BtoB企業におけるマーケティングは、複数の部署が分業して行うケースが多く、包括的にマーケティング戦略を行う専門部署が存在しないことが多いです。
しかし、近年ではインターネットの急速な普及の結果、企業も個人のように自ら積極的に情報を得るようになってきており、BtoBでも包括的なマーケティング施策が必要になってきています。
当記事では、BtoBマーケティングの概要や主な施策、具体的な流れなどを紹介していきます。
BtoBマーケティングとは
BtoBマーケティングとは企業間におけるマーケティングを指す言葉です。
従来のBtoB企業の場合、マーケティングは1つの部門で専門的に行うのではなく、複数の部門が分業して行っていることが多いです。
また、マーケティング部門を持っている企業でも、包括的なマーケティング戦略を企画するというよりも、商品の付加価値を高めるプロダクトマーケティングのみに特化した部署になっている場合がほとんどです。
しかし、インターネットの普及によって企業も消費者と同様に情報を容易に入手できる時代になったため、今まで以上に包括的なマーケティングを行うことの重要性が増してきています。
今後BtoB企業が競合から勝ち上がっていくためには、マーケティングチャネルに沿った適切なマーケティングプロセスを踏まえていくことが重要です。
BtoCマーケティングとの違い
消費者へ向けたマーケティングであるBtoCマーケティングとBtoBマーケティングとの最大の違いは、検討期間の長さです。
BtoCでは、顧客が商品の購入を検討してから実際に購入するまで長くても数か月程度で済むことがほとんどですが、BtoBの場合は数年単位で検討をすることもあります。
というのも、BtoBの場合は購入までの間に担当者や担当者の上長、関連性のある他部署の人間など、複数の人物が関与してくるため、意思決定に時間がかかるのです。

また、BtoCに比べ商品の単価が高い傾向にあることも、検討期間が長くなる原因であるといえるでしょう。
他にも、BtoCは購入の目的が所有欲を満たすためや今までにない経験をするためなど多岐にわたりますが、BtoBでは課題解決の一点に尽きるというのも大きな特徴です。
よって、BtoC以上に顧客の要望をヒアリングし、課題解決に最適な商品を的確に提示することが重要になります。
BtoBにおけるデジタルマーケティングの有用性
今までのBtoBマーケティングでは、営業の担当者が前線に立ち、顧客の獲得(リードジェネレーション)や顧客の育成(リードナーチャリング)を行ってきました。
しかし、近年ではWebや動画、アプリなどを利用したデジタルマーケティングを活用したBtoBマーケティングを行う企業が増えてきています。
デジタルマーケティングは従来の人的リソースを活用したマーケティングに比べ、時間的・金銭的コストが少なく済む他、MAツールを併用することで自動化することもできるので、生産性の向上を期待することが可能です。
加えて、人的リソースとは違い時間的制約から顧客を待たせたり放置してしまうことがないため、より効果的なマーケティングを行うことができます。
BtoBにデジタルマーケティングを取り入れることで、より効率的なマーケティングが可能になるでしょう。
BtoBマーケティングの主な施策
BtoBマーケティングで用いられる主な施策には以下の通りです。

近年では配信ツールやテレビ通話ツールの発展により、今までオフラインで行われていたマーケティング施策がネット上で行われることも多くなっています。
詳しく見ていきましょう。
コンテンツマーケティング
コンテンツマーケティングとは、価値のある情報コンテンツを提供することで顧客の商品理解度を高めるとともに、購買意欲を高める施策です。
先述の通り、近年はインターネットの普及によって、消費者だけでなく企業も情報を積極的に得ようとする時代になっています。
裏を返せば、ネット上で信頼できる情報を提供しているコンテンツは、企業からの信用を得やすいと考えることが可能です。
Webサイト内にオウンドメディアを設立し、有益な情報を掲載しつつ商品をアピールしていくことで、企業の信用を高めつつ購買意欲を高めていくことができます。
特に最近は新型コロナの影響もあり、対面型のセミナーやイベントの開催が難しくなってきているため、今後はよりコンテンツマーケティング重要度が増していくでしょう。
広告
広告は古典的なマーケティング施策で、主に認知獲得を目的として行われます。
近年ではWeb上で広告を出稿するWeb広告の需要が増えてきており、オフライン広告以上の効果を期待することが可能です。
Web広告の主な種類には、以下のようなものがあります。
- 純広告
- リスティング広告
- リターゲティング広告
特に、Googleの検索結果上部に表示されるリスティング広告は関連キーワードを調べたユーザーの目に必ず入ることもあり、効果的なマーケティングを行うことが可能です。
また、リターゲティング広告は一度サイトを訪れたことがあるユーザーにのみ表示される広告で、購入検討段階の顧客に再度アプローチをかけたいときに有効な手段となります。
以上のように、Web広告ではアナログな広告にはない、より効率的なマーケティングを行うことが可能です。
カスタマーサクセス
カスタマーサクセスは、近年人気なビジネスモデルであるサブスクリプション型の商品のマーケティングに有効な施策です。
まず商品を実際に使ってもらい、顧客の課題解決ができるようサポートします。もし、顧客が商品の使用感を気に入り、今後も使いたいと感じれば、一気に成約まで持ち込むことが可能です。
顧客の成功体験が重要になるため、顧客が商品を試す際にしっかりと使いこなせるよう、徹底的にサポートすることがポイントになります。
セミナー
セミナーは認知獲得から商品やサービスの理解、購入検討まで包括的に行うことができる効率的なマーケティング施策です。
オフラインのセミナーでは、会場費やスタッフの人件費など、多額の費用がかかることが大きな欠点となっていましたが、近年ではテレビ通話ツールを利用したWebセミナーを開催する企業も増えてきており、コストを抑えたセミナー開催を実現しています。
ただし、他の施策に比べると集客が難しく、セミナー終了後に顧客の興味関心が下がりやすいというデメリットがあるため、事前集客とアフターフォローに特に注力することが重要です。
動画マーケティング
動画を活用したマーケティングも、BtoBでは有効な施策です。
視覚と聴覚を利用して情報を伝達できる動画は、短時間で多くの情報を視聴者に伝えることができます。
BtoBで動画を活用する場合は、顧客の検討プロセスに合わせて数種類の動画を制作するのがおすすめです。
顧客に対し段階的に動画を視聴させることで、商品の理解から検討までスムーズに顧客を誘導することができるでしょう。
テレアポ
テレアポは古典的な見込み顧客獲得の施策として、昔から行われてきました。
電話で簡単にサービスの紹介を行うことで担当者に興味を持ってもらい、本格的な商談へつなげます。
デジタルマーケティングが発展した現代においては、企業からの信用を得づらい点や人件費などのコストがかかることもあり、導入している企業は少ないです。
今後MAツールの更なる発展により、だんだんと淘汰されていくことが予想されます。
BtoBマーケティングの具体的な流れ
BtoBマーケティングの具体的な流れは以下の通りです。

詳しく見ていきましょう。
顧客のニーズを捉える
顧客からヒアリングした情報をもとに、顧客がお金を払ってでも解決したい課題を見つけ出します。
デジタルマーケティングにおいては、顧客がどのようなコンテンツや知識に興味があるのかをデータとして収集することで、顧客のニーズを判断することが可能です。
また、既存顧客の場合は顧客満足度調査などを実施することで、顧客の潜在的なニーズを洗い出すことができます。
ニーズに合った商材を作る
顧客のニーズが分かったら、ニーズに合った商材を作りましょう。商材の制作には、自社の強みを活かしつつニーズに合った商材を1から制作する方法と、既存の商材をカスタマイズすることで顧客のニーズに順応する方法があります。
商材を作る際には独自性や企業優位性を重視して付加価値を付けていくことで、競合との差別化を図ることが可能です。
リードジェネレーション
リードジェネレーションとは、商材の見込み顧客を獲得する活動のことです。コンテンツマーケティングやセミナー、広告などを活用し、商材の認知度を上げていきます。
認知獲得に成功したら、顧客が商品に興味を持つようにアプローチを行い、今後のマーケティングに必要な情報を集めましょう。
詳しくは「リードジェネレーションとは?実際の施策を一連の流れから解説!」をご覧ください。
リードナーチャリング
リードナーチャリングとは、見込み顧客の育成を意味する言葉です。
リードジェネレーションによって得た情報をもとに見込み顧客へアプローチを行い、商品の理解から購買意欲の向上までを目指します。
具体的な施策として上げられるのは、商品を試しに使ってもらうことで使い心地や有用性をアピールする施策や、細かい商品紹介を動画で行う施策などです。
リードナーチャリングによって購買意欲が充分向上したら、購入検討を経て商談に入ります。
商談・成約・納品
リードナーチャリングを行った見込み顧客の中で、特に購入意欲が高い顧客に商談を行います。
商談によって値段の折衝や導入時期の決定などを行った後、購入の成約を行い、生産が完了したら納品です。
商品を購入してくれた顧客は、今後も課題が発生した際に見込み顧客になり得るので、アフターフォローや顧客維持をしっかり行っていくことが重要になります。
アフターフォロー
納品後、定期的に顧客とコンタクトをとることで、商材を使用している上での問題点や新たな課題などをヒアリングします。
商材自体の問題については真摯に対応することで、顧客からの信用度を増すことが可能です。
顧客からの信用を獲得できれば、些細なことでも相談されやすくなり、新たなビジネスチャンスを得ることができる可能性が高くなります。
BtoBマーケティングを行う際には、アフターフォローに特に力を入れ、顧客の信用を勝ち取りましょう。
まとめ:BtoBでもデジタルマーケティングの重要性が増している
BtoBマーケティングについて解説してきました。
BtoBマーケティングにおいてもデジタルマーケティングの重要性が増しており、低コストかつ効率的な施策が期待されています。
特に最近はコロナ禍で対面の営業が難しくなっているため、デジタルマーケティングの有用性はさらに増していくことでしょう。
従来の施策に囚われず、様々な施策を用いたBtoBマーケティングを検討してみてください。