色を上手く使いたいけど、どう取り入れたらいいのかわからないという人は多いですよね?
私たちの生活は、色であふれています。
色が、自分や周りの人に与える影響を知ることができれば、より楽しく暮らすことができるはずです。
色が人間の心に与える影響を「色彩心理」といい、色彩学と心理学の両方から重視されています。
色の感じ方には個人差がありますが、大多数の人が同じように感じるものも多いのです。
ここでは、色を10色に分けて、衣(FASHION)、食(FOOD)、住(INTERIOR)という3つの分野で効果的に取り入れるヒントをまとめました。
色の分類や色の見え方といった「色の基礎知識」にかんしては、「15分で理解する色彩と心理学の関係-色が人間の心に与える影響」を参考にしてください。
目次
1-1. 赤の使い方 - エネルギー
1-2. ピンクの使い方 - 優しさと愛
1-3. オレンジの使い方 - 温もり
1-4. 黄の使い方 - 陽気
1-5. 緑の使い方 - 調和
1-6. 青の使い方 - 落ち着き
1-7. 紫の使い方 - 高貴
1-8. 茶の使い方 - 安心感
1-9. 白の使い方 - 純潔
1-10. 黒の使い方 - 威厳
>まとめ
1. 10色の色を衣食住に取り入れるヒント
「赤」「ピンク」「オレンジ」「黄」「緑」「青」「紫」「茶」「白」「黒」という10色の色が、人に与える影響を利用して、生活に取り入れるヒントを解説します。
色相、明度、彩度といった色の三属性は、ここでは解説しませんが、似た色相でも、明度や彩度によってイメージは変わります。
同じ青でも、明度が高い水色だと軽いイメージ、低い藍色だと重いイメージとなり、彩度が高ければ派手な色、低ければ地味な色に感じられます。
黄緑や青緑といった色のイメージは、黄と緑、青と緑という2色のイメージが混ざるケースが多くなります。
各色の項で、今の気分の色をひとつ選ぶ「プチ心理テスト」の結果を掲載していますので、まず、冒頭の10色をイメージして、今の気分の色を選んでから読み進めてください。
タイトルに続けて書かれているのは、各色を象徴する言葉です。
1-1. 赤の使い方 - エネルギー
赤を選んだ人
バイオリズムが上昇しているときで、心がエネルギーであふれています。
何事にも臆せずチャンレンジしましょう。
FASHION
赤を身に着けていると、エネルギッシュなオーラを漂わせる色です。
鮮やかな赤は、ハッとするほどの強力な存在感を与えてくれます。
いつもより自分を魅力的に見せたいときや、自分を奮い立たせたいときに、コーディネイトの主役として取り入れましょう。
FOOD
赤には、食欲を増進する作用があり、交感神経を刺激するので、見ているだけでも元気が出てきます。
赤い食材にはリンゴ、トマト、赤いパプリカ、イチゴ、スイカ、マグロ、肉類などがあります。
エネルギーが湧いて元気が出る食品が多いだけでなく、老化予防に役立つ抗酸化作用を持つ食品が多いのも、赤い食材の特徴です。
INTERIOR
赤をインテリアに取り入れることで、暮らしに元気やパワーを呼び込むことができます。
赤には体感温度を高く感じさせる効果があるので、寒い季節にはうまく取り入れたいものです。
その反面、神経を高ぶらせてしまう作用もあるので、リラックスしたい空間での使い方には注意が必要です。
1-2. ピンクの使い方 - 優しさと愛
ピンクを選んだ人
愛情を感じていて、心が安心感で包まれています。
幸運を呼び込むパワーが高まっているときです。
FASHION
女性を可愛らしく見せるピンクは、着ている本人だけでなく周りの人の心まで穏やかにしてくれます。
やわらかい印象で、親しみを感じさせる効果もあります。
色白の人は大人の可愛らしさを漂わせる淡いピンク、褐色系の人は華やかなイメージのあるビビッド系のピンクを取り入れると効果的です。
FOOD
ピンクは甘さを想像させる色なので、クロスや器に取り入れると、お菓子などにあまり砂糖を使わなくても甘さを感じるといわれます。
ピンクの食材には、ハム、タラコ、サーモン、ピンクグレープフルーツ、桜エビなどがあります。
抗酸化作用が高い、ビタミンCやアスタキサンチンを多く含む食材が多いという特徴があります。
INTERIOR
女性らしさの象徴であるピンクには、女性ホルモンの分泌を高める作用があるといわれ、若返りの効果が期待できます。
ピンクは様々な色調があるので、ピンクベージュなどの淡い色から取り入れると、甘いイメージが行き過ぎることなく、リラックスした優しい雰囲気を出すことができます。
より女性らしさを強調するショッキングピンクなどのビビッド系や、大人のムードを漂わせるローズなどのダーク系は、強い印象を残すので割り切って使いましょう。
1-3. オレンジの使い方 - 温もり
オレンジを選んだ人
気持ちが外に向いているときなので、コミュニケーションを高めるにはよいときです。
外出して積極的に人と接することで、一層ポジティブな気分になるでしょう。
FASHION
オレンジを身に着けると、人の心をホッとさせて暖かな気持ちにする作用があります。
体感温度を上げる色なので、秋冬にはアクセントカラーとして、茶色やベージュとコーディネイトすると、まとまりがよくなります。
周囲を明るくする効果がありますが、目立つ色なので、うまくアクセントにするのがコツです。
FOOD
太陽をイメージさせるオレンジ色は、見ているだけでも気持ちが前向きになります。
赤と同様に食欲をそそる色なので、反対色の鮮やかな緑や、同系色の茶系の器に盛りつけてオレンジの鮮やかさを引き立てると、効果的です。
オレンジ色の食材は、カボチャ、ニンジン、イクラ、ミカン、アンズ、ビワ、柿などがあります。
ニンジンやカボチャに多く含まれるβカロテンは体内でビタミンAに変換され、免疫力を高めてくれます。
INTERIOR
どんなテイストにも合わせやすい暖色系のオレンジは、カジュアルにも落ち着いた雰囲気にも、明るさと温もりをプラスすることができます。
果物や野菜をイメージさせる色なので、キッチンやダイニングルームに取り入れると食欲増進の効果が期待できます。
1-4. 黄の使い方 - 陽気
黄を選んだ人
知性と好奇心が高まっているときです。
周りの人たちに自分の気持ちをしっかり伝えることで、チャンス到来の可能性大。
FASHION
黄色を身に着けていると、元気が出て前向きな気持ちになり、周囲の人たちには明るい印象を与えます。
知的好奇心を刺激する色なので、オンからオフへの切り替えに使うと効果的。
スポーツウェアやカジュアルウェアに取り入れるのが最適です。
明るい黄色はフレッシュなイメージを与え、マスタードなどの濃い黄色は大人っぽい落ち着いたイメージを与えます。
FOOD
目にも鮮やかビタミンカラーの黄色は、食卓を明るくすると同時に、食べる人の知性や感性を刺激します。
黄色の食材は、トウモロコシ、レモン、卵黄、グレープフルーツ、黄パプリカ、バナナ、パイナップルなどがあります。
レモンなどの柑橘類には、抗酸化作用の高いフラボノイドが多く、疲労回復効果が高いクエン酸も多く含まれています。
トウモロコシには、視力低下を防ぐルテインが多く含まれています。
INTERIOR
鮮やかな黄色には、心身に刺激を与えて活性化させる作用があります。
明るく食事を楽しみたいダイニングルームや、脳を活性化させたい勉強部屋などに取り入れると効果的です。
刺激が強い反面、目や精神を疲れさせてしまうので、アクセントとして使うようにしましょう。
青、黒、紫などの濃い色と組み合わせると黄色の魅力が一層引き立ちます。
マイルドなクリーム系は、リビングにとても使いやすい色で、日当たりのよくない部屋でも明るく見せる効果があります。
1-5. 緑の使い方 - 調和
緑を選んだ人
心身のバランスを取り戻したいと思っているときです。
緑は疲れを癒し、感情や自律神経のコントロールを助けます。
FASHION
緑を身に着けることによって、自分の心身をリラックスさせて、周囲に穏やかなムードを漂わせることができます。
緑は波長が赤よりも短く紫よりも長い、暖色でも寒色でもない色なので、周囲の人たちと調和のとれた関係を築くのに役立ちます。
深みのある緑は大人っぽい印象になるので、秋冬のファッションに取り入れると落ち着いた雰囲気をかもし出します。
FOOD
葉野菜や海藻に多い緑は、食卓にあると気持ちをリフレッシュする作用があります。
身体が疲れているときに緑の野菜を食べたくなるのは、緑の食材にビタミンミネラルが多く含まれていることを本能的に知っているからです。
緑の食材には、インゲン、ピーマン、ホウレンソウ、小松菜、キャベツ、ブロッコリー、ゴーヤ、キュウリなどがあり、ビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富で体調を整えてくれるものが多く、緑の色素であるクロロフィルという葉緑体には強い抗酸化作用や殺菌作用があります。
補色である赤の食材を引き立てる効果があるので、サラダなどには赤をアクセントとして使うと豪華に見えます。
INTERIOR
インテリアの定番カラーである緑は、ストレス緩和やリラックス効果が高いので、どんなスペースにも使える柔軟さがあります。
ただし、くすみのある緑は暗い印象を与えるのでアクセントとして使う程度に抑え、広い面積には淡い若草色や黄緑系を使うといいでしょう。
観葉植物で自然の緑を取り入れると、簡単に気持ちが和らぐ癒しの空間づくりができます。
1-6. 青の使い方 - 落ち着き
青を選んだ人
心身ともに落ち着いている状態で、物事を冷静に判断することができるときです。
課題に取り組んだり、新たな動きをスタートさせるのに適しています。
FASHION
青を身に着けると、自分は冷静さを保つことができて、相手には誠実さや信頼感を感じさせることができます。
明るいトーンの水色はさわやかな雰囲気を、暗いトーンになると落ち着きと信頼感を感じる装いになります。
ビジネスなどでは、知的でクールな印象を与えることができますが、冷たく寒々しくなってしまうこともあるので、シーンに合わせて色合いを選びましょう。
FOOD
青の食品を見ても食欲が湧かないのは、自然界に青い食材がとても少ないからです。
この特性を利用して、食卓に青を多用する「青色ダイエット」があります。
一方で、青絵や瑠璃色の器は、料理の色を鮮やかに見せる効果もあり、その感じ方には個人差が大きいようです。
ダイエット効果を狙いたい場合は、青を使う面積と色合いを調節してみるといいでしょう。
INTERIOR
寒色の代表である青には、クールダウンして集中力を高める作用があります。
勉強部屋や書斎など、頭を使う空間には積極的に使いましょう。
体感温度を下げるので、リビングなどに使うと夏は涼しく感じられますが、冬は寒々しくなる可能性があるので、日当たりの悪い部屋などには向きません。
薄い水色は空間を広く見せ、リラックス効果も高いので寝室に向いています。
1-7. 紫の使い方 - 高貴
紫を選んだ人
感覚が冴えていて、潜在能力に助けられるときです。
クリエイティブな活動をしている人は、仕事に没頭するチャンスです。
FASHION
高貴なイメージをもつ紫ですが、赤みのあるバイオレットから青みのあるパープル、さらに軽めのラベンダーから濃い色まで、とても色の幅があるので、女性にとってはいろいろな取り入れ方ができる色です。
淡い色は女性らしい印象、濃い色はエレガントな印象を与えます。
カジュアルなシーンはパープル、気品のある装いにはバイオレットを取り入れるといいでしょう。
FOOD
紫が食卓にあると、落ち着いた雰囲と癒しをかもし出し、季節感を演出する効果もあります。
紫の食材は、サツマイモ、ナス、ブドウ、プラム、ブルーベリーなどで、紫の色素はアントシアニンというポリフェノールの一種です。
アントシアニンは抗酸化作用が高く、目の疲労を回復させたり、肝機能を強化する作用があります。
色素が多く栄養価が高い皮も、一緒に食べるようにしましょう。
INTERIOR
紫をインテリアに取り入れると、気品ある華やかさを演出し、芸術的な感性を刺激する作用があります。
クッションなどの小物にうまく取り入れると、刺激が強くなりすぎずに効果的です。
バイオレット系よりもパープル系の方が、落ち着いた印象を与えます。
1-8. 茶の使い方 - 安心感
茶を選んだ人
精神が安定していて、物事をよい方向に進めることができるときです。
周りの人の言葉に惑わされず、本来の自分の姿でいるようにしましょう。
FASHION
大地の色である茶色は、温かみや落ち着きを感じさせるので、身に着けていると周囲の人たちに安心感を与えます。
淡い色と組み合わせることでまとまりがよくなり、黒の代わりに使うと洗練されたコーディネイトになります。
また、ゴールド系の小物と組み合わせると、華やかな印象を高めます。
FOOD
食べ物にもっとも多い色である茶色は、日頃の食事で見慣れているので、安心感と安定感を感じ、食欲が湧く色です。
代表的な茶色の食材には、肉類、味噌、納豆、パン、キノコ類、ゴボウ、栗、チョコレートなどがあり、豊富なタンパク質を含むものが多いという特徴もあります。
ランチョンマットやテーブルクロスに茶系を取り入れるのも安心感をもたらしますが、こげ茶にすると高級感を演出することもできます。
INTERIOR
アースカラーの基本である茶色は、落ち着きと安心感をもたらすので、インテリアのベースとして使われることが多い色です。
しかし、部屋の中が茶色ばかりになってしまうと、地味で重たいイメージになるので、明るめな色を取り入れて適度な抜け感をつくりましょう。
木目がきれいな家具と、ナチュラルカラーの明るい茶色で部屋をまとめると、温もりを感じられるカフェ風の空間演出ができます。
1-9. 白の使い方 - 純潔
白を選んだ人
今までの自分をリセットしたいと思っていて、新たな展望の兆しが見えているときです。
気分転換をはかり、一度気持ちを真白な状態にしてリフレッシュしましょう。
FASHION
清潔や清純というイメージをもつ白は、世代を問わず好感度の高い色です。
どんな色でも合わせた色を引き立てる効果があり、顔周りを明るく見せてくれる作用もあります。
正し、白は膨張色なので、使う面積と素材のバランスを考えましょう。
軽めの素材でスッキリ見せるのがポイント。
カジュアル使いには、スノーホワイトよりもアイボリー系が向いています。
FOOD
軽く、さっぱりとしたイメージが強い白の食材は、心を穏やかにしてくれます。
白米、パンなどの炭水化物、牛乳や豆乳、チーズといったタンパク質など、栄養価の高い食材が多いのも特徴です。
白い食材に組み合わせるときは、鮮やかな色みのアクセントが、白の透明感や混ざりもののない印象を高めます。
あくまでも白を主体として、アクセントは控えめに使うのがポイントです。
INTERIOR
組み合わせる色によって、印象がガラリと変わるのが白の特徴です。
寒色系と暖色系とのコーディネイトで、まったく違う空間づくりが可能です。
白を使う上で大事なポイントは、汚れやくすみが目立たないように、常に手入れすること。
白で統一した空間は、生活を感じさせない優雅なイメージになります。
しかし、リビングなどには、汚れの目立たないアイボリーを使うのが実用的です。
1-10. 黒の使い方 - 威厳
黒を選んだ人
自分を強くしたいと思っていたり、気持ちを引き締めたいと思っていたりするときです。
身の周りに黒を取り入れて、不安や弱さを封じ込め、自信を取り戻しましょう。
FASHION
フォーマルからカジュアルまで、スタイリッシュに決めることができる黒は、おしゃれな着こなしに定着しています。
黒には、組み合わせる色を鮮やかに引き立てる効果がありますが、淡い色と組み合わせるときには黒の面積を小さめにすると、黒に負けないバランスにできます。
また、コントラストが強い色を組み合わせるときは、バッグやベルト、アクセサリーなどのアイテムで取り入れるとシャープなイメージになります。
FOOD
黒は食卓を引き締め、和食を連想させる色です。
黒い食材には、海苔、昆布、黒ゴマ、ヒジキ、ワカメなどがあり、食物繊維やミネラルが豊富なものが多いという特徴があります。
また、白系が多い洋菓子に対して、黒系が多い和菓子には、深い甘みを感じさせる印象があります。
INTERIOR
黒一色が多くなると重く無機質な空間になるので、白を組み合わせてクールでモダンなイメージにするか、カラフルな色を使って明るいポップなイメージにまとめましょう。
白やグレーをうまく組み合わせるのが定番で、白とスモーキーなカラーのベースに黒いアイテムを1点加えるだけでも、重厚感を演出することができます。
まとめ
ここでは、衣食住という生活のベースで色彩心理を活用するヒントを紹介してきました。
私たちの生活は、家庭だけではなく、ビジネスや恋愛、遊びや趣味など、あらゆるシーンで色があふれています。
色がもたらす心理をどうすればプレゼンテーションにいかせるか?
職場で好印象をもたれるためには、どのような着こなしがいいのか?
合コンで必勝の色はあるの?
初デートに向く色は?
冒頭で説明したように、色の感じ方には個人差があるので、こうした疑問には、まだ科学的な根拠がともなっていないのが現状です。
しかし、たとえば、合コンにおける調査では、男女ともに清潔で爽やかな印象をもつネイビーがもっとも人気がある、というように、実験やアンケートによるデータは蓄積されており、色彩心理にかんする本や論文は数多く発表されています。
これだけ、誰もが色に影響を受けているのですから、色と心理の関係が「色彩心理学」として確立されることを期待する人は多いのです。
【参考資料】
・『色の教科書』 桜井輝子(監修) 学研プラス 2015年
・『人生が豊かになる色彩心理』 宮田久美子(監修) ナツメ社 2015年