ひどい肩こりを解消する6つの知恵-原因を知って早めの対処を

ヘルス

デスクワーカーには、ひどい肩こりで悩んでいる人が多いですよね。

首や肩のこりを感じていても、仕事を続けないわけにはいかないので慢性化しやすいのです。
少し揉んだくらいでは、またすぐに「こる」「痛くなる」の繰り返し。
肩をもんでくれるマッサージャーを使う、ストレッチをする、薬を飲む、整体を受ける、整形外科の病院で温熱療法を受けると、いろいろなケアを試してみても改善しないというケースが少なくありません。

肩がこるという人のほとんどは、首にも問題を抱えています。
頭を支えている首と、腕を支えている肩は、両方とも重力に耐えて大きな負担がかかる部位でありながら一体化しているのですから、問題を抱える人が多いというのはうなずけますよね。

ここでは、まず肩こりの原因やしくみを知り、セルフケアでできるマッサージやストレッチ、オフィスで簡単にできるエクササイズ、肩こりと深い関係にある自律神経の整え方などを6つの知恵と題して解説します。

肩がこるしくみを理解する

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首、首すじ、首のつけ根、肩、肩から背中にかけて張った感じ、こる、痛いという症状は、首の後ろから肩や背中にかけてある僧帽筋(そうぼうきん)という大きな筋肉がもっとも関与しています。

首から背中にかけては、さらにいくつかの筋肉があって、こっている部位によって症状とケア方法が変わってきます。

まず、首や肩がこるしくみを理解しておきましょう。

同じ姿勢をとり続けて筋肉の血流が悪化

筋肉は動かさないでいると硬くなり、血流が悪化していきます。
人間は、15分から30分間筋肉を動かさないと、その部位の静脈の血流が15~20%減少するといわれます。

この、「動かさないことによる筋肉の血流悪化」が、肩こりの最大の原因。
いい姿勢でいたとしても、同じ姿勢をとり続けていれば、やはり筋肉は固まっていきます。
デスクワーカーは、少なくとも15分に1回は身体を動かしたほうがいいということですね。

筋肉が硬くなって血流が悪化すると、筋肉で発生した老廃物や二酸化炭素を排出することができなくなって、それが「こり」として感じるようになり、さらに悪化すると「痛み」を感じるようになります。

ひどい肩こりには、筋肉痛のほかにも頚椎疾患、頭蓋内疾患、高血圧症、眼疾患、耳鼻咽喉疾患、肩関節疾患などによる症状として現れるものがあることも知っておきましょう。
そうしたケースでは専門医の診断が必要になります。

肩こりとストレスの悪い相乗効果

肩や首の筋肉が硬くなって血流が悪化すると、ストレスを抱えることになります。
ストレスとは、「辛い」「痛い」というようなマイナスの刺激に対して、脳が身体を守るためにホルモンの分泌を活性化したり、筋肉を緊張させたりして防御態勢をとる生体反応です。

ストレス反応は、血流が悪くなった筋肉を収縮させることになるので、さらに血流が悪化して筋肉はガチガチに固まっていき、やがて激しい痛みを感じることに。
この「負のスパイラル」ともいうべきストレスとの相乗効果が、肩こりを厄介なものにしているのです。

ひどい肩こりがもたらすリスク

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ひどい肩こりは、単に肩がこる、痛いという症状だけに収まらず、人体にいろいろな悪影響を及ぼします。

肩こりに、生命維持システムにかかわる自律神経が深く関与することと、肩や首の筋肉収縮が脳への血流を悪化させてしまうことが原因。
代表的な悪影響をあげてみましょう。

仕事の意欲低下

ひどい肩こりを改善せずにいて、仕事に問題を抱えてしまうケースが少なくありません。

こりや痛みによる不快感、ストレス、脳への血流悪化によって脳機能が低下し、集中力や思考力が低下、仕事に対する意欲も低下してしまうのです。

頭がボーっとして、あくびばかり出てしまうようなときは要注意。

慢性頭痛や目の疲労

首や肩のこりが原因で起こる頭痛は2種類あります。
ひとつは、くびや肩のこりによって後頭部の神経が引っ張られて刺激され、痛みを感じるもの。
このケースでは後頭部の頭痛が多く、めまいをともなうこともあります。

もうひとつの頭痛は、自律神経が乱れて痛みに敏感になり、ちょっとした環境の変化や刺激によって起きるもの。
炎症が原因ではないので、鎮痛剤が効きづらいという特徴があります。

後頭部の神経が引っ張られることによって、脳幹の前庭神経が刺激されて目が疲れやすくなり、頭痛と同じように自律神経の乱れによって目が痛くなることも。
首から頭部にかけてつながる神経が刺激され、目と深い関係にある三叉神経にその刺激が伝わった場合も目が痛くなります。

自律神経失調症やうつ病

ストレス反応が起こると、自律神経のバランスが崩れます。

自律神経とは、心拍、呼吸、血圧、体温、消化吸収といった生命維持にかかわる身体機能をコントロールしている神経で、活動モードをつくる交感神経とリラックスモードをつくる副交感神経が、常に6対4程度の割合で働いており、どちらかが優位になるようになっています。

通常、昼間は主に交感神経、夜は副交感神経を優位にしている時間が多いのですが、ストレス反応が起こると交感神経が優位になって、身体は防御態勢、臨戦態勢をとり続けるようになります。
その状態が続けば疲労が激しくなり、さらにバランスを崩すと酷い血流悪化にともなう身体的な諸症状だけでなく、自律神経失調症やうつ病といった精神面の病気を発症する原因になります。

睡眠障害

自律神経の乱れは、自律神経失調症やうつ病の前段階として、睡眠障害を引き起こすことが多々あります。

これは、ストレス反応で交感神経の優位が続くと、神経伝達物質の一種で精神を安定させる働きがあるセロトニンの分泌を悪くしてしまうことが原因。

人体の体内時計は、朝起きてから14時間後にメラトニンという睡眠を誘発するホルモンを分泌するようにセットされているのですが、このメラトニンの材料になるのがセロトニン。
夜、睡眠の質を上げたかったら、昼間にセロトニンの分泌を増やしておくことが重要なのです。

ひどい肩こりに効く症状別マッサージ

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ひどい肩こりを解消するためには、自分の肩こりの原因がどの筋肉にあるのか知ることが重要です。

問題部位のチェック方法と、対処するマッサージ法を5つ紹介しましょう。
マッサージは、もみほぐすのではなくて、筋肉に溜まってしまった老廃物を押し流すイメージで行うのがポイントです。

① 腕を横に上げると肩が痛い

壁に背中をつけて立ち、後頭部、肩、腰、かかとの4点が壁に接するようにします。
その姿勢で片方の腕を横に上げていき、痛みを感じるかどうかチェックしてください。

水平を0度として、60度まで上がれば問題はなし、45度から60度までしか上がらない人は肩甲骨の動きが悪くなっており、45度まで上がらない人は肩甲骨まわりの筋肉が固まっています。

このチェックで痛みを感じる人は、肩甲骨の上部で肩から背中にかけてある棘上筋(きょくじょうきん)が硬くなっています。
棘上筋は、腕を上げるすべての動作に関係する筋肉。
マッサージの方法は、腕を真横に上げて壁に手をつけ、反対の手で首のつけ根から腕のつけ根にかけて強くさすり、老廃物を押し流します。
                   
② 脇を締めて腕を左右に動かすと肩が痛い

脇を締めた姿勢で、片腕のヒジから先を外に回して肩の前側が痛ければ肩甲骨の前面にある肩甲下筋(けんこうかきん)、内に回して肩の後ろが痛ければ肩甲骨の後面にある棘下筋(きょくかきん)が硬くなっています。

肩甲下筋のマッサージは、痛くなる姿勢のまま、反対の手で肩から下に向けて押し流し。
棘下筋のマッサージは、上げた腕の手を反対の脇の下あたりにつけて、反対の手で肩の後方から下に向けて押し流します。

③ ヒジを上げて腕を回すと肩が痛い

ヒジを横に水平まで上げた状態でヒジから先の腕を後ろに回すと痛みがある場合は、前項と同様に肩甲下筋、前に回して痛みがある場合は前項同様の棘下筋と、その下にある小円筋が硬くなっています。

肩甲下筋のマッサージは、ヒジを上げて後ろに回して痛いところで止め、肩甲下筋を伸ばしながら反対の手で鎖骨あたりから下方向に押し流します。

棘下筋と小円筋のマッサージは、ヒジを上げてその先の腕を前に回し、痛みを感じるところで止めたら、肩の後方を上から下に押し流します。

④ 頭を下げて左右に動かすと首が痛い

この動作で痛みを感じる人は、首のつけ根から背中全体を覆っている僧帽筋が硬くなっています。

首から肩にかけての僧帽筋上部は、反対の手で首から肩にかけて押し流し。
両側の肩甲骨の内側から、背骨の両側にかけて広がる僧帽筋中部・下部は、自分の手では届きませんから、誰かに頼んでやってもらいましょう。

首を下に曲げ、左右どちらかに倒して筋肉を伸ばした状態で、内側から外に押し流すのがポイントです。

⑤ 頭を左右に振ると首が痛い

この動作で痛みを感じる人は、後頭部の左右から左右の肩甲骨にかけて伸びる肩甲挙筋(けんこうきょきん)が硬くなっています。

マッサージ法は、下を向いて両側の肩甲挙筋を伸ばし、首の後ろを上から下へ押し流します。
首と肩甲骨をつないでいる肩甲挙筋をしっかりと意識して行いましょう。

肩甲骨はがしストレッチ

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肩甲骨は、腕を自由に動かせるよう、身体から浮いた構造になっています。
上半身から離れた両腕の支点をいくつもの筋肉がつないでいるわけです。

重い腕のベアリングとなっているのですから、肩甲骨まわりの筋肉には朝から晩まで負担がかかっている状態。
酷い肩こりを解消するには最重要ポイントなのです。

「肩甲骨はがし」と呼ばれるストレッチは次の手順で行います。

① 両ヒジを肩より高く上げて、両手は鎖骨の前あたりで軽く握っておきます。

② 背中で左右の肩甲骨を寄せるように、5秒くらいかけて両ヒジを後方に引きます。

③ 肩甲骨を背中からはがすイメージで、両ヒジを下げていき、手が身体のわきまできたら力を抜きます。

両ヒジを後ろに引くときは上から回すようにすること、肩甲骨を寄せてから、背中の筋肉を絞り込むように意識するようにしてください。

最初はあまり力を入れずに5回ほど繰り返し、慣れてきたら徐々に力を入れていき、回数も増やすと効果的です。

ひどい肩こりに効くエクササイズ

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ここでは、仕事中でもオフィスでできるエクササイズを紹介します。
デスクワークは30分間続けると首や肩まわりの筋肉が固まってくるのですから、少なくとも15分に1回は実践したいエクササイズです。

① 座り直してアゴを引く

同じ姿勢を続けることが一番の原因ですから、15分に1回は座り直す習慣をつくりましょう。
しばらくイスに座っていると、背骨がだらんと曲がった「仙骨座位」と呼ばれる姿勢になりがちなので、背骨のS字カーブを戻して垂直に重心が落ちる「坐骨座位」に座り直すのです。

力をいれて無理に上半身を立てるのはなくて、骨盤の上に背骨を積み上げるようなイメージでリラックスすることが大事。

さらに片手を軽く握って人差し指をアゴに当て、10秒間アゴを押してやると姿勢を正すことができます。

② オフィスチェアエクササイズ

最近は、バランスボールに腰かけてデスクワークをする人が増えているといいます。
ボールは不安定なので、身体を動かし続けることに意味があるわけです。

キャスターがついているオフィスチェアを使用している人であったら、この原理を応用したエクササイズが可能です。

両足をしっかり床につけてイスを左右や前後に動かし、骨盤から首にかけての骨をほぐすように動かしてください。
この動作によって上半身の筋肉が動き、固まるのを防ぎます。
キャスターの動きが悪かったら、両手をデスクについて行ってもいいでしょう。

③ 立って歩く

仕事中に立って歩くだけ。
これは簡単すぎて、エクササイズと呼んでいいものかという指摘があるかもしれません。

仕事を中断して歩くことは、筋肉の血流を改善するだけでなく、気分転換やリラックスをもたらして交感神経を整える効果があります。

とにかく、デスクワーカーは座り続けないことが大事。
トイレに行くもよし、休憩ルームに行くもよし、いろいろな部署を訪問するもよし。
何かと理由をつけて歩くようにしましょう。

不審に思った社内の人から訳を聞かれたら、ここで得た知識をそのまま説明すればいいでしょう。

自律神経を整えるポイント

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ここでは、ひどい肩こりと深い関係にある「自律神経」を整えるポイントを2つ紹介します。
ストレスケアにも大変有効なので、ぜひ実践してください。

リラックスして副交感神経を活性化

肩こりやストレスでたかぶった交感神経を鎮めるためには、副交感神経を活性化する必要があります。

自律神経は意識して調節できるものではありませんが、リラックスすることによって副交感神経を優位にすることが可能です。

ひどい肩こりの対処法として、リラックスできる場所やアイテムなどを日頃からいくつか用意しておきましょう。
休憩時間に歩くだけでなく、緑のある公園などに行って鳥のさえずりや小川のせせらぎ、木漏れ日といった「ゆらぎ」と接する時間をもつのもいいですね。

昼休みは15分前にデスクへ戻り、プチ昼寝やプチ瞑想を行うのも効果的。
その際はコーヒーを飲んでから行うと、ちょうど終える頃にカフェインが効いてきます。

快の刺激でストレスを軽減

ひどい肩こりを解消するために副交感神経を活性化する方法には、もっと簡単なものもあります。
これはストレスケアの基本とされる方法。

ストレス反応には原因となるマイナスの刺激があります。
ストレスを忘れることができればいいのですが、忘れようとすれば原因となっているマイナスの刺激や嫌な感情を思い出すことになるので、さらにストレスを生むことに。

マイナス感情を忘れる唯一の方法が、自分にとって「心地よい」「楽しい」「うれしい」「美味しい」といったプラスの刺激を得ること。
夢中になったり、没頭したりすると、脳はほかのことを忘れてしまうのです。
こうした「快」の刺激は、積極的に増やすことが可能です。

まとめ

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6項目に分けて、ひどい肩こりを解消するための知恵を紹介してきました。
最後に紹介する秘訣は、早めのケアとこまめな休憩。
自分の症状を理解して、的確なケアを行うことができれば、長年悩んできた肩こりも必ず改善されるはずです。

ここで紹介してきた知恵は、肩こりで悩んでいないデスクワーカーにも有益な情報です。
なぜかといえば、肩こりは予防することが重要だからです。
日頃からケアができていれば、辛い肩こりで悩むこともなく、仕事の効率もアップすることでしょう。

【参考資料】
・『肩・首・腰・頭 デスクワーカーの痛み全部とれる 医師が教える最強メソッド』 遠藤健司 著  かんき出版 2020年
・『肩こり、腰痛、楽になる~ スキマ体操大全』 金森昇平 著  KADOKAWA 2020年

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