仕事のストレスを理解する3つのポイント-原因から解消法まで

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shutterstock_374136763仕事のストレスを抱えていないという人は少ないでしょう。

仕事の内容、人間関係、疲労感など、仕事をしていれば業種にかかわらずストレスの要因が存在します。

英語の「stress」には精神的な重圧という意味がありますけども、本来は物理的な圧力に対する反発力を意味する言葉でした。
そこから、外的な要因によって体内で起こる反発を「ストレス」と呼んだわけです。

仕事には、この「外的な要因」が多いということなのですが、仕事道具のように会社に置いて帰ることはできませんから、家庭に持ち込むなといってもムリですよね。
ストレスの原因になる人間がいたとして、会社から退社しても「また明日会わなければいけない」という思いが、またストレスになっていくのです。

仕事で抱えたストレスは生活すべてに影響を及ぼして、過剰になれば心と身体の病気を引き起こすのですから、企業や学校もストレスと向き合わざるを得なくなりました。
ここでは、そうした仕事のストレスのしくみや解消法を解説します。

目次

1. 仕事のストレスを知る
1-1. ストレスのしくみ
1-2. ストレス社会の現状
1-3. 4種類のストレッサー
2. 職場におけるストレスケア
2-1. ストレスチェックの概要
2-2. 仕事のストレス判定図とは?
3. 仕事のストレス解消法
3-1. 五感に与える刺激
3-1-1. 視覚
3-1-2. 聴覚
3-1-3. 嗅覚
3-1-4. 味覚
3-1-5. 触覚
3-2. すぐにできる!仕事のストレス発散方法
まとめ

1. 仕事のストレスを知る

shutterstock_195147371前半では仕事のストレスを知るために、ストレスの原因やしくみ、仕事でストレスを抱えやすくなった現代社会の実情、企業で行われているストレスチェックの概要を解説します。

 

 

1-1. ストレスのしくみ

ストレスは、外的な要因から脳が自分を守るために行う防御反応です。

人間は「視覚」「聴覚」「嗅覚」「味覚」「触覚」という五感から、いろいろな情報を得ながら生きていますよね。
五感で受けた刺激は、電気信号として神経細胞を伝わり、脳まで届くと五感の種類によって決まった部位で情報として認識され、扁桃体というところで記憶と照らし合わせた結果、「好きか嫌いか」「心地よいかよくないか」「楽しいかつまらないか」といった二択が行われて、様々な感情が生まれます。

ここで、「嫌い」「気持ち悪い」「辛い」「つまらない」「痛い」「不味い」といったマイナスの感情がわくと、脳は外的な危機から自分を守ろうとして「臨戦態勢をとれ」という指令を全身に送ります。

具体的には、心拍や呼吸を増やして酸素を多く体内に取り込み、血圧を上昇させ、遠くのものがよく見えるように瞳孔は開き、筋肉を緊張させて瞬発的な動きに備えるのです。
いろいろな器官に、身体機能を調節するホルモンを分泌させろという指令も忘れません。

この状態が長く続くと疲労感を覚え、いろいろな身体機能に支障をきたします。
筋肉は血流悪化を起こして老廃物が溜まり、体内で酸素を多く使うので活性酸素が増えてしまい、身体機能も脳の機能も低下。
こんな状態が長期間続けば、病気になってしまうことは、容易に想像できますよね。
これがストレスの正体なのです。

1-2. ストレス社会の現状

社内社外にかかわらず仕事をしていると、マイナスの感情がわく原因となる外的刺激がたくさんありますよね。
この、ストレスの原因になる外的刺激を「ストレッサー」と呼びます。

現代は「ストレス社会」といわれるほどストレッサーが多くなっており、仕事をしていて遭遇するマイナスの感情や疲労感を覚えるストレッサーは、朝の通勤から帰宅するまであふれているといっても過言ではありません。

そうしたストレッサーの中でも、とくに大きな影響を及ぼしているのが、スマートフォンやパソコンなどのデジタル機器。
こうしたデジタル機器は、まず、視覚から情報を得る時点で脳に大きなストレスを与えます。

人間が何かに集中したり、作業を続けるときは、自律神経の交感神経が優位になっています。
心拍、呼吸、血圧、体温、消化機能といった生命維持に欠かせない身体機能をコントロールしている自律神経は、活動モードをつくる交感神経とリラックスモードをつくる副交感神経が、常に6:4程度の割合で働き、どちらかが優位になるようになっています。

交感神経は、全身が臨戦態勢をとるストレス反応でも高まり、このとき眼球は遠くの危険をいち早く察知できるように、瞳孔を開くのです。
これは人間が狩りをして生きていた時代の名残だといわれているのですが、スマホやパソコンのモニターを見ながら仕事をすると、交感神経が高まっているのに目は瞳孔を閉じて近くのものを見続けるので、自律神経中枢が混乱し、これが疲労感を引き起こすと考えられています。

1-3. 4種類のストレッサー

ストレスの原因となるストレッサーは、次の4つに分類されます。
五感で受ける刺激がもとになっていることに違いはありませんが、リアルタイムではなくても記憶していた刺激によってストレス反応を起こす場合もあります。

① 物理的ストレッサー
気温や室温、照明の明るさや騒音といった物理的な刺激によるもの

② 生物学的ストレッサー
細菌やウイルス、睡眠不足、空腹といった生物学的要因によるもの

③ 化学的ストレッサー
有毒な物質や排気ガスといった化学的な要因によるもの

④ 心理社会学的ストレッサー
人間関係や様々な人生における出来事によるもの

2. 職場におけるストレスケア

shutterstock_5782548732015年12月から労働者が50人以上の事業所に「ストレスチェック」が義務付けられましたよね。

厚生労働省が2012年に行った調査では、メンタルヘルス不調者が最近3年間で「増加傾向」「横ばい」と回答した企業の割合が90%を超えました。

そこで、企業における心の健康問題対策が急務と考えた厚生労働省は2006年に発表した「労働者の心の健康の保持増進のための指針」を2015年に改正、通称「メンタルヘルスの指針」と呼ばれる指針を示し、ストレスチェックを義務化したのです。

2-1. ストレスチェックの概要

事業所で行われているストレスチェックは、労働者に質問票を配って記入してもらい、医師や、補助をする実施事務従事者が回収、その人間のストレスの程度を評価するものです。

使用する質問票は「ストレスの原因に関する質問項目」「ストレスによる心身の自覚症状に関する質問項目」「労働者に対する周囲のサポートに関する質問項目」が含まれていればとくに指定はありませんが、国が推奨する57項目の「職業性ストレス簡易調査票」を使用する事業者がほとんどです。

評価の結果、高ストレスか否か、医師の面接指導が必要か否かが、実施者から本人に直接通知されます。
企業がその結果を入手するためには、本人の同意が必要。
結果を記入したシートは、以下の事項を必ず通知するものと決められています。

① 個人のストレスプロフィール(個人ごとのストレスの特徴や傾向を数値、図表等で示したもの。次の 3 つの項目ごとの点数を含むことが必要)
・職場における当該労働者の心理的な負担の原因に関する項目
・当該労働者の心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目
・職場における他の労働者による当該労働者への支援に関する項目
② ストレスの程度(高ストレスに該当するかどうかを示した評価結果)
③ 面接指導の対象者か否かの判定結果

さらに、「セルフケアのためのアドバイス」「事業者への面接指導の申出方法」なども通知することが望ましいとされています。

2-2. 仕事のストレス判定図 とは?

「仕事のストレス判定図」は、1995~1999年に労働省(当時)「作業関連疾患の予防に関する研究」によって開発された、仕事のストレスが職場やグループなどに与えている影響を判定するシートです。

ストレスチェックの結果から仕事上のストレッサーを評価し、従業員のストレス反応や健康リスクにどの程度影響を与えているかを判定するための方法として、厚生労働省は「ストレスチェック制度実施マニュアル」で、ストレスチェック後に集団分析を行って職場環境の改善につなげることを推奨しています。

仕事のストレス判定図は、仕事の量的負担と仕事のコントロールに点数をつけてグラフ化し、健康リスクとして表した「量-コントロール 判定図」と、同僚の支援と上司の支援に点数をつけてストレス度を表す「職場の支援判定図」の2つから構成されます、

* ダウンロード資料
http://www.arnet.co.jp/top/wp-content/uploads/2015/08/stress_sample0.pdf

3. 仕事のストレス解消法

shutterstock_459175588仕事のストレスを解消するためのセルフケアは、五感にプラス感情がわく刺激を与えることと、副交感神経を高めることがポイントとなります。

リラックスモードをつくる副交感神経は、リラックスすることによって高めることが可能。
五感に与える刺激と、仕事中にストレスを発散できる方法を具体的に解説しましょう。

3-1. 五感に与える刺激

マイナスの感情を誘発する外的刺激は、自分の意思とは関係なく降り注ぐものですから、消したりなくしたりできるものではありません。
そうかといって忘れようとすれば、原因になっているストレッサーを思い出すことになるので、余計にストレスを重ねてしまうことに。

セルフストレスケアの秘訣は、積極的にプラスの感情がわく刺激を自分に与えることです。
「心地よいこと」「楽しいこと」「没頭すること」がプラスの三大感情。
こうしたプラスの感情がわくと、脳はその間、マイナスの感情を忘れてしまうのでストレスを軽減することができるのです。

五感それぞれで感じることができるプラス刺激を解説します。
多くの外的刺激は、五感のいくつかが連携して得られるものですから、あくまでも中心的な要素と考えてください。

3-1-1. 視覚

プラスの感情がわく視覚的な刺激といえば、きれいな景色や、壮大な自然などが考えられます。
景色を見て感動すると、嫌なことや悩んでいたことを忘れてしまいますよね。

プラスの三大感情がわく視覚情報には、「好きな人の顔を見る」「かわいい動物を見る」「絵画や写真を見る」「建築物を見る」といったこともあるでしょう。
疲れたときに、恋人や家族の写真を見てリラックスする人も多いのではないでしょうか。

今は写真や絵をもち歩かなくても、画像データをスマホに入れておけばいいのですから、日頃から気持ちが晴れる景色や、癒しになる画像があったら、カメラで撮影しておきましょう。

3-1-2. 聴覚

聴覚のプラス刺激で代表的なものは音楽ですね。
これも、スマホにデータを入れておくか、ストリーミングやYouTubeのリンク先を登録しておけばいつでもどこでもストレスケアができます。

どんな音楽がプラス刺激になるかということには個人差がありますが、ストレスが重なって神経がたかぶっているようなときには、いきなりスローテンポの音楽を聴くよりも、アップテンポから徐々にテンポダウンしていくと効果的。

リラックスしたいときに効く、テンポダウンしていく30分間のアルバムなどをつくっておくといいですね。

小川のせせらぎや小鳥のさえずり、波音など、不規則なくり返しは「ゆらぎ」と呼ばれるもので、こうした音がある場所に行くのもいいですし、音源データとしてもっておくのもストレスケアには有効です。

3-1-3. 嗅覚

嗅覚は、脳に電気信号として情報が伝わると、ほかの感覚のようにどこかの部位で情報化されて伝わるのではなくて、ダイレクトに認識されるので、実はストレスケアにはとても効果的なのです。

代表的な刺激には、アロマオイルやお香などがありますよね。
アロマオイルは、使用しているハーブによって効能や効果が違いますから、好きな香りのものをいくつか用意して、その時々の状態に応じて使用するのがいいでしょう。

最近、注目されているのが、フィトンチッドと呼ばれる緑の香り。
森林浴などができないときに、もっとも簡単な方法は、道端に生えている葉っぱをちぎってクシャクシャと揉んで匂いをかぐことです。

また、香水やオーデコロン、化粧品などの香りは記憶に残りやすいので、普段は使用しなくても、よい思い出のあるものをリラックスしたいときに使ってみるのもいいですね。

さらに、味覚と一体化したプラス刺激として、うなぎ屋や焼き鳥屋から流れてくる香ばしい匂いなんていうのも、いい刺激かもしれません。

3-1-4. 味覚

これはもう、「美味しいものを食べる、飲む」ということですね。
美味しいものを食べてストレスを忘れた経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。

好きな食べ物や飲み物は多い方がいいし、特別に好きなものを意識しているのも大事なことです。
どんなに疲れていても、これを食べれば元気になるとか、落ち込んでいるときにこれを食べるとやさしい気持ちになれる、というような食べ物があるといいですよね。

ガムは、味覚を楽しむと同時に、噛み続けることによって、神経細胞間で信号を伝える神経伝達物質が増え、リラックスと脳の活性化をもたらすことが知られています。

3-1-5. 触覚

触覚とは、手で触った感触だけでなく、全身の皮膚で感じるものも含まれます。
ですから、心地よいアンダーウェアを身につけたり、歩くのが楽なシューズなども、ストレスケアアイテムになります。

手で触ってリラックスできるものには、フワフワ、モコモコの動物や、ぬいぐるみなどがありますよね。
最近は、感触がやみつきになるという玩具や、触っていると落ち着くといく卵型のグッズも販売されています。

粘土細工や陶芸などで、土の感触を楽しむ人もいるでしょう。

3-2. すぐにできる!仕事のストレス発散方法

仕事のストレス発散方法として、ここまでに解説してきた五感で得られるプラス刺激の具体的な利用方法のいくつかを紹介しましょう。

① デスクワーク中に遠くのものを見る
パソコン仕事が続く人は、ちょこちょこと遠くにあるものを見て、自律神経中枢が混乱することや眼精疲労を予防しましょう。
外の景色を見なくても、5~10メートル離れたところに焦点を合わせるだけで効果あり。
水晶体(レンズ)の調節機能を鍛える効果も望めます。

② 休憩は緑のあるところへ行く
休憩は席を立って歩くことで、血流の改善が図れます。
さらに外に出て、緑のあるところへ行けば、フィトンチッドがリラックスさせてくれるでしょう。
公園がなければ、街路樹や、ビル敷地内の樹木の下に行くだけでも、木は癒してくれます。

③ 引き出しにストレスケアアイテムを入れておく
ストレスを忘れるために、チョコレートや甘いもの、フワフワ玩具、コロンなどをデスクの引き出しに入れておくのもいいですね。

「飽きる」というのは疲労の第一段階であるサインですから、作業に飽きたら、ちょっと休憩をとってそういったアイテムを利用しましょう。

④ 特別なお店をつくっておく

ちょっと高いけど気分が上がる特別なランチの店、疲れたときに退社してから寄る特別な和食店などをつくっておくと、ストレスケアに役立ちます。

気心が知れた居酒屋や定食屋はいいものですが、特別感や優越感を味わえる店は「非日常」であることが大事。
ちょっとした贅沢が、仕事のストレスを癒してくれることでしょう。

⑤ 昼休みのプチ瞑想とプチ昼寝

仕事のストレスが溜まっているときは、昼休みのランチを終えた後半の20分をストレスケアに使いましょう。
20分後くらいにカフェインが効いてくるコーヒーやお茶を飲み、軽いストレッチで身体をほぐしておくのがポイント。

静かな休憩室かデスクに座ったまま、マインドフルネスで注目された瞑想をします。
プチ瞑想で十分効果がありますから、本格的に考えることはありません。
目を閉じて、意識をゆっくりとした呼吸に集中させるだけで落ち着きます。

もっと簡単な15分間のプチ昼寝も、ストレスケアにはとても効果的。
15分以上眠ってしまうと午後の仕事や夜の睡眠に差し支えるので、カフェインが効くまでの間に限定しましょう。

まとめ

shutterstock_570768379人間にはストレス対処のために、「跳ね返す」「逃がす」「抜く」という3つのメカニズムが備わっているといわれます。

「跳ね返す」は、つらい状況を我慢しながらストレスを解消しようと努力することですから限界があり、続けていればいつか心が折れてしまいます。

「逃がす」というのは、物事の考え方や受け取り方を変えて、発想を転換するメカニズム。
これができる人は、余計なストレスを抱えなくて済みます。
「抜く」というのは、ストレスを発散させることで、ここで解説したように、プラス感情が起こる刺激を自分に与えること。

仕事のストレスも、この3つのメカニズムがバランスよく働くことによって軽減されるのです。

【参考資料】
・『精神科産業医が明かす 職場のメンタルヘルスの正しい知識』3訂版  吉野聡、梅田忠敬 著  日本法令 2018年
・『やりたいことを全部やってみる ストレスフリーな生き方を叶える方法』 米山彩香 著  総合法令出版 2019年

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