仕事でも勉強でもプライベートでも、集中力がすべてです。多くの人が集中力の大切さを何となく分かっているからこそ、
「気が散ってしまって、なかなか一つのことに集中ができない……」
「集中するまでに時間がかかるし、いざ集中してもすぐに集中力が切れてしまう……」
などと悩んでいるのではないでしょうか。ですが、「自分には集中力がないから、何をしても無駄だ」と決めつけて諦めてしまうのは大きな間違いです。
集中力とは持って生まれた才能ではないから、多くの人は「集中力がない」のではなく、「集中力の高め方を知らない」だけなのです。
集中力とは訓練次第で誰でもが身につけることができるスキルの一つ。そこで今回は、今すぐ実践できることから集中力を高める方法をご紹介します。ぜひ実践してみてください。
目次
STEP 0: 集中力を高める準備
集中力を高める準備1 整理整頓をする
集中力を高める準備2 健康管理をする
集中力を高める準備3 目標を立てる
STEP 1: 集中力を高める行動の習慣化
集中力を高める習慣1 自室を離れて自習室を活用する
集中力を高める習慣2 「量」ではなくて「時間」で区切る
集中力を高める習慣3 「宣言効果」を活用する
集中力を高める習慣4 視点を固定する
集中力を高める習慣5 人に勝つより、自分に勝つ
STEP 2: 効率良く集中力を高める方法
集中力を高める効率化1 「ゾーン」を掴む
集中力を高める効率化2 「瞬間リラックス法」をマスターする
集中力を高める効率化3 没頭する
集中力を高める効率化4 音楽をかける
集中力を高める効率化5 ガムを噛む
集中力を高める効率化6 指回し体操をする
集中力を高める効率化7 糖分を補給する
集中力を高める効率化8 マルチタスクを止める
集中力を高める効率化9 アロマセラピーを取り入れる
まとめ: 集中力はスキルの一つ
STEP 0: 集中力を高める準備
仕事でもプライベートでも、ここぞという時に集中力を発揮するためにはある程度のコンディション作りが大切です。
集中力は持って生まれた才能でないのと同様に、集中力は運ではありません。日々、コツコツと努力を重ねて高まっていくのが集中力なのです。
まずは、集中力が生まれる環境作りから始めましょう。
集中力を高める準備1 整理整頓をする
試験前で勉強をしないといけないにも関わらず、読みかけの本や雑誌が気になってつい読んでしまったり、いつもは気にならない散らかった部屋が気になりだして掃除を始めてしまったりという経験はありませんか?
本来やらないといけない試験勉強を放って、別のことに時間を使ってしまうのは、集中力を高める以前の問題です。
仕事がデキる人の机は余計なものがなくてスッキリしていることが多く、逆に、仕事がデキない人の机は書類やモノなどが散乱していることが少なくありません。
部屋や机の状態は、その人の心の状態と同じとも言えます。集中力を高めるためには、常に部屋や机の整理整頓を心がけましょう。たったこれだけで、集中しないといけない時に他に気をとられるということが減っていきます。
集中力を高める準備2 健康管理をする
一流のスポーツマンやビジネスマンほど、体調管理を徹底しています。お酒やタバコを控えたりするのはもちろんのこと、週に1~2回は体を動かしたり、毎日決まったものを食べたりと、運動や食事をルーティン化しているのも彼らの特徴です。
このように決まった運動や食事を繰り返すと、体をベスト・コンディションに整えることができますし、体調不良など何かあった時に原因追求がしやすくなるというメリットがあります。
お腹を壊していたら仕事や勉強どころではなくなり、お腹が痛いことしか考えられなくなりますよね。集中力を高めるためには、日々の体調管理がベースに必要なのです。
集中力を高める準備3 目標を立てる
仕事をするにしても勉強をするにしても、ただ闇雲にやっているだけでは自分が何のために何をやっているのかを見失ってしまいます。
何かを始める時には、まず最初に最終的なゴールを設定し、そこから逆算して目標達成のための計画を立てることが先決です。
目指すゴールが明確になれば、そこへ向かって頑張るためのモチベーションができて集中力を発揮できるようになります。
目標は、「仕事がデキる人になる」という漠然としたものよりも、「最年少部長になる」とか「30歳までに一千万プレーヤーになる」というように具体的な数字を入れると、より集中力が発揮されやすくなります。
また、『理想と現実を繋げる目標設定の方法』の記事では、目標の達成可能性が上がる目標設定方法を詳しく紹介していますので、こちらも参考にしてください。
STEP 1: 集中力を高める行動の習慣化
集中力がない人ほど、やらないといけない課題を放ったらかして、スマホやテレビに夢中になったりと楽な方へ楽な方へと流されていきます。締め切りが近づいているにも関わらず「明日から本気を出す」と、いつもやるべきことを先延ばしにして、結局何もできずに終わるのです。
集中力がない人は、ある意味において、自分に甘い人とも言えるでしょう。そんな人が集中力を高めるには、集中力を高める行動を習慣化できるまで、自分を追い込む必要があります。
集中力を高める習慣1 自室を離れて自習室を活用する
自分の部屋には自分好みの雑誌や漫画など集中力を乱す誘惑がいっぱいあるものです。集中力を高める習慣をつけるために、まずは自室を離れて自習室で仕事や勉強をしてみるようにしましょう。
図書館や塾の自習室でも良いですし、有料のワーキングスペースなどを借りても良いです。
大切なのは、私語が禁止されていること、そして周囲に仕事や勉強を頑張っている人がいること。このような環境に身を置くと、自分も周囲と同化して仕事や勉強を頑張ることができます。
また、どうしてもシーンと静かな空間に抵抗があるという人は、オフィス街のコーヒーチェーン店を利用するのも良いでしょう。
集中力を高める習慣2 「量」ではなくて「時間」で区切る
仕事に取り組む時に、「今日はここまで終わらせるぞ」と作業の範囲で区切りを付けていませんか?
このように「量」で区切った方が、仕事をやった気分になるのでそうしている人も多いようです。
ですが、集中力を高めるという観点から見ると、これは正しいやり方ではありません。その仕事を終わらせることに主眼が置かれるため、結果的にダラダラと仕事をしてしまうからです。
集中力を高めるためには、「量」ではなく「時間」で区切りましょう。決めた時間になったら多少キリが悪くてもそこで作業はストップ。
少し休憩を挟んで、また作業を開始するというように「時間」のコマ単位で仕事を続けることが、高い集中力をキープするコツです。
集中力を高める習慣3 「宣言効果」を活用する
スポーツ選手がオリンピック前などのインタビューで「絶対に金メダルを取ります」と宣言する場面を見たことはありませんか。
このように目標を口に出して言うことは、集中力を高める効果があるそうです。
自分以外の誰かに対して目標をアピールすると、それが「絶対に金メダルを取らないといけない」と自身へのプレッシャーとなり、集中力を高めることができるのです。
第三者に言わずとも、「今度のTOEICで絶対に900点以上取るぞ!」と独り言を言ったり、紙に書き出したりするのでも同じ効果が得られます。
大切なのは、視覚や聴覚からも自身に語りかけて目標をしっかりと認識させることです。
集中力を高める習慣4 視点を固定する
注意力が散漫な人を表現する時に、「視線が定まらずにキョロキョロしている」と言ったりします。
集中していないから視点が定まっていないのであれば、逆に、視点を定めれば集中していることになります。
この生理的メカニズムを活用して、集中したい時は、一つのものに視点を固定させてみてください。
ペン先など先が尖っているものが集中しやすいのでオススメです。実際にやってみると、散らかっていた気持ちが次第にどんどん集中していくのが自分でも分かると思います。動作から入って気持ちをそれに近づけるというのも、集中力を高める一つの手です。
集中力を高める習慣5 人に勝つより、自分に勝つ
ライバルがいるとお互いに切磋琢磨するので実力以上の成果が出せるようになるとよく言われます。
ですが、集中力を培い結果を出すためには、他人に無関心になった方が良いのです。
ドナルド・トランプが「他人との競争は、自分の基準を下げてしまいかねない」と言っているように、一流のスポーツマンやビジネスマンほど「ライバルは自分」と言うものです。
実際に、ジェローム・ブルーナーの実験によると「人に勝て」という命題を与えられた人よりも「自分の目標に勝て」という命題を与えられた人の方が、成績が伸びたという結果が出ています。
集中力を高めるためには、ライバルを設定するのではなく、自分なりの目標を設定しそれを更新し続けましょう。人に勝つよりも、自分に勝つという意識の方が高い集中力を発揮することができるのです。
STEP 2: 効率良く集中力を高める方法
集中力を高めるための環境づくりができて、集中力を高める行動が自然と取れるようになってきたら、今度は「効率良く集中力を高める」方法をマスターしましょう。
これまでの「自分を追い込んで集中力を上げる方法」とは違って、「自分にご褒美をあげることで集中力を上げる」というアプローチです。これにより、効率良く集中力を高めることができるようになります。
集中力を高める効率化1 「ゾーン」を掴む
これまでの人生を振り返って、やることなすこと上手く行った日や良いことが次々に起こった日など幸運な1日を経験したことはありませんか?
こんな日は、あなたが「ゾーン」を掴んでいた日です。ゾーンとはスポーツ心理学で使われるワードで、「何事も上手く行く最高の心理状態」のこと。実は、この時に集中力は最高潮を迎えているのです。
ゾーンを掴むための条件は人によって違います。お風呂やプールなど水の中でゾーンを掴むという人もいるでしょうし、忙しくて心も体もフル回転している時にゾーンを掴むという人もいるでしょう。
これまでの経験を振り返って、自分のゾーンが訪れるシチュエーションを特定できれば、それを再現するだけで最高の集中力を発揮できるはずです。
ゾーンの入り方については、『超集中状態「ゾーン」に入って、圧倒的な結果を出す方法』の記事を参考にしてください。
集中力を高める効率化2 「瞬間リラックス法」をマスターする
集中力が高い人は、ずっと集中力を高めたままでいるというよりも、集中力が切れたらその都度休憩を挟んだり、集中力が途切れる前に意識して休憩を取ったりして、緩急をつけたマネジメントをしているものです。
なんだか集中できないなと思ったら、無理やり頑張ろうとせずに、勇気を持って仕事から離れることも必要です。そうすることで、集中して消費したメンタル・エネルギーを補うことができます。
理想は、60分集中したら15分休憩や、もしくは40分集中したら5分休憩のように、小まめに休憩時間を挟むこと。
さらに、短い休憩時間で瞬間的に自分をリラックスさせる方法をマスターしておくのもおすすめです。瞑想やコーヒーブレイクなどちょっとした工夫でできるものが良いですね。
集中力を高める効率化3 没頭する
好きなことを夢中になってやっているうちに、寝食を忘れて没頭してしまったという経験はありませんか。
この「没頭力」こそが集中力を高めるための起爆剤となります。人が物事に没頭できる条件は2つあります。
一つは「それが自分の好きなものであること」そしてもう一つが、「人から強制されずに自主的にやっていること」です。集中力を高めるためには、仕事でも勉強でもテーマを好きなものに絞って、やらされるのではなく自主的にやることが大切です。
もし仮に、自分がやらないといけないことが自分の好きなことではなかったり、他の誰かに強制されたことであった場合でも、「これは自分が好きなことだ」「これは誰の命令でもなく自主的にやっているんだ」と自己暗示を掛けると同様の効果が期待できます。
集中力を高める効率化4 音楽をかける
音楽には脳のリフレッシュ効果だけではなく集中力を高める効果もあるそうです。単純作業を繰り返す時に音楽を聴くと作業効率が大幅に上がることもわかっています。
また、モーツァルトなどのクラッシックは集中力を高めるだけではなくてIQも高める効果があるそうなので、仕事や勉強のお供に最適と言われています。
基本的に音楽は集中力を高めるのに有効ではありますが、作業内容や個人の性格によっては、音楽をかけっ放しだと余計に気が散ってしまうこともあるでしょう。
音楽を流しっ放しというよりも、勉強や仕事の合間にリフレッシュとして音楽を間欠的に取り入れる方が効果がより大きいかもしれません。
集中力を高める効率化5 ガムを噛む
メジャーリーガーが試合中にガムを噛んでいるのを見たことはありませんか?
実は、噛むという動作によって神経が刺激されるため、脳の血流が良くなり、頭の回転が良くなったり眠気が抑えられたりして集中力がアップすると言われています。
中でもガムは弾力性があり長い時間噛み続けることができますし、カロリーも低めで口臭予防やストレス軽減効果も期待できるのでオススメです。
仕事や勉強中に、「ちょっと眠たくなってきたな」とか「ちょっと気分が乗らなくなってきたな」と思ったら、ぜひガムを口にしてみてください。
ただし、日本社会では「ガムを噛みながら仕事なんて」とネガティブに思われる場合もありますので、職場では休憩中に取り入れた方が無難です。
集中力を高める効率化6 指回し体操をする
「手は外部の脳」
これは、哲学者カントの言葉です。この言葉が表しているように、手には感覚神経と運動神経が集中しているため、手を動かすことは脳を動かすこととほぼ同じことになるそうなのです。
ここで、集中力アップに効果的と評判の、内科医の栗田昌裕さんが提唱された「指回し体操」をご紹介します。
まずは、両方の指をそれぞれの先端同士でくっつけます。親指は親指、人差し指は人差し指と、両手で大きなドームを作るイメージで優しくくっつけます。
そして、親指だけ離し、2本の指がぶつからないようにクルクルと30秒ほど回します。親指が終わったら人差し指、中指とすべての指をそれぞれ30秒ずつ回します。たったこれだけの簡単な運動ですが、集中力アップとストレス解消、リフレッシュ効果も期待できるので、スキマ時間に実践して仕事の効率アップにつなげましょう。
集中力を高める効率化7 糖分を補給する
仕事や勉強をしていると頭が疲れてしまって、チョコレートなどの甘いものが欲しくなりませんか?
脳はブドウ糖を唯一のエネルギー源としています。頭を使ってエネルギーを消費してしまったら、エネルギー不足になって集中力も途切れてしまうのため、糖分を補給してあげる必要があるのです。
特にオススメなのが、チョコレートやココアにナッツ類。チョコレートやココアには「テオブロミン」という集中力と記憶力を高める効果のある成分が含まれています。
また、ナッツは非常に栄養価が高いだけではなくて、集中力や記憶力を高めてくれるビタミンB1、B2が豊富に含まれています。
集中力を高める効率化8 マルチタスクを止める
一つの仕事をしながらメールチェックをしたり誰かに指示出しをしたり。忙しいと、どうしてもマルチタスクになってしまいがちですよね。
マルチタスクは「仕事がデキる人」を連想させますが、複数の作業を同時にこなしていると、仕事をたくさん片付けている気分になっているだけで、実は集中力や仕事効率を下げてしまうから要注意。
マルチタスクと呼んでいるものは、実は「マルチタスク:複数のタスクを同時にこなしている」のではなく「タスクスイッチ:複数のタスクを高速で切り替えている」だけに過ぎないのです。
メールチェックは朝一番と11時、15時と18時の4回にするなどのように、自分の仕事内容や仕事事情に合わせて時間を区切り、できるだけマルチタスクを回避しましょう。
集中力を高める効率化9 アロマセラピーを取り入れる
リラクゼーションのイメージが強いアロマオイルですが、オイルの中には頭をクリアにして集中力を高めるのに効果的なものもあるのです。
頭がオーバーヒートして疲弊してしまった時、眠たくてしょうがない時などアロマの力を借りて集中力を取り戻しましょう。
アロマ初心者にオススメなのが、レモン。柑橘系のフレッシュな香りで、頭も心もリフレッシュしてくれて集中力を高めてくれます。
また、ハーブ系の香りなのでアロマ中級者向けなのが、ローズマリー。清涼感ある香りで、リフレッシュはもちろん、集中力と記憶力アップに効果があると言われています。
他にも、ペパーミントやユーカリ、ブラックペッパーなども同様の効果があると言われているので、色々と試して自分に合うものをぜひ見つけてみてください。
まとめ:集中力はスキルの一つ
仕事でもプライベートでも何かを成し遂げるには、集中力こそが必要です。「自分には集中力がないから」と過小評価する必要はありません。それは、ただ単に「集中力を高める方法を知らなかった」だけに過ぎないのです。
集中力は限られた人だけが持っているような才能ではなく、誰しもがちょっとしたコツで身につけることができるスキルの一つなのです。ここでご紹介した集中力を高める方法を、自分が取り入れやすいものからどんどん取り入れて、集中力を高めてみてください。自分の中に隠れた新しい自分を発見することができるはずです。
【参考図書】
『イチロー式 集中力』(児玉光雄・PHP文庫)
『ドナルド・トランプ 勝利への名語録』(桑原晃弥・PHP文庫)