あなたも会話の悩みを抱えていませんか?
どうしたら自分の思いをしっかり伝える会話ができるようになるのだろう……。
口下手な自分には無理なのではないだろうか。
伝えたいことがなかなか相手に伝わらないと、自分が口下手なせいだと思ってしまいます。
そうしてまた、自分は会話が苦手だと自責の念にかられてしまうこともあるかと思います。
まず、しゃべりが上手くなくても、口下手でも、楽な会話ができるようになることは可能です。
ここでは、20の実例を内的要因と外的要因にわけて、「私は口下手だけど会話が楽しい!」と思えるようになる会話術を解説します。
目次
1. 内的要因を克服する会話術
① 口下手がはずかしい
② 緊張して話せない
③ 気の利いた言葉がとっさに出てこない
④ 好きな人の前で無口になってしまう
⑤ 笑顔を作るのが苦手
⑥ 自分は空気を読めているのか心配
⑦ 思っていることを言葉にできない
⑧ 伝えたいことがリアルに伝えられない
⑨ 感謝の気持ちをうまく伝えられない
⑩ つい早口になってしまう
2. 外的要因を克服する会話術
⑪ 話題を見つけられない
⑫ 会話中の沈黙が怖い
⑬ 会話がかみ合わない
⑭ 相手の目を見ることができない
⑮ 余計な言葉で相手に不快感を与えてしまう
⑯ 相談にうまく応えられない
⑰ 相づちを打っているのに会話が進まない
⑱ 人と協調するのが苦手
⑲ 答えたくない質問をかわしたい
⑳ 聞きたくない相手の話を終わらせたい
まとめ
1. 内的要因を克服する会話術
人と会話をするときに緊張してしまう理由は、自分の話し方に自信がもてないからです。
緊張でしどろもどろになってしまうと、会話への苦手意識を高めてしまいます。苦手意識が一度心に刻まれてしまうと、なかなか払拭できないものです。
だからといって、口下手という呪縛から逃れるのはそんなに難しい事ではありません。
① 口下手がはずかしい
自分が人と上手く話せないことを「恥」だと感じている人がいますが、恥ずかしいという気持ちはただの思い込みにすぎません。
要は、恥ずかしいという感情が先行してしまって、「この人とコミュケーションをとりたい」という気持ちにフタをしてしまうのです。
あなたが気にするほど、周りの人はあなたのことをどうこう思っていません。発言のひとつひとつや、ちょっとした仕草などをすべて観察している人などいないのです。
たとえ、人があなたのことをどう思おうと、それはその人の解釈であってあなたの中の問題ではありません。人からどう思われているかなんて気にせず、それよりもコミュニケーションから逃げてしまう現状をつめることです。
② 緊張して話せない
まず、必要以上に緊張してしまう人というは、平常心を保つトレーニングをしましょう。
・深呼吸
ゆっくりと12秒かけて息を吐き、8秒かけて吸う20秒サイクルの呼吸を3回繰り返します。
慣れない間は8秒と4秒の12秒サイクルでもかまいません。
精神を安定させる脳内物質のセロトニンが活性化して、驚くほど落ち着きを取り戻すことができます。
・潜在意識に刷り込む
そして、話し出すときに自分の中で段取りを決めてしまいます。
たとえば、耳たぶを触ってリラックスしてから話す、首を回してリラックスしてから話す、というようにある体の動きから一連の動作として話すように心がけるのです。
一連の動作はルーティーンとして潜在意識に刷り込まれますから、平常心を取り戻して話しをすることができるようになります。
③ 気の利いた言葉がとっさに出てこない
スムーズな会話をするためにもっとも大事なことは、相手の情報収集です。
気の利いたことを言おうと思っているうちに会話が終わってしまうと、後悔の念にとらわれます。
そうならないコツとして、会話の相手となる人間の情報をできる限り集めておくことです。
とはいっても、とっさの会話では誰が相手になるかわかりません。
そこで、この問題を解決するためには、日頃から周りの人間の観察や情報収集を続けることです。ただし、あからさまに観察などしていれば嫌われてしまいますから、それとなく続けること。
また、日々のニュースから時事ネタをリサーチしておくのも効果的です。
④ 好きな人の前で無口になってしまう
普段はそうでもないのに、異性の前や好きな人の前だと黙ってしまうという人は多いです。
つまらない人間だと思われたくなくて話そう話そうと焦ってしまい、余計に印象を悪くしてしまったのではないかと、また落ち込んでしまうのです。
会話が得意な人は異性とも明るくほがらかに接することができるでしょう。しかし、あまり会話が得意でなく無口な人でも異性の気を引くことはできます。無理に話そうとしなくてもいいのです。
最初はいきなり話そうとせず、ミステリアスな存在になりましょう。目が魅力的だとか、笑顔が印象的だとか、多くを語らなくてもなにか相手の心に残る存在を目指すことです。
相手が興味をもてば話かけてくる機会も増えるでしょうし、あなたも人間関係に慣れて、少しずつでも自然に話すことができるようになるでしょう。
⑤ 笑顔を作るのが苦手
口角を上げて笑顔を作るときは、心の底から可愛いと思っているキャラクターやペットのことなどを思い浮かべましょう。
柔らかい表情になって、目だけ笑っていない、という状態を避けることができます。
笑顔は良好なコミュニケーションをとるためのもっとも重要な要素です。たとえ作り笑顔でも、笑顔は「快感ホルモン」とも呼ばれる脳内物質のドーパミンを活性化させます。
自分が幸福になることによって相手も幸福感が得られます。
コミュニケーションが苦手な人でも自然な笑顔を作れるようになると、そこから始まる会話はずいぶんと楽なものになるはずです。
⑥ 自分は空気を読めているのか心配
空気が読めてないのではないかと心配になる人は、相手の言葉に素直なリアクションをしてみましょう。
その場の雰囲気に合わないことを言ったり、相手の気持ちを無視した話をしたりすると「空気が読めないやつ」ということになります。
こうならないためには、相手の気持ちを察することと、話の必然性を理解することが求められます。
相手の気持ちを察するためには、とにかく相手の話をよく聞くことです。
話を遮ったりせずに最後まで全部話を聞いたら、その内容に応えるような話で話題を共有する、そのときの相手の感情をくみ取って便乗してしまう、という返し方をするのです。
ひと言応えればスムーズに次の会話へと流れていくのに、ウケを狙ったりして、つい余計な話まで加えてしまう癖は直しましょう。
その場の雰囲気が読めないという人は、自分が言おうとしていることが、どうしてもその場で言わなければいけないことかどうか考えるようにするのです。
⑦ 思っていることを言葉にできない
言葉に詰まる人は、「自分の気持ちをどうやって伝えるか」ということよりも「何を伝えたいのか」ということを明確にしましょう。
会話に苦手意識をもっている人が上手く話そうとすると、余計に言葉に詰まってしまいますよね。こんなときは、上手く話そうとしないことです。
大切なのはきれいな言葉や飾った言葉で気持ちを表すことではなく、自分の言いたいことを伝えようという気持ちです。
飾らない言葉でも、たどたどしくてもいいのです。思いを伝えたいという気持ちがあれば、必ず言葉は相手に届くということを信じましょう。
⑧ 伝えたいことがリアルに伝えられない
ありきたりの表現しか出てこなくて、思ったことをリアルに伝えられないという人は、会話の中で人間の五感に訴える方法を考えましょう。
・会話をしながら画像を見せたり音を聴かせたりする
・会話の中にボディタッチを入れてスキンシップで触覚に刺激する
コミュニケーションの手段は、言葉だけではありません。
とくに会話が苦手だという人は、五感に訴える会話術を取り入れると会話が楽しく楽なものになっていくでしょう。
⑨ 感謝の気持ちをうまく伝えられない
感謝の気持ちは「ありがとう」「ありがとうございます」のひと言で伝わります。
無理に言葉を並べる必要はありません。本当に感謝する気持ちがあれば、表情や態度に現れるものです。だから、言葉は「ありがとう」だけで十分なのです。
もしも心に余裕があれば、「ありがとう」の後に、素直な感想などをひと言加えます。
お土産をいただいたときに、「美味しかった」のひと言があると、より感謝の気持ちが伝わりますし、相手の喜びも倍増します。
⑩ つい早口になってしまう
緊張感から焦ってしまい、早口になってしまう人は、客観的に自分を演出してみましょう。会話をする前に自分が落ち着ける状況を思い浮かべます。
・自宅のソファーでのんびりくつろいでいる自分
・ゆったりとしたホテルのロビーに座っている自分
それから深呼吸をしてゆっくりとした大きな動作を意識します。これだけでも気持ちに余裕が出てくるはずですが、さらに効果的なのは自己暗示です。
普段から、「ゆっくり話せる」という自己暗示を言葉にして繰り返す習慣をつくると、潜在意識に刷り込まれて自信につながるのです。
2. 外的要因を克服する会話術
会話は相手があって成り立つものですから、相手とどういう関係にあるか、相手がどのような状態にあるかで、会話術の要点も変わってきます。
口下手な人でも楽な会話をする基本は、相手のことを思いやる気持ちを常に忘れないことです。
人間関係などの外的要因は克服するためには、相手を知って、相手を好きになり、そして相手にも好感をもってもらうことが重要です。
⑪ 話題を見つけられない
話題作りが苦手な人は、相手のことを観察し、相手が喜ぶこと、楽になることをしてあげましょう。もっとも簡単な方法は、相手の言葉を返す「ミラーリング」というテクニックです。
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こうして会話を続けていき、掘り下げられる話題が出てきたらそこから話を広げていくのです。会話が続いていけば、相手から話を広げてくれることもあるでしょう。
仕事で初対面の場合には名刺交換をしますね。名刺は、
・ロゴや画像
・裏面
など、話題のポイントが多く潜んでいるアイテムです。ぜひ活用しましょう。
⑫ 会話中の沈黙が怖い
会話中の間が不安になる人は、数秒間の間を相手と共有する時間だと考えましょう。
「どうにでもなれ」という開き直りでいいのです。あえて沈黙の間を楽しんでしまうくらいのゆとりをもってみるのです。
相手の話をじっくりかみしめるように頭の中で思い返す。その間で多少のアイコンタクトを残してみるのも、あなたの人間性に深みがでるかもしれません。
余韻に浸れるようになったら、会話は楽しいものに変わっていくはずです。
⑬ 会話がかみ合わない
相手に一歩歩み寄るやさしさをもってみることです。相手の気持ちを考えずに、自分が言いたいことばかりを話していませんか?
相手との距離を縮めるためには、自分から心を開いて相手を受け入れていきます。
その際、会話の基本は「相手の話をよく聞くこと」です。
話をよく聞いていると、自分の言いたいことにつながるキーワードがあるはずです。そのキーワードをきっかけに会話を展開していけばいいのです。
会話をはずませるために3つのルールを守りましょう。
・相手のことを否定しない
・断定的な言い方はしない
⑭ 相手の目を見ることができない
アイコンタクトが苦手な人は、目を見るという意識ではなく、眉間のあたりを見るようにします。
会話をしている間中アイコンタクトをしている必要はありません。もっとも自然に感じられるのは、会話中の6割から7割程度のアイコンタクトだといわれます。
目線をそらす時には相手の手元など下方向だと無理がありません。
上や左右に視線をそらすと落ち着きのない人間だと思われてしまいます。目を泳がせるのが一番いけません。
⑮ 余計な言葉で相手に不快感を与えてしまう
つい余計なことを口にして相手に不快感を与えてしまうという人は、「うなずき」を効果的に使いましょう。
うなずきは「あなたの話をしっかり聞いていますよ」という意思表示であると同時に、共感を伝える合図です。
話し上手は7割の時間、相手に話をさせるといわれます。余計なことを話して失敗する人は、まず「聞き上手」になることです。
小さくうなずく、ときには大きくうなずく、といったバリエーションを出すことや、身振り手振りを加えるのも効果的です。
さらに不快感を与えないためには、
・必要な場面以外で年齢の話はしない
・必要な場面以外で政治的ポリシーや宗教の話をしない
といった心配りも必要です。
⑯ 相談にうまく応えられない
相談をされても、無理にアドバイスをする必要はありません。無理に批評家めいたコメントをしても、相手を疲れさせてしまうことになりかねません。
自分に何を求められているかということを察知するのが、賢い人間のやることです。
相手は結論やアドバイスが欲しいわけではなくて、話を聞いてほしいだけかもしれません。答えを求めていない場合も多いのです。
相手が落ち込んでいる場合に、もっとも励ますことができるのは「共感」です。元気づけようと励ますよりも、共感してから未来につながる言葉で歩み寄るのが効果的です。
「過去の実績から見て君にはできるはずだからがんばりなよ」
「あれは確かに大変だよね。でも、なんとかクリアする方法を見つけようよ」
⑰ 相づちを打っているのに会話が進まない
「相づち」は、次の3種類を適切なタイミングで入れるようにしましょう。
・相手の話に対する感想を伝える
・相手が強調したい事柄を返す(ミラーリング)
ワンパターンの相づちは相手に不快感を与えてしまいます。うなずきやボディランゲージを併用すると、共感していることを強調できます。
⑱ 人と協調するのが苦手
会話をしていてつい感情的になってしまうという人は、日頃から自分の立場を意識する習慣をつくりましょう。
人と協調するのが苦手という人は、会話の目的や自分の役割がわからないのです。自分の立場がわかれば相手との関係がはっきりします。
相手との関係の中で、なにを目的とする会話なのかが明確になっていれば、たとえ批判するにしても感情的にはならないはずです。
それでも感情的になってしまうことはあるかもしれません。そういうときは、相手を頭ごなしに否定するのではなく、「そのような意見もありますね」と一度相手に共感を示してから、真意を伝えるようにします。
ここで笑顔が重要であることはもちろんです。
⑲ 答えたくない質問をかわしたい
聞かれたくない質問をされたときには、質問返しで明るく対応します。応えたくない質問をさらっとそのまま相手に質問するのです。そうして話しを膨らませるキーワードが出てきたら相手に語らせるのです。
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あなたは女性の好みについて話したくなかったので、質問返しをして会話の主導権を握りました。ここからは、相手が話したい話題をあなたが広げていけばいいのです。
⑳ 聞きたくない相手の話を終わらせたい
相手の一方的な話を遮るには、あなたが話の流れをかえるきっかけをつくればいいのです。
あからさまに時計を見たり、つまらなそうな表情をしたりするのは大人のやることではありません。相手に不快感を与えずに話の流れをかえるテクニックとしては、次のようなものがあります。
・隙を見計らって質問をする
・自慢話に対しては、一度ホメて共感の姿勢を見せてから、「ところで」と方向転換する
・急に気がついた風を装い、驚きの表情とともにバッサリ方向転換する
ほかにもその場に応じた方向転換の方法があるはずですから、探ってみましょう。相手の反応を見ながら自分なりのテクニックを探すのが楽しくなるはずです。
まとめ
会話術の基本として、口下手な人の場合は無理をしないで、それなりに会話というコミュニケーションを楽しんでしまうことです。
そして、相手の気持ちがわかり、自分の気持ちが相手に伝わると充実感がわいてきます。口数が多くなくても、会話のキャッチボールを楽しむことはできるはずです。
本文中でも解説しましたが、コミュニケーションの手段は言葉だけにとどまりません。深刻な相談などは別として、明るいやわらかな笑顔と、相手の気持ちをわかろうとするやさしさがあれば、会話は自然に楽しいものに変わっていくことでしょう。
【参考資料】
『しゃべらない会話術』(青月社・2012年)
『会話力の基本』(日本実業出版社・2011年)