近年、お酒好きの間で注目を集めている「クラフトジン」。
ジントニックやジンリッキーなど、ジンというお酒は聞いたり飲んだことがあっても、クラフトジンは馴染みのない方がほとんどのはず。
クラフトジンとは、生産者のこだわりが詰まった個性的なジンのこと。
ジンがお好きな方もお酒をたしなむ程度の方も、クラフトジンによってお酒の新たな嗜み方が見つかるかもしれません。
そこでこの記事では、クラフトジンの基礎知識やおすすめの飲み方などをご紹介していきます。
クラフトジンとは?

クラフトジンとは、蒸留酒のジンの一種です。
クラフト(技工・工芸)と名前が付けられている通り、クラフトジンは小規模な蒸留所で作られる、個性的なジンの総称です。
特に明確な定義があるわけではなく、自作したジンやバーのマスターが作るオリジナルのジンも、クラフトジンに含まれます。
クラフトジンの特徴

クラフトジンの特徴は、通常のジンでは使われないボタニカルを使っていたり、今では行われなくなった難しい行程で蒸留されたりと、「こだわり」に重きが置かれている点です。
そのため、生産者の個性や好み・技術が現れやすく、クラフトジンのバリエーションはまさに無限大です。
ボタニカルとは、ジンに使われるハーブのこと。
果物の種や木の葉・根・柑橘類の皮など、ジンの風味の決め手となる重要なスパイスです。
クラフトジンは2010年頃から注目され始め、国内外の様々な生産者がオリジナルのジンを製作し販売しています。
いろんなクラフトジンを飲み比べすることも、今ではお酒好きの大人のたしなみとして定着しつつあります。
おすすめのクラフトジンを友人や飲み仲間に紹介できることは、一種のステータスにもなるかもしれませんね。
クラフトジンの味わい

クラフトジンの味わいは、一般的なジンと比べて良くも悪くも「個性的」です。
スーパーや酒屋で買える普通のジンが大衆向けなら、クラフトジンは生産者のこだわりを詰め込んだ奇抜さが売りです。
ジンの特徴であるボタニカルをはじめとして、ベースのカクテルやボトルのデザインにまでこだわり抜いたクラフトジンは、好みの人にはもの凄くハマる味わいになります。
もちろんクラフトジンの中にも、飲みやすく蒸留された初心者向けのものもあります。
まるで一点物のファッションやアートを見つけるように、自分好みの味や香りを探すこともクラフトジンの楽しみの1つです。
日本産クラフトジンの魅力

クラフトジンの生命線は、ジンの味を決定づけるボタニカルです。
クラフトジンが流行した2010年から3年後の2013年に、和食がユネスコ無形文化遺産に登録されて以降、日本の食材とボタニカルの相性の良さが注目され始めました。
山椒・生姜・柚子・玉露・桜など、和のテイストをふんだんに取り入れたクラフトジンは、日本人の舌に馴染みやすく、海外のお酒愛好家からも高く評価されています。
「クラフトジンを飲んでみたいけど、何から飲み始めればいいか…」と迷っている方は、まずはお好みのボタニカルが使われている日本産のクラフトジンを探してみましょう。
クラフトジンの選び方
生産者の個性が際立つクラフトジンですが、自分好みのジンを探すポイントは、シンプルに次の3点に注目しましょう。

【クラフトジン選びのポイント】
①ボタニカル
②産地
③デザイン
①ボタニカルで選ぶ

クラフトジンの風味は、ボタニカルで決まります。
そもそもジンとは、ボタニカルにジュニパーベリーという果実を使用していれば、他にはどんなボタニカルを使っても良いとされています。
もともと自由度の高い製法のお酒だからこそ、クラフトジンというジャンルが定着したとも言われています。
生産者は、他のジンとの差別化を図ったり好みの味わいになるまでボタニカルの組み合わせを徹底的に追求したりと、「1つとして同じ味がない」と言っても過言ではありません。
そのためクラフトジンを選ぶ際は、まずは使われているボタニカルを確認してみましょう。
クラフトジンを飲んだことのない方は、最初は食材や香りの好みで選んでみてください。
特に柑橘類をメインにしたクラフトジンは、定番で飲みやすい味わいが多く、失敗も少ないでしょう。
そうしていろんなクラフトジンを飲み比べるうちに、好みのボタニカルが絞られてきます。
好みのボタニカルが厳選された頃には、自分史上最高のジンと出会うことができているはずです。
②生産地で選ぶ

自分好みの味が分からなかったり、ボタニカルの違いにそれほどこだわりがない方は、生産地で選ぶ方法もおすすめです。
日本産のクラフトジンは、図らずも日本人の口に合う味わいに仕上がっているものも多く、生産者への間接的な支援にもなります。
また、ジンはイギリスで人気が高まり、後に世界中に知れ渡ることとなったお酒です。
ジンの中でも最も有名な「ジントニック」は、熱帯植民地で働くイギリス人がトニックウォーターにジンを混ぜて飲んでいたことをきっかけに、世界中に広まったと言われています。
イギリスでのクラフトジンの競争は目覚ましく、クオリティの高いジンが数多く生産されています。
また、お酒はその土地の気候や食文化が濃く反映される飲み物です。
そのため、生産国で選ぶことで好みの味が見つかる場合もあります。
③デザインで選ぶ

クラフトジンの個性は、風味だけでなくラベルやボトルのデザインにも現れています。
クラフトジンは大量生産を目的としていないため、ボトルの形状も細部にまでこだわることができたり、生産者のメッセージを全面に打ち出したデザインが施されていることも。
またクラフトジンの魅力は、ボトルをコレクションのように飾り、インテリアとして映えさせられるところにもあります。
好みのデザインのジンをお洒落に嗜むだけでも、気分は高まり、お酒の味も豊かになります。
クラフトジンを舌だけでなく目でも楽しむために、デザインにも注目してみましょう。
クラフトジンのおすすめの飲み方

クラフトジンの魅力は、無限大とも言えるバリエーションだけでなく、飲み方を変えて飽きることなく楽しめる点にもあります。
クラフトジンを初めて味わう際は、まずはジンの定番の飲み方をいくつか試して、好みの飲み方を見つけてみましょう。
【クラフトジンのおすすめの飲み方】
①ジントニック
②ジンリッキー
③ロック
④ストレート
①初心者は定番のジントニック
居酒屋などでよく目にするジンの定番の飲み方が、「ジントニック」です。
ジントニックとは、ジンとトニックウォーターを混ぜたカクテルのこと。
ロックやストレートよりアルコール度数は低く、柑橘系のほのかな香りも相まって多くの人の舌に合う飲み方です。
クラフトジンに初めて挑戦する方は、まずは定番のジントニックを試してみましょう。
②ジンリッキーで酸味をプラス
苦味が残るあるジントニックに馴染めない方は、ライムと炭酸水を加えて作る「ジンリッキー」がおすすめです。
炭酸水でアルコール度数を抑えつつ爽快感を足すことで、お酒が苦手な方でもクラフトジンを楽しむことができます。
砂糖などの甘味が入っていない炭酸水をカクテルに使用すれば、クラフトジンの個性的な味わいを損なうこともありません。
いつもはジントニックやロックを嗜んでいる方も、趣向を変えて時々ジンリッキーを挟むことで、1本のクラフトジンの楽しみを長続きさせることができます。
③ロックで刺激的に

クラフトジンに氷を加えるだけの「ロック」も、お酒本来の味を楽しみたい方におすすめの飲み方です。
「ストレートは度数が高くて飲めない…」という方も、氷が溶けるごとに少しずつ度数が薄まるロックなら、時間をかけてゆっくりとクラフトジンを味わうことができます。
また氷を入れることで、ストレートより冷感が増してさっぱりとした飲みごたえになります。
真夏の熱帯夜にロックで飲むクラフトジンは、お酒好きにとって最高の一夜となることでしょう。
④ストレートでお酒本来の味を嗜む
お酒本来の味を嗜むなら、やはりストレートがベストです。
特にクラフトジンは、数種類のボタニカルを組み合わせた複雑な味わいが大きな魅力となっているため、ストレートがクラフトジンの魅力を最も引き出してくれる飲み方になります。
ストレートで飲む際は、常温にすることで味だけでなく香りも引き立たせることができます。
なお、ストレートで飲む場合のジンのアルコール度数は40%を越えるものも多々あるため、唇に触れさせたり舌先で舐めるように、ゆっくりと時間をかけて味わいましょう。
せっかく個性豊かなクラフトジンを飲むからには、1杯はストレートで味わいたいところですね。
おすすめのクラフトジン

初めてのクラフトジンとなると、そもそも美味しそうな種類を見つけることが難しく、挑戦のきっかけを逃してしまうかもしれません。
そこでここからは、クラフトジン初心者さんにおすすめしたい国内外のおすすめ銘柄を6種類ご紹介します。
【おすすめクラフトジン銘柄6種類】
①季の美(日本)
②ROKU(日本)
③JINJINJIN(日本)
④タークィンズ(イギリス)
⑤フォーピラーズ(オーストラリア)
①季の美(日本:京都蒸留所)
「季の美」は、ジン専門の京都蒸留所が作る、和を追求したクラフトジンです。
季の美の特徴は、ボタニカルの特徴に合わせて蒸留行程を分けているところ。
通常であればすべてのボタニカルをまとめて蒸留するところを、ボタニカルごとに最適な蒸留方法に分けているため、際立った風味を楽しむことができます。
そのボタニカルには、国産酒らしく柚子や玉露・山椒といった日本の食材がふんだんに取り入れられているため、日本人の口に合う仕上がりです。
数多のクラフトジンの中でも個性は控えめで万人に好まれる味わいのため、国産のクラフトジンに初挑戦する方は、季の美は最有力候補の1本です。
②ROKU(日本:サントリー)
飲料水の大手メーカー・サントリーが独自開発した「ROKU」は、日本らしさを象徴するクラフトジンです。
ボタニカルには、桜・煎茶・山椒・柚子などの和をモチーフとしたハーブや食材が使われています。
ROKUも大手メーカーの製造ということもあり、個性はやや抑えられていますが、一般的なジンと飲み比べると味の違いは一目瞭然です。
季の美と並び、クラフトジン初心者さんの最初の1本としておすすめしたい銘柄です。
③JINJINJIN(日本:高田酒造)
高田酒造が作る「JINJINJIN」は、TWSC(東京ウイスキー&スピリッツコンペティション)にて最高金賞を受賞した一流のクラフトジンです。
高田酒造が熊本に居を構えていることもあり、ボタニカルには熊本産の不知火柑・甘夏・柚子の皮が使われ、柑橘系のほのかな香りと風味を楽しむことができます。
また、ジンならではの苦味がしっかりと残されているところもJINJINJINの特徴の1つ。
ジンリッキー(炭酸)・ロック・ストレートのどの飲み方でも、ジンと柑橘類の絶妙なバランスを感じることができます。
④タークィンズ(イギリス)
イギリスの北コーンウォール地方にある小さな蒸留所で作られる「タークィンズ」は、クラフトジンらしさを存分に活かした独自の製法で、海外から多くの注目を集める銘柄です。
タークィンズの一番の魅力は、クラフトジンの醍醐味である「手作り感」にあります。
ボタニカルは、蒸留所の庭で栽培されているデヴォン・スミレをはじめ、オレンジピール、シナモン、コリアンダーなど全12種類が使われています。
スミレの甘い香りとドライジンの刺激の組み合わせは、ロックやストレートでないともったいないと感じるほど絶妙です。
ジンの人気を高めたイギリス産のクラフトジンに興味のある方は、タークィンズの名を知っておいて損はありません。
⑤フォーピラーズ(オーストラリア)
フォーピラーズは、国内外の品評会で多くの受賞経験を持つ、世界各国で人気のクラフトジンです。
ボタニカルには、オーストラリア原産のペッパーベリーやオレンジが主に使われていて、柑橘系に想像されるさっぱりとした味わいをダイレクトに感じられます。
お酒好きに好かれるクラフトジンのため、口当たりはやや強め。
ストレートやロックで個性を際立たせるも良し、ジントニックで飽きのこない味を楽しむも良し。
フォーピラーズは、外国産のクラフトジンの中で外せないおすすめ銘柄の1つです。
クラフトジンの作り方

冒頭でも紹介した通り、クラフトジンの定義は曖昧で、個人で作ったジンはどれもクラフトジンと呼ぶことができます。
クラフトジンの魅力にハマり、ボタニカルやベースの好みも把握してきた頃に、クラフトジンを自作してみても良いでしょう。
蒸留所で作られるジンは蒸留の過程でボタニカルを漬けますが、蒸留後にボタニカルをつけ込む「コンパウンドジン」という製法なら、まるで果実酒のように自宅でも手軽にオリジナルのジンを自作できます。
なお、ジンの規定は、次の通りシンプルかつ細かく決められています。
【ジンの規定】
・ジュニパーベリーの香りをつけること
・農作物由来のアルコールをベースに使うこと
・アルコール度数が37.5%以上であること
この規定を守りさえすれば、自作したそのお酒は立派なジンです。
用意するものは、以下の3つのみ。
・数種類のボタニカル(ジュニパーベリーは必須)
・ベース(ウォッカなど度数の高いものがおすすめ)
・ビン(果実酒用のビンがおすすめ)
ビンの中にボタニカルとベースを入れ、3日ほど漬け込めばクラフトジンの完成です。
最初は、レモンやオレンジの皮・生姜・果実の種など、1〜3種類ほどのボタニカルを組み合わせて味わいを確かめてみましょう。
相性の良さそうな組み合わせを見つけたり、より自分好みの味に仕上げたりと、バリエーションは本当に多様です。
果実の皮やお茶っ葉など、本来なら捨てるはずのものを再利用できる点もクラフトジンの魅力です。
既成の銘柄では実感できない「クラフト」そのものの楽しみも、ぜひ体験してみましょう。
まとめ

クラフトジンは、大量生産のジンと比べて際立った個性を楽しめる、まさに大人の嗜みにふさわしいお酒です。
ジンが好きな方はもちろん、ジンの魅力を知りたい初心者さんや世界各国の特色豊かなお酒を味わいたい方も、ぜひご自身の味覚にぴったりなクラフトジンを見つけてみてくださいね。
















