相手にしっかりと聞いてもらえるような話し方って難しいと思いませんか?
言いたいことがうまく伝えられない。
つまらない人間だと思われたくない。
コミュケーションがうまくとれない。
話し方に関する悩みを抱える人のなんと多いことでしょう。
逆の立場になると、人の話を少し聞いただけでその人の話を聞くか聞かないかを判断してしまっている自分にも気づくことがあります。
では、今の時代、相手にしっかりと話を聞いてもらうためにはなにが必要なのでしょうか。
ここでは相手に伝わる話し方のコツを5つのシーンに分けて解説します。
目次
1. 話し方の基本|話を聞いてもらうための条件
① 人間関係を大切にする
② 相手の気持ちに心配りをする
③ 外見に気を使う
④ 話し方の問題点を改善する
⑤ 「目は口ほどにものを言う」
2. シーンが変われば話し方も変わる
2-1. シーン1-挨拶と自己紹介
⑥ 名刺や会社に頼らない自己紹介
⑦ 二度と同じ自己紹介をしない
⑧ 政治家に挨拶の基本を学ぶ
⑨ 笑顔に親しみを込める
2-2. シーン2-質問
⑩ 先入観を持たないで聞く
⑪ 根掘り葉掘り聞かない
⑫ 相手が嫌がる質問をしない
⑬ イエス・ノーを求める質問はしない
2-3. シーン3-接客
⑭ 聞き上手になる
⑮ あいづちと誉め言葉
⑯ 教えを乞う
⑰ 意見は求められてから
2-4. シーン4-プレゼンテーション
⑱ 結論を先に話す
⑲ あえてパワーポイントを使わない
⑳ 数字を入れて信頼性を増す
㉑ 論理よりも物語とエピソード
2-5. シーン5-交渉
㉒ 押すのではなく引く
㉓ ポジティブなひと言から始める
㉔ 相手を幸せにする
㉕ 「ありがとう」の力を忘れない
まとめ
1. 話し方の基本|話を聞いてもらうための条件
「話をきちんと聞いてもらえない」ことには、そうした現象を引き起こしている原因や理由があります。
まずは、あてはまる人が多い原因を5点ほどピックアップしてみました。シーンを限定せず、こうした基本中の基本は常に意識していなければいけませんね。
① 人間関係を大切にする
だれでも好意をもつ相手や親近感を抱く相手の話は、積極的に聞こうとします。その反面、嫌いな人や信頼をおけない人の話は、なかなか聞く耳をもとうとしません。
話をきちんと聞いてもらおうと思ったら、まずは人間関係を大切にすることがです。
そこで良好な人間関係を保つためには、日頃の努力が必要です。
● 相手を尊重して話をよく聞く
● 特別な理由がない限り、相手の嫌がることを言わない
こうした習慣を意識してみることです。
② 相手の気持ちに心配りをする
話をするときには、相手の感情や都合に心配りをしなければいけません。
「相手に話を聞いてもらう」という行為は、自分ひとりの都合だけで成立するものではありません。相手に対する心配りがあって成立します。
具体的には次のような心配りを忘れないようにしましょう。
● 相手が興味をもつ話かどうか考える
● 相手がわかりやすいように話す
③ 外見に気を使う
人間は中身が重要です。
されど、始めて会った相手の第一印象は強烈なイメージを残すものです。
服装や頭髪などの身なりは、相手に好感をもってもらうための重要なポイントになります。
さらに好感をもたれる表情や態度がともなえば、話を聞いてもらう外見が整います。
④ 話し方の問題点を改善する
話し方の基本的な5つのポイントに注意し、だめなところは改善しましょう。
● 話の脈絡を整える
●「あのー」「そのー」といった言葉癖は直す
● 専門用語などは避けてわかりやすい表現を心がける
● 小さすぎず大きすぎず、その場に合わせた声を出す
⑤ 「目は口ほどにものを言う」
「話をするときは相手の目を見て」
と言われます。
しかし、話の間中、じっと目を見続けていたのではお互いに疲れてしまいますから、ときには視線を外すことも効果的です。
●男性が女性と話す場合にはアゴのあたり、女性が男性と話す場合にはネクタイの結び目あたりに視線をおく
こうした方法は、相手と目を合わせていなくても相手の関心をそらしません。
大切なことは、視線を泳がせないことです。
2. シーンが変われば話し方も変わる
相手が変われば話し方も変わります。同様にシーンや目的が変われば、話し方も変えなければいけませんね。ここからは、話をきちんと聞いてもらうために重要なポイントをシーンごとに分類して解説します。
2-1. シーン1-挨拶と自己紹介
とくにビジネスの場においては、初対面の印象が悪いと大きな損失を招く恐れがあります。
初対面は自己紹介で始まり、2度目以降に会うときには挨拶で始まります。相手の心をつかむ自己紹介、自分のことを覚えてもらう挨拶を心がけましょう。
⑥ 名刺や会社に頼らない自己紹介はできますか?
会社の看板に頼らないで、自分は何をしている者かということをしっかり話し、自分の部署やフルネームをはっきりと伝えましょう。
ビジネスの場では、名刺交換で初対面の挨拶をすませてしまうケースが多いですよね。それでは相手の心をつかむことができません。
初対面の自己紹介は長くても1分間。多くを語る必要はありません。
⑦ 二度と同じ自己紹介をしない
いつでもどこでもワンパターンの自己紹介をしていませんか?
その場にあった自己紹介というものが必ずあります。
相手と共有する話題、相手が興味をもっている話題、時事ネタなどをうまく盛り込んで1分以内にまとめるのです。
そこで重要なのが切り出しのワンフレーズ。たんなるウケ狙いではなく、相手の関心を集めることが目的です。
⑧ 政治家に挨拶の基本を学ぶ
有権者に名前と顔を覚えてもらうために行う政治家の選挙運動には、挨拶の基本が凝縮されています。
● 挨拶の後に一言加えて親近感を与える
● 話の切り出しと終わりにフルネームをはっきり伝える
● 難しい言葉は使わず、地元のネタを盛り込む
● 記憶に残るキャッチフレーズを盛り込む
こうした事柄は一般の人間が挨拶をする際にも効果的です。
⑨ 笑顔に親しみを込める
自然な笑顔で愛嬌を示しましょう。
愛嬌とは媚びることではなく、相手に好感を抱かせる柔らかさです。
とくに初対面の相手に対する第一印象には、目線と同様に表情が大きな影響を与えます。愛嬌が滲み出ている人は、黙っていても心が豊かであることを匂わせます。
日頃から豊かな表情ができるよう心がけて、愛嬌が滲み出る人間になりましょう。
どうしても、自然な笑顔を作るのが苦手という方は、『今すぐできる笑顔のトレーニング』も参考にしてみてください。
2-2. シーン2-質問
会話は、相手とのキャッチボールができなければ成立しません。自分の話を聞いてもらうためには、まず相手の話を聞くことから始めなければいけないのです。
聞くことは相手を知るために必要なことです。さらに相手の気持ちを理解するためには、質問をすることになります。
⑩ 先入観を持たないで聞く
先入観で質問をするのはやめましょう。誰でも頭から否定的なことを決めつけられてしまうと、心を閉ざしてしまうものです。
自分の考え方が間違っていると指摘されれば、それ以上話をしたくなくなってしまいます。
⑪ 根掘り葉掘り聞かない
相手を窮地に追い込むような質問の仕方をしてはいけません。
取り調べではないのですから、自分が聞きたいことだけを繰り返して質問するのはやめましょう。いくら好奇心が旺盛でも、相手が引いてしまえば自分も困ることになります。
⑫ 相手が嫌がる質問をしない
相手が嫌な気分になるようなことは質問しないことです。誰にでも立ち入ってほしくない領域というものがあります。
冗談まじりでも相手が聞いてほしくないことには触らないのがエチケット。とくに体の特長や癖などを指摘するのはよくありません。
自分では思っていなくても、何気ない一言が相手を深く傷つけてしまうこともあります。
⑬ イエス・ノーを求める質問はしない
イエスかノーを求めるだけのクローズドクエスチョンを続けるのは避けましょう。
「○○は好きですか?」「○○をしていますか?」といった質問は、単調で会話がぎこちなくなり、冷たい印象を与えてしまいます。
「何が好きですか?」といったオープンドクエスチョンであれば、そこから会話に広がりが出ます。
自然な受け答えが進めば、緊張した空気も徐々にリラックスした雰囲気へと変わっていきます。
2-3. シーン3-接客
接客の会話は、相手がお客さんですから否定してはいけないという特性があります。
表情や言葉使いに注意しなければいけないのはもちろんですが、相手が心地よいと感じる距離感を維持することも重要です。
⑭ 聞き上手になる
話す側よりも聞く側でいることが重要だと常に意識しましょう。
良好なコミュニケーションには「聞き上手」になることが大切だと誰もがわかっていても、相手の話が続くと飽きてしまったり、疲れてしまったりして、その気持ちを維持するのは難しいものです。
聞き上手になるためには、傾聴について知ることです。
傾聴とは、相手の話をそのまま受け止めながら聞くことです。詳しくは、『コミュニケーション能力向上|素人がすぐにできる5つの方法』にまとめていますが、傾聴レベルとその特徴を把握することで今の自分の状況がわかるとともに、話を聞く能力が高まります。
⑮ 相づちと誉め言葉
相づちには誉め言葉をプラスしましょう。
お客さんの話に相づちを入れることは、「あなたの話をしっかり聞いていて要望に応えますよ」という意思表示でもあります。
しかし、ありきたりの言葉や決まり文句の繰り返しでは、思いやりの気持ちを伝えることはできません。
相づちの後には、愛情や尊敬の気持ちをこめた誉め言葉を続けると効果的です。
⑯ 教えを乞う
知らないことは素直に「教えてください」と言える人間になりましょう。
年齢を重ねたり、地位や役職が上がったりすると、なかなか「教えてください」と言いづらくなるものです。
知ったかぶりは恥ずべき事ですし、お客さんに間違った情報を与えてしまっては信用をなくしていまいます。
素直に「教えてください」と言える人は信頼されます。
⑰ 意見は求められてから
意見は相手が話を聞く体制を作ってからにしましょう。
話している最中に遮って意見をねじ込まれるのは、嫌な気分になるものです。あげ脚をとるなどというのはもってのほかです。
それではどんなに正しい事を言っていても、相手の心には届きません。
「相手に意見を求められたら話す」それくらいの心構えでちょうどいいくらいです。
2-4. シーン4-プレゼンテーション
プレゼンテーションの上手い人は、曖昧な発言をせず、難しいことをわかりやすく説明します。伝えなければいけないのは何かということが明確になっているのです。
自己アピールや言い訳などは必要ありません。余計な意見や感想が相手の気持ちを害してしまうこともあります。相手が素直に納得できる話し方が重要になります。
また、仕事のプレゼンで相手の心を動かすようなプレゼンや話し方をしたい人は『相手を動かすプレゼン構成に絶対不可欠な5つの要素』を取り入れてみてください。
なぜ、世界の一流人、エリートたちのプレゼンは人の心を魅了するのか?その共通の秘訣から要素やコツを紹介しています。
⑱ 結論を先に話す
伝え上手は結論を先に話します。
ビジネスの場ではみな時間との戦いをしており、その中でプレゼンテーションを行うのです。相手は伝えたいことは何か、結論が何かを早く知りたがっています。
そうした場ではとくにシンプルな話のほうが相手に伝わります。「あなたの話はわかりにくい」と思われたら、そこでプレゼンは失敗です。
⑲ あえてパワーポイントを使わない
プレゼンテーションといえば、パワーポイントでビジュアル的な資料を作成するのが一般的です。
わかりやすいプレゼンにはパワーポイントが欠かせないものとなっていますよね。
しかし、パワーポイントの操作に気を取られたり、ビジュアルを頼りすぎたりして思ったように話が伝わらないケースが多々あります。
パワーポイントは補助的な資料であることを忘れないでください。自分の言葉を聞き手の心に届けることが大切です。
あえてパワーポイントを使用せず、プリントしたA4用紙1枚のレジュメだけを配布して行うプレゼンが成功するケースもあります。
⑳ 数字を入れて信頼性を増す
具体的な数字を盛り込んだ話は説得力をもちます。伝え上手になるためには、できる限り具体的な例を示しましょう。
「多くの人々が」より「1億人の人々が」、「大多数のお客さまが」より「90%のお客さまが」と実例を挙げることによって話にリアリティが増します。
また、話の冒頭に「今日のポイントは3つあります」というように数字を入れることで、聞き手は話を聞く準備ができて、内容が伝わりやすくなります。
㉑ 論理よりも物語とエピソード
伝えたい話の内容によっては論理的な根拠を示すよりも、相手がかかわるエピソードを挙げたほうが説得力をもつ場合があります。相手の心に響く話は何かということを考えましょう。
2-5. シーン6-交渉
交渉は、相手の心を動かして本心から納得してもらうことが目的です。力強い言葉や理詰めの話で相手を圧倒しても、反発されてしまったら終わってしまいます。
その場で首を縦に振ってもらっても、本心から納得してもらわなければ相手の心をつかむことはできないのです。
㉒ 押すのではなく引く
交渉も、話すことより聞くことが重要なポイントとなります。
まず、相手の不満や不信感を取り除かなければいけません。相手に話をさせずプッシュプッシュでは押し売りと変わりませんね。
相手の話を全部聞いて、その人がどういうものを欲しがっているのか、望みは何なのかという情報を得ることです。
それから希望を聞いて、不安を払拭します。相手の気持ちを理解しなければ交渉は成功しません。
㉓ ポジティブなひと言から始める
人間は最初に頭に入ってきた言葉に強い印象をもちます。交渉においても、内容より最初のひと言が心を動かすケースは多いのです。
前置きなどは排除してしまい、結論をポジティブなひと言にまとめて発言を始めるようにしましょう。
明確に言い切れない内容であれば、後から「調整の必要はありますが」「まだ決定してはおりませんが」というように説明したほうが、話に説得力がありますし、信頼を得ることにもつながります。
㉔ 相手を幸せにする
明るい未来をイメージさせる言葉を伝えましょう。交渉というものは、内容がどうであれ、お互いの明るい未来のために行うものです。
相手が失敗の後で気持ちが落ち込んでいるようなときには、「頑張ってください」などと単純に励ましの言葉を並べても効果がありません。
あなたならこうなれる、こうすることができる、といった明るい未来をイメージしてもらう言葉を伝えれば、相手は前向きな考えができるようになります。
㉕ 「ありがとう」の力を忘れない
相手を好きになり、感謝の気持ちを伝える努力を怠らないことです。
人から好かれたければ、まずその人を好きになるのです。「自分に好意を寄せてくれる人間を好きになりやすい」ということは理学で証明されています。
自分から相手に歩み寄って、素直に「ありがとう」の気持ちを伝えることができる人は、相手の気持ちを和やかにすることができます。
交渉は、相手の存在に感謝するところから始めましょう。
まとめ
話し上手よりも伝え上手に。話をきちん聞いてもらうためには、「上手く話すこと」よりも、「シンプルに伝えること」が大切だとわかっていただけましたか。
コミュニケーションには、特別なテクニックや飾り立てた言葉は必要ありません。ここで解説した話し方のコツは、自分の言葉を相手に届けることができる人だったら普通にやっていることばかりです。
まずはこれらのコツをもう一度意識してみることから始めてみてください。
【参考資料】
『今日からできる上手な話し方』(中経出版・2008年)
『相手に届く「聞いてもらえる」話し方のコツ48』(実務教育出版・2015年)
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