やりがいのある仕事を見つける4つの条件-人生を楽しむために

ビジネス

日本人の「仕事」に対する考え方は、平成の時代に大きく変わりました。
終身雇用や年功序列が当たり前であった企業は、能力本位、即戦力重視という体制へとシフトしたのです。

ひとつの会社で定年まで頑張って働き続け、第二の人生ではやりたいことをやって過ごすというセカンドライフ的な考え方をする人は少なくなり、自分の能力が生かせる場を求めて転職するケースや、早めに独立して会社を興すケースが増えました。

収入を得るという目的だけでなく、仕事で「やりがい」を重視する傾向が強くなったのです。
そこで多くなったのは、「やりがい」と収入のバランスをどう考えたらよいのかという悩み。
仕事にやりがいを感じられて、さらに収入アップがついてくればいいのですが、なかなか思うようにいかないのが現実です。

ここでは、やりがいのある仕事を見つけるヒントとして、「達成感」「情熱」「人の役に立つ」「生きがい」という4つのキーワードから導き出される4つの条件を解説します。
そもそも「やりがい」って何だろう?
仕事と労働の違いって何だろう?
生きる意味って何だろう?
そんな疑問を解消しながら、自分の人生を豊かなものにする仕事について考えてみませんか?

達成感

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達成感がやりがいにつながる感覚は、誰もが体験していますよね。

何かひとつのことをやり終えたときの充実した気持ち。
自分に成し遂げることができたのだという達成感。

そんな感情がわいて「やってよかった」と思えること、それが「やりがい」です。
何か事にあたる際の「手応え」や「気持ちの張り」と解説する辞書もあります。

仕事で得られる達成感を積極的に増やすことができたら、やりがいにつながると思いませんか?
達成感の正体と、積極的に増やす方法を考えてみましょう。

ストレスがもたらす達成感

仕事におけるストレスをどう軽減するかという問題は、メンタルケアの大きな課題として社会全体で取り組まれています。

ストレスは、人間が五感で外部から受けた刺激が脳に伝達され、主にマイナスの感情がわいたときに自分を守ろうとする防御反応。
ホルモンを分泌させたり、筋肉を緊張させたりして、迫りくるかもしれない危機に対して身構えるような状態をつくるのですから、その状態が続くと心身に悪影響を及ぼすわけです。

こうしたことから、諸悪の根源であるように考えがちな「ストレス」ですが、実は人間にストレスがなかったら、成長することもやりがいを感じることもできません。

よく「適度なストレス」という言葉が使われますね。
これは、「不快なこと」や「心身に負荷がかかること」をクリアして、達成感が得られることを意味しています。

もともと、ストレスのない生活などありえませんが、ことさらストレスを嫌って楽な方ばかりに進んでいたのでは「やりがいのある仕事」とは出会えないということです。

小さな成功の積み重ね

やりがいのある仕事につながる「達成感」とは、小さな成功の積み重ねです。

一生をかけて達成するような大きな目標ではなくて、今月の目標、今週の目標、さらにそうした目標を達成するために立てる1日の目標というように、小刻みな目標を達成しながら続いていく仕事。
そんな仕事には、やりがいが生まれやすいのです。

一気にゴールを目指すような生き方は、モチベーションを維持するのが難しく、耐える時間が長くなり過ぎます。
成長をもたらす負荷は、適度に軽く短期的なものでなければいけませんが、それがどの程度の負荷かということには個人差があります。
この目標設定が難しいと感じる人も多いですよね。
一般的には、「80~90%は達成できると思える」目標だといわれます。

そうした実現可能な短期的な目標を、負荷(ストレス)をクリアしながら続ける小さな成功体験が重要だということなのです。

仕事で継続と成長を大切にする

近年、世界で社会的な取り組みが進む「SDGs」は、「持続可能な開発目標」と訳されています。
英語の“Sustainable”を「持続可能」「継続可能」と訳したわけですが、“Sustainable”であることは「やりがい」を生む大きな要素だといえます。

続けていけること、そして自分が成長していけることが、「やりがいのある仕事」のひとつ目の条件。
そのために必要とされるのが、達成感を得ることによる「小さな成功の積み重ね」なのです。

ここで、ストレスから生まれる達成感には、リスクもあることを解説しておきましょう。
達成感や充実感は快感になりますから、求めるあまり、ストレスに気づかなくなってしまうことがあります。
ワーカホリックなどと呼ばれる状態で、意識しないままにストレスを重ねてしまい、ピンと張っていた糸が切れるようにして心身を危機的な状況に追い込んでしまうのです。

仕事では、ストレスケアの基本である、定期的な休息や早めの休憩を忘れないことも大切ですね。

情熱 

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求人情報には、よく「情熱のある人」などという条件が記されていることがあります。
あなたは、「仕事にかける情熱」がありますか?

今、“Passion”をマネジメントすることが、最高の仕事と人生を手に入れるカギだと提唱する、2020年に出版された自己啓発本『PASSION PARADOX』が注目されています。

“Passion”の訳である 「情熱」という言葉は、熱いものを感じるエネルギーをもっていますよね。
情熱をもてることには熱中できるもの。
仕事に熱中できたら、やりがいへとつながります。
さらに情熱には、ストレスさえ忘れさせるパワーがあるのです。

この項では、やりがいのある仕事を生む「熱い気持ち=情熱」について考察を深めていきましょう。

情熱を育む3要素

「パッション」と似た意味の言葉に「モチベーション」があります。
モチベーションは「動機づけ」と訳されますが、わかりやすくいうと「目標に向かったり、意欲をもって行動を起こしたりする源となる意識」で、「やる気」と訳されることもあります。

『PASSION PARADOX』では、情熱を持続させるためにはモチベーションが必要で、モチベーションを長続きさせるために必要な3要素があると述べています。

① 有能感
自分が進歩していると感じられることは、長続きします。
自分の仕事に手応えを感じたいと誰もが望んでいるのです。

② 自律性
情熱と幸福感を長続きさせるために不可欠な要素。
「自分はどのような価値観を信じているのか」「自分の言動は自分の内面と矛盾していないか」と内省することで、仕事を通じて「自分らしさ」を知ることにつながります。

③ 関係性
大きな集団との結びつきを感じられる活動は長続きしやすいといわれます。
ほかの人たちとつながり、集団の一員でありたいという気持ちは人間のDNAに刻まれている情報。
誰かと一緒に活動する、誰かの役に立つ活動をする、誰かの活動を引き継ぐといった方法で実践できます。

最初は仕事に情熱を感じていたのに、いつしか感じられなくなってしまったという人がいます。
これは、「仕事」を続けるうちにモチベーションを継続できなくなって、「労働」に代わってしまったということ。

一般的に、「仕事」とは身体や頭脳を使って働き、多くの場合に何らかの心地よい手応えがあるものであり、「労働」とは単に収入を得るために働くことを意味します。
「仕事」とは本来、やりがいのある活動を意味するのです。

成功に対する情熱と外的な評価というリスク

達成感と同じように、情熱にも追求にともなうリスクがあります。

もっとも多いのが、ある程度の大きな成功を手にして「もっと成功したい」「もっと儲けたい」「もっと名声を得たい」という気持ちが強くなり、情熱に飲み込まれてしまうケース。
原点は、何かを実行することに情熱を燃やしていたはずなのに、成果に対して情熱を抱くようになってしまうのです。

こうなると、仕事のやり方が他人の評価に大きく影響されるようになってしまうので、本来であったらモチベーションで乗り越えられる失敗や停滞で、大きな心理的ダメージを受けてしまいます。
成功したときこそ謙虚にならなければいけないといわれるのは、こうしたリスクの予防であるわけです。

仕事で「好き」を大切にする

情熱に飲み込まれたり燃え尽きたりすることなくコントロールできて、数カ月や数年にとどまらず、キャリアや生涯を通じて情熱を育み続けることが、やりがいのある仕事のひとつの条件だといえるでしょう。

そうした意味で、もっとも好ましい情熱とは「やっていて楽しい」という理由で没頭したときに抱かれる素直な気持ちだといいます。

好きなことや楽しいことを仕事にできて、モチベーションが維持できればいいわけですが、誰もがそうした完璧な仕事をできるわけではありませんよね。

そこで発想の転換です。
「好きなことを仕事にするのではなくて、仕事で好きなことを大切にする」
「楽しいことを仕事にするのではなくて、仕事に楽しさを見つける」
そう考えて、小さな情熱を継続させながら育んでいくという「やりがい」の見つけ方が、実は主流なのです。

人の役に立つ

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『島耕作』シリーズや『黄昏流星群』で知られる漫画家の弘兼憲史さんは、2020年に出版した著書『弘兼流 やめる!生き方』で、今が一番幸福だと思える人生にする方法として、「好きなこと」「楽しいこと」「誰にも迷惑をかけないこと」「人の役に立つこと」という4つの条件を満たすことをしませんかと提案しています。

自ら仕事人間だと語ってきた弘兼さんですから、これはそのまま「やりがいのある仕事」の条件としても成立してしまいます。

ここでは、この本でも取り上げられている「人の役に立つ」というキーワードを解いていきましょう。

ランキングに現れる真実

求人、転職情報サイトのデューダで公表されている「仕事満足度ランキング2020」を見ると、顧客から感謝の言葉を聞いたときや、自分の仕事が役に立ったときに「やりがいを感じた」という回答が、収入関連でやりがいを感じたという回答よりも圧倒的に多いことに気がつきます。

なぜ、「誰かの役に立った」ことが充実感につながるのでしょうか。
「情熱を育む3要素」で解説した「関係性」にひとつの答えがあります。
社会とのつながりをもちたい、集団の一員でありたいという社会的欲求が人間のDNAに刻まれており、誰かの役に立つことが、もっとも簡単で効果的な手段なのです。

人の役に立つことが幸福感につながるのは、まごうことなき真実。
幸福な人生を生きるための「やりがいのある仕事」には欠かせない条件だということがわかりますよね。

幻想ではなかった松下電器の哲学

弘兼憲史さんは、大学を卒業後に松下電器産業(現、パナソニック)に就職して3年半サラリーマンを経験しました。
その間に学んだことは、『島耕作』シリーズの根幹をなしているといいます。

経営の神様と称される松下幸之助さんの哲学を叩き込まれたと語っているのですが、その中でも有名なエピソードがあります。

入社後、「利益のことを考えてはいけない。お客さんが喜ぶことを考えろ」「お客が喜ぶことをすれば、利益は必ず後からついてくる」という教育を受けて、弘兼さんは「そんなの幻想だ。企業が利益第一でなくて成立するわけがない」と思ったのです。

ところが2年3年と働いているうちに、顧客を満足させることが仕事のやりがいになり、
そのとおりだと実感したといいます。
仕事とは、本来が誰かの役に立つ活動で、報酬を得られることが条件ではありません。
しかし、企業としてそういう仕事をしていれば、必ず利益につながるのだという教えです。

仕事で誰かを幸せにする

『弘兼流 やめる!生き方』では、幸福な人生を生きるために30以上もの「やめる」ことを提案し、最後の最後に「たったひとつだけやって欲しいこと」として「自分以外の誰かをひとりでも多く幸せにすること」をあげています。

これは、そのまま「やりがいのある仕事」を見つける条件のひとつとしてあげることができます。

自分の仕事は、「人の役に立っているか?」「誰かを幸せにすることができているか?」と常に自問しながら情熱を継続させましょう。

生きがい 

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4つ目のキーワードは「生きがい」というとても大きなテーマです。

「仕事にやりがいを感じる」と「仕事に生きがいを感じる」というのでは、自分の中で仕事が占める大きさに違いを感じませんか?
生きがいは、必ずしも仕事で求める必要はありません。

しかし、人生において仕事が占める時間はほぼ3分の1、睡眠時間と食事の時間を除いたら半分以上は仕事に費やすことになります。
仕事は、それほどひとりの人間の人生で大きな位置を占めるのですから、やりがいのある仕事が「生きがい」につながるケースはとても多いのです。

生きる意味を考えてみる

人間は、生きることに意味を求める唯一の動物です。

時代は変わっても、いまだに勤勉で禁欲的であることを美徳とする考え方が残っており、とくに日本人には全体のために自分を殺すという美学が根強く残っています。
そうした現実の中で生きる意味を考えたときに、はたして自分はこれで幸福な人生を過ごすことができるのだろうかと疑問をもつ人が増えました。

生きる意味が、「幸福を感じること」にあると思うからですよね。
多くの人が、抑圧することの美学から自分を解放して、もっと自分を生かせれば、もっと楽しむ要素があれば、幸福な人生を送ることができると考えるようになったのです。

日常に見つける非日常

『仕事なんか生きがいにするな』を著わした精神科医の泉谷閑示さんは、なんでもないような日常こそが、「生きる意味」を感じるために重要なカギをにぎっていると述べています。

日本人が古来大切にしてきた「生きがい」という概念は、世界から注目されたのですが、外国語で表すことが難しく、「IKIGAI」というようにローマ字で表されます。

日本人にとっての「生きがい」とは、「生きる意味」や「人生の目的」とは少し違い、日々の生活の中にある小さな決まりごとに「内なる喜び」を感じることで、おカネ儲けや合理性などに基づいた完璧さとは無関係のところにある「終点のない目標」だと解説したのは、脳科学者の茂木健一郎さんです。

日常の生活に「喜び」や「楽しみ」といった非日常を発見することが、「生きる意味」を感じることができて、「生きがい」にもつながるということになりそうですね。

仕事に些細な「喜び」や「楽しみ」を発見する

さて、こうした「生きる意味」や「生きがい」の解説で使われている「人生」を「仕事」に置き換えてみましょう。

「日々の仕事の中にある些細なことに、楽しさや喜びを見出す」

まったく違和感がありませんよね。
これがやりがいのある仕事を見つける4つ目の条件です。
仕事=人生ではありませんが、その違いは「やりがい」と「生きがい」の違いだといえます。

まとめ

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最後に、4つのキーワードをもとに考察した条件をあわせて「やりがいのある仕事」を定義してみましょう。

小さな成功を積み重ねる達成感を継続して情熱を育みながら、おカネ儲けとは無関係のところにある「喜び」や「楽しさ」を発見できて、それが誰かを幸福にすることだったら、それは「やりがいのある仕事」だと考えてよい。

いかがでしょう。
納得していただけましたか。

【参考資料】
・『PASSION PARADOX 情熱をマネジメントして最高の仕事と人生を手に入れる』 ブラッド・スタルバーグ、スティーブ・マグネス 著  池村千秋 訳  左右社 2020年
・『弘兼流 やめる!生き方』 弘兼憲史 著  青春出版社 2020年
・『仕事なんか生きがいにするな』 泉谷閑示 著  幻冬舎新書 2017年
・『IKIGAI: 日本人だけの長く幸せな人生を送る秘訣』 茂木健一郎 著 恩蔵絢子 訳  新潮社 2018年

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