意志力を鍛える13のヒント-やり抜くエネルギーを育てるために

メンタル

「意志」という言葉から連想するのは、どのようなことでしょう?

「意志が弱いから、タバコをやめたいのにやめられない」
「ダイエットが続かないのは意志が弱いから」
または「最後まで成し遂げたあなたは意志が強い人だ」
というように、「強い」「弱い」という測り方をすることではないでしょうか。

「意志」は、「はっきりとした自分の意向」ですから、その意向の強弱を「力」として表現した言葉が「意志力」です。

この記事で取り上げるのは、「意志力を強くする方法」。
意志は英語で“will”、“willpower”は「意思力」を意味しますから、このパワーを高める方法について解説していきます。

意志力を扱った本には、『ブッダが教える意思力の鍛え方』と、『GRIT やり抜く力』という2冊の世界的ベストセラーがあります。
主にこの2冊を参考として、13のヒントという形で意思力を高める方法をまとめてみました。

意志力を鍛える13のヒント

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願っても願望は叶わない

夢や願望は、いくら強く願っても叶いません。
もちろん神や仏に祈っても、叶うわけではないのです。
目的を達成して願いを叶えるためには、自ら意志を明確にして行動を起こす必要があります。

人間の願望を突き詰めていくと、「幸せになりたい」という基本的な欲求に行き着くといいますが、「自分はこうありたい」と方向性を決めて何かを決心したとしても、行動に移せなかったら状況は変わらないのです。

しかし、意志を明確にして行動しても、願いが叶うとはかぎりません。
「なんとかこの人を救いたい」と思って必死で看病を続けても、亡くなってしまうことだってありますよね。
このように、たとえ期待通りの結果が出なかったとしても、最後まで意思に従って行動したのであればその努力がムダになることはありません。

意思力は確実に高まっているはずです。

「意志」と「欲」の違いを理解する

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人間の願望には、「幸せになりたい」という基本的な欲求を越えてしまうものがあります。
個人の利益だけを追求するとか、誰かを陥れて幸せになろうとするような「欲」ですね。
だから、その願望は自分の「意志」なのか、それとも「欲」なのか考えなければいけません。

長生きしたいと願うことや、健康のためにやせたいと思って行動に移すことは、どうなのでしょう。
仏教的な解釈からすると、こうしたことも自然の法則に反することであるから「欲」であり、意志の強化は自分の人生の目的を達成するために行うものだということになります。

しかし、日本の葬式仏教は別として、お釈迦様が示したと伝わる本来の仏教を信仰している人でなかったら、もう少し現代社会に沿った考え方をして、「人に迷惑をかけることかどうか」という判断基準をもつのが現実的ではないでしょうか。

さらに、「誰かの役に立つことかどうか」という基準をもてば、より「幸せになりたい」という基本的な欲求に近づくことができるでしょう。

やめられないことは真剣にやってみる

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「やめたいのにやめられない」のは、意志が弱いからではありません。
喫煙、飲酒、ギャンブル、ゲームといった依存症を起こしやすいことは、自制心を強化してやめるテクニックが、多くの本で紹介されています。

しかし、意志力は、目的を達成するために発揮されるもの。
自制心と意志力は、別のものなのです。
たとえば、1日24時間をどう使うか、この1週間をどう過ごしたいかという目的が明確になっていれば、自分がやるべきことの優先順位が決まってくるので、やめれば済むようなことは自然にやらなくなるものです。

すでに依存症を起こしている場合は、少々違うアプローチが必要になるかも知れません。
タバコやアルコールがやめられないという人は、理性より快楽を優先する病気であることを自覚して、本気で治そうと決意しなければ治らないでしょう。

テレビやゲームなど、自分の時間の使い方に問題を生じることであったら、一度真剣にやってみると自分にとっての優先順位がわかります。
真剣にテレビを観たり、真剣にゲームをやり倒すのです。

病気は意志力で回復する

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昔から「病は気から」などといわれますよね。
人間には自然治癒力が備わっているので、そのパワーをいかにストレスなく発揮させるかということが病に負けないポイント。
そこに大きく影響するのが、「治そう」という確固たる気力であり、それが意志力なのです。

身体中の器官と同様に、脳も意志力で回復させることが可能です。
かつては年齢とともに脳細胞は減っていくものと考えられていましたが、今は何歳になっても年齢に関係なく海馬という部位の神経細胞が増え続けることがわかっています。

海馬は記憶にかかわる部位ですから、意志力に大きく関与しています。
何歳になっても、強い意志をもって何かをやり通すのは可能だということですね。

意志の正体は生きたいというエネルギー

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「意志」とは「はっきりとした自分の意向」だと書きましたが、仏教的な解釈では潜在的に秘めている能力(ポテンシャル)であると考えます。

意識しなくても、基本的な欲求を満たすため、常に行っている行為。
心拍や呼吸、さらには細胞分裂などを含む新陳代謝全般も、自分の意志で行っているものであり、生きるために必要な行為は、意志によって引き起こされていると考えるのです。

仏教では、「生きたい」という潜在的な意志があるから、やり続けるエネルギーが生まれるのだと考えるのですが、意識していないパワーを鍛えることなどできるのでしょうか。

お釈迦様が見つけた、意志を意識化する方法こそが、瞑想でした。
仏教的解釈を離れて考えてみても、「はっきりとした自分の意向」を明確にするためには、自分と向き合うことが欠かせません。
そうした意味でも、マインドフルネスや座禅といったメンタルトレーニングは、意志力強化に効果的であることは間違いありませんね。

感情のコントロールで意志は強くなる

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自分の「好きか嫌いか」という感情を大事にする生き方は、ストレスが少ないといわれます。
なぜかといえば、嫌いなことと遭遇すればストレスが溜まり、好きなことをすればそのストレスを忘れられるから。
しかし、そうした感情で物事を決める生き方は、意志がぐらつきやすくなるといわれます。

脳の内部にある脳幹や大脳辺縁系と呼ばれる部分は「原始脳」と呼ばれ、感情を生む扁桃体や、記憶を一時的に保持する海馬などがあります。

一方、前頭葉、側頭葉、頭頂葉、後頭葉などがある大脳は理性を司る新しい脳。
「欲」は原始脳、「意志」は大脳が生むもので、理性で感情をコントロールできれば意志力は高まります。

ですから、感情を正しくコントロールできるように、子どもの頃から大脳を成長させることが大事であり、その手段が学習や勉強なのです。

心のエネルギーを「善」に向ける

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意志力を高めるためには、目的が設定されていなければいけません。
しかし、どのような事柄を目的とすればよいのか悩む人もいます。

ここで判断基準とすべきなのは、「善」というフィルター。
「好き嫌い」という感情ではなく、「善」か「悪」かという理性で判断するのです。

どのようなことが「善」なのでしょう。
実はお釈迦様は、その答えを語っていません。
『ブッダが教える意思力の鍛え方』では、「それを行うことで人のためになる」「世の中を平和にする」といったよい結果が期待できることだと説いています。

ひとつの判断基準として、「理性的な人から批判されない」「自己嫌悪に陥らない」「後悔しない」といったこともあげています。

「善」の行為は、すぐに受け入れられなかったり、世の中から批判されたりすることもあります。
しかし、こうした条件をクリアしていることであったら、腹をくくって心の全エネルギーをかたむければ意志力はよい方向へ向かい、強化されていくことでしょう。

まずは言葉に出して言える目的をもつ

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これまでの解説でわかるように、「意志が弱い」と感じている人は、「感情=欲」のコントロールができていないだけでなく、そもそも明確な目的をもっていないケースが多いのです。

なぜ意志力を高めたいのか、なぜ強い心をもちたいのか、よく考えてみましょう。
まずは、言葉にしてはっきり言える目的をもつこと。
最初に考える目的は、「おしゃれをするためにやせたい」というような「欲」であってもかまいません。

ここでも「なぜおしゃれをしたいのか」というような願望を突き詰めていくと、「幸せになりたいから」という基本的欲求に行きつくことでしょう。
ここで大事なことは、「それは少しでも誰かの役に立つことなのか」「あなたが幸せになることで誰かが少しでも幸せになるのか」、という理性を働かせることです。

もうひとつ大事な視点として、「自分の心が成長できることか」という点があります。
意志をもって心(大脳)を成長させることができれば、さらに意志力は高まるのです。

人の役に立つことは「欲」を「善」に変える

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「やせたい」「健康でいたい」といった願望は、自分のための「欲」からはじまることが多いものです。
しかし、ここに「それで周りの人の役に立つためにはどうしたらよいか」「世の中の役に立てないか」という視点が加わると、それは「善」に変わります。

新しい健康器具や健康食品などに飛びついて試す、「健康オタク」と呼ばれる人たちがいますよね。
ここで、自分だけが健康でいられればいいのであったらそれは「欲」ですが、新製品の知識で自分が成長できて、世の中の人たちに伝えることができれば、それは「善」になるのです。
ダイエットも同じですね。

でも、世の中の役に立つような情報を得るためには、本気で目的を追求しなければいけません。
ここに意志力が求められるのです。

目標を分割して意志をもちこたえさせる

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これは、よくマラソンを例にあげる話ですが、一気にはるか先のゴールを目指すのでは 気持ちが折れてしまっても、小刻みな目標を設定して次々とクリアしていけば、いつの間にかゴールに近づいている、ということがありますよね。

設定したのが自分にとって大きく感じられる目的であっても、目標を分割すれば意志の強さを維持できるという例です。
企業の戦略のように、長期、中期、短期と分けてもいいでしょう。

3年間かけて達成したい目的を設定したら、1年ごとの目標を掲げ、さらに毎月の目標を設定するのです。
毎週の目標があってもいいでしょう。
突き詰めていけば、ある仕事を達成するために1時間の目標があっていいのです。

目標は小刻みに数多く設定した方が、意志のボルテージを維持することができます。
ひとつの目標を達成すると、充実感や満足感を得られるので気持ちが上がり、ストレスの軽減にもなります。
心を健全な状態に保ちながら、意志力を高めることができるのです。

意思力は消耗するから使い捨てにする

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ひとつの目標を達成するために必要なのは、ひとつの意志。
あれもやりたい、これも実現したいというように欲張っては失敗します。
ですから、ひとつの目標が達成されたら、その意志は必要なくなります。

ある仕事を達成するために、「1時間は数字に集中する」という目標を立てたとしましょう。
その仕事が終わったら「数字に集中する」という意志は忘れて、次の目標を達成する意志をもてばいいわけです。

『ブッダが教える意思力の鍛え方』では、意志をバッテリーにたとえています。
意志は消耗するものなので、1回使ったら新しい意志と交換。
そうして、「新しい意志→クリア」を繰り返すことが、意志力を高めることにつながるのです。

目的が明確な人ほど意志力が強い

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もう1冊のベストセラー『GRIT やり抜く力』は、心理学の視点から意志力を分析した本で、『ブッダが教える意思力の鍛え方』における「欲と意志」を「快楽と目的」という言葉で表しています。

人間は誰でも、快楽で得られる幸福と、意義や目的で得られる幸福の両方を追求するようにできており、そのバランスは人それぞれ違います。

心理学者である著者は「快楽」と「目的」にスコアをつけるアンケートを行い、「目的」のスコアが高い人ほど「やり抜く力」が強いという結果を得ました。
「やり抜く力」が強い人は、「意義のある生き方をしたい」「ほかの人の役に立つ生き方をしたい」という思考が強かったのです。
やり抜く力が強い人にとっても、ある程度の快楽が重要であるということも書かれています。

重要なのは、「目的」がほとんどの人にとって生きるエネルギーの源になっているということ。
そしてこの本でも、「目標設定→クリア」を繰り返すことによって「やり抜く力」が高まるのだと説かれています。

目的に興味を結びつけて没頭する

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「好きなこと」や「興味があること」というのは、快楽が得られることであり、仏教的にいえば「欲」になります。

『ブッダが教える意思力の鍛え方』では、「欲」も「善」によって意志に変わるということが書かれていましたが、『GRIT やり抜く力』では、目的に興味を結びつけることが「意志力=やり抜く力」を自分の内面から高める方法だと書かれています。

逆にいうと、趣味や好きなことに明確な「目的」が付属すると、意志になるということですね。
趣味を仕事にするということは、人の役に立つわけです。
しかし、ただ好きだとか興味あるという程度では、やはり世の中の役に立つことはできません。

目的とするためには、時間を忘れて没頭するような強い情熱と、いかなる問題も乗り越える粘り強さが必要とされます。
意志力の源は「欲=快楽」にあってもいいということです。
やはり、意志力に欠かせないのは、感情をコントロールする理性だということですね。

まとめ

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かつてビル・ゲイツは、マイクロソフト社のプログラマー採用に、単純なトラブルシューティングにひたすら何時間も取り組む問題を出題していたといいます。

この選考試験で問われたのは、IQやプログラミングのスキルではなくて、粘り強く問題に取り組み、最後までやり遂げる能力だったのです。
ゲイツが採用したのは、課題を最後までやり遂げたプログラマーだけでした。
「やり通す」ことが「やり抜く力=意志力」につながるからです。

小さな目標でも必ず最後までやり通すことと、目標のクリアを繰り返すことが、意志力を鍛えるコツだといえそうですね。

【参考資料】
・『ブッダが教える意志力の鍛え方』 アルボムッレ・スマナサーラ 著 大和書房 2015年
・『GRIT やり抜く力』 アンジェラ・ダックワース 著 神崎朗子 訳  ダイヤモンド社 2016年

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