「企画のアイデアが浮かばない」
「アイデアは浮かぶけど、それをカタチにできない」
そんな悩みを抱えている人は多いですよね?
常に新しいビジネスプランが求められるこの時代、企画立案ができなければ、ビジネスパーソンとして企業で生き残ることは難しくなります企業が必要としているのは、企画立案ができる人間なのです。
課題解決のための提案が企画立案です。多くの場合は提案先から課題を提示されて、その解決策を提案します。しかし、企画書はテーマや課題を与えられて書くものばかりではありません。
ここでは、テーマを提案するケースでも役立つように、ゼロから企画をまとめる方法を4つの工程で解説します。
企画書の作り方1 情報を収集する
最初のステップは、企画立案の基となるネタを集めることです。
ゼロから企画立案をする場合、まず問われるのは情報収集力です。収集した情報を基に、そもそも何を企画するのか、なにが課題なのかということを発想するのです。
プロのプランナーでも、企画がなかなか思い浮かばないというのはよくあること。情報が不足していれば、いくら頭の中で考えても閉塞状態から抜け出すことはできません。
アイデアが豊富に湧いてくる人は、日頃から情報収集力を磨いています。情報収集力を磨くために習慣化したい、いくつかのアクションを解説しましょう。
不便な物事を見つける
不便さの解消方法は、企画の大きなヒントになります。
世の中に完璧なものというのは、そうそうありません。身の回りにある物事には、なにかしら不便なことがあるはずです。不便だな、面倒だなと感じたら、実用的な解消法を考えてみましょう。
日常の生活は、何も考えなければただ時間が流れていくだけです。しかし、アンテナを張っていれば、日常生活の中にも企画のヒントはたくさん隠れているのです。
定点観測をする
自分の仕事に関係する店舗や売り場を定点観測してみましょう。
店舗の商品陳列やディスプレイは、売れるもの、売りたいものを前面に出すので、流行の兆しをつかむことができます。
また、商品陳列を細かく見ていくと、自分が商品を企画したときに、他の商品よりも目立たせるアイデアが浮かびます。いろいろな商品のパッケージを見ると、差別化させるデザインが浮かぶこともあるでしょう。
さらに客層に注目すれば、トレンドの分析にも役立ちます。
同じ店舗ばかりでなく、複数の店舗をチェックすると視野が広がります。大きな経済の流れや景気を把握するには、大手デパートの定点観測がオススメです。月に1回か2回、会社の帰りに店に入るというアクションを、最低でも1年くらいは根気よく続けてみましょう。
人から情報を得る
他人がもっている情報を拝借します。会社にはたくさんの人がいるのですから、同じ組織の人間として協力してもらえばいいのです。
まずは、身近な同僚や友人に「こんな情報はありませんか?」と聞いてみます。人はそれぞれ自分なりの情報源をもっていますから、自分ひとりでは得られない情報を得ることができます。
さらに多くの情報を集めたいときには、課内、部内の同僚に「お知恵拝借メール」を一斉送信してみるのも手です。このときは、必ず情報を集めたい理由を明記します。
もっと緩く、仲のいい同僚との飲み会で情報収集する手もあります。その場では役立つ情報がなくても、情報を入手する方法を教えてくれたり、情報をもっている人を紹介してもらえたりするかもしれません。
5つのソースを並行して使う
情報収集は5つのソースから並行して行い、その内容を比較して本質をつかみます。
5つのソースとは以下のものです。
・テレビや映画などの映像情報
・ラジオなどの音声情報
・現場やイベントで得るライブ情報
・インターネットの記事や動画で得るIT情報
いつも同じソースばかりだと、視点が偏ってしまいます。特に、入手が容易なインターネット上の情報に偏りがちな人が増えているので注意しましょう。
過去の企画書を見直す
過去の事例をチェックすると、ゼロから企画を始めるよりも圧倒的にスピードアップできます。
自分が書いた企画書だけでなく、先輩や上司が以前に書いた企画書の中から情報を得るのです。優れた企画書はいいサンプルになります。
大きなテーマごとに分類し、企画書ファイルを作成しておくと、なにかアイデアが浮かんだときに関連づけできる情報を引き出すことができます。可能であれば、営業で来社した他社の企画書も確認しましょう。
企画書の作り方2 課題を見極める
提案先から課題を提示された企画では、ここからが重要な工程となります。
課題をしっかりと見極めずに自分の思い込みで企画書を作っても、採用される見込みはありません。
課題を把握するためには、理由、原因を知る必要があります。なぜこの企画が求められているのかという理由です。
この理由の詳細を知るためには、提案先に質問をして情報を得なければいけません。そこには信頼関係に基づいたコミュニケーションが求められます。
4つの視点を使い分ける
課題を見極めるためには、物事を多角的に見る4つの視点を使い分けましょう。
先入観を捨てる「素人の視点」
何も知らない素人の視点になると、疑問点が次々と浮かんできます。子どもは、「なんで?」「なんで?」とよく質問を繰り返しますが、これが何も知らない素人の強さです。
物事を俯瞰する「鳥の視点」
高い位置に視点をもつと全体像を把握することができ、先の展開を予想することもできます。
相手に合わせたレベルで質問する「親の視点」
課題を投げかけてきた相手の理解度が、どのレベルにあるのかを把握して質問します。相手の気持ちを考えない質問は、相手に理解されません。
原因を探る「因果の視点」
問題解決には、病巣がどこにあるか、根本的な原因はなにか、という根本治療を行う医師のような視点が必要です。
議論を活性化させる
相手から情報を引き出せなくなって問題解決の糸口が見つからないときには、こちらから関連する情報を投げかけて議論を活性化させます。
会話が活性化すると最初に設定していた話題からそれることもありますが、結論を急がずに話を発展させましょう。
新たな話題が出てきても、質問の幹さえ忘れずに対応していけば、視野が広がって企画立案の突破口が見えてきます。
こちらから、あえて話を脱線させてみるのもひとつの手です。ときには横道にそれてゆったりとした会話をしたほうが、結局は早く目的に到達することも多いのです。
ニーズとウォンツを聞き分ける
質問をするときには「ニーズ」と「ウォンツ」を聞き分けると、本当に必要なことと代用可能なことが見分けられます。例えば、
「情報伝達手段が欲しい」
これが「ニーズ」です。
「スマートフォンが欲しい」
これが「ウォンツ」です。
マーケティングで使われる言葉ですが、「ニーズ」とは消費者が求める必要性、「ウォンツ」とは「ニーズ」を満たす特定の商品やサービスを意味します。
課題が「不足していること(本当に必要としているもの)を求める欲求」にあるのか、「代用がきかない願望」にあるのか知ることで、より具体的な解決策を発想できるようになります。
認識を深める6要素
課題の本質を見極めるためには認識力を高めて、認識を深める必要があります。認識力を高めるには、次の6段階の要素を身につけておくと役立ちます。
要素1 感性的把握
五感をフルに使って相手が発する情報を感じとることにより、気になるところが浮かび上がります。アンテナを鋭くすると、些細な問題にも好奇心がわくようになります。
要素2 比較
気になった事柄を単体で見ずに、過去に見聞きしたことと比較、分類、整理します。比較なしで物事の実態はつかめません。
要素3 分析
比較で見えてきた差異を手掛かりにして、原因を分析します。その違いの原因はなにかを考えるのです。「なぜ?」を繰り返して思考を深めていくと、より多くの情報を得ることができます。
要素4 統合
これまでの3段階の情報を統合して、相手に「こういうことですか?」と確認します。イメージ共有の確認ができ、認識のズレが早期発見できます。
要素5 明確化
「つまり、こういうことですね」という質問で、課題を明確にする方法や要素を導き出します。この方法がわかると、一見関係のなさそうなことにも共通性が見いだせます。
要素6 一般化
導き出した明確化の方法を実用化します。「ここにも言える」「ここでもあてはまる」といろいろな事柄にあてはめてみるのです。視野が広がって、自分の認識が深まったことを実感できるはずです。
必ずメモをとる
メモをとる習慣を身につけると、企画立案の成功率が格段に向上します。メモには6つの効力があります。
メモの効力1 忘録になる
重要事項を忘れないためには不可欠です。しっかり頭に入っていると思っていても、人間は完璧ではありません。とくに数字やキーワードは重点的にメモしましょう。
メモの効力2 相手の話を聞いているというアピール
メモは相手の話をしっかり聞いていなければとれませんから、「あなたの話を真剣に聞いていますよ」という証拠です。
メモの効力3 書きながら考えを整理できる
目で相手を見て、耳で話を聞いて、手でメモをとるという行為は脳を活性化させるので、考えを整理することができます。
メモの効力4 認識のギャップを確認できる
認識を深める6要素の「統合」の段階であるような、お互いの認識のズレを知る材料になります。どこでギャップが生じたかがわかれば、修正も容易です。
メモの効力5 相手の信頼感を得られる
打ち合わせや会議の後で、素早く相手にメモのコピーを渡すようにすると、あなたの姿勢や理解度が伝わって信頼感につながります。
メモの効力6 決定事項の証拠になる
打ち合わせや会議の最後に、メモした決定事項を復唱すると、その場における確認だけでなく後日になにか問題が発生した場合にも役立つ証拠になります。
企画書の作り方3 アイデアを発想する
課題が明確になったら、解決策を練ります。インプットした情報を企画というカタチにアウトプットする、企画立案の核となるところです。
ここで求められのが「アイデア」「ひらめき」です。ところが、「さあ、アイデアを考えよう」と思い立って、どんどん頭の中でひらめくという人は少ないでしょう。
自分なりの「ひらめきのスタイル」を確立することが重要です。そのために役立ついくつかのアクションを紹介しましょう。
現場に足を運ぶ
課題となっている商品、サービスなどがある店舗や売り場を見にいきましょう。定点観測で行っている情報収集の要素を課題のテーマにしぼり、買い手の視点になってみるのです。
売り場でのチェックポイントは2つ。
ポイント1 競合商品が訴求しているもの
競合商品の宣伝文句はなにか、客に訴えている言葉や訴え方を買い手視点でチェックすることにより、アイデアが浮かびやすくなります。
売り場で客がひとつの商品に目を止める時間は、0.2秒と言われています。そのため、短い言葉や分かりやすいアイキャッチで商品の訴求をしているのです。
ポイント2 売り場が訴求しているもの
売り場が求めていることを考えながらアイデアを練ります。
売り場は季節感やトレンドなどを取り入れて、商品を売る工夫をしています。課題が単一商品の売り上げ拡大にあっても、売り場全体の盛り上がりを考えることが重要です。
「質より量」から始める
アイデアは、まず量を出すことが重要です。
優れたアイデアは、アイデア群で構成されるピラミッドの上方にあるものです。たくさんのアイデアを考えて底辺を広げるほど、その上に発展する良いアイデアが生まれてきます。
一見つまらないアイデアでも、量があれば、組み合わせたり関連付けたりする材料になるのです。
インプットを繰り返す
アイデアが出尽くしたと感じたら、頭を切り替えて情報収集(インプット)に集中しましょう。
自分の中にあるネタを使い尽くしたら、当然アイデアは枯渇します。こういうときはアイデアの発想をやめて、テレビを見たり本を読んだり、誰かと話したりと、インプットに集中します。
自分の中のネタが尽きたといっても、すべての情報を使い果たすなどということはあり得ません。少しでも新たな情報インプットされると、脳は関連づけを行うのでひらめきが生まれるのです。
白紙とカラーペンを使う
アイデアを練るときは、白い紙とカラーペンを使いましょう。
無地の白い紙は、自由な発想を書き落とすのに向いています。文字だけでなく、必要なところに罫線を引いたり簡単な表を作ったりするのも自由。色やマス目などの制約は発想の邪魔になります。
アイデアの分類、強弱、方向性などを区別するためには、色を使い分けられるカラーのボールペンやサインペンが役に立ちます。
脳の活性化を心がける
アイデアに行き詰まったら、体を動かして脳を活性化させましょう。
デスクに座って考えるのは、脳の働きから見ると実は一番効率が悪いのです。社外に出られるのであれば、売り場を見に行くにもいいでしょうし、近所の公園でリフレッシュするのも効果的です。
外に出られない場合には、社内をウロウロするだけでも脳は活性化します。良いアイデアは歩いている間に生まれやすいという調査結果もあります。
企画書の作り方4 企画書に表現する
インプットした情報を企画というカタチにしたら、企画書としてアウトプットすることになります。
企画書は単に自分の主張を述べるものではいけません。常に読み手のことを意識して、「お客様をもてなす」気持ちが現れていなければ良い企画書とはいえないのです。
企画書の最大の役割は、自分のイメージを相手に共有させることにあります。そして最終的に決済を得ること、採用されることを目指すものです。
そこで求められるのは、考えた企画を表現するテクニック。わかりやすく伝わりやすい表現にするための、5つのコツを紹介します。
コンセプトの集約
コンセプトは整理して、できるだけ短い言葉に集約します。
コンセプトとは、「それがどういうもので、誰に対して何をしてくれるのか」ということを凝縮したフレーズです。必要な要素は次の4つ。
・誰に?(対象)
・どんな良いことをしてくれる?(メリット)
・どういうものか?(商品やサービスのカテゴリー)
これら4つの要素をそれぞれ文章で表し、整理、統合してひとつのフレーズにするのです。
タイトルにはメリットを加える
企画書のタイトルは、コンセプトの4要素から「どんな良いことを?(メリット)」を加えると、中身を見たいなと思わせる企画書にすることができます。
↓
企画タイトルがつまらないと、どんなに中身の企画が素晴らしくても読んでもらえない可能性すらあります。顧客が得られるメリットを示すだけで魅力が格段にアップします。
数字で説得力をもたせる
数字は抽象的な表現に具体性をもたせ、タイトルや見出しに使うとコンパクト化することができます。数字は、実績や根拠に基づくもの以外にも、いろいろな角度から使用することができます。
たとえば、量が魅力的なものでなかったらほかの要素との比率を示す、提示したい数字が見つからなかったらアンケートを実施して作り出す、というように創造することが可能なのです。
アイデアに数字を入れることも、説得力を格段にアップさせるコツです。
わかりやすい表現を使う
企画書は、あらゆる手を尽くしてわかりやすい表現を目指しましょう。表現が難しかったり読みづらかったりすると、それだけで敬遠されてしまう要素になります。
硬い職種の人は四文字熟語など、外資系や広告業界の人はカタカナ語、専門家は専門用語が多くなりがちですが、多くの場合、読み手はごく平均的な教養の日本人と考えたほうがいいのです。
・カタカナ表現や専門用語はできるだけ使わない
・長い文章は短く区切る
・文章だけでなくビジュアルデータを利用してわかりやすくする
・文字のサイズやフォントを使い分ける
こうしたポイントは、わかりやすい企画書の基本です。
イメージを言葉にする
イメージを共有してもらうためには、自分のイメージを言葉で表すテクニックが求められます。イラストで表現する場合でも、イラストレーターに言葉を伝えなければいけません。
そこでもっともいい方法は、的確な例やサンプルを提示することです。
たとえば、自分のイメージに合う写真やイラストなどのビジュアルデータを示しながら、「ヘアースタイルは、このくらい派手なほうが似合うと思いませんか?」というように、「相手の共感を得られる言葉」で伝えるのです。
ここは妥協してはいけないところ。自分のイメージがもっともよく伝わると思える「たとえ」のネタを探しましょう。企画書に掲載するネタはビジュアルデータになりますが、音声データや動画データを別に用意して説得材料にすることもできます。
まとめ
ひらめいたアイデアを企画というカタチにする4つの工程を解説してきました。
現実には、「企画書の作り方3 アイデアを発想する」の「3-3 インプットを繰り返す」で解説したように、企画を練る作業は「企画書の作り方1 情報を収集する」から「企画書の作り方3 アイデアを発想する」を行ったり来たりしながら行われるものです。
ベースになるのは、習慣的な情報収集だということがおわかりいただけますね。普段からアンテナの精度を上げて、「なぜ?」「なんだこれは?」という疑問をもつことから始めましょう。
【参考資料】
『企画立案の教科書』(斎藤誠・阪急コミュニケーションズ・2013年)
『企画で勝負をしている人のアイデアのワザ』(芳月健太郎・明日香出版社・2015年)
















