安否確認システムは、自然災害などの緊急時に従業員やその家族の安否確認を行い、情報を集約するシステムです。
システムから安否確認のメール・メッセージが一斉配信され、その回答結果を収集することで、迅速な状況確認や判断が可能となります。
本記事では、仕事をかしこく・たのしくするビジネスメディアを運営する「Smarf」が、それぞれの安否確認システムの特長、機能、料金などを比較しながら紹介していきます。
従業員の安全管理を目的に、安否確認システム導入をご検討中の経営者様や、BCP対策のご担当者様は必見です。
安否確認システムとは?
安否確認システムとは、その名称の通り、従業員やその家族の安否を確認する際に使われるシステムのことです。
安否確認システムを活用することで、自然災害が発生した時に、システムを通じてメール・メッセージ、電話などの状況確認の通知が一斉配信されます。
通知を受け取った人は、現在の状況を回答することで、システムに回答結果が集約されます。システム管理者はその集計結果を確認することで、安否確認が取れない人の把握が容易になるため、迅速な判断を下せるようになります。
日本は自然災害の多い島国です。地震、台風、豪雨、大雪など、いつどこで災害が起きるかは予想できません。
企業は自然災害などの脅威から従業員を守る義務があります。もし、そのような緊急事態が発生した際に損害を最小限にとどめるために、BCP対策が注目されています。
BCP対策とは・・・BCP(Business Continue Plan=事業継続計画)を策定したり、緊急事態を想定した訓練を行うこと。(参考:中小企業庁HP)
BCP対策の一環として、安否確認システムの導入を検討する企業が増えています。
安否確認システムの選び方
安否確認システムには色々な種類があります。各社のシステムによって、備わっている機能も異なりますので、導入を検討する際には慎重に検討する必要があります。
本章では、安否確認システムを検討する際に参考にしていただきたい安否確認システムの選び方を紹介します。
稼働の安定性や一斉配信機能の到達率を確認する
安否確認システムはしっかり稼働しているか、また一斉配信メールやメッセージ機能は相手に確実に届くかどうかは、必ず確認しましょう。
安否確認システムを提供している会社は数多くあります。災害がいつ起きるかはわかりません。平時は基本的に使う機会ないかもしれませんが、有事の際にしっかりと役目を果たすかがポイントです。
また一斉配信メールも受信者の設定によっては、迷惑メールと判断されてしまい相手に届かない可能性もあります。
そのため、メールだけではなくSMS(ショートメッセージ)機能や、SNSも併用できるシステムがおすすめです。
特に、災害時は電話が繋がらないケースが多く、昨今ではTwitterが使われる機会も増えています。
引用:特に Twitter はリアルタイムでの情報発信に適しており、緊急性の高い情報を迅速に発信し、状況を随時伝えることができます。
引用元:総務省/大規模災害時におけるインターネットの有効活用事例解説集/P15ソーシャルメディアによる災害情報の提供
回答機能が集計しやすいかどうかを確認する
災害時は状況によって一刻を争う場合もありますので、安否確認の回答結果を集計しやすいかどうかは非常に重要なポイントです。
例えば、集計が自動化されているシステムを選ぶことで、手作業で集計作業を行う手間がなくなります。
集計結果が速やかに管理画面に反映されることで、連絡が取れていない従業員の把握も容易になりますので、その後の対応を迅速に進めることが可能です。
誰にでも使いやすい操作性か確認する
安否確認システムは担当者全員が使いやすいと感じるかが大切です。
安否確認システムは、いつ役目が訪れるかわからないシステムです。もし、突然使うタイミングが来た場合に、誰も操作の仕方がわからなければ意味がありません。
仮に操作が初めてでも、直感的に操作方法がわかるシステムを選ぶと良いでしょう。
導入時・導入後のサポートや平時訓練があるか確認する
安否確認システム導入後に、使い方のレクチャーやサポートがあるかどうかも確認しましょう。
特に、災害時を想定した訓練を定期的に行うことは非常に大切です。災害時は、状況によっては冷静な判断ができなくなる可能性もあります。
そうした時にでも、きちんとシステムを使いこなせるように、常日頃から操作に慣れておくようにしましょう。
安否確認システム比較4選
ここからは、「Smarf」厳選の安否確認システム4選をご紹介します。気になったシステムがあれば、直接ベンダーに資料請求をするか、トライアルを実施してみてください。
Biz安否確認/一斉通報(エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社)

概要
Biz安否確認/一斉通報は、NTTコミュニケーションズが運営する安否確認システムです。
東日本大震災時にも稼働しており、災害時における企業の安否確認において、その運用実績に高い信頼があります。
現在では、新型コロナウイルス感染症対策にも対応しており、従業員への注意喚起・行動指示などにも利用可能となっています。
特長
- あらかじめ設定した震度以上の地震が発生した際に一斉配信&回答集計を自動化
- NTTコミュニケーションズが提供する高信頼のインフラ設備で構築
- メール、スマホアプリ、電話の3種類の通知手段により、高い回答率を実現
導入時の注意点
会社と社員間の情報のやり取りはできるが、社員同士あるいは家族間の情報のやり取りはできない
無料プラン有無
開通月(初月)は無料
費用
プラン | 初期費用 | 月額費用 |
---|---|---|
お手軽導入プラン | 100,000円 | ・基本使用料(企業ごと)10,000円(ID数10~990) ・サービス使用料(IDごと)40円(ID数10~990) ※ID数9990まで従量課金制 |
通常プラン | 200,000円 | ・基本使用料10,000円(ID数10~990) ・サービス使用料(IDごと)40円(ID数10~990) ※ID数9990まで従量課金制 |
ライトプラン | 0円 | 10,000円(1,000IDまで利用可能) |
導入企業の声
安否確認のスピードと確実性が向上するだけでなく、安否登録結果の集計などを自動で行うことができますので、管理側の負荷をかなり軽減できる点も重要な導入メリットだと感じています。(Biz安否確認/一斉通報公式サイト導入事例/地方銀行)
NTT Comのサービスは、まずカスタマイズの自由度が高いことが魅力でした。通知する文面が自由に編集できますし、組織構成も所属などに応じて5つの階層で細かく設定・管理することができます。(Biz安否確認/一斉通報公式サイト導入事例/医療法人)
安否確認サービス2(トヨクモ株式会社)

概要
トヨクモの安否確認サービス2は、従業員に代わって災害時の安否確認を自動で行うシステムです。
サーバーの稼働を3箇所(シンガポール、米国、日本)に国際分散させることで、アクセスが集中しても安定した稼働を実現。通知手段は、メール(PC・スマホ・フィーチャーフォン)の他、スマホアプリ、災害に強いとされるTwitterにも対応しています。
会社と社員間の状況報告だけでなく、社員同士の安否確認ができる掲示板機能も備わっており、有事の事態でもあらゆる手段で確実に連絡を取り合うことが可能です。
特長
- マニュアルが無くても直感的にわかるデザイン。パスワードを忘れてもログイン不要で回答可能
- サーバーを国際分散することで、アクセスが集中するとサーバーが自動拡張されるため、不測の事態でもメールを確実に配信
- 全ユーザーが閲覧・書き込みできる掲示板機能。社員間の安否確認やメッセージのやり取りが可能
導入時の注意点
通話での通知方法は採用されていない(災害時は通話が出来ないことが多いという理由から)
無料プラン有無
無料お試し期間(30日間)あり
費用
ユーザー上限数 | ライトプラン | プレミアプラン | ファミリープラン | エンタープライズ |
---|---|---|---|---|
50ユーザー | 6,800円 | 8,800円 | 10,800円 | 14,800円 |
100ユーザー | 9,800円 | 12,800円 | 15,800円 | 19,800円 |
200ユーザー | 12,800円 | 15,800円 | 18,800円 | 22,800円 |
300ユーザー | 14,800円 | 18,800円 | 22,800円 | 26,800円 |
500ユーザー | 18,800円 | 23,800円 | 28,800円 | 33,800円 |
700ユーザー | 22,800円 | 27,800円 | 32,800円 | 37,800円 |
1000ユーザー | 26,800円 | 32,800円 | 38,800円 | 43,800円 |
※上記税抜き価格
※年額払いの場合は5%OFF
導入企業の声
他社のシステムは数百万円という費用がかかったり、構築までに何ヶ月もかかると言われました。トヨクモの安否確認システムであれば、営業時間中に無料お試しの申込みをすれば、その日から使えますし、全ての機能を試した上で、お試し環境をそのまま本運用の環境として利用できたのが良かったです。(安否確認サービス2公式サイト導入事例/市役所)
トヨクモを選んだポイントは導入のしやすさとコストです。導入のしやすさというのは、ユーザーも運用者も操作しやすく、短期間で運用に乗せられるということです。実際に触ってみて、画面の色使いや項目に説明が付いているなど、直感的に見やすいと感じています。(安否確認サービス2公式サイト導入事例/印刷・物流事業)
安否LifeMail(株式会社コム・アンド・コム)

概要
安否確認システムは東日本大震災をきっかけに注目を集めるようになりました。
しかし、安否LifeMailを開発するコム・アンド・コムは東日本大震災が起きる以前の2000年当所からシステム開発を手掛けており、安否確認システムの草分け的存在です。
長年に渡る実績と共に改良が加わり、独自機能や価格優位性を持つ、安否確認システムです。
特長
- 業界初のLINE、Twitter、Facebookの3大SNSに対応。安否確認以外の業務連絡も通知可能
- GPS安否確認機能を搭載。管理者は利用者の安否確認と位置情報の取得が可能
- 1人あたり月額80円〜の従量課金制なので、平時でも費用負担を少なくすることが可能
導入時の注意点
他社サービスで見られる「掲示板機能」のような、社員間の安否確認ができる機能がない
無料プラン有無
無料試用版あり(30日間)
費用
- 初期費用:150,000円
- 月額費用:80円〜(企業の従業員分のみ)
導入企業の声
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、在宅勤務者の比率が増え、出社していないスタッフへも確実に連絡ができる体制を構築できた。(引用:安否LifeMailのレビュー)
アプリやソフトなどが不要で、HP上で管理できるため、シンプルで使いやすい作りとなっています。BCPの入門書的にまずは門を叩いてみてはいかがでしょうか。安否確認だけでなく、新型コロナなどに罹患していないかのチェックメールなども網羅しているので、多方面のトラブルへの対処に利用できます。(引用:安否LifeMailのレビュー)
エマージェンシーコール(インフォコム株式会社)

概要
エマージェンシ―コールは阪神淡路大震災をきっかけに誕生し、その後も25年間にわたり、数多くの自然災害で安否確認を行ってきた実績のあるシステムです。
本部・社員間の安否確認だけではなく、経営・役員間の機密事項を伴う相談・意思決定が必要な場面においても、セキュリティの担保されたルームでのコミュニケーションが可能です。
現在、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、感染予防対策としてのサービスも提供しています。
従業員の在宅勤務時においても、勤務状況の確認や検温確認などの感染予防対策の指示・推進が可能です。
特長
- 実災害の稼働実績90%以上を実現。社員への自宅待機指示や状況連絡など企業のBCP対策を支援。(東日本大震災時は地震発生24時間後の回答率96.3%)
- 安否確認通知は、通話、スマホアプリ、FAX、タブレットなどあらゆる通信機器に対応。国内2拠点接続により、災害時の通信制限が起きた場合でも安定した通信が可能
- 安否確認回答率100%にこだわった独自機能。回答するまでの繰り返し通知は最大100回まで配信可能
導入時の注意点
サイトデザインが古いという声が多い。しかし、シンプルで使いやすいという声もあるので好みによる
無料プラン有無
無料トライアル有り
費用
- 初期費用:200,000円
- 月額費用:40,000円(100名まで)
導入企業の声
台風発生時に災害対策本部を開いて職員を招集する際、その招集をエマージェンシーコールを使った緊急連絡で通知しました。エマージェンシーコールのおかげで、とても早く伝達ができたため、それが避難所の早期開設に繋がりました。(引用:エマージェンシーコール公式サイト導入事例/区役所)
阪神淡路大震災をきっかけに提供され、東日本大震災に至るまでこれまで多数の震災で利用されてきた経験と、弊社のような大規模のお客様での実績が多いことも安心感につながりました。(引用:エマージェンシーコール公式サイト導入事例/上場企業)
安否確認システムを一覧表で確認
システム名 | 特長 | 費用 |
---|---|---|
Biz安否確認/一斉通報 (エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社) | ・あらかじめ設定した震度以上の地震が発生した際に一斉配信&回答集計を自動化 ・NTTコミュニケーションズが提供する高信頼のインフラ設備で構築 ・メール、スマホアプリ、電話の3種類の通知手段により、高い回答率を実現 | ◆お手軽導入プラン: ・基本使用料(企業ごと)10,000円 ・サービス使用料(IDごと)40円 ◆通常プラン: ・基本使用料10,000円 ・サービス使用料(IDごと)40円 ◆ライトプラン: 10,000円 ※各プラン初期費用別途 |
安否確認サービス2 (トヨクモ株式会社) | ・マニュアルが無くても直感的にわかるデザイン。パスワードを忘れてもログイン不要で回答可能 ・サーバーを国際分散することで、アクセスが集中するとサーバーが自動拡張されるため、不測の事態でもメールを確実に配信 ・全ユーザーが閲覧・書き込みできる掲示板機能。社員間の安否確認やメッセージのやり取りが可能 | ・ライトプラン:6,800円〜26,800円 ・プレミアブラン:8,800円〜32,800円 ・ファミリープラン:10,800円〜38,800円 ・エンタープライズ:14,800円〜43,800円 |
安否LifeMail (株式会社コム・アンド・コム) | ・業界初のLINE、Twitter、Facebookの3大SNSに対応。安否確認以外の業務連絡も通知可能 ・GPS安否確認機能を搭載。管理者は利用者の安否確認と位置情報の取得が可能 ・1人あたり月額80円〜の従量課金制なので、平時でも費用負担を少なくすることが可能 | ・初期費用:150,000円 ・月額費用:80円〜(企業の従業員分のみ) |
エマージェンシーコール (インフォコム株式会社) | ・実災害の稼働実績90%以上を実現。社員への自宅待機指示や状況連絡など企業のBCP対策を支援。(東日本大震災時は地震発生24時間後の回答率96.3%) ・安否確認通知は、通話、スマホアプリ、FAX、タブレットなどあらゆる通信機器に対応。国内2拠点接続により、災害時の通信制限が起きた場合でも安定した通信が可能 ・安否確認回答率100%にこだわった独自機能。回答するまでの繰り返し通知は最大100回まで配信可能 | ・初期費用:200,000円 ・月額費用:40,000円(100名まで) |
まとめ|安否確認システムを活用すれば、災害時に従業員の安否確認が可能
この記事では、自然災害や緊急事態時に従業員やその家族の安否確認に役立つ、「安否確認システム」について、各システムの特長や実際に利用された企業の声も含めて紹介してきました。
安否確認システムを使えば、メール・通話・アプリ・SNSなどの方法により、従業員・家族に安否確認通知の一斉配信が可能です。
有事以外では基本的に出番がないシステムですが、もし万が一の事態が発生した際に確認や判断に遅れた場合は、その後の経営を左右しかねません。
企業のBCP対策も注目される中、その対策のひとつとして安否確認システムの導入は検討すべきであるといえます。
もし、自社に見合った安否確認システムの選び方がわからないといった場合や、導入後の戦略的な活用方法がわからないといった場合は、安否確認システムの資料請求や、ベンダーに問い合わせた上で導入を検討してみてください。