ストレッチの効果を科学した15の真実-筋肉の柔軟性とは何か?

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身体が硬い人ほど、ストレッチで柔らかくしたいと思いますよね?

日常生活の中で体を動かしていても、それだけでは筋肉を柔らかくすることはできません。
正しい方法で筋肉を伸ばすことが必要とされます。

ただ筋肉を伸ばすだけではなくて、このポーズがどこの筋肉を伸ばしているのか、なぜこの動きで身体の柔軟性が高まるのかといったことを理解して行わないと効果が上がらないのです。

そのためには、科学的検証に基づいたストレッチの意義や効果を知らなければいけません。

ここでは、ストレッチで得られる身体の柔軟性と、正しいストレッチによる効果を15の真実として解説します。
ストレッチの事前知識として活用してください。

目次

■ ストレッチの効果を科学した15の真実

1. 生まれつき体が硬い人はいない
2. 男性は女性より柔軟性が低い
3. 筋肉は縮むだけで自ら伸びることはない
4. 過度な柔軟性は悪影響を及ぼす
5. よい姿勢に必要なのは上半身より下半身の柔軟性
6. 姿勢が悪いと内臓に悪影響を及ぼす
7. 身体が柔らかいとエネルギー消費量が多くなる
8. 柔らかさには横断的柔軟性と縦断的柔軟性がある
9. ストレッチの効果は主に7つ
10. 筋肉の起始と停止を遠ざけて伸ばすことが重要
11. ストレッチの種類と目的はさまざま
12. 静的ストレッチは入浴後か運動後がベストタイム
13. 動的ストレッチには反動をつける意味がある
14. ポイントは「毎日短時間」と「痛みを感じない」こと
15. 環境と服装を整えれば効果がアップする

まとめ

■ ストレッチの効果を科学した15の真実

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「ストレッチ(stretch)」とは、「引き伸ばす」「引っぱる」という意味の英語です。
「ストレッチング」とも呼ばれる運動の「ストレッチ」は、主に筋肉を伸ばす体操のことです。

正しいストレッチとは、どのような行為なのか?
ストレッチは、なぜ身体にいいといわれるのか?

この疑問に応えるべく、科学的検証に基づいたストレッチの意義や効果を解説するのが、この記事の目的ですが、決して論文のような硬い内容ではなく、誰にでもわかりやすい「ストレッチの科学」を15のポイントから説明します。

1. 生まれつき体が硬い人はいない

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「生まれつき身体が硬いから、ストレッチをしてもムダだ」と思っている人がいます。
この考え方は間違いです。

生まれたばかりの乳児は、誰もが股関節や肩関節の柔軟性が高く、ほぼ180度の開脚状態です。
これは大人にとってはとても難しい姿勢です。

やがて骨格が形成されていき、2歳になる頃には走れるようになり、自由に動き回るようになってから幼稚園くらいまでは、柔軟性にあまり個人差がありません。

小学生になると、外で遊ぶ子どもと家の中で遊ぶ子ども、運動が好きな子どもと嫌いな子ども、というように活動の個人差が出てきて、身体能力にも差が現れます。
中学、高校と進むにしたがってその差は大きくなり、運動をしない子どもは身体が硬くなっていくのです。

このように、身体の柔軟性は主に成長過程にある学生時代に大きな差がつき、運動量が減る社会人になると、硬くなった身体を柔らかくする機会も少なくなります。
筋肉が硬くなってしまう最大の原因は加齢ではなく、使わないことにあるのです。

2. 男性は女性より柔軟性が低い

一般的に、男性よりも女性の方が身体が柔らかいとされます。
男性は加齢とともに柔軟性が少しずつ失われていくケースが多いのですが、女性は60代になっても20代とほぼ変わらない柔軟性を維持しているケースが多いのです。

この原因は、骨格の違いと女性ホルモンの働きによるものです。

女性は出産を担うために骨盤の横幅が広く、股関節がゆるい構造になっています。
また、安全に出産するために、女性ホルモンには腱や靱帯などの結合部にあるコラーゲンを柔らかくする働きがあります。

しかし、これはあくまでも生物学的な男女の違いであって、男性が女性以上に柔軟性を身につけにくいということではありません。
年齢や性別を理由にして、柔軟性のある身体づくりをあきらめる必要はないのです。

3. 筋肉は縮むだけで自ら伸びることはない

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筋肉は定期的に伸ばさないと、正常に緩むことができなくなっていきます。

片腕のヒジを曲げて力コブをつくってみてください。
力コブは上腕二頭筋という筋肉ですが、このとき収縮している状態です。
ヒジを伸ばすと力コブはなくなりますが、これは上腕二頭筋が伸びたわけではなくて、緩んだ状態なのです。

筋肉の最小単位は「筋原線維」という細胞で、筋原線維の最小単位が「サルコメア(筋節)」という線維です。
サルコメアは「アクチン」と「ミオシン」という2つのフィラメント(連続した長い繊維)で構成されおり、刀と鞘のようにミオシンがアクチンの中に入り込むと、筋肉の収縮が起こるしくみになっています。

脳から筋肉に「縮め」という指令が出ると、筋肉の外にあるナトリウムイオンが筋肉に移動し、このときに電圧の変化が起こって筋原線維内でカルシウムイオンが放出されます。
このカルシウムイオンがアクチンとミオシンに作用して筋肉の収縮が起こるのです、

カルシウムイオンがもとに戻ると、アクチンとミオシンももとの状態に戻って筋肉は緩みます。

このように筋肉は収縮と弛緩をするだけで、伸びることはありませんから、使わないでいると柔軟性が失われるのです。

4. 過度な柔軟性は悪影響を及ぼす

身体が柔らかいことの象徴でもあるように、180度開脚を目指す人がいますが、180度開脚ができても日常の生活にプラスになることはありません。

そればかりか、180度開脚は関節が生理的な可動範囲を超える状態ですから、股関節にトラブルを生じさせるリスクがあります。
とくに男性より股関節が緩い女性は注意すべき。

日常生活にプラスになるとすれば、前後開脚の方が歩幅が大きくなるメリットはありますが、これも股関節にトラブルが生じる可能性があることを理解しておかなければいけません。

身体は柔らかければいいというものではなく、生理的な可動範囲を超える動きは、弊害を生むこともあるのです。

通常では難しいポーズをつくるヨガは、本来修行として行われていたものであり、簡単なものにアレンジされた「簡単ヨガ」とは、目的も効果も異にするものです。
ストレッチとヨガの違いは、ストレッチの動きが適切な可動範囲を超えないところにあります。

5. よい姿勢に必要なのは上半身より下半身の柔軟性

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下半身、とくにお尻の柔軟性は、健康に大きな影響を及ぼします。

仕事では座りっぱなしでパソコン作業を続け、通勤中は首を前傾させてスマホとにらめっこをしている人は、とくに気をつけなければいけません。

頭が前に出て背骨が丸まった猫背の状態が続くと、骨盤が後退してお尻の筋肉が硬くなり、骨盤を立てて姿勢を正そうとしてもできなくなっていくのです。

その結果、ますます姿勢が悪くなり、外見が老けるだけでなく、首や肩のこり、腰痛などを引き起こします。
お尻に柔軟性がないと重心が後方に傾くので、しゃがむと後ろに倒れてしまいます。

お尻の柔軟性は知らない間に悪化しますから、ストレッチの重要ポイントなのです。

6. 姿勢が悪いと内臓に悪影響を及ぼす

骨盤が後傾した悪い姿勢が続くと、お尻だけではなくて、首の前、胸、お腹、太ももの筋肉も硬くなります。
上半身は、前側の筋肉が硬くなるので、内臓に様々な悪影響を及ぼすことになります。

まず、横隔膜が正常に動かなくなるので呼吸が浅くなり、十分な酸素を取り込むことができなくなります。
全身に十分な酸素が行き渡らない状態になれば、老廃物が溜まって疲れやすく老化も進みます。

さらに、腹腔が圧迫されて血流が滞り、胃腸の働きが低下します。
消化吸収という機能は、胃腸だけでなく、各消化器のサポートがあって成立しているものですから、悪い姿勢のまま食事をすると消化吸収機能が低下します。

ストレッチによって姿勢を正すことは、見た目の問題だけでなく、全身の器官を健康に保つ効果があるのです。

7. 身体が柔らかいとエネルギー消費量が多くなる

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人間が1日に消費するエネルギーは、呼吸や血流、脳の働きといった生命維持に必要な「基礎代謝」が60~70%を占め、運動などによって消費される「身体活動代謝」が20~30%、残りの10%程度は消化吸収で消費される「食事誘発性熱産生」が占めています。

身体活動代謝には、通勤や家事、オフィスワークなどで消費する「NEAT(非運動性身体活動代謝)」が含まれていて、実は運動によって消費されるエネルギーよりも、こちらを増やすことが重要とされています。

NEATは、ひとつひとつのエネルギー消費量は少ないものの、1日分が積み重なると大きなものになります。
ストレッチによって身体の柔軟性を高めると、仕事をしていても早歩きや階段の上り下りが苦にならなくなるので、このNEATを増やすことができるのです。

8. 柔らかさには横断的柔軟性と縦断的柔軟性がある

ストレッチの効果による柔軟性は、「疲労によって硬くなった筋肉がほぐれる」ことと、「筋肉が柔らかくなって伸びやすくなり関節の可動域が広がる」という2つの要素があります。

筋肉がほぐれて柔らかくなる効果は、「横断的柔軟性」と呼ばれます。
一方、筋肉が縦方向に伸びることで関節の可動域が広がる効果を「縦断的柔軟性」と呼ぶのです。

身体が柔らかくなるということは、この2つ柔軟性が高まったことを意味します。

9. ストレッチの効果は主に7つ

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ストレッチの主な効果は、次の7つに集約されます。

① 身体の柔軟性の維持と向上
② 関節可動域の改善と維持
③ ケガの予防
④ 筋肉疲労の回復
⑤ 身体の痛みをやわらげる
⑥ 心身をリラックスさせる
⑦ 筋委縮(筋肉がやせること)の抑制

筋肉は柔軟性を失うと損傷しやすくなります。
スポーツにおいてだけでなく日常生活においても、ストレッチを行うことで、思わぬ転倒や疲労骨折、腱や靱帯の損傷といったケガのリスクを減らすことができます。

筋肉のダルさや痛みは、筋肉が緊張して硬くなり、老廃物がたまっているサインです。
筋肉を伸ばしてほぐすことにより、血行を改善して老廃物の排出を促すことができます。

ストレッチによって自律神経のバランスを整えることができるので、メンタルにも有効。
さらに、骨折などで筋肉を使わなくなって委縮してしまうようなときに、ストレッチで血行を改善することにより、筋肉の萎縮を抑えることができるのです。

10. 筋肉の起始と停止を遠ざけて伸ばすことが重要

筋肉は、その両端がひとつ、もしくは複数の関節をまたいで骨に付いています。
その両端で、身体の中心に近い方を「起始」、遠い方を「停止」といいます。
身体の体幹になる筋肉では、よく動く方が「停止」、動きにくい方が「起始」となります。

ストレッチの具体的な効果とは、この起始と停止を遠ざけて筋肉を伸ばすことなのです。

正確にいえば、ストレッチで伸ばされているのは筋肉だけではなく、筋肉を何層にも取り囲んでいる結合組織の筋膜や腱、関節、皮膚、神経や血管なども同時に伸ばされています。
筋肉を伸ばすことによって、様々な組織をケアしているのです。

11. ストレッチの種類と目的はさまざま

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ストレッチというと、多くの人は、目的の部位をじっくり伸ばしていく体操をイメージすると思いますが、実施方法や目的によっていくつかに分類されています。

① スタティックストレッチ(静的ストレッチ)
反動や勢いをつけずにゆっくりと筋肉を伸ばし、最終的なポーズを一定時間キープする、もっとも一般的で安全なストレッチです。

② ダイナミックストレッチ(動的ストレッチ)
身体を動かし続けながら、筋肉や腱を伸ばす動的ストレッチの一種で、一対となっている表と裏の筋肉を意識して伸ばします。
競技動作に近い動きをしたり、移動したりするので、スポーツのウォーミングアップに適しています。

③ バリスティックストレッチ(動的ストレッチ)
これも動的ストレッチの一種で、反復運動で弾みをつけて徐々に身体を大きく動かしていき、頂点で筋肉を伸ばします。
ラジオ体操なども、このストレッチに含まれます。

④ コンパウンドストレッチ
三次元の動きを組み合わせて行うので、「3Dストレッチ」とも呼ばれます。

⑤ コンプレッションストレッチ
手や器具で、筋肉を軽く圧迫して行うストレッチです。

⑥ パートナーストレッチ
ひとりで行うセルフストレッチに対して、2人で行うのがパートナーストレッチです。
パートナーが他動的に筋肉を伸ばすので、リラックスした状態でストレッチができます。

⑦ PNFストレッチ
リハビリテーションを目的に開発されたパートナーストレッチで、パートナーには知識と技術が必要です。

12. 静的ストレッチは入浴後か運動後がベストタイム

静的ストレッチは、寒い環境や体温が低い状態で行っても、筋肉が伸びにくいので効果があがりません。

ベストタイムは、体温が上昇している入浴後です。
40度のお湯に10~15分浸かると、全身の血管が拡張して血流がよくなり、体温が0.5~1.4度程度上昇します。

この状態で静的ストレッチを行えば、小さな負荷でも筋肉を十分に伸ばすことができます。

ストレッチといえば、運動前のウォーミングアップがイメージされるかもしれませんが、むしろ体温が上昇している運動後こそ、ストレッチが有効なのです。

13. 動的ストレッチには反動をつける意味がある

静的ストレッチが柔軟性を向上させる運動の主流になる前は、反動をつけて行うバリスティックストレッチが柔軟体操として代表的なものでした。

一時は筋肉を「急激に伸ばすのでよくない」と批判を受けていましたが、現在は実践的なストレッチとして再評価されています。
筋肉は収縮する前に一度伸ばされると、より大きな力を発揮することが証明されたからです。

ただし、バリスティックストレッチは、速度と動作の大きさを制御しながら行う必要があり、ムリな反動をつけたり、急激に強い刺激を身体に与えたりすることには注意しなければいけません。

14. ポイントは「毎日短時間」と「痛みを感じない」こと

ストレッチの効果持続時間は6時間程度とされ、「やり貯め」はできません。
ですから、3日に一度長時間行うよりも、毎日短時間行う方が効果的なのです。

夜の8時にストレッチを行ったとすれば、朝起きたときには効果が薄れています。
日頃から小まめに筋肉を伸ばす習慣を身につけることがポイント。
効果が出るまでの期間には個人差がありますが、まずは習慣化することが大事なのです。

そして、痛みを感じないで行うことも大事なポイントです。
硬くなった筋肉にいきなり大きな負荷をかければ、かえって不調を招きます。
痛みやこりがある場合には、伸ばす前にマッサージなどで身体をほぐします。
入浴でリラックスしてから行うのも有効です。

15. 環境と服装を整えれば効果がアップする

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どこでもいつでもできる、というのがストレッチの最大の長所です。

ただし、心身ともにリラックスした状態で行うのが理想で、そうした環境を整えることで効果がアップします。
照明やアロマ、音楽などで環境を工夫しましょう。

服装も、デニムなどの伸縮性の低いものは避け、ゆったりしたもので行い、ストレッチを終えたらそのまま眠れるようなものがベストです。

 

まとめ

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ここでは、ストレッチの意義や効果を解説しましたが、実践編「柔軟な体をつくる6つの部位別ストレッチ-朝晩5分の楽々体操」では、具体的な動作やポイントを紹介します。

よくブログなどで、「ストレッチを一定期間続けているのに、ダイエットの効果なし」というような記事がありますが、そもそもストレッチはカロリーの消費を目的としたものではありません。

ストレッチの効果が上がれば、結果的にダイエットにも有効であることは間違いありませんが、ダイエットを目的とするのであれば、ストレッチを行いつつ筋トレや有酸素運動を実践する必要があります。

【参考資料】
・『最新 ストレッチの科学』 坂詰真二 監修 新星出版社 2017年
・『ストレッチの科学』 長畑芳仁 監修 洋泉社 2016年

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