KPIの意味がわかる部門別設定例9件-目標達成度を評価する数値

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「KPI」という言葉は、ビジネスシーンでよく見かけるので気になりますよね?

KPIと一緒に「KGI」や「CSF」「PDCA」といった言葉も、よく使われます。
マーケティングやマネジメントには、こうしたアルファベットの略語が多いので、苦手意識をもっている人が少なくありません。

しかし、KPIを活用する「KPIマネジメント」は、ここにあげた「KGI」「CSF」「KPI」「PDCA」という4つの言葉の意味さえ理解すれば、簡単に概要をつかむことができます。
苦手意識をもつようなものではありません。

「KGI達成のためのKPIはCSFの数値目標」
簡単にいうと、この意味さえわかるようになればいいのです。

ここでは、KPIマネジメントの基本となる4つの言葉の意味を解説してから、9つの部門や組織でKPIを設定した例を紹介し、さらにKPIマネジメントの理解を深めていきます。

目次

1. KGI達成のためのKPIはCSFの数値目標
1-1. KGIの意味
1-2. CSFの意味
1-3. KPIの意味
1-4. PDCAの意味

2. KPIの部門別設定例
2-1. 営業部門
2-2. 製造部門
2-3. 研究開発部門
2-4. 間接部門
2-5. 社内スタッフサービス部門
2-6. マッチングビジネス
2-7. 従量課金サービス
2-8. 採用活動
2-9. 個人

まとめ

1. KGI達成のためのKPIはCSFの数値目標

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この文章の意味が正しく理解できている人は、この記事を読む必要はないかも知れません。
この一文には、KPIマネジメントの概要が語られているからです。

もう一歩踏み込んでいうと、目標達成のために最高の結果を出すことができるKPIマネジメントとは、「KGI達成のために絞り込まれたCSFをKPIという数値目標にし、PDCAで回すマネジメント」ということになります。

「一体何のこと?」
「まったく何のことかわからない」
その感じている人も、「KGI」「CSF」「KPI」「PDCA」という4つの略語さえ理解できれば、「なるほど!」ということになるはずです。

1-1. KGIの意味

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「KGI」は“Key Goal Indicator”の略で、「重要目標達成指標」などと訳されます。

「指標」とは、何かを判断したり評価したりするための目印のことで、マーケティングやマネジメントの分野では数値を意味します。
「KGI」は“Goal”という言葉でわかるように、最終的な数値目標のことです。

企業や組織で設定するKGIは、四半期、年次、3~5年間の中期、それ以上の長期と、様々な期限のものがあり、経営レベルでは営業利益、売上高、利益率などの数値目標が多くなります。

KGIの設定では、まずその企業や組織が「何のために」存在するのかという目的を明確にし、「いつまでに」「何を」「どうしたい」のかという目標を数値化します。
この目標は、実現可能なものでなければいけません。
いくら高い目標を掲げても、達成不可能であったら意味がないのです。

目標となるKGIが設定されたら、現状のまま期限まで進んだらその数値はどうなるかという、予測数値を算出します。

1-2. CSFの意味

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「CSF」は、“Critical Success Factor”の略で、「重要成功要因」などと訳されます。
読んで字のごとく、「成功するために重要な要因」ということです。

KGIが設定されたら、予測数値とのギャップを埋めるためにはどうすればよいのか、という手段(プロセス)を検討します。

経営レベルで営業利益のKGIが設定され、部門ごとに目標売上額が決まったケースでは、各部門で業務内容に応じたプロセスが考えられます。

営業部門を例にあげれば、新規顧客の獲得強化、営業人員の増員、顧客への提案アイテム増加、精鋭チームの立ち上げ、営業拠点の見直し、経費の節減と、目標額を達成するためにいろいろなプロセスが考えられることでしょう。

これらのプロセスから、もっとも効果的な手段を絞り込んだものがCSFです。
現場でコントロール可能なことや、現場の努力次第で向上することが条件となります。

営業人員や営業拠点にかんすることは現場でコントロールできるものではなく、経費の節減も限界があります。
新規顧客の開拓を目的とした、精鋭チームの立ち上げであれば営業部門内でコントロールできて、売上増が期待できます。

この場合、営業部門のCSFは、「新規顧客の開拓を目的とした、精鋭チームの立ち上げ」ということになります。

1-3. KPIの意味

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KPIは、“Key Performance Indicator”の略で、「重要業績評価指標」などと訳されます。
成功のための重要なプロセスであるCSFを数値目標に置き換えたものが、KPIです。

「どうするか」がきまったら、「何を」「どのくらい」という具体的な数値目標を立てます。
先の営業部門の例で考えると、KGIを達成するために「新規顧客の開拓を目的とした、精鋭チームの立ち上げ」というCSFを絞り込んだら、その戦略で「何を」「どのくらい」という数値目標を設定するのです。

KPIは、データの裏付けがある達成可能な目標で、関係者全員がわかるものでなければいけません。

過去1年間のデータを分析した結果、新規顧客の減少が進行して、売上が横ばい状態になっていることがわかったとします。

そこで、営業1~3課から、とくに新規顧客の開拓能力が高いと思われる人員を2名ずつ選出して6名の新規顧客開拓強化チームを結成し、KGIの達成期限である6カ月後までに、各課の契約件数と合わせて、新規顧客の契約件数300件を目指すという目標を設定したとしましょう。

この300件がKPIにあたります。

1-4. PDCAの意味

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PDCAは、“Plan – Do – Check – Action”の略で、「計画-実行-確認-改善」というサイクルを意味します。

KPIマネジメントは、プランを立てて運用をスタートさせただけでは機能しません。
管理者がデータを収集して定期的に進捗状況を確認、分析し、必要な修正を施してプランの改善を行い、次のPDCAサイクルをスタートさせるのです。

部門や組織の責任者が管理者になるケースが多いのですが、管理者がPDCAサイクルをしっかりと回すことができなければ目標達成には至りません。

現場からスムーズにデータが上がってくるシステムをつくり、1カ月ごとに進捗状況を評価して、その結果が関係者全員に伝わるようにします。

そして、その中間評価が目標達成ラインより下回っていた場合には、KPIの水準(どれだけ)を見直したり、CSFを再検討したりして次のサイクルへとつなげ、KGIの達成をめざすのです。

 

2. KPIの部門別設定例

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企業では、経営レベルで設定された全社のKGIから、事業別や部門別のKPIへとブレイクダウンされ、最終的には個人別のKPIが設定されることになります。

そして、個人レベルの目標達成が部門別や事業別の目標達成へとつながり、最終的に全社レベルのKGI達成へとボトムアップで連動していく構造になります。

ここでは、KPIの意味をさらに深く理解するために、部門レベルでKPIが設定された例を9件ほど紹介します。

2-1. 営業部門

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一般的に売上は、「営業活動量 × 受注率 × 平均単価」で算出されます。

ですから、営業部門で売り上げを向上させるためのプロセスは、「営業活動を増やす」「受注率を上げる」「客単価を上げる」のどれかを選択することになります。

単価を上げるためには、値引き率の見直しが必要とされますが、現場で値引き率のコントロールができない会社も多いはずです。

営業活動を増やすためには、営業人員を増やすことが考えられますが、これはタイムラグが発生しますし、新たなコストが必要になるので現実的ではありません。
現状の人員で、営業活動の時間を増やすという手もありますが、これも現実的ではありません。

そこで受注率を上げる手段を検討し、過去のデータから、単品の提案よりも複数アイテムの提案をしたほうが受注率アップにつながることがわかったので、複数アイテムの提案による受注件数300件をKPIに設定しました。

2-2. 製造部門

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製造部門の任務は、仕様のとおりの製品を「速く、安く、安全に」必要量つくることにあります。
生産の三要素とされるQCDとは、“Quality(品質)”の良い製品を、“Cost(コスト)”を安く、“Delivery(納期)”を守って生産することという意味です。

このQCDの達成が、CSFを絞り込むポイントとなります。

製造部門では、この三要素に基づいた生産管理の要素となる、品質管理、原価管理、納期管理がKPIに設定されるケースが多くなります。
これらのプロセスは数値化しやすいので、指標に適しているのです。

2-3. 研究開発部門

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研究開発部門の任務は、マーケティングとイノベーション(技術革新)を常に意識して商品やサービスの開発を行い、企業に貢献することです。

商品化するまでには時間がかかるものも多いので、他部門との差別化を前提として、顧客のニーズを探るマーケティングと、新たな市場を開拓するイノベーションを追求することになります。

商品開発にかかった経費だけでなく、人件費の総額も研究開発費となり、この費用は商品化された新商品の利益から回収することになります。

ですから、回収期間目標をKPIに設定するケースがあります。
開発にかかった期間が3年だとしても、2年後にはライバル商品の出現で次の新商品が必要とされる場合もあるので、製品のライフサイクルをしっかりと把握して目標設定しなければいけません。

2-4. 間接部門

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総務、財務、経理といった間接部門では、目標達成度を数値化することが難しいのですが、指標は必ず数値化しなければいけません。

たとえば経理部門で、「給与計算のミスをゼロにする」というKPIを設定したとしましょう。
これでは、他部門から「当たり前のことだ」と批判されても仕方がありません。

この場合は、目標にコストを入れることがポイントになります。
人員数が決まっていたら、その作業にかける時間がコストにつながるわけですから、「給与計算コストを10時間以内に抑える」というように、具体的な数値目標にコストを入れるのです。

間接部門のKPIは、直接部門の支援が前提になりますから、各直接部門の要求を情報としてしっかり収集するシステムを構築することも重要です。

2-5. 社内スタッフサービス部門

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社内スタッフ向けのPC、ネット回線、社内ネットワークなどにかんする問い合わせを受けているコールセンターの例です。

コールセンターは非生産部門で、利益は集計されずにコストのみが集計される「コストセンター」と呼ばれる部門ですから、徹底したコスト削減が求められるのが通常です。

このような部門でKPIに活用されることが多いのは、従業員満足度です。
定期的に社内アンケートを実施して、総合満足度やいろいろな項目の満足度を集計するのです。

満足度はレッドラインとグリーンラインを設けておき、レッドラインを下回った場合には人員を増やし、グリーンラインを上回った場合には人員を減らすといった改善をします。

ただし、レッドラインを下回った場合は原因を把握することが重要ですから、人員の増員は原因の分析ができてからにします。

2-6. マッチングビジネス

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マッチングビジネスと呼ばれる情報仲介ビジネスは、転職支援、不動産、旅行代理店、引っ越し、中古車販売などの情報を提供する企業から広告費をもらい、その情報を収集する個人ユーザに無料で情報提供を行っています。

マッチングビジネスでは、どのようなメディアを使えば効果的かということが、重要な課題となります。
かつては、駅の売店やコンビニエンスストアで販売する情報誌、フリーペーパーなどが中心でしたが、最近はスマホアプリが主流になっています。

この状況をつくるためにマッチングビジネス企業が行ったKPIマネジメントは、若い世代が移行しつつあったネットメディアの利用企業をいかに増やすかというものでした。

紙媒体のメディアとネットメディアが混在する状況の中で、まだネットメディアに信頼をもっていなかった企業に対して、既存のメディアとネットメディアのお得なセット商品を提供するというCSFを設定して、特定期間内の契約件数というKPIを達成したのです。

2-7. 従量課金サービス

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IT企業が提供する従量課金サービスとは、アプリやゲームなどの有料サービスで、利用した分だけ代金を支払うサービスです。

アプリを例にとれば売上は、「ユーザ数 × 有料アプリを購入するユーザの割合 × アプリの価格 × 手数料率」で表されます。

ですから、売上を上げる方法は、「ユーザ数を増やす」「有料アプリを購入するユーザの割合を上げる」「アプリの価格を上げる」「手数料率を上げる」という4つのプロセスが考えられます。

この例では、ユーザ数を増やすにはコストが必要、アプリの価格を上げることは自社ではできず、手数料率は契約上固定されているので変えられないという状況でした。

そこで、有料アプリを購入するユーザの割合を上げるために、広告やメールで一度に紹介するアプリを3つ以上に増やすことをCSFにし、3つ以上のアプリを紹介して購入してくれるユーザの数をKPIに設定しました。

2-8. 採用活動

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優秀な人材を得るための採用活動でも、KPIが活用されます。
採用数とは、「応募数 × 1次面接通過率 × 2次面接通過率」といった式で表されます。

応募数を上げることをCSFにした場合は、自社が必要とする職種の紹介を得意とする人材派遣会社を5社開拓といった数値がKPIになります。

また、通過率を上げるためには、2つの方法があります。
通過率は、「合格率 × 応募者の承諾率」で表されますから、合格率を上げるプロセスと承諾率を上げるプロセスが考えられます。

合格率を上げるためには、より自社のニーズに合った応募者を増やす、合格ラインを下げるといったプロセスがあり、応募者の承諾率を上げるには、早く内定を出すことが重要とされます。

そこで、採用選考の時間短縮をCSFとして、1週間の期間短縮をKPIに設定しました。

2-9. 個人

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最後に個人レベルのKPI活用例を紹介しましょう。
個人レベルといっても、経営レベルからブレイクダウンされた目標ではなくて、あくまでも個人の知識を高めることを目標とします。

情報をインプットするためにはいろいろなプロセスが考えられますが、次々に新刊が出版される書籍は、知識レベルを高めるのにとても効率的なプロセスです。

知識人になるという目標を達成するために、読書をCSFに設定したとしましょう。
最近は電子書籍もありますから、通勤時間をうまく使って毎週2冊の読書をKPIに設定してはどうでしょうか。

本を読めない日もあれば、休日などに1冊読んでしまう日もあるでしょうが、平均して週2冊のペースが維持できれば、年間100冊の本が読めることになります。
自分の読書のペースがあらかた把握できていれば、この年間100冊をKGIに設定してもいいでしょう。

 

まとめ

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KPIとは、ゴールに設定した目標に対して、どのようなプロセスがもっとも効果的か絞り込み、その過程でどれだけ達成できているか数値で評価するものです。

元々は、独立資本となる大企業の事業部の投下した資本と、その事業部で回収される利益との費用対効果を測るためのものでしたが、ここで概要を解説したように、部門レベルから個人レベルまで応用できる目標達成の技術として注目されたのです。

目標達成計画を管理するKPIマネジメントは、ひとつのKGIを達成することだけが目的ではなくて、PDCAというサイクルで明確な目標を目指し続けることに意味があることを忘れないでください。

KPIマネジメントについて、もっと詳しく学びたい方は、こちらもぜひご覧ください → 数字でビジネスを最大化し続けるリクルートでKPI講師を務めた現場のプロが実践してきたノウハウを公開!『最高の結果を出すKPIマネジメント』

【参考資料】
・『最高の結果を出すKPIマネジメント』 中尾隆一郎 フォレスト出版 2018年
・『KPIで必ず成果を出す目標達成の技術』 大工舎宏、井田智絵 日本能率協会マネジメントセンター 2015年
・『2時間でわかる 図解 KPIマネジメント入門』 堀内智彦 あさ出版 2016年

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