健康な自尊心を育む8つの思考-等身大の自分を受け入れる習慣

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「あの人は自尊心が高いからね」
という表現は、あまりいいイメージで使われませんよね。

自尊心とは簡単にいうと「自分を大切にする気持ち」。
英語では“self-esteem”、類語としては「プライド」や「自己肯定感」という言葉があります。

「あの人は自尊心が高いからね」という表現は、「あの人はプライドが高いからね」という意味で使われることが多く、それは「価値観が特別で付き合いづらい」「自己愛が強いナルシストだ」といったマイナスイメージを表すケースが多いのです。

自尊心が高い人は、自分の価値観を大切にして前向きに生きるという傾向にあるのですが、「自己顕示欲が強い」「自分の非を認めない」「完璧主義者」といった周りからは嫌われてしまう性格が見られがちで、ストレスを溜める原因にもなってしまいます。

近年、自尊心に原因がある心の病として注目されているのが、「自己愛性パーソナリティ障害」です。
生活全般ではなく楽しいことだけには興味を示す「非定形うつ」、無意味とわかっていても恐怖心から同じ行動を繰り返してしまう「強迫性障害」、引きこもりや不登校、ドメスティック・バイオレンス、ストーカー、クレーマーといったトラブルを抱える人に、自尊心が高すぎたり低かったりするケースが多いことがわかり、健康な自尊心をもつ訓練や治療が行われています。

「自己愛性パーソナリティ障害」は、自尊心の欠如に原因があるとされるケースが多いのですが、ここでは単に自尊心を高める手段ということではなく、健康な自尊心をもてるようになるための「考え方」を解説します。

目次

健康な自尊心を育む8つの思考
1. 自分は自分以上でも以下でもない
2. 「できる自分」も「できない自分」も認める
3. 自分が特別である必要はない
4. 自分の価値は自分で決める
5. 自分にやさしく接する
6. 上昇するより1歩前進
7. 家族はみな別の人間だと気づく
8. 自分が存在することに理由などいらない
まとめ

健康な自尊心を育む8つの思考

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健康な自尊心を育むためには、まず、自分の考え方、ものの見方に気づくことが入り口となります。

ゆっくりとリラックスして、自分と向き合う時間をもちましょう。
そして、ここで解説する8つの思考について、「そう考えているか?」と自分に問いかけながら、本文を読んでください。

自分以外の誰のためでもありませんから、飾る必要も守る必要もありません。
ありのままの自分に気づくことが大事なのです。

1. 自分は自分以上でも以下でもない

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自尊心が欠如していると、「自分が他人からどう見られているか」ということばかりが気になってしまい、相手を見下して自分を大きく見せようとします。
人間関係を「自分より上か下か」「見下すか見下されるか」という二択で考えてしまいがち。

他人から見られる自分しか考えていないと、常に自分以上の存在でいようとします。
いつも、大きな存在でいなければいけないという気持ちが強迫観念になって、ありのままの自分に気づくことができません。

しかし、よく考えてみましょう。
自分が自分以下の存在になるなどということはあり得ませんよね。
同じように、自分が自分以上の存在になることもあり得ないのですから、大きく見せようとしても無意味なのです。

自分以上でも自分以下でもない「ありのままの自分」を見つけるためには、身構えなくてもいい相手、比較しなくてもいい対象と一緒にいるときの自分をイメージしてみましょう。
リラックスできる相手は、人間ではなくてもかまいません。
いっしょに暮らす動物や美しい景色、楽しい趣味のアイテムなどでもOK。
そうした対象の前にいる自分はどんな自分ですか?

2. 「できる自分」も「できない自分」も認める

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自尊心が高い人と欠如している人の思考はよく似ています。
自尊心が高い人には完璧主義者が多いのですが、欠如している人も完璧な自分を理想として追い求める傾向にあります。
あなたの中にも、常に完璧さを求める自分がいませんか?

自尊心が欠如している人は、完璧な自分が傷つくことを怖がり、完璧にできない自分を拒絶してしまうのが特徴。
自分が思い描く「完璧にできる自分」だけを認めていて、思うように物事が進まないと自分には何のとりえもないように感じてしまい、卑屈になってしまうのです。

「できない自分」「とりえのない自分」も、理想とする「できる自分」とともに自分の一部として受け入れることができれば、生きるのが楽になります。

「ありのままの自分=等身大の自分」に気づくことができれば、自己肯定感を高めて「できる自分」も「できない自分」も受け入れることができます。
できない自分が失敗したり挫折したりしても、等身大の自分に戻ればいいのですから。

本来、「等身大の自分」とは、幼児期に母親が守ってくれていた安全地帯が、成長するにつれて「心の安全地帯」として形成されるもの。
しかし、それがうまく形成されなかったとしても、「できる自分」も「できない自分」も意識的に受け入れることによって、等身大の自分を育むことができます。

3. 自分が特別である必要はない

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自尊心の裏返しで、自分が特別であることに強いこだわりをもっている人がいます。
自己愛性パーソナリティ障害の人には、普通の人とは違う、特別な自分を追い求めて凡人と差別化し、外見にこだわったり、問題行動をしでかしたりする傾向があります。

「特別」という価値観は、「普通」との比較で生まれるものですから、常に「他人と比べてスペシャルな自分」でありたいと思っているわけです。
人と比べることで生まれる価値観には、他人から高い評価を受けたいという願望が隠れているもの。
自分の中から出てくるものではありませんから、揺れ動き、不安定で、気持ちが落ちつくことがありません。

人間は生まれたときから平等ではありませんよね。
体の強い子、弱い子、走るのが速い子、記憶力の優れた子、裕福な家庭に生まれる子もいれば厳しい経済状況の家庭に生まれる子もいて、みな違う環境や条件のもとで育ちます。

これは現実ですから、親を恨んでみたところで何かがよくなるわけではありません。
大事なのは、自分の個性を育むこと。
他人と比べるのではなく、ありのままの自分を受け入れて、自分の中でいいところを伸ばすのです。

何が幸せかということは、人それぞれ違うのですから、人生や幸福を人と比べても意味がありません。
他人と比べて特別である必要はないのです。

4. 自分の価値は自分で決める

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自尊心が欠如していると、自分の価値観に自信がもてないので、いつも他人の目を意識して行動することになります。
他人の評価や発言でしか、自分自身を感じることができません。
ですから、常に他人の顔色をうかがい、人が自分をどう思っているかわからなくて不安になるのです。

自尊心は、正常な自己愛から形成されるもので、これも本来は幼児期に、自分がしたことを母親が肯定することによって育まれます。
ところが、幼児期から少年期にかけて、母親の期待に応えようという気持ちが強いと正常な自己愛が育まれず、それが大人になると他人の期待にすり替わり、人から高い評価を得ることにこだわるようになるのです。

人間にとって大事なのは、人からどう思われるかということではなくて、自分がどう思うかということ。
たとえば、何か買いたい物があったとしたら、それは自分にとって価値のあるものなのか、自分自身が楽しめるものなのか、心から自分が欲しているものなのかということが大事なのです。

誰も見ていなくたって、人から評価されなくたって、自分がやりたいと思ったことをやってみることが自尊心を育みます。
理屈ではなくて、自分が好きなこと、楽しいと感じること、心地よいと感じることを追い求めればいいのです。
それこそ、等身大の自分が満足できる価値観。

自分の中から発する価値観を大事にすれば、自分のいいところが発見できて、他人に振り回されることもなくなります。

5. 自分にやさしく接する

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特別でいなければダメだと思い、理想の完璧な自分を思い描く人は、自分に対して厳しくあたることになり、他人に対してもやさしくなることができません。
そこには等身大の自分がいないので、逃げてはいけないと思いつつ、完璧にできない自分を見ないようにして、自分を袋小路に追い込んでしまいます。

等身大の自分がいないところで、ふたつの自分が闘ってしまい、自分自身が戻るところをなくしている状況なのです。
正常な自己愛や自己肯定感を維持できる等身大の自分を取り戻すためには、完璧を求めてしまう自分も、そこから逃げてしまうダメな自分も、許してやりましょう。
そして、等身大の自分をやさしく愛してあげるのです。

今、ここにいる自分の中にふたつの自分が思考としてあるのは現実で、誰が悪いのでも、自分の何かが悪いのでもありません。
自分を責める必要はないのです。

等身大の自分にやさしく接することができれば、自分を信じることができるようになるはず。
揺れ動くことのない安定した拠り所ができるのです。
自分を信頼できるようになると、人に対してもやさしく接することができるようになりますから、信頼し合える人間関係を築くことができるでしょう。

自分を愛せない人間が、他人を愛することもできないといわれるのは、自尊心が欠如していると人にやさしい気持ちで接することができないからなのです。

6. 上昇するより1歩前進

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自尊心の高い人の特徴として、完璧主義とともにあげられるのが「強い上昇志向」をもっていること。
裏を返せば、自尊心が欠如していると、この上昇志向に強いあこがれをもちながら、それができないことに恐怖心を抱くことが多くなります。

人生を山登りにたとえると、自尊心が欠如している人は、山頂に立つことだけを思い描き、そこにたどり着くための行程を考えたり、どうすればたどり着けるかという努力をしたりしない傾向があります。
ですから、栄光を手に入れた自分の姿に酔いしれるだけで、多くの場合はゴールとする山頂までたどり着くどころかスタート早々の坂道で辛くなり、想像だけで終わってしまいます。

まず、人生にゴールなどないことを受け入れましょう。
山頂まで昇りつめたとしても、そこからは下山の人生があるのです。
人生にゴールがあるとすれば、それは死ぬときで、自分の意思とは関係なく必ず訪れる最期です。

人生を豊かなものにするために必要なのは、夢ではなくて、実現可能な目標に向かう努力。
高みに憧れる上昇志向ではなく、見えている目標に向けて歩む1歩が大事なのです。
目標を達成することによって得られる達成感や充実感は、自尊心を育み、人生を楽しいものにしてくれます。

だから、小さな目標を数多く達成しながら生きることが大事で、たとえ山頂までたどり着けなかった人生だとしても、充実した時間を生きた満足感は何ものにも代えがたいものとなるのではないでしょうか。

7. 家族はみな別の人間だと気づく

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自尊心に問題がある人は、家族関係に強い影響を受けているケースが多いので、自分だけでなく家族に対する偏った思い込みに気づくことも大切です。

生まれたときから一緒に暮らしている家族は、自分と同じ思いを共有する存在であるかのように思ってしまいがち。
実際には、家族はそれぞれひとりの人間として個別の意識をもちながら、思い出や記憶の一部を共有する集団なのです。

自己愛性パーソナリティ障害の人には、幼児期の母親の記憶が抜け落ちているケースが少なくないといいます。
幼児期に自尊心を傷つけられる体験をし、その記憶を封印してしまうのです。
もっとも身近な存在である母親の記憶を封印することよって、自分を苦しめる原体験から逃げているわけです。

こうしたケースでは、まず、自分を支配している「家族は同じ思いをもっているという幻想」に気づくことが大事。
母親にも父親にも兄弟姉妹にも、それぞれの人生があり、この世に生まれてから今に至るストーリーがあるのです。
家族がみな違う人間であることに気づくことができれば、抜け落ちていた母親の記憶も戻るといいます。

そこで、もし嫌な体験の原因が母親にあることが実感されたとしても、母親をひとりの人間として見ることができれば、新たな1歩を踏み出すことができるはず。
家族である以前に、この世に生を受けたひとりの人間なのだと考えましょう。

8. 自分が存在することに理由などいらない

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人間は、誰かの役に立っていると幸福を感じます。
人の役に立つことは、人間としての存在価値となるからですよね。

しかし、人生の価値や生きる意味を見出さなくてはいけないという思いが空回りしてしまうと、強迫観念となって自分を苦しめます。

自尊心が高すぎたり欠如していたりすると、人生の存在価値を追い求めるあまり、「自分はなぜ生きているのかわからない」「自分の存在する意義が認められない」などと考えてしまうことが多くなるのです。
人生が無意味に感じられて、生きる理由を失うことも少なくありません。

人間のあらゆる願望を「何のために」と突き詰めていくと、ほぼすべてが「幸福になるため」という結論に達するといわれます。
幸福は他人と比べるものではありませんし、人生における目標は自分で設定するもの。

明日の朝も早起きして鳥の声を聞きながら深呼吸することであったり、今晩、美味しい料理で誰か喜ばせることであったり、毎日、愛犬と散歩を楽しむことであったりと、生活の中にある些細なことであっても、それが幸せを感じることであったら自分にとって価値があることなのです。

自分が存在することに、特別な理由など必要ありません。
もしも、この世に生まれてきた意味を考えるとしたら、それは幸福になる時間を与えられた存在だということでしょう。
ですから、何よりも大事なのは限られた人生を楽しむことなのです。

まとめ

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自尊心がどのようなものか理解できましたか?
健康な自尊心を取り戻すには、「気づく」ことがカギとなるのです。

自分を大切にする気もちに気づくこと。
そして、ありのままの自分に気づくこと。

大きなことや、先のことばかりに目をむけるのではなくて、今そこにいる自分と向かい合い、等身大の自分に気づくことができたら、大切にやさしく育んでいってください。
健康な自尊心は、必ずや幸福な人生をもたらすことでしょう。

【参考資料】
・『自己愛性パーソナリティ障害 正しい理解路治療法』 市橋秀夫 監修  大和出版 2018年
・『自尊心の育て方』 マシュー・マッケイ、パトリック・ファニング 著  高橋祥友 訳  金剛出版 2018年

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