工事情報共有システムとは、建設現場などの工事施工中において、受発注者間のコミュニケーションを円滑にするシステムのことです。
工事情報共有システムの活用は、今や建設現場において基本となっています。
利用範囲は土木工事だけではなく、機械設備工事や電気設備工事にも導入が進んでいます。
しかし、いざ導入を検討する際には
- 職人・技術者はITが苦手な人が多いから浸透しないのではないか
- どの工事情報共有システムを選べばいいかわからない
といった悩みを持つ方も多いはず。
そこで本記事では、仕事をかしこく・たのしくするビジネスメディアを運営する「Smarf」が、それぞれの工事情報共有システムの特徴、機能などを比較しながら紹介していきます。
工事情報共有システムを活用することで
- 新たな案件獲得を目指す建築会社の経営者様
- 工事の生産性向上を図る元請け企業のご担当者様
といった方はぜひ最後までご覧ください。
工事情報共有システムとは?
工事情報共有システムとは、土木建築などの工事施行時に発生する図面・工程表・写真などの書類をインターネットを通して共有するシステムのことです。
工事情報共有システムのメリットとしては
- インターネット上で書類の発議・回覧・決裁が行える(ワークフロー)
- 工事打合せ簿などをシステム上でかんたん作成。検査準備作業の負荷軽減
- 図面や写真など大容量ファイルも共有が可能
- 工事帳票の電子納品に対応
といったことが挙げられます。
つまり、工事情報共有システムを活用することで
- 現場と事務所を往復する必要がなくなる
- 過去の書類を検索してすぐに見つけられる
- 紙の図面や書類を持ち運ぶ必要がなくなる
ということを実現できます。
工事情報共有システムを選ぶ際のポイント
今や建築現場に欠かせない工事情報共有システム。
しかしながら、工事情報共有システムには色々な種類がありますし、ITシステムの専門用語が並ぶだけで「ITのことはよくわからない・・・」と感じる方も多いです。
本項では、日程調整ツールを選ぶ際のポイントを5つ紹介します。
タブレットやスマホなどマルチデバイス対応しているか確認する
工事情報共有システムはスマホやタブレットに対応しているか確認しましょう。
また現場によっては、インターネットが繋がらない場合もあります。そのため、オフライン環境でもデータを保存・確認ができるかどうかも確認するようにしましょう。
映像・画像・音声などあらゆるデータ情報の共有ができるか確認する
作業の進捗報告や、トラブル発生時の状況報告は、文章よりも映像・画像・音声の方が正確に伝えられることが多いもの。
データ共有の方法は自由に選択できるか、操作方法はかんたんにできるか確認しましょう。
画面が見やすく、誰でもかんたんに操作できるか確認する
いくら多機能で色々な使い方ができる高性能なシステムであったとしても、画面が複雑で操作方法が難しい場合、使いこなすことは難しいでしょう。
逆に最小限の機能であったとしても、画面やボタンが大きく直感的に操作できるツールであれば、多くの人が使える分、導入後も浸透しやすくなります。
ITスキル・リテラシーは人それぞれではありますが、工事情報共有システムを全員が問題なく使いこなせるかどうかが重要なポイントです。
各社システムでは、デモサイトを使った操作体験も行っていますので、ぜひ試してみてください。
情報共有や企業間のコミュニケーションができるか確認する
工事情報共有システムでは、受注者・発注者、あるいは事務所など関係者とチャット形式でコミュニケーションが出来る機能があります。
メールを送るよりも、直感的に操作できるので、短文でのコミュニケーションにも最適です。
また、掲示板のような使い方ができることも大きなメリット。
お知らせや伝達事項を投稿することで、関係者に対して一斉に通知することも可能です。
情報セキュリティ対策が整っているか確認する
工事情報共有システムの多くはクラウド型です。クラウド型とはインターネット上のサーバーにデータを保管します。
しかしながら、クラウド型のサービスを狙ったサイバー攻撃や、情報漏えいの被害が多発しています。
そのため、情報セキュリティ対策がどこまで整備されているか確認をするようにしましょう。
情報セキュリティ対策の重要性について、詳しく知りたい方は「情報セキュリティ対策とは?気をつけるべき脅威から対策まで解説」の記事もご覧ください。
工事情報共有システム比較3選
Smarfおすすめの工事情報共有システムを、特長やおすすめのポイントを含めて、3つ紹介します。
気になったシステムがあれば、各システムの公式サイトから資料請求や問い合わせをしてみてください。
BeingCollaboration PM(株式会社ビーイング)

概要
BeingCollaboration PM(ビーイングコラボレーション)は、土木・建築・設備などの業種を問わず、建設業界のあらゆる分野で利用できる工事情報共有システムです。
工程表編集機能を使った工程表を作成・保存することで、他の人もいつでも工程表を閲覧することが可能です。Excelなどを使う必要はありません。
さらに日々の作業進捗度合いの確認も効率化が可能。作成した工程表に対し、その日の進捗状況を入力し「日程計算」ボタンを押すだけなので、付帯業務の負荷軽減に繋がります。
特長
- 工程表の作成・共有を効率化。工程表作成や共有を効率化することで、工程表に掛ける時間の短縮化を実現
- ボタンひとつで進捗状況を作業工程表に反映。メール作成・送信や、紙で印刷する作業の手間は不要
- 場所を問わずに送信できる書類提出・承認機能。決裁完了後の書類は自動保存されるため、決裁履歴管理が簡単
導入時の注意点
BeingCollaborationに限った話ではありませんが、書類を電子化する手間がかかる(スキャニング作業など)という声もあるようです
無料プラン有無
無料体験版あり
費用
要見積もり(契約ID数と契約期間に応じた料金)
導入企業の声
発注部門においては、現場での課題等の情報が監督部門と同時に共有され、工事の執行状況が適時に確認することが可能となり、従来よりも確実に工事の執行状況が把握できる体制になっています。
引用:BeingCollaborationPM公式サイト/導入事例
電納ASPer(株式会社建設総合サービス)

概要
電納ASPer(デンノウエスパー)は、建設現場での工事や付随業務における情報共有システムです。打合せ簿などの書類をデートして保存・共有することで、事務作業の効率化や関係者間のコミュニケーションを円滑にします。
直感的な操作性により、システム操作が苦手な方でもかんたんに使いこなすことができます。さらに出張訪問サポートもあるので、システム導入がはじめての企業でも丁寧なレクチャーのもと、イチから使い方をマスターすることが可能です。
特長
- いつでもどこでもインターネットを使ってシステム利用が可能。直感的な操作性ではじめての操作でも安心
- NETIS登録技術(NETIS登録番号:KK-160040-VE)のデータ保管サービスにより、過去のデータを10年間管理も可能
- 日本全国での利用実績が豊富。国土交通省をはじめ、公的機関・地方自治体など日本全国で使れている高い信頼性
導入時の注意点
電納ASPerに限ったことではありませんが、工事情報共有システム上では書類を確認しづらい(確認のために結局印刷し二重手間になる)といった声もあるようです
無料プラン有無
要問い合わせ
費用
要見積もり
SPIDERPLUS(スパイダープラス株式会社)

概要
SPIDERPLUS(スパイダープラス)は、建設・メンテナンス業界の働き方改善アプリです。タブレットひとつで、大量の図面や現場の写真をタブレット内に管理が可能です。
書類作成のための現場と事務所の往復や、重たい荷物を持ち運ぶ必要がなくなります。作業進捗や情報共有はクラウド上でリアルタイムに共有可能。メール作成に掛かる手間は一切不要です。
事務作業や移動に掛かっていた時間を短縮することで、月間残業時間を抑制し、業務の生産性を向上します。
特長
- タブレットひとつで、図面・画像・検査記録などあらゆる情報をひとまとめに集約可能
- 作業記録や指摘内容は、クラウドで簡単に進捗共有可能。指摘内容もリアルタイムに確認できる
- 電子小黒板機能を標準装備。かさばる検査黒板の持ち運びも不要でひとりで撮影可能
導入時の注意点
建設業界でのDX化はまだ日が浅いため、活用の浸透については時間を掛けて行う必要があります
無料プラン有無
無料トライアル有り(1ヶ月)
費用
月額費用(1ID) | サーバー初期設定費用 | サーバー月額費用 |
---|---|---|
月額3,300円 | 44,000円 | 容量により異なる |
導入企業の声
SPIDERPLUSを使う前は、重い図面や資料類を持って現場と事務所を何度も往復していました。SPIDERPLUSを使ってからは、アプリの中に図面も資料も全部まとまっているので、荷物はタブレット1つだけ、資料を取りに戻る必要もなくなりました。
引用:SPIDERPLUS公式サイト/導入事例
時間をかけて撮影が必要な箇所を口頭で説明するよりも、一段と伝わりやすくなりましたし、頼まれた側も明確にわかりやすくなり、お互い仕事がしやすくなりました。
引用:SPIDERPLUS公式サイト/導入事例
工事情報共有システムを比較表で確認する
ツール名 (運営企業名) | 特徴 | 費用 |
---|---|---|
BeingCollaboration PM (株式会社ビーイング) | ・工程表の作成・共有を効率化。工程表作成や共有を効率化することで、工程表に掛ける時間の短縮化を実現 ・ボタンひとつで進捗状況を作業工程表に反映。メール作成・送信や、紙で印刷する作業の手間は不要 ・場所を問わずに送信できる書類提出・承認機能。決裁完了後の書類は自動保存されるため、決裁履歴管理が簡単 | 要見積もり(契約ID数と契約期間に応じた料金) |
電納ASPer (株式会社建設総合サービス) | ・いつでもどこでもインターネットを使ってシステム利用が可能。直感的な操作性ではじめての操作でも安心 ・NETIS登録技術(NETIS登録番号:KK-160040-VE)のデータ保管サービスにより、過去のデータを10年間管理も可能 ・日本全国での利用実績が豊富。国土交通省をはじめ、公的機関・地方自治体など日本全国で使れている高い信頼性 | 要見積もり |
SPIDERPLUS (スパイダープラス株式会社) | ・タブレットひとつで、図面・画像・検査記録などあらゆる情報をひとまとめに集約可能 ・作業記録や指摘内容は、クラウドで関係者に簡単に進捗共有が可能。指摘内容もリアルタイムに確認できる ・電子小黒板機能を標準装備。かさばる検査黒板の持ち運びも不要でひとりで撮影可能 | ・月額費用(1ID): 月額3,300円 ・サーバー初期設定費用:44,000円 ・サーバー月額費用: 容量により異なる |
まとめ|工事情報共有システムを使えば建築現場の生産性が向上する
本記事では、建設現場の業務効率化に役立つ「工事情報共有システム」について、システムごとの機能・特長を比較しながら解説してきました。
工事情報システムを活用するメリットは
- インターネット上で書類の発議・回覧・決裁が可能
- 工事打合せ簿などをシステム上でかんたんに作成
- 図面や写真など大容量ファイルも共有・閲覧が可能
といったことが挙げられます。
特に、労働人口の減少により、建設業界は慢性的な人手不足に陥っています。そのため、建設業界においてもデジタルとの融合(=DX化)が求められています。
しかしながら、システムがいくら便利になったとしても、実際に活用するのは現場で活躍する職人・技術者の方々です。
導入時の注意点としてはデジタル化を無理に押し付けないことです。
周囲を巻き込み、時には意見や要望を聞き入れながら、トライ&エラーを繰り返すことで、より浸透が早く進んでいくはずです。
施工管理技師として活躍されている方をはじめ現場責任者の方は、最適な工事情報共有システムの導入に向けて、今回の内容を少しでも参考にしていただけたら幸いです。