KGIからKPIを設定する4つの手順-ポイントは絞り込みと数値化!

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KPIの設定方法が難しいと感じている人は多いですよね?

企業でマーケティングやマネジメントに活用されているKPIですが、そのプランニングは外注されることも多く、社員が設定方法をしっかり理解しているという企業は少ないでしょう。

しかし、KPIマネジメントは、企業のトップから現場活動までの関係者全員が、進捗状況や目標達成度を共有していなければ成功しません。
進捗状況を理解するには、KPIがどのような意味をもつものなのか、わかっている必要があります。

自分たちが目指すKPIは、何を根拠にどうやって設定されたものか関係者全員が理解していれば、その組織は、より目標達成の成功率が高くなるのです。

ここでは、最終的な数値目標であるKGIから、目標達成の指標となるKPIまで、4つの手順で設定する方法を、具体例を取り上げながらわかりやすく解説します。

目次

1. KGIからKPIを設定する4つの手順
1-1. KGIの設定
1-1-1. 目標を明確にする
1-1-2. 目標を達成可能な数値に置き換える
1-2. プロセスの検討
1-2-1. 予測数値とのギャップを確認
1-2-2. ブレイクダウンとボトムアップ 
1-3. CSFの絞り込み
1-3-1. 企業戦略から絞り込む
1-3-2. ボトルネックを改善する
1-3-3. クリティカルパスを短縮する
1-4. KPIの設定
1-4-1. SMARTで数値目標を設定する
1-4-2. KDIやOKRとの違い

2. KPIマネジメント運用の手順
2-1. Do(実行)
2-2. Check(振り返り)
2-3. Action(改善)

まとめ

1. KGIからKPIを設定する4つの手順

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KPIマネジメントは、目標を達成するテクニックとして多くの企業で活用されています。

戦略的なKPIマネジメントのプランニングは、専門のコンサルティングがあるほどテクニカルなものですが、その基本は4つの手順から成り立っています。

この基本的な設定手順を理解することによって、個人がどう動けばよいのか、個人が目指すものは何なのかということが見えてきます。

1-1. KGIの設定

KGIは、“Key Goal Indicator”の略語で、最終的な数値目標を意味します。

多くの場合、企業では営業利益や利益率といった数値になり、年次で設定することもあれば、四半期ごと、さらには3~5年の中期や、それ以上長い長期で設定する場合もあります。

1-1-1. 目標を明確にする

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まず、なんといっても最終的な目標が明確になっていなければ、全社員が一丸となって達成のために動くことができません。

KGIの設定は、その企業が「どうなりたいのか」という存在目的が指針となります。
経営理念などに示されている目的です。

松下幸之助さんが松下電器として創業した現在のパナソニックでは、「事業を通じて世界中の皆様の『くらし』の向上と社会の発展に貢献する」ことが基本理念になっています。

KPIのプランニングにあたって重要なことは、「なぜ」を明確にすることです。
パナソニックの場合は、「企業は社会とともに発展していくものでなければならない」という共存共栄の精神が「なぜ」への答えになります。

この「なぜ」が明確になっていると、全社員が目標を共有しやすくなるのです。

1-1-2. 目標を達成可能な数値に置き換える

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「どうなりたいのか」を指針として、「いつまでに何をどれだけ」という具体的な達成目標を設定します。
これがKGIです。

「当社は、この四半期で、営業利益100億円を達成します」
「わが社は、本年度の目標として、利益率30%を掲げます」

このように、期限を決めて経営レベルの数値目標を設定するのです。
ここで重要なことは、達成可能な指標と水準であること。
「何を」が指標にあたり、「どれだけ」が水準にあたります。

いくら立派な目標を掲げても、絵に描いた餅では意味がありません。
全社員が一丸となって努力すれば達成できることが、KGIの条件となります。
さらに、全社員が成果を理解できる単純な数値であることも大切です。

1-2. プロセスの検討

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最初の手順でKGIが設定されたら、第2の手順は、その目標を達成する方法を考えます。
この目標達成の手段には、「プロセス(過程)」という言葉がよく使われます。

1-2-1. 予測数値とのギャップを確認

現状の経営状態のまま、KGIが設定された期限まで進んだら、KGIに設定された数値はどうなるかという予測数値を算出します。

この予測数値がKGIを達成していれば、新たなアクションを起こす必要はないことになります。
しかし、それではKGIの設定が意味をもちません。
通常は、目標であるKGIと予測数値にギャップがあるものです。

このギャップを埋めるために、どうすればよいのかというプロセスを考えるのです。

プロセスは無数にありますから、現実的なもの以外は除外していきます。
一般的に営業利益を上げるためには、「売上を増やす」か「費用を減らす」というどちらかの方策をとる必要がありますが、費用の削減くらいでは達成できる目標でなかったら、目標達成のプロセスとしては外してしまうのです。

1-2-2. ブレイクダウンとボトムアップ 

KGIは経営レベルで設定されて、独立採算の事業部や、社内の各部門へとブレイクダウンされ、最終的には現場で活動する個人の数値目標まで分解されていきます。

事業部や各部門では、業務に応じて、分配された目標を達成するためにプロセスを検討します。
その際に重要となるのが、現場でオペレーションをしている社員がもっているデータです。

実際に顧客と接している現場活動における様々なデータは、プロセスを検討する大事な要素となります。
こうしたボトムアップも、KPIマネジメントには欠かせないものです。

個人のKPIが達成されれば部門のKPIが達成され、各部門のKPIが達成されれば経営レベルのKGIが達成されるのです。

1-3. CSFの絞り込み

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第3の手順では、CSFを絞り込みます。
各部門では、業務に応じていろいろなプロセスが考えられます。
その多くのプロセスから、もっとも効果的な1点を絞り込んだものがCSFです。

CSFは、“Critical Success Factor”の略語で、「目標達成のためにもっとも重要なプロセス」という意味です。
KSF=“Key Success Factor”や、KFS=“Key Factor for Success”も同じ意味で用いられます。

CSFの絞り込みには、いくつかのテクニックがあります。
ここでは、代表的な3つの方法を紹介しましょう。

1-3-1. 企業戦略から絞り込む

企業の総合戦略から絞り込む方法です。
その企業がどのような戦略をとるのかによって、CSFは変わってきます。

メーカーを例にとれば、商品の差別化を図る差別化戦略、低価格を前面に押し出すコストリーダーシップ戦略、特定の顧客のニーズを深める集中戦略などが考えられます。
これらの戦略によってCSFが違うのは、当然といえます。

差別化戦略をとるのであれば、差別化した商品を売り続けるために技術革新や開発能力の強化。
コストリーダーシップ戦略をとるのであれば、受注、生産、流通、販売といった工程の効率化で大量生産を行うこと。
集中戦略であれば、ターゲット層にアピールする広告やイベント展開などが考えられます。

1-3-2. ボトルネックを改善する

部門レベルのCSFは、その部門がもつ機能や現場のオペレーションによって、絞り込み方が変わってきます。

ボトルネックとは、目標を達成するにあたって、マイナスの影響を与えてしまっている工程や業務のこと。
ある生産業務が5つの工程から成り立っていたとして、その中で生産能力が低いものや時間がかかっている工程がボトルネックとなります。

そのボトルネックを改善するCSFは、現場のオペレーションが関与するので、現場改善系のKPI設定に有効です。

1-3-3. クリティカルパスを短縮する

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クリティカルパスとは、前の工程が終わらなければ次に進めないという全体の工程において、もっとも時間がかかっている工程のことです。

たとえば弁当をつくるラインがあったとして、全体の盛り付けという工程の前は、惣菜をつくる工程とご飯をつくる工程に分かれています。

惣菜をつくる工程が、食材をカットするところからはじまって合計で30分、ご飯をつくる工程が、お米を研ぐところからはじまって合計で45分かかるとしたら、ご飯をつくる工程がクリティカルパスということになります。

このクリティカルパスを短縮することによって、全体の工程を効率化することができるのです。

1-4. KPIの設定

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第4の手順では、ひとつに絞り込んだCSFを数値化します。
KPIは、“Key Performance Indicator”の略語で、「最重要プロセスの数値目標」という意味です。

ある営業部で、「新規顧客の開拓による受注率アップ」がCSFに設定されたとして、過去の営業データや競合他社の状況を分析した結果、「期限内に300件の新規顧客にアプローチして目標受注率を達成する」という具体策が示されたら、この「300件」がKPIということになるのです。

KPIは関係者全員が目標とする指標ですから、その設定には現場活動からのボトムアップや、部門の連携なども検討しなければいけません。

1-4-1. SMARTで数値目標を設定する

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KPI設定の進め方は、SMARTが適しています。
「SMART」は、目標を設定する際のポイントを頭文字で並べたものが、KPIの設定にも当てはまるのです。

S(Specific)=具体的であること

具体的とは、全社員の誰が見ても同じように理解できるという意味です。
見る人によって解釈が分かれるようなものではなくて、誰が見ても同じ解釈ができる明確さが求められるのです。

M(Measurable)=測定可能であること

KPIは、目標の達成度を測定する指標ですから、変数でなければいけません。
「定量的」という言葉が使われる場合もあります。

たとえばCSFが「品質向上」であったとすれば、どうやって「質」を数値化すればよいのかということになります。
この場合は、新商品の受注率や顧客の満足度といった数値化が考えられます。

A(Achievable)=達成可能であること

KPIは、最終目標であるKGIと同様に、達成可能な目標でなければいけません。
かといって、簡単に達成できる数値では目標としてふさわしくありません。

たとえば競合先に勝てる数値であるとか、社内における過去の最高実績などを参考にした数値というように、現時点における自分たちのパフォーマンスよりも優れていて、実現している例があることが目安になります。

R(Relevant)=関連性があること

CSFやKPIの設定には、現場活動からのボトムアップが重要ですが、部門から現場、個人へとブレイクダウンするにしたがって、経営レベルKGIとの関連性が薄れてしまうことは珍しくありません。

KGIを達成するためのKPIなのですから、現場レベルに近づけば近づくほど、経営理念やKGIとの整合性を確認する必要があります。

T(Timely)=時間軸があること

いくら高い目標を掲げても、時間がかかりすぎていては意味がありません。
KGIもKPIも、達成期限を明確にすることが大前提となります。
通常は、KGIが設定される四半期や年次がKPIの期限となり、1カ月ごとの評価を行って改善していきます。

1-4-2. KDIやOKRとの違い

KDIは、“Key Do Indicator”の略語で、実業家の冨田和成氏が、2016年に出版した著書『鬼速PDCA』の中で使った造語です。

KFS(CSF)をどれだけ実行できたかという指標、わかりやすくいえばKPI達成のための「行動計画」を数値に置き換えたものです。
KDIの達成度をチェックすることにより行動を変えれば、より目標達成に近づくことができるという考え方から生まれた言葉です。

OKRは、“Objectives and Key Results”の略語で、「目標と、主要な結果」という意味です。
グーグルをはじめとするシリコンバレーの企業が採用したフレームワークとして話題になりました。

企業が「目標」を掲げ、各部門でそれを実現するための「結果」が設定されます。
各部門では、その「結果」を達成できる「目標」を設定し、さらに個人ごとの「結果」を設定するというようにブレイクダウンされていきます。

KPIが目標達成度を評価するために設定されるのに対し、OKRはトップから全社員までがリンクして活動することを目的として設定されます。

 

2. KPIマネジメント運用の手順

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以上、4つの手順でKPIの設定はできましたが、KPIを活用するKPIマネジメントの運用はここからはじまります。
KPIマネジメントの運用についても、基本的なことを解説しておきます。

KPIマネジメントは、PDCAサイクルで回すことによって目標達成に近づきます。
PDCAは、「Plan(計画)- Do(実行)- Check(振り返り)- Action(改善)」という4工程のサイクルで業務を改善する手法です。

KPI設定の4つの手順はすべて「Plan(計画)」の工程で、運用するためには「DCA」の知識が必要になりますから、ここで基本的な運用方法を理解しておきましょう。

2-1. Do(実行)

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KPIの設定ができたら、運用を開始する前にやっておかなければいけないことが3つあります。

ひとつめは、管理者が現場活動から上がってくるデータをしっかり収集できる体制の確認です。
KPIマネジメントは、定期的に目標達成度を評価することが重要ですから、そのためには管理者にデータが集積される必要があるのです。

定常業務にデータ収集のしくみが組み込まれていることを確認しましょう。

ふたつめは、定期的な評価でKPIが目標とされる水準に達していなかった場合の、対策を決めておくことです。

これは、「〇〇%以下」や「〇〇円以下」というように具体的な下限水準を設定して、その場合にはKPIの水準を下げたり、CSFを再検討したりという改善策をとる、ということを決めておき、関係者全員に伝えるというようなことです。

3つめは、KGI、CSF、KPI、評価のタイミングと対策に対して、関係者全員のコンセンサスがとれていることです。
管理レベルでは達成可能だと思っていても、現場レベルで不可能と判断されたのであれば、再検討の必要があります。

いざ、運営を開始する際には、社内報やトップの宣言などで「KPIマネジメントの運用がはじまります」ということを関係者全員にアナウンスします。

2-2. Check(振り返り)

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通常は1カ月ごとに、管理者が目標達成度を評価して、関係者全員に伝わるようにします。
この確認は、「振り返り」と呼ばれ、KPIマネジメントのキーポイントとなります。

目標達成度のシンプルな評価方法の例として、期末時の達成見込みを「Green」「Yellow」「Red」のシグナルで表す3段階評価があります。

Green  当月までの実績は計画どおり達成されており、KGIも達成する見込み。
Yellow  当月までの実績は計画を達成していないが、KGIは達成する見込み。
Red  当月までの実績は計画を達成しておらず、KGIは達成できない見込み。

毎月、このような評価を公表して、関係者全員が簡単に進捗状況をわかるようにするのです。

2-3. Action(改善)

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その月の評価が「Yellow」や「Red」になったら、管理者は達成できなかった原因を必ず明確にしなければいけません。
KPIの水準を下げたりする前に、原因の究明ができていないと、目標達成に近づくことはできないのです。

原因が明確になったら、その原因と改善策を関係者に伝えて、KPIの水準を下げたり、CSFを再検討したりといった手を打ち、次のPDCAサイクルにつなげるのです。

このようにKPIマネジメントは、管理者が振り返りと改善によってPDCAを回すことが目標達成のカギとなります。

 

まとめ

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KGIからKPIの設定に至る「Plan」のポイントは、「絞り込み」と「数値化」です。
このふたつが的確に行われれば、目標達成は現実味を帯びてきます。

KPIの設定には、「KPI検討シート」といった表を使って理論的に組み立てる方法もあり、テンプレートを掲載した本もありますから、実践してみたい人は参考にしてください。

また、PDCAサイクルを基本として、振り返りと改善に重点を置いたPDDS「Plan(計画) – Decide(絞り込む) – Do(実行) – See(振り返り)」というサイクルもあります。

これは、2018年に『最高の結果を出すKPIマネジメント』を出版した、元リクルートワークス研究所副所長の中尾隆一郎氏が考案した、より実践的なサイクルです。
こちらも参考にしてください。

→ 数字でビジネスを最大化し続けるリクルートでKPI講師を務めた現場のプロが実践してきたノウハウを公開!『最高の結果を出すKPIマネジメント』

【参考資料】
・『最高の結果を出すKPIマネジメント』 中尾隆一郎 フォレスト出版 2018年
・『KPIで必ず成果を出す目標達成の技術』 大工舎宏、井田智絵 著 日本能率協会マネジメントセンター 2015年
・『2時間でわかる 図解 KPIマネジメント入門』 堀内智彦 著 あさ出版 2016年

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