フリーランスで働く人に必要な10の知識-職種から確定申告まで

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今、フリーランスという生き方が注目されています。
フリーランサーとして働く人が増えており、政府も働き方改革の推進とともに、フリーランスを保護する法整備を進めています。

「フリーランス」という言葉から浮かぶイメージは何でしょう?
「フリー」という言葉から、「自由」であることをイメージする人が多いかもしれません。

よく使われる言葉なのに、フリーランスの意味をしっかり理解している人は少ないですよね。
それも当然のことで、フリーランスという立場は、まだ社会的に明確な分類や定義ができていないのが現状なのです。

今後、ますます増えるであろうフリーランスという形態をより深く理解するために、ここでは、フリーランスという立場で働きたいと考えている人に向けて、その概要や基本的な知識、現状などを10のポイントから解説します。


目次

1. フリーランスとは仕事をする形態
2. フリーランスで働くメリットは?
3. フリーランスで働くデメリットは?
4. フリーランサーが多く活躍する職種
4-1. 医師や弁護士
4-2. 技術職・IT系
4-3. 芸術・マスコミ系
4-4. コンサルタント系
4-5. インターネット系
5. 開業届を出せば個人事業主
6. 確定申告を知る
6-1. 確定申告と源泉徴収
6-2. 青色申告とは?
7. 健康保険と年金を知る
8. 会社員がフリーランサーになる際の手続き
9. フリーランス協会の現状
10. 2023年にはじまるインボイス制度
まとめ

1. フリーランスとは仕事をする形態

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「freelance(フリーランス)」は英語で、「特定の企業や団体に属さず、自らの技能を提供して収入を得る個人事業主」という意味。
日本でも、ほぼそのままの意味で使われていますが、「フリーランス」と「個人事業主」は分けて考えられています。

2020年に行われた「持続化給付金」の受給資格などでは、「フリーランスを含む個人事業主」という表現が使われていましたよね。
どちらも、「特定の企業や団体に属さず、自らの技能を提供して収入を得る」ことに変わりはなくても、個人事業主ではないフリーランスもあるわけです。

「個人事業主」が何かということは後で解説しますが、税務上の分類と考えてください。
税務上、個人事業主として扱われないフリーランスもあるということです。

フリーランスという立場で仕事をする人を「フリーランサー」と呼びます。
「フリーター」という言葉は、「フリー」と「アルバイター」を合わせた和製英語で、フリーランサーが「自らの技能を提供して収入を得る」のに対し、単にアルバイトをして生きている人のことを指す言葉です。

2. フリーランスで働くメリットは?

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会社員や公務員として働くこととフリーランスとして働くことを比較すると、会社員や公務員が安定した収入を得られるのに対して、フリーランスは安定していないことが最大のポイント。
その代償として得られるものが「自由」です。

基本的に誰かからの命令に従って動くのではなく、自分がやりたいように働き、好きな生き方をすることができます。
金銭面でのメリットは、成功すれば会社員では実現できないような高収入を得ることも可能。

時間的にも拘束されませんから、働く時間も休む時間も自分で決めることができます。

フリーランスという生き方が注目されている理由に、「生きがい」を感じられるという点があります。
すべての結果が自分ひとりに返ってきますから、うまくいけば大きな生きがいを感じることができるのです。

3. フリーランスで働くデメリットは?

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フリーランスで働くことのデメリットは、メリットの反面だといえます。
毎月給料をもらう会社員などのように収入を安定させることは、なかなか困難です。
ケガや病気で仕事を休まなければいけなくなったら、収入はゼロ。
また、半年先、1年後といった将来の保証もありません。

そして大きなデメリットは、企業や団体で仕事をするようなスケールメリットがないということ。
これは、脱サラや起業のために退社をした人が痛感することで、会社の看板が外れた瞬間に周囲から人が消え、いままで自分が仕事をできていたのは、後ろに会社があったからだと気づくのです。

仕事を発注する立場としては、大企業と取引するようなステータスや、その仕事から広がる旨味がないわけです。

4. フリーランサーが多く活躍する職種

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フリーランサーは、特定の企業や団体に属さず、自らの技能を提供して収入を得る形態。
現在の日本で、フリーランサーがどのように活躍しているか見ていきましょう。

4-1. 医師や弁護士

以外と知られていないことですが、医師にはフリーランスで働く人が増えています。
テレビドラマの「ドクターX」ではフリーランスの医師が描かれていましたが、病院に属すのでもなく、開業医として医療行為を行うのでもなく、非常勤やスポット勤務など自分のスケジュールに合わせて働く医師です。

また、弁護士、司法書士、税理士、社会保険労務士、土地家屋調査士など「士業」と呼ばれ職種もフリーランスで働く人が多い分野。
医師や士業は、単なるスキルだけではなくて国家資格が必要ですから、高収入を得ている人も多く、マネージメントを代行してくれるマネージャーやエージェントと契約する人も多い分野です。

4-2. 技術職・IT系

日本でもっとも多いフリーランスの職種は「デザイナー」です。
ひとことでデザイナーといっても、ファッションデザインからグラフィックデザイン、WEBデザイン、CGデザインなど多岐に渡りますけども、フリーランサーがとくに多いのはWEBデザインやグラフィックデザインの分野。

技術系としては、工学的な技能をもつエンジニアにフリーランスが多く、中でもITエンジニア、プログラマー、SE(システムエンジニア)、サーバーエンジニアといったIT系が人気の職種です。

技術系では、大工や職人、美容師なども従来からフリーランスで働く人が多い分野。
建設業や林業、漁業などで、従業員を雇わずに個人で仕事を請け負う個人事業主を「一人親方」と呼びます。

4-3. 芸術・マスコミ系

ミュージシャンや俳優、演出家や脚本家などのエンターテイメント関連職種も、フリーランスが多い分野です。
ただし、そうした職業でも安定性を求めて、プロダクションと契約して給与を得ている立場はフリーランスといいません。

もっとも多い形態は、プロダクションやエージェントが営業代行を行い、基本的にはフリーという立場で仕事を受けているケース。
プロダクションなどから支払われる報酬は源泉徴収され、個人で確定申告します。

作曲家や写真家といった芸術関連職種もフリーランスが多い分野ですが、ミュージシャンや俳優と同様に、収入が増えてくると個人オフィスを設立して法人化するケースも少なくありません。

4-4. コンサルタント系

人々の悩みや問題を解決するコンサルタントに関する資格は、ほとんどがローカルな資格で、とくに資格がなくても自分で「コンサルタント」と名乗れば成立する職種。
ですから、やりがいと収入の両立を目指してフリーランスで働く人も多い分野です。

フリーランサーすべてにいえることですが、とくにコンサルタント系は「信用」と「実績」がなければ仕事として成り立ちません。
そのためには、常にマーケティングで世の中の流れを把握し、自らの人生経験やスキルを活かして、どれだけ人の役に立つかということがポイントとなります。

4-5. インターネット系

近年、フリーランサーが急増し、政府もフリーランスという生き方をバックアップし出した背景にはインターネットビジネスの普及があります。

大きな資本を必要とせずに個人でも簡単にはじめられるものには、サイトやブログに広告を掲載して、そこから売り上げにつながった成果に応じた報酬を得るアフィリエイト、オークションなどを活用する転売ビジネス、スキル販売サイトで自分のスキルを提供して報酬を得る、クラウドソーシングを利用して仕事の依頼主を探す、といったことがあげられます。

YouTubeやInstagramでフォロワー数を増やして多額の収入を得るインフルエンサーも話題になっていますよね。

こうしたネット系は、誰でもはじめられて高収入につながるチャンスがある反面、競争率が高く飽和状態になっているので、強い個性や飛びぬけた技能がなければ仕事として成立させるのは難しい分野です。

5. 開業届を出せば個人事業主

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さて、持続化給付金などの受給条件で見られた「フリーランスを含む個人事業主」という表現でわかる、「個人事業主ではないフリーランサーもいる」という点を解説しましょう。

個人事業主になるためには、税務署に開業届を提出する必要があります。
同じように高い技能を提供して収入を得ているフリーランサーでも、開業届を出していなければ個人事業主ではありません。

開業届を出して個人事業主になるメリットは、「屋号で銀行口座が解説できる」「青色申告ができる」「家族に支払った給与を経費として計上できる」といったことがあります。
青色申告にかんしては次項で解説しますが、税制で優遇される反面、複式簿記による複数の帳簿の記載が課せられるので基本的な簿記の知識が必要になります。

6. 確定申告を知る

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企業や団体に属さないで収入を得るフリーランスは、1年間の収支やそれにともなう税金の額を自ら申告しなければいけません。
これが「確定申告」と呼ばれる税制の手続きです。

フリーランスとして生きていく以上、避けて通れない道ですから、概要を理解しておく必要があります。

6-1. 確定申告と源泉徴収

個人の所得税や住民税は、その年の1月から12月までの1年間の所得に対して課税されます。

会社員の所得税は、その年の12月の給料で清算して納税しますが、これが「年末調整」と呼ばれるもの。
フリーランスの場合は、翌年の2月16日から3月15日までの間に、住所を所轄する税務署で「確定申告」を行って納税します。

給与や報酬などの支払いを受ける際に、あらかじめ所得税を引かれるのが、「源泉徴収」で、確定申告の際には、その1年間にその業者から支払われた総額と引かれた所得税の額が記載された「源泉徴収票」を提出して、最終的に決定した所得税額と調整します。

通常は10%の源泉徴収をされており、その年の「収入」から経費を差し引いた「所得」に対して課税される所得税の額の方が多ければ差額を収め、少なければ源泉徴収額との差額が還付されます。

6-2. 青色申告とは?

確定申告には、「白色申告」と「青色申告」があります。
それぞれ申告書の色を示していたことからそう呼ばれていますが、現在では給与所得、雑所得、配当所得、一時所得だけの人が使用する「確定申告書A」と、所得の種類にかかわらず使えるように項目が多くなっている「確定申告書B」があります。

フリーランスでも開業届を出していない人、たとえば原稿料を「雑所得」として申告しているフリーライターなどは、簡易バージョンである「確定申告書A」を使用し、個人事業主の場合は、白色申告でも青色申告でも「確定申告書B」を使用します。

開業届を提出して個人事業主になると、税法上のメリットがある青色申告ができるようになり、そのためには申告を行う年の3月15日までに「青色申告承認申請書」が受理されている必要があります。

青色申告のメリットは、簡易帳簿で10万円、正規帳簿で65万円の青白申告特別控除や、赤字が出たときに損失を翌年以降3年間繰り越して黒字と相殺できるといったものなど。
詳細は、専門の記事か国税庁のサイトでご確認ください。

7. 健康保険と年金を知る

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健康保険(医療保険)には、職場の健康保険(職域保険)と、その加入者以外を対象とした地域保健があり、日本ではいずれかに加入することが義務付けられています。

職域保険の代表が、会社員が加入する「健康保険(一般被用者保険)」や公務員や学校の教職員を対象とした「共済保険(特定被用者保険)」。
一方の地域保険には、自営業者や年金生活者などが加入する「国民健康保険」と、75歳以上の高齢者を対象とした「後期高齢者医療保険」があります。

年金においても日本では、20歳以上60歳未満の国民に「国民年金」への加入が義務付けられており、会社員や公務員の場合はそれに加えて「厚生年金」に加入します。
公務員が加入していた共済年金は、2015年10月厚生年金に一元化されました。

フリーランスで働く場合は、地域保健と国民年金に加入しなければいけませんから、会社員からフリーランスへ転向した場合には、手続きが必要となります。

8. 会社員がフリーランサーになる際の手続き

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会社員がフリーランスに転向するケースで、必要とされる手続きを整理しておきましょう。
健康保険や厚生年金の転出手続きは会社でやってくれますが、加入手続きは自分でやらなければいけません

税金も保険も年金も、手続きは退職後に行います。
税金の申告はすでに解説したとおり、退職した翌年の2月から3月にかけて確定申告を行いますが、年金や保険の加入手続きは、退職日の翌日から14日以内に市区町村の窓口で行わなければいけないで、事前に準備しておいた方が安心です。

退職日には、次のものをもらえるように会社に確認しておきましょう。

・健康保険関連
 健康保険資格喪失証明書
・厚生年金関連
 年金手帳
退職証明書や資格喪失証明書など
・雇用保険関連(失業保険の手続きに必要)
 雇用保険被保険者証
 離職票
・税金関連
1月1日から退職日までにあった給与所得の源泉徴収票

9. フリーランス協会の現状

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フリーランスとして働く人がますます増える昨今、フリーランサーのために設立された「フリーランス協会」のことも知っておいた方がいいでしょう。

正式名「一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会」は、「多様な働き方をするフリーランスやパラレルワーカーがますます活躍できる土壌をつくり、 一人ひとりが自分らしい働き方を選択できる社会を実現する」ことを目的として、2017年1月に設立され、20を超える企業や団体が支援活動を行っています。

入会するためには審査に合格する必要があり、年会費も1万円かかりますが、トークセミナーをはじめとする、フリーランス同士またはフリーランスと企業の交流イベントに参加できて、福利厚生サービスが受けられるようになり、ケガや病気で働けなくなったときのために所得補償プランなども用意されています。
 
興味がある人は、メールマガジンが配信される無料会員として登録してみるのもいいでしょう。

10. 2023年にはじまるインボイス制度

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今、多くのフリーランスが直面している問題に「インボイス制度」があります。

消費税は、前々年の課税売上高が1000万円以上の「課税事業者」に納税義務があり、非課税事業者には納税義務がありません。
課税事業者が納税する消費税額は、消費者からあずかった消費税額から仕入れ時に支払った消費税額を差し引いた額になり、これを「仕入税額控除」と呼びます。

現在は申請さえすれば仕入税額控除が受けられますが、2023年10月からは、課税事業者だけが発行できる「適格請求書」がないと受けられなくなるというのが、インボイス制度の概要。

免税事業者であるフリーランスに仕事を発注する業者は、その支払い分に関して仕入税額控除が受けられなくなるので、課税事業者に発注した方が納税額が少なくできるのです。

フリーランサーには、「仕事が減ることを覚悟して免税事業者を続ける」「2021年度の課税売上を1000万円以上にして課税事業者になっておく」「課税売上が1000万円以下でも課税事業者となって消費税の申告と納税をする」という3つの選択肢があります。

まとめ

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自由な生活と引き換えに、安定した収入をあきらめるのがフリーランスの生き方ではありません。
たしかに最初から収入を安定させることは難しいでしょうが、「自由な生活」と「安定した収入」の両方を手に入れることは実現可能で、多くのフリーランサーが成功させています。

そのために必要な知識を簡単にまとめたのが本記事です。
ここでもう一度、原点に返ってよく考えてもらいたいことがあります。
それは、なぜフリーランスとして生きたいのかということ。

それが、今の生活からただ逃げるためであったら、成功する可能性は低いでしょう。
大切なのは、「好きなことをして生きるため」「人生を楽しむため」「自分の生き方を探すため」といった前向きな発想です。
フリーランサーが成功するためには、そうした前向きな姿勢が生むプラスエネルギーが大きな味方になるといわれています。

 

【参考資料】
・『フリーランス1年目の教科書』 飯野たから 著  自由国民社 2019年
・『失敗しない! フリーで個人で力強く独立できる本』 中野裕哲 著  明日香出版社 2016年

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