15分で理解する脳卒中の種類と症状-前兆を見逃さないポイント

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shutterstock_668057440脳卒中の予兆がわかったら、問題を抱えている人も少しは安心ですよね?
脳卒中とは、脳内の血管トラブルで起きる病気の総称ですが、どれも知らない間に進行するから怖いのです。

脳の血管が詰まって起こるものに「脳梗塞」があり、脳の血管が破れて起こるものに「脳出血」と「くも膜下出血」があります。

脳は生命維持に必要とされる様々な身体機能を調節したり、五感で受けた刺激から感情を生み出したり、ある部位を動かしたりといった身体のあらゆる機能の司令塔となっており、その役割を担っているのが脳の神経細胞。
脳卒中によって一部の神経細胞に障害が起こるので、記憶障害や、身体のある部位が動かないといった症状が現れるのです。

かつて脳卒中は、日本で死因の第1位を占めていましたが、医療の進歩によって現在は第4位となっています。
しかし発症者の数は、高齢化や食生活の変化によって増え続けているのが現状。

脳卒中を発症すれば、命は助かったとしても後遺症が残って看護や介護を続けなければいけなくなることが多く、治療を継続しても症状の改善が見込めない「症状固定」となるケースも少なくありません。

ここでは、脳卒中の種類別に予兆と症状の現れ方を簡単に解説します。
予防や症状チェックのために、正しい知識を身につけてください。

目次

1. 脳梗塞の予兆と症状
1-1. 脳梗塞の予兆
1-2. 太い血管の動脈硬化で起こるアテローム血栓性脳梗塞
1-3. 細い血管の動脈硬化で起こるラクナ梗塞
1-4. 心臓でできた血栓が原因の心原性脳塞栓症

2. 脳出血の予兆と症状
2-1. 脳出血の予兆
2-2. 全体の40%を占める被殻出血
2-3. 死亡率が高い視床出血
2-4. 比較的症状が軽い皮質下出血
2-5. 致命的になりやすい脳幹出血
2-6. まっすぐに歩けなくなる小脳出血

3. くも膜下出血の予兆と症状
3-1. くも膜下出血の予兆
3-2. 頭痛
3-3. 悪心や嘔吐
3-4. 意識障害
3-5. 項部硬直

まとめ

1. 脳梗塞の予兆と症状

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脳卒中の約75%を占める脳梗塞は、いろいろな原因で脳の動脈が詰まってしまう病気。
血液の流れが止まると、その先には酸素や栄養素が届けられなくなるので、神経細胞が壊死して症状が現れます。

1-1. 脳梗塞の予兆

脳梗塞を起こす患者の約3割は、「TIA(一過性脳虚血発作)」と呼ばれる前ぶれの発作を起こしています。

これは、一時的に脳梗塞のような症状が現れるもので、24時間以内に消えてしまうのが特徴。
実際には、短いものではほんの数分、多くは30分程度で消えてしまい、何の後遺症も残しません。
ですから多くは、「疲れているからだ」「気のせいかもしれない」などと放置してしまうのですが、「脳梗塞の危機が迫っている」という見逃してはいけない警告なのです。

TIAの主な症状には次のようなものがあり、こうした症状が現れたら専門医を受診すれば、早期治療を行うことが可能です。

・食事中に箸を落とす、半身に力が入らないといった「運動障害」
・半身がしびれる、感覚が鈍くなるといった「感覚障害」
・ものが二重に見える、片側が見えないといった「視覚障害」
・言葉が出ない、舌がもつれるといった「言語障害」
・ふらついたり、めまいがしたりする「バランス感覚の麻痺」

1-2. 太い血管の動脈硬化で起こるアテローム血栓性脳梗塞

脳で比較的太い動脈が詰まるアテローム血栓性脳梗塞は、脳の組織が広い範囲にわたって障害されます。

糖尿病、高血圧、脂質異常症といった生活習慣が危険因子となり、「アテローム硬化」という動脈硬化が原因をつくります。
アテロームとは、血液中の余分なコレステロールなどが血管壁にたまってできた固まり。
アテロームを覆う膜が破れると、補修のために血小板が集まり、これが血栓をつくります。

もっとも多いのは頸動脈(首部分)の動脈硬化で、片側の手足や顔面麻痺が現れます。
中大脳動脈で起これば、上記の症状に加えて皮膚感覚の麻痺、言語障害、意識障害などが 現れるというように、動脈硬化を起こす場所によって症状が変わります。

1-3. 細い血管の動脈硬化で起こるラクナ梗塞

shutterstock_594606647「ラクナ」とはラテン語で「小さい孔(あな)」という意味。
脳の太い血管から枝分かれした細い血管で起こる梗塞が、ラクナ梗塞です。
一般的には、脳の奥深くにできた直径1.5cm未満の梗塞を指します。

高血圧が続いて動脈硬化を起こすことが最大の危険因子で、かつて日本では圧倒的に多い脳梗塞でした。
梗塞が小さいために症状が現れない「無症状性脳梗塞」となる場合もあり、比較的軽症で済むケースもあります。

しかし、知らない間に何カ所もラクナ梗塞ができて、認知症や言語障害、歩行障害などの症状が現れるケースもあるので、軽視することはできません。

1-4. 心臓でできた血栓が原因の心原性脳塞栓症

脳以外でできた血栓が血液で運ばれて脳の動脈を詰まらせるのが「脳塞栓症」で、そのほとんどは心臓でできた血栓が原因となる心原性脳塞栓症です。

不整脈の一種である心房細動が最大の危険因子となり、太い血管で起こりやすいので脳の広範囲にわたって障害を発生させ、脳梗塞の中で死亡率がもっとも高くなります。

心原性脳塞栓症の多くは、日中に突然発症し、手足の運動麻痺や感覚障害、意識障害などが一気に現れて、発症時にもっとも症状が重いという特徴があります。

2. 脳出血の予兆と症状

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動脈硬化で硬くもろくなった血管壁に高い圧力がかかることにより、血管壁が破れて起こるのが脳出血。

主に脳の細い動脈で起こり、流れ出た血液が固まって血腫になると脳の組織が圧迫されます。

2-1. 脳出血の予兆

脳出血のほとんどは、前ぶれなしに、ある日突然発症します。
頭痛や目が見えにくいといった予兆が現れることも、稀にあります。

高血圧のコントロールができていなかった、かつての日本では、脳卒中といえば脳出血を意味するほど多かったのですが、現在は脳梗塞の方が増えました。

しかし高血圧の人にとって、予兆もなしに発症する脳出血が怖い病気であることに変わりはありません。
血圧管理と、血圧上昇を招くような寒さや温度変化を避けることが大切です。

脳出血は、出血部位で症状が異なるという特徴があり、発症が多い順に「被殻出血」「視床出血」「皮質下出血」「小脳出血」「脳幹出血」となっています。

2-2. 全体の40%を占める被殻出血

大脳の中にある「被殻」という部位で出血する被殻出血を起こすと、多くの場合、頭痛がして意識が薄れる症状が現れるものの、比較的軽症で済みます。
運動神経繊維が集まっている部位にまで出血が及ぶと、症状が重くなり、出血部位の反対側に麻痺や感覚障害が生じます。

しかし、死亡率は高くありません。

2-3. 死亡率が高い視床出血

大脳の中心部にあって嗅覚以外のすべての感覚を中継する「視床」で起こる出血が視床出血で、全体の約30%を占めます。

これも視床だけで出血が収まれば、しびれを感じる程度の症状ですが、血腫が広がりやすいのが特徴で、運動神経線維が集まっている部位にまで出血が及ぶと症状が重くなり、近い場所にある脳室で脳室内出血を起こせば死亡率が非常に高くなります。

命が助かった場合でも、意識障害、しびれや痛み、片側の麻痺といった後遺症が残るケースが多くなります。

2-4. 比較的症状が軽い皮質下出血

大脳半球の表面を覆っている「大脳皮質」のすぐ下で起こる皮質下出血は、全体の10~20%を占めています。
頭頂葉、後頭葉、前頭葉などの皮質下で出血することが多く、出血部位によって症状が異なります。

痙攣(けいれん)を起こすことがあり、出血部位によって現れる症状は、片側の麻痺など運動障害、言語障害、視野の半分が失われるといった視野障害など。

ほかの脳出血と比べて、比較的症状が軽くて、予後も重症にならないケースが多いという特徴があります。

2-5. 致命的になりやすい脳幹出血

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中枢神経系の重要な部位が集中する「脳幹」で起こる脳幹出血は、部位の名称から「橋(きょう)出血」とも呼ばれ、全体の5~10%程度を占めます。

脳幹にある橋には生命維持に欠かせない機能が集中しているので、致命的になるケースが多く、発作を起こして数分のうちに昏睡状態となり、数時間後には死亡することも少なくありません。

現れる症状は意識障害、呼吸障害、四肢麻痺、両目が一方に偏ったり鼻を見つめたりする眼球運動障害などで、すぐに昏睡状態となればそれだけ生命の危険が高まります。

2-6. まっすぐに歩けなくなる小脳出血

脳幹の後方にあって知覚と運動機能を統合し、手足のバランスや平衡感覚を司っている「小脳」で起こる小脳出血は、全体の5~10%程度を占め、血腫が大きいと脳幹を圧迫することがあります。

突然の激しい頭痛、めまい、嘔吐、意識障害といった症状が現れ、まっすぐに立っていられない、フラフラして歩けないといった起立障害、歩行障害なども現れます。
片側麻痺は起きないのが特徴。

血腫が脳幹を圧迫すると、生命の危険が高まります。

3. くも膜下出血の予兆と症状

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くも膜下出血のほとんどは、脳の動脈にできたコブ(動脈瘤)が破裂して、脳を包んでいる「くも膜」の内側に出血すること。
脳動脈瘤ができる原因は、遺伝的な要因や先天的な血管の異常などが考えられ、直接的な要因は、高血圧、喫煙、過度の飲酒などが多いとされます。

発症すると3分の1が死亡し、3分の1に後遺症が残り、社会復帰できるのは残りの3分の1といわれるほど死亡率が高い病気です。

脳梗塞や脳出血は、中高年や高齢者に多く発症しますが、くも膜下出血は働き盛りの若い年代にも多いというのが特徴。
また、くも膜下出血では、脳梗塞や脳出血のような手足の麻痺、顔面麻痺、片側の麻痺、言語障害などの神経障害が起こることはあまりありません。

3-1. くも膜下出血の予兆

動脈瘤はほとんどの場合、破裂しなければ症状が現れることはありません。
しかし30~40%の人が、本格的なくも膜下出血の発作を起こす前に、前ぶれの小発作を経験します。

破裂する前の脳動脈瘤を「未破裂動脈瘤」と呼び、ここから小さな出血が起こることを「警告出血」といいます。
警告出血が起こると、今までに経験したことがないような激しい頭痛が起こり、数回にわたって繰り返されることも。
こうした突然の頭痛や、嘔吐をともなう頭痛は経過を見るまでもなく、専門医の受診が必要です。

また、出血がなくても未破裂動脈瘤が周りの脳神経を圧迫して頭痛を起こすこともあり、動脈瘤の中に血栓ができてTIAのような前ぶれが出ることもあります。

動脈瘤が破裂する前ぶれは、頭痛以外に、ものが二重に見える、片方のまぶたが開かない、視野の一部が欠けるといった症状として現れます。

3-2. 頭痛

くも膜下出血の症状で典型的なものが、「突然起こる激しい頭痛」。
「頭をハンマーでなぐられたような」と形容されるほど、経験したことのない激しい頭痛に襲われます。
何時何分何秒から始まったと記憶できるくらい、急激に始まるのが特徴です。

ところが出血の少ない場合には、それほど激しい頭痛ではないこともあるので、注意が必要。
くも膜下出血を判断する頭痛の基準は、次の4点です。

① 突然起こる頭痛であること
② 過去に経験したことがない種類の頭痛であること
③ 数日間にわたって症状が続くこと
④ 悪心、嘔吐、意識障害をともなうこと

こうした条件が重なった場合には、専門医の受診が必要です。

3-3. 悪心や嘔吐

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くも膜下出血を起こすと、とくに、嘔吐をともなうことが多くなります。
悪心とは吐き気を感じることです。
噴水状ともいわれるほどの激しい嘔吐も、よくみられる症状。

突然の頭痛と激しい嘔吐は、くも膜下出血の典型的な症状といえます。
こうした症状があったら速やかに専門医に受診して、迅速な処置を受ける必要があります。

3-4. 意識障害

くも膜下出血を起こすと、頭痛がはじまってから10分以内に意識を失うことが多く、数分から数十分で意識は回復します。

意識障害が出たら、急いで救急車などで専門施設を受診しなければいけません。
それでも3分の1の人が死亡するのです。

軽症の場合には意識がはっきりしていることもありますが、くも膜下出血のコワイところは、2度3度と出血を繰り返してしまうこと。
最初の出血で3分の1の人が死亡し、一度の再出血で2分の1の人が死亡するといわれています。
ですから、くも膜下出血が疑われる症状が現れたら、再出血を防ぐためにも速やかな受診が必要なのです。

数十分経っても意識が戻らない場合は、かなりの重症と考えられます。

3-5. 項部硬直

項部硬直も、くも膜下出血の特徴的な症状です。
「項部」とは「うなじ」のこと。

くも膜下出血を発症してから数時間経つと、項部を中心に首の付け根から肩にかけて硬くなっていきます。

仰向けになった人の後頭部に手を当てて頭部をもち上げると、正常な場合は下アゴが胸につくようになりますが、項部硬直を起こしてしてると、頭部と胸部がいっしょに上半身ごともち上がってしまいます。
手足を突っ張るようにして痙攣を起こす場合もあります。

まとめ

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ここで解説したような脳卒中の症状が現れたら、速やかに専門の医療機関を受診しなければいけません。

医療機関に到着すると、患者の意識の状態、呼吸、脈拍、血圧などをチェックし、必要な場合は応急処置を施してから検査をはじめます。
脳卒中の診断や識別の決め手になる検査は、CT検査やMRI検査などの画像検査で、とくにMRI検査は重視されています。

いかに早く脳卒中に気づき、受診するかが救命と回復のカギをにぎりますから、正しい知識をもつことが大事。
ここで紹介したのは簡単な解説にすぎませんから、予兆や心配がある人は、書籍などでさらに深い知識を身につけてください。

【参考資料】
・『脳梗塞 脳出血 くも膜下出血』 主婦の友社 編  主婦の友社 2018年
・『NHKきょうの健康 血管を守る250のQ&A事典』 主婦と生活社 2018年
・日本医科大学付属病院 サイト

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