に身体のセルフケアとして生活習慣の改善が効果的。

・生活のリズムを整えて体内時計を復調する
・食事を毎日決まった時間に摂る
・毎日、軽い有酸素運動を欠かさない
・何度も目覚めないようにして睡眠の質を上げる

こうしたことは、すべてのストレス性疾患を予防し、改善するセルフケアです。

双極性障害ではほかに、一時的には気分がよくなっても後から不安定になり、薬の効きも悪くなる飲酒をやめることが有効で、移り変わる気分や意欲を簡単に記録しておくことも効果的なセルフケアとなります。

4. パニック症

shutterstock_1648455556

パニック症は、予期しないときに突然、動悸、息切れ、めまい、発汗、呼吸困難、震えなどの症状が現れ、自分は死んでしまうのではないかという激しい不安に襲われます。

「また発作がおきるのではないか」という「予期不安」から、その場所に近づけなくなる、電車に乗れなくなる、エレベーターに乗れなくなるといった回避行動をとってしまうことがあり、恐怖の対象が広がると家から1歩も出られなくなることも。

パニック発作には薬物療法と認知行動療法が有効ですが、予期不安を治すためには、メンタル、生活両面でのセルフケアが必要です。

【効果的なセルフケア】

メンタル面のセルフケアでは、マインドフルネス瞑想と自律訓練法が有効であり、予期不安を恐れないようにするリラックスする手段として自律訓練法がとくに効果的。

不安や恐怖心は心も体も緊張状態にしてしまい、その緊張が神経を過敏にするので発作を起こしやすくなります。
自律訓練法は緊張をときほぐすリラクゼーション法ですから、発作に対する恐怖心を緩和することができて、不安や恐怖に陥りそうなときでも落ち着いて対処できるようになります。

認知行動療法と呼ばれる精神療法では、カウンセリングしながら不安や恐怖を感じる場面にじょじょに身をさらすことによって、心の抵抗力をつけていくのですが、その場でも自律訓練法で緊張をやわらげることが重視されます。

パニック症は、体のムリがきかなくなりますから、「過労」「睡眠不足」「風邪」は症状悪化の三大リスク。
生活習慣のセルフケアでは体力を落とさないことが大切です。

パニック症の患者は、一時的な抗不安作用を求めて、高確率で飲酒や喫煙に走るといいます。
どちらも薬の効きを悪くし、症状を悪化させる原因になるので、やめるのが賢明。
また、家族の理解と協力がとくに大切な疾患でもあります。

5. 社会不安症(SAD)

shutterstock_1297272154

社会不安症(Social Anxiety Disorder)は、恐怖症のひとつで、人から注目を浴びる可能性のある場所で、極端に緊張して否定的評価を受けたり、恥をかいたりすることに対して、不安や恐怖を感じてしまいます。

主な症状には次のようなものがあります。

・人との接し方がわからずに他人の存在を過剰に意識する「対人恐怖」
・大勢の前でしゃべるときに大きなプレッシャーを感じる「スピーチ恐怖」
・人から見られていることを意識して顔が赤くなる「赤面恐怖」
・話を聞かれることが怖くなって電話に出られない「電話恐怖」
・食べているところを見られると緊張して食べられなくなる「会食恐怖」
・人と接すると緊張や恐怖で大量の汗をかく「発汗恐怖」
・自分がヘンな匂いを発していると思い込んで人との接触を避ける「自己臭恐怖」

社会恐怖症になると、回避行為をとるようになり、それが強まると社会生活に影響を及ぼすようになります。
誰にも相談できずにひとりで悩み、症状を悪化させてしまうケースも多いのですが、薬物療法や認知行動療法などの適切な治療とセルフケアによって、比較的簡単に症状を改善できる病気とされています。

【効果的なセルフケア】

恐怖心をやわらげるセルフメンタルケアとしては、マインドフルネス瞑想、自律訓練法、アサーションのどれもが効果的です。

生活習慣のセルフケアでは、とにかくリラックスできる手段を多くもつことが大事。
マッサージ、ツボ刺激、ストレッチ、入浴、森林浴、アロマテラピーといった心地よいリラクゼーションだけでなく、好きなことや楽しいことを積極的にすることで、ストレスや不安を軽減できます。

とくに有効とされているのが、人に会ったら自分から声を出して挨拶をする習慣と笑顔。
笑顔は鏡を見て練習するといいでしょう。

笑顔は自分の緊張をやわらげると同時に、相手の緊張をほぐす効果もあり、ストレス軽減にも大きな効果が認められています。
口角を上げる「作り笑顔」でも、脳は顔の筋肉の動きを感知して笑顔になっていると判断するので、無意識に現れる笑顔と同じ効果があるといわれます。

6. 限局性恐怖症

shutterstock_1447332404

とくに危険でもないのに、特定の物事や状況に激しい恐怖を抱いてしまい、パニック発作を起こすこともあるのが「限局性恐怖症」。
根底に怖がる気質があり、子どもの頃に体験した対象への恐怖が続いていることも多いとされます。

限局性恐怖症は、4つのタイプに大別されます。

① 状況型
高所、閉所、暗所といった状況を怖がります。
悪化すると、ビルの中にあるオフィスへ行けない、飛行機や電車に乗れないという症状が現れ、仕事や日常生活に支障をきたします。

② 動物型
ヘビ、クモ、昆虫、犬、猫、ネズミなどが恐怖の対象。
このタイプは、とくに子どもの頃の恐怖心が続いていることが多いといわれます。

③ 血液、注射、負傷型
血を見ることや注射をすることに恐怖を感じます。
血液検査などでの採血ができなくなったり、極端にケガを恐れるようになることがあります。

④ 自然環境型
地震、雷、台風といった自然現象に対して過度な恐怖を抱くタイプ。
雷が鳴りそうな日は外出できない、地震が起こったり雷が鳴ったりすると部屋の隅で震えているという症状が現れる人もいます。

限局性恐怖症は、恐怖の対象と接しなければ苦痛はなく、大人になると自然に治癒するケースも多いのですが、パニック発作を起こすようなケースでは専門医の治療が必要です。

【効果的なセルフケア】

この病気も恐怖症ですから、回避行動をとるようになることが大きな問題です。
社会不安症と同じように、緊張をやわらげるセルフケアが効果的。
メンタルケアにおいては、マインドフルネス瞑想や自律訓練法、生活習慣においては、回避行動を家族や周囲の人に理解してもらうことが症状軽減のカギとなります。

普通の人から見ると、「人間には怖いもののひとつやふたつ、あって当たり前」と感じるかもしれませんが、本人にとってはパニック発作を起こすほどの恐怖なのです。
もっとも身近な存在である家族が、こうした恐怖心を理解しながらも過剰な反応をしないことによって、少しでもリラックスできる状況をつくることが大事。

そのためには、日頃から家族を大切にして信頼し、何でも話せる環境をつくりたいものです。

7. 強迫症(OCD)

shutterstock_1331349209

強迫症(Obsessive Compulsive Disorder)は、「とらわれる病気」。
無意味とわかっていても不合理な「強迫観念」にとらわれ、「強迫行動」が止められなくなってしまいます。

主な強迫観念と強迫行動には次のようなものがあります。

① 汚染、洗浄
周りのものが汚れていると感じ、手や体を何度も洗ったり、汚れていると思うものを避けたりしてしまいます。

② 確認
自分のミスが不安になってしまい、電気のスイッチ、ガスの元栓、玄関のカギなどを何度も確認してしまいます。

③ 加害
自分のせいで誰かに危害を与えてしまうのではないかと思い込み、確認行為や回避行動をしてしまいます。

④ ため込み
大事なものになるのではないか、捨てられないといった思いから、物を異常に集めたり買いすぎたりしてため込みます。

⑤ 色、数、対称、順番、身体感覚
こうした事柄に、必要以上にとらわれてしまい、コントロールできなくなります。
強迫症は、日常のあらゆる行為にかかわるので、重症化すると日常生活に支障をきたすようになります。

【効果的なセルフケア】

強迫症のはっきりとした原因はわかっていませんが、脳の複数の部位が過活動状態になっていることがわかっているので、脳の負担を軽減するセルフケアが有効。

メンタルケアではマインドフルネス瞑想や自律訓練法が効果的。
生活習慣では、強迫症になると家に閉じこもりがちになるので、外に出て歩き、体を動かして脳の血流を改善することや、今、目の前にあることをこなすこと、今できることに目を向けること、楽しいことをすることなどによって、脳のストレスを軽減することができます。

まとめ

shutterstock_1160602567

セルフケアが重要とされるストレス性疾患には、ほかに「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」や、「全般性不安症」、「広場不安症」などがあります。
どれも、心と体のセルフケアによって症状を軽減することができ、セルフケア不足になれば症状が悪化します。

どんなストレス性疾患でも、日常生活に支障が出ているような場合には専門医の受診が急がれますが、そこまで至っていないのであれば、まず心と体のセルフケアを充実させて、自分の「治ろうとする力」を高めてみることをおススメします。

【参考資料】
・『よくわかる心のセルフケア ストレス・不安・うつに負けない』 貝谷久宜 著  主婦の友社 2019年
・『ストレスマネジメント 実践的セルフケア』 押川聖子 著  新興医学出版社 2019

▼ファミリアスピリット・アプリ(iTunesサイト) ※iphoneでご覧ください bannar-familiarspirits familiarspirits-app-download

コメントをどうぞ

*